チノが店内を隅々まで五周ほど見て回り、退屈したマヤとメグのおしゃべりのネタが完全に尽き、シャロがパイプ椅子に腰掛けて居眠りし始めた頃になってから、ようやくやっとココアの品選びが終わった。
「お待たせ! 悩んだけど選び終わったよ」
「遅いよココア、どれだけ待たせるのー」
「むにゃ……お腹いっぱいメロンパン……。はっ! 私いつの間にか寝ちゃってた!?」
買い物カゴをいっぱいにしたココアは、店のレジの方に向かう。レジは今時珍しい、店員が操作しなければならないタイプの有人レジだ。「御用の際は押してください」と書かれた古めかしいブザーを押すと、たっぷり一分は待たせてから店員が奥から出てきた。
「しゃーす、会計すか」
店員は、いわゆるギャル?というのだろうか。染めた髪に濃い目のメイク、露出度高めの服装で、秋葉原よりも渋谷の方が似合いそうなタイプの女の人だった。もともと三白眼ぎみの目をしていて人相が良くない上に、愛想の欠片もないかったるそうな喋り方をする。正直こんな人が接客係でこの店大丈夫だろうか、と思ってしまうようなタイプの人だ。
店員はやる気のなさそうな態度で買い物カゴの品を会計していく。ココアの買い物の量があまりに多かったので時間がかかり、シャロはその間に再び夢の世界に旅立っていた。ようやく全ての品の金額を打ち込み終え、「37895円っす」とココアに向かって告げたが、その時妙なことが起こった――、ココアが、店員に向かって変にモジモジした態度で何か言いたそうにしている。
「あっ、あの、えと、その」
「え、何すか」
「えーっと、その、つまり」
「いや、えーっとじゃ分かんないす」
「……っ!」
「てか、早く会計して欲しいんすけど」
どうしたのだろう。ココアがいつまでも会計しようとしないので、見かねたチノが助け船を入れるようにココアの横に立った。
「ココアさんどうしたんですか? お金足りないんですか? あまり後先考えずになんでもかんでもカゴに放り込んでいくからですよ。ここは私が立て替えますから、ココアさんはそこをどいて……」
そこまで言って、代わりに会計をしようと店員の方を見た瞬間、チノの目には驚くべきものが映った。水色の水玉。ギャル風の店員にはちょっと似合わないかな?と思えるような、子供が履くような可愛らしい水玉模様。チノは目を丸くし、思わず大声でこうツッコんでしまった――
「……って、店員さんパンツ見えてるやん!!!」