「ココア、長旅の後なのに元気ね……。明日に備えてゆっくり休もうとか思わないのが凄いわ」
「えー、だって大久野島だよ? 広島だよ? 東京にいたら来る機会なんてそんなに無いんだもの、楽しまなきゃもったいないよ!」
チノとリゼがココアの待つ海水浴場に到着すると、同じく到着したばかりらしいシャロの姿もあった。あたりを見回すが千夜と青山の姿はない。というより、ティッピーコンテストの開催に伴い島はコンテスト関係者の貸切状態になっているので、海水浴場もさながらプライベートビーチのような状態で、他の人の姿は一切見えない。うさぎも海辺までは下りてこないので、人間だけでなくうさぎの姿も見当たらなかった。ただ波の音だけが「ざざ……ざざ……」と静かな海に響きわたっている。千夜と青山を探してきょろきょろとあたりを見回すチノの疑問を先取りするようにココアが言った。
「千夜ちゃんと青山さんは先に更衣室に入って水着に着替え中だよ。さあさあみんなも早く着替えよっ」
「そんなこと言われても、水着持って来てないし。私は海は眺めるだけで遠慮させてもらうわ」
「私もです。というかわざわざ水着持って来ているみなさんが準備万端すぎます。ココアさんの荷物の中の水着を見た時も何で要るんだろうと思いましたが、まさか遊ぶのに使うとは……。リゼさん、私達は戦いに来てるんですから普通水着は持ってこないですよね。そう思いませんか?」
チノがそう言うと、リゼはやや恥ずかしそうにしながらこう言った。
「すまんチノ、私も水着持って来てた……。ほら、夏のティッピーコンテストって海沿いとか夏っぽいところが会場になること多いから、もしかして使うこともあるんじゃないかと思って……。いや誤解するな! 遊び目的じゃなく、競技中に誰か海に落ちたら助けなくちゃいけないとか、そういう場合を想定してだからな!?」
顔を赤くしながらもそう強弁するリゼと、そのリゼを「リゼちゃんも水着持って来てたんだ! 早く着替えよー」と更衣室に連れて行こうとするココア。その時、千夜が更衣室から顔だけ覗かせてこう言った。
「ねぇココアちゃんも水着着るんでしょ? それだったら水着のある四人で『勝負』しないかしら? 誰の水着姿が一番アダルティな魅力を出しているか、チノちゃんとシャロちゃんの二人に採点役になってもらうの」
「あだるてぃーなみりょく? よく分からないけど勝負だね! 受けて立つよ! 流石は千夜ちゃん、面白いことを考え付くね!」
「っておいココア! 勝手に決めるな! 私はアダルティな魅力とかそういうこと分からないから! 分からないからー!」
抵抗して叫ぶリゼをぐいぐいと引きずってココア達は更衣室に入ってしまった。
「アダルティな魅力って、ココアさん意味分かってるんでしょうか。ココアさんの持ってきた水着って、確か」
「おっと、ネタバレはダメよ。ココアちゃん達の水着姿、楽しみにさせてもらいましょ」
入れ替わりで更衣室から出てきた千夜に制される。既に水着に着替えたようだが、バスタオルを体に巻いていてどんな水着かは分からない。青山も同じようにタオルを巻いていた。そしてしばらくして、ココアとリゼも同じようにタオルを巻いて更衣室から出てきた。ココアがみんなの顔を見回してもったいぶった口調で宣言する。
「それでは第一回! 水着勝負を始めます! これはティッピーコンテスト決勝の結果を占う重要な前哨戦になります、スポーツマンシップに則り正々堂々戦いましょう」
「水着勝負とティッピーコンテストに何の関係があるのよ」