夜明けの魔女   作:瑠璃。

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第十三節「消えた友人」

既に校舎内に侵入した男は一人の生徒と接触した。

 

「まぁ、褒めてやるよ。だが次は上手くやれ」

「は、はい…」

 

生徒の表情は恐怖に染まり切っていた。そんなことを気にせず男は生徒が

見つけた扉を開いた。話によれば、それに触れようとした生徒は弾かれたらしい。

ただ単に他者を寄せ付けないのか、何か資格が必要なのか。

 

 

 

「ベアトリス、そういえばメイラはいないの?」

 

そこで思った。そう言えば、この日は彼女を見ていない。部屋には一緒にいたが

出てから彼女は別の科目を選択していたので離れていたのだ。また会うつもりで

いたのに、彼女とは会えていない。

 

「探してみる?」

 

ベアトリスが頷いた。彼女と共にサラはメイラ=フゥを探すことになった。

ホグワーツの校舎は広大で、その全てを把握している者はいない。とある地図には

校舎の隠し部屋、隠し通路が全て記載されているらしい。

ただその地図の行方は誰にも分からない。先の戦いの後、地図はどうなったの

だろうか。探しているうちに道に迷いかける。

 

「あらあら~どうしたの?」

 

学校に住むゴーストが声を掛けて来た。血濡れのマダム、そう呼ばれている。

 

「この学校は素敵だけど、地図も無いから困っちゃうわぁ。獅寮は何処かしら~」

「この道を真っ直ぐ行けば、大広間には行けると思うよ。人も多くなるし。そうだ、

マダム。この辺りでレイブンクローの女子生徒を見かけなかった?」

 

マダムは首を傾げながら、思い出す。自分はずっとこの辺りをうろついていた。

人もほとんどいないような場所で困っていたが…。

 

「おさげの女の子かしら?」

「うん。見かけた?」

「えぇ。えぇ、不健康そうな男と一緒にいたわ。一体誰かしら~、外部講師にも

見えなかったのよ~。それでは、ご機嫌よう」

 

マダムの姿が透過した。彼女はサラに言われた通り、大広間へ向かっただろう。

さて、見知らぬ男と一緒にいるメイラは不自然だ。

 

「メイラはおっとりしているけど、そんなフワフワと怪しい奴について行くような

子じゃないわ。しっかりしているから」

「うん、私もそう思う」

「なら、これしかないでしょ」

 

ベアトリスは杖を見せた。メイラは魔法に掛けられている。使ってはいけない

呪文の一つに服従の呪文がある。相手を操ってしまう危険な魔法。使用者は

厳しく罰せられるため、普通使うはずも無いが躊躇しない魔法使いがいる。

 

「その侵入者…もしかするとワルプルギスなんじゃないの」

「…トレント先生が吐き出させた情報もあったしね。ワルプルギスが校内に

侵入したって。でも、どうしてメイラが?他の生徒もいるよね。それに、

わざわざ服従の呪文を掛けるなんて…」

「自分たちの事を隠したいなら、忘却魔法を使えばいい。私だったら、そうするわ。

だけど、使えないんじゃなくて使わなかったとしたら?」

 

使わない理由がある。示唆するベアトリスの言葉。サラも一つの結論に至った。

 

「メイラに何かさせたいのかな!?」

「そう言う事。メイラは選択科目でルーン文字について学んでいるわ。もし、

もしもだけど…ワルプルギスの探し物がルーン文字関連だったら?メイラ、その

科目の成績が良いって自分でも言っていたわ」

 

ルーン文字の解読の為に彼女を?だが一目見ただけでは彼女がルーン文字を

読めるか否か分からない。つまり彼女の事を売った誰かがいるということを

これは示している。偶然だった。サラは壁に手を触れたのだが、レンガが彼女により

押し込まれ、サラの足元が開いた。

 

「サラ!」

 

サラの体が消えてすぐに穴が消えてしまった。だが、彼女が

 

 

押したレンガはすぐに

分かった。壁は掃除されていなかったので、埃をかぶっている。サラが触ったことで

彼女の手形が残っている。

 

 

校内の探索をしているアトスは一人のワルプルギス構成員と鉢合わせた。

グエル・ノウェル。

 

「誰かと思ったら、アンタはアトス・ナイト。有名人じゃないか。嬉しいねぇ」

「俺は、ちっとも嬉しくないがな。こんな場所で派手に暴れたくはない。

退いてくれないか」

 

アトスはまず交渉をする。無理に捕まえるつもりは無い。動けば無論、相手も

抵抗するのだから。ここはホグワーツ。学校だ。多くの生徒がいる。

だが相手はそれなりに好戦的な性格だった。

 

「まさか。噂じゃ、アンタは中々強いらしい。退くなんて勿体ない!」

 

僅かにグエルの方が杖を抜くのが早かった。しかしアトスもすぐに反応した。

躱して、杖で魔法を弾く。グエルは杖を振りながら、徐々に距離を詰めて来る。

相手からの攻撃を恐れていない様子だ。アトスはその度に一歩二歩と後ろへ。

 

「オラオラ、どうしたァ?わざわざ俺が相手してるんだ。もっと攻撃して来いよ」

 

ここでアトスが一歩前に出た。

 

「―オブスキュロ」

 

相手の目を隠す、つまり視界を奪う魔法を使った。グエルはてっきり相手は攻撃を

してくると思っていた為に反応が遅れる。だがこの程度で彼も止まらない。位置なら

分かっているのだから。

 

「だろうな。この程度でアンタを退けられるとは思ってねえ」

 

アトスは杖をしまった。もうグエルの姿はない。

 

「だから、外に追い出させて貰った。俺もそれが何処に繋がっているのか

分からないけどな」

 

何を使ったかと言うと、簡単だ。移動キーを使った。投げていたのだ。

視界を奪い、その隙に投げた。今回は運が良かったから出来たのだ。学校への

この短い戦いでの被害は無し。ホグワーツはあのヴォルデモートですら、すぐに

侵入することが出来なかった要塞。そこに今回、彼らは普通に侵入した。

 

「(把握していない抜け道があったという事か…それとも、結界自体に穴が

あるんじゃないのか)」

 

後者があり得たとして、学校の関係者でもかなり限られてくる。

 

 

 

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