夜明けの魔女   作:瑠璃。

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第十一節「ドロテア尋問術」

破壊されたロウェナ・レイブンクローの髪飾り。

若き頃の闇の帝王、トム・リドルにより髪飾りは分霊箱の一つに変化させられた。

髪飾りを見つけ出し、ハリー・ポッターが破壊したのだ。今ではもう存在しない

遺品である。

先にホグワーツで行われた大戦によってグリフィンドールの剣以外、すべての

創始者の遺品が破壊された。なら、もうこの学校には宝らしい宝は無いと思う

だろう。

 

「ここが、そうなのね」

 

一人の生徒が隠された部屋に侵入することに成功する。相当な下準備を重ね

この部屋の探し方、鍵を発見する。その部屋にはかつてバジリスクという竜が

存在した。それはハリー・ポッターによって退治され、大戦のときには今や

有名なハーマイオニー・グレンジャーやロン・ウィーズリーたちが分霊箱を

破壊するための道具として、バジリスクの牙を採ったという。

 

「ッ!」

 

生徒がそこに佇む箱に触れると弾かれてしまった。何かの術が仕込まれている。

深く踏み込まない方が良いと考え、この事だけを綴った手紙は梟によって何者かに

伝えられた。

 

 

 

「正解だ、ベアトリス・ゾグラフ」

 

強気な女性教師はわしゃわしゃとベアトリスの頭を撫でた。

教師の名前をドロテア・トレント、魔法薬学の教師であり鷲寮の寮監でもある。

この科目は必修科目だ。全生徒が学ぶ科目。

 

「ベアトリス、アンタは一体何を気にしているの」

「いいえ、そんな…」

「…何を気にしようがアタシの知ったこっちゃないけど、勉強に身が入らないなら

お仕置きよ。覚えておきなさい」

 

ドロテアはベアトリスが何かを気にしていることを察知している。隣に座るメイラは

猶更。内容なんてすぐに分かる。兄とのわだかまり。

 

「良いじゃない。前だって長く気にしなかった。…サラに見られたこと、

気にしているのね」

「別にそうじゃない」

「そう。なら、これは私の独り言よ、気にしないで」

 

メイラはすぐにこの話を終わらせた。長く話し続けてもベアトリスは中々口を

割らないタイプだ。こちらが粘っても、すぐに負けてしまう。

場所は図書館。授業中に図書館にやって来るような生徒はいないため、司書である

ヴィクトールはその時だけは生徒の目を気にせず、ゆっくり出来る。最近の

新聞は常に闇祓いと闇の魔法使いとの戦いに注目してばかりだ。

 

「変わんねえな…」

 

内容はちっとも変化しない。闇祓いの動向を褒めたり、叩いたり。今の闇祓いの

実力が不足していると批判するような人間も少なからず存在する。現役引退した

自分にはもう関係のない事だ。彼らが叩かれようが、憎まれようが自分には何も

関係ない。

一人の図書館に足を運ぶ者がいた。

 

「お前―」

 

 

 

翌日、休み時間になって図書館に行くと珍しく図書館は閉館していた。

 

「おや、珍しいね。ヴィクトールのホームグラウンドが開いていないなんて」

「ポッター先生、何か聞いてないんですか?」

 

ベアトリスは彼に聞いた。グリシャ・ポッターは首を横に振った。他の教師も

ヴィクトールがいないことを不思議に思っていたところだ。常に図書館は開いており

司書もいた。

 

「お、いたなポッター先生。校長が呼んでたわ」

「校長が?…分かりました、ありがとうございます」

 

グリシャ・ポッターが図書館を去った。ドロテアにもヴィクトールがいないことに

ついて聞いてみたが、彼と返答は変わらなかった。ドロテアは意地悪な笑みを見せて

ベアトリスに囁いた。

 

「もしかして、やっと素直に言う気になった?」

「うっ、それは…まだ、です」

 

答えを聞いてドロテアは長く大きな溜息を吐いた。

 

「全く…アンタたちは。さっさと言っちゃいなさいよ。タイミング逃したら、二度と

言えないんだから。言いたいことがあるなら、言わなきゃ損するだけよ」

 

言えずに別れ、言っておけばと後悔するより、言って後悔しろというのを彼女は

伝えようとしているらしい。言ってぶつかれば良い。言わずに後悔するより、それは

よっぽどマシなのだから。

ベアトリスは中々一歩を踏み出せずにいるようだ。

突っ立っているときに図書館から物音が聞こえた。

 

「え、鍵…開いてるじゃん」

 

図書館の扉に手を掛けると、鍵が開いていることに気付いた。

 

「あら、ホント。アタシが先頭を歩くわ」

 

ドロテアは静かに扉を開いた。何かあったときの為に何時でも杖を抜けるよう

構えながら。サラたちも杖を握りしめて、彼女の後ろにくっつく。人のいない

静かな図書館の奥から物音が聞こえる。

すぐに姿を現し杖を向けた。だが目を丸くする。

 

「…はぁ!?オイ、クソ司書!何してんだよ!!」

 

ドロテアが声を荒げた。口調も荒いが、そんなに驚くほどではない。

 

「何って、コイツですコイツ。図書館に侵入してきたモンで」

 

仮面をつけたローブの男たち。揃って彼らはワルプルギスに属している純血思想の

持ち主だ。それも過激な思想。図書館にほとんど教師がいないのを理解してか、

侵入してきたようだ。

 

「へぇ、良い度胸じゃないか。で、一体どんな抜け道を使って来たんだい?」

 

ドロテアは一人の上に腰を下ろす。彼女に言われてサラとベアトリスもそれぞれ

別の人間の背中に腰を下ろす。

 

「ちょっと、背骨がお尻に当たって痛いです」

「我慢しな。アタシがこいつらから吐かせてやるよ」

 

ドロテアは懐から小瓶を取り出し、栓を外す。瓶の中身は青々とした液体だ。

食欲も飲みたいという気持ちも湧いてこない。如何にも怪しい薬だ。ヴィクトールも

苦い顔をして、何なのかと聞いた。

 

「仕方ないから、この程度で許してやるって話よ。さぁ、出てらっしゃいナイト」

 

ドロテアは図書館の出入り口に目を向けて名前を呼ぶ。若い男が姿を現す。

彼はアトス・ナイトだ。闇祓い。

 

「校長に呼ばれて、これでも急いできたんですけど…」

「ほぉ、中々男前になったじゃないかミスター。耳の穴かっぽじて良く聞いてると

良い。主犯者を吐かせてやろうじゃないの」

 

ヒールを鳴らし、ドロテアが嗜虐的な笑みを浮かべ男を見下ろす。

 

「アンタたちの御主人より、もっとアタシが可愛がってやる。まずは躾からね」

 

ドロテアが持っていた小瓶の正体は彼女が試作品として開発した真実を吐かせる

薬だ。効果マシマシな真実薬を男に無理矢理に飲ませて情報を吐かせた。

 

 

 

 




ドロテア・トレント(Drotea Torrent)
レイブンクロー寮の寮監、魔法薬学担当教授。

「女王様とお呼び!」
そう言っていそうな女性教師です。
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