夜明けの魔女   作:瑠璃。

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第二十四節「生徒以外」

ホグワーツクィディッチ杯、襲撃。怪我人ゼロ。

その結果だけなら、何も無くて良かった…それだけで良い。問題は公表されなかった

鏡という物品が盗まれてしまったこと。闇祓いは変わらず忙しい。

オーガスト・スタンフィールドと共にアトスとアラミスは行動をしていた。

 

「あー…」

 

オーガストのやり方にアトスは困惑した。なるほど、彼が何時も始末書の期限に

追われている理由が分かる。彼はどうやら闇に加担する者が苦手らしい。

嫌っている為、やり方が荒々しいのだ。

 

「これ、俺たちも始末書って事は無いよな…」

「局長だって分かってるだろ。俺たちで止められたら苦労しないよアトス」

「なんか、こっちはオーガストさんでどうにかなりそうだし、俺たちは奥へ

進んで頭を捕まえるか」

 

オーガストには一言入れてから、アトスとアラミスは先に進む。道中は楽を

させて貰った。オーガストの暴れっぷりからうじゃうじゃとやって来る魔法使い。

奥には人っ子一人いないのだ。出払っている様だ。

 

「こんにちはー、捕まえに来ましたよー…って!?」

 

アトスは身を捩る。アラミスも一歩後ろに下がった。別の人間が先にいた。それも

捕まえるべき相手は既に殺されているではないか。病人かと思ってしまうほど白い

肌の男がいた。

 

「…もしかして闇祓いか」

「その通りだけど、殺しちゃった?俺たち、困るんだけど」

 

アトスの言葉に相手は謝罪する。

 

「どうするアラミス。これ聞いたら、俺たち一時間説教かもしれないぜ」

「そんなわけないだろアトス。自殺したって事にして隠せば問題ないよ」

「アトスにアラミス?ナイト家の双子か」

 

相手は自分たちを知っているらしい。

 

「…見なかったことにしておこう。主犯は自殺、幹部は確保できた。これで

何も無いだろ」

「良いのかよ、闇祓いがそんな適当で」

 

彼は悪人だけを殺す殺し屋を営む魔法使いだ。本来なら彼も捕まえる対象に

なるのだがアトスは何と彼を、ロイドという男を捕まえず見逃すと言った。

 

「こっちも定時で帰りたいんだ。そろそろ妹も帰って来るし、お互いに

戦って得することは無いだろ。頼むからさっさと出てってくれ」

「分かった。そう言うのなら、退かせて貰う」

「助かるよ、それじゃ―」

 

アトスの頭を誰かが掴み、下に押し倒す。その手の正体はアラミスだった。

 

「残念だがアトス。あっちは良くても、こっちは来るぞ」

「テメェ、アラミス!わざとだろ!?」

「頭が吹き飛んでも良かったなら俺もしなかったが?」

 

アトスとアラミスは振り返る。童顔の男がそこに立っていた。誰かを

殺した後だとすぐ分かる容貌だ。アルマ・ヴィヴィアン、そう言えば彼は

他の闇祓いに喧嘩を吹っ掛けていると噂になっていた。

 

「闇祓いなんでしょ?俺と遊ばない?」

「喜べアトス。友だちだぞ」

「お前こそ喜べよアラミス。お前と親友になりたいって、よォッ!!」

 

不意打ちに相手は反応する。先手を打ったアトス。アラミスは逃走するための

隙を作る。

 

「―ルーモス(光よ)」

 

閃光が狭い空間を支配した。光が収まってから目を開くとそこには誰もいなかった。

逃走に成功したアトスとアラミスはオーガストと合流し、事務所に戻る。

オーガストは始末書を出すよう指示を出された。アトスたちが巻き込まれる心配は

無かったようだ。

 

「しかし、いよいよ水面下での戦いって訳には行かなくなったな」

 

ホグワーツは三回も襲撃を受けた。ワルプルギスとの戦いは恐らく起こるだろう。

そして生徒のスパイも、確実性を帯びている。闇の帝王率いる死喰い人と

魔法使いの戦い、ホグワーツの戦いが再び起ころうとしているのか。

歴史は繰り返すと言われているが、その通りだと実感する。相手にとっては

ハリー・ポッターという存在が消えたから動き出したのだろう。

舐められたものだ。彼がいなくても戦えるのだと見せつける必要がある。だが

一般人の中で意見は分かれている。今の闇祓いを良しとしない批判的な意見が

あるのだ。

家路を辿っている最中、会話の内容が聞こえる。

 

「またホグワーツが襲撃されたんだってよ」

「へぇ。闇祓いって役に立たねえな…」

「仕方ねえよ。ハリー・ポッターがいて、ようやく威厳が保てていたって

事だろ」

 

聞き流しにくい内容だ。だが逆上することは出来ない。

 

「気にする必要は無いだろ、アトス。やるだけやるしかない」

「分かってるよ。俺たち一人一人にハリー・ポッターみたいな活躍を期待されても

困るよな」

「戦っても無いのに、良く言うよ」

 

アラミスは会話をしている男たちに吐き捨てるように呟いた。彼らはどうも

高望みをしている。彼らも含めて自分たちも無敵ではないということを理解して

いないらしい。ハリー・ポッターは今では有名人だ。あの闇の帝王から

生き残っているのだから。凄い事だ。だが彼と共に戦った戦友は数多くいる。

ネビル・ロングボトム、ハーマイオニー・グレンジャー、ロン・ウィーズリー等。

多くの魔法使いたちがいたのだから。つまりそう言う事。

 

「どれだけスゲェ奴も一人でやることには限界があるって事だろ」

 

サラは四年生の生活を終えようとしていた。

また新たな物語が始まる。ベアトリスにより彼女は騎士団を結成しないかと

誘われている。その話をアトスたちが知ったのは夏季休暇に入った頃。

 

 

 

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