夜明けの魔女   作:瑠璃。

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第四章「ハッフルパフ編」
第二十五節「顧問を確保せよ」


「騎士団?」

 

夏季休暇中、家に揃った三兄妹。アトスは驚いていた。

ベアトリス・ゾグラフが提案した話は騎士団創設という話。かつてあの

ハリー・ポッターも同級生のハーマイオニー・グレンジャーに言われ組織を

作り上げた。その時はダンブルドア軍団。学校に新たにやって来た教師から

闇の帝王が復活しているにも関わらず防衛術を学べない事を憂え、生徒たちで独自に

学ぼうとしたのがこの組織創設の理由だ。ベアトリスがサラを誘ったのは彼女が直接

闇の魔法使いと対峙しても尚、生き残って来たから。無事でいたからだ。

 

「でも、どれも偶然だよ。運が良かっただけ」

「そんなのはどっちでも良いのよ。考えておいて」

 

ベアトリスの意志は固いようで、既に騎士団創設を決めているも同然だった。

彼女にやめようと言っても動かないだろう。参加するだけなら構わないと考えて

サラは彼女の提案を受け入れていた。サラはグリフィンドール、レイブンクロー、

スリザリンには友人がいる。そこに話しかけるのは難しくない。

最後のハッフルパフの生徒に近づくことは残念ながらタイムアップ。夏季休暇に

入ってしまい、叶わなかった。

 

「夏季休暇が終わったら、どうにかしてハッフルパフの生徒とコンタクトを

取ろうってベアトリスと約束したんだ」

「そうか。その子は随分と行動的だな」

 

たった一年だが、その中で何人もの友人が出来たサラは嬉しそうに話していた。

ベアトリスは行動的でサラをよく連れ回しているとか。かつての職場の先輩の

妹について話を聞いていたアトスとアラミスは揃って微笑んでいた。

今は和んだ時代ではないのだろうが、それでも家族団欒をしても罰は当たらない。

五年生になると、各寮から男女それぞれ一人ずつ監督生が選出される。

ベアトリスはレイブンクロー寮の女子監督生になったという。サラは選ばれる事は

無かった。

 

「さぁ、サラ。今日から本格的にメンバー集めを開始するわよ!」

 

ベアトリスは張り切っていた。四つの寮から参加者を集う必要がある。騎士団を

そのまま名乗るわけにもいかず便宜上、学校内では魔法研究部という名前に

しておこうと考えた。蛇寮にはヴィンス・ルエルに紙を手渡した。

鷲寮にはベアトリスが、獅寮にはサラが。それぞれ三枚の署名の紙を持っている。

ただ残った一枚をどうするか困っていた。

 

「ハッフルパフの紙ね。一緒に集めちゃう?」

「言い出しにくいとか、無いかな」

 

ベアトリス・ゾグラフ、メイラ=フゥ、サラ・ナイトの三人は集まっていた。

鷲寮の署名欄にはベアトリスは勿論、メイラやディランの名前が書かれていた。

サラが持っている獅寮の署名欄にはピオジエやエマの名前がある。ヴィンスは

今の現状を憂えている人やこれまで純血主義の考えを持っている生徒に苦しめられて

いた生徒を誘っているらしい。

 

「そういえば、私たち。あまりハッフルパフの生徒と関わることはないわね」

 

メイラの言う通り、これまで騒ぎの中でハッフルパフの生徒と関わったことが

無いのだ。

 

「あぁ、丁度良かった。探したよ」

 

長身の生徒がやって来た。数人彼と同じハッフルパフの生徒を連れて来た。

 

「エドワード・ホフシュナイダー、エディで良いよ。同学年だし」

 

サラの事は彼は勿論知っていた。トラブルメーカーとして、だ。

 

「その紙、俺が預かっても良いかい?活動に興味があってね。自分の身を護るための

術を学ぶのは大切だと思ったからさ」

「それは良かった。ハッフルパフにも回したかったけど、関わりが無かったからさ。

じゃあ、これ頼むよ。期日は紙に書いてある通り」

「オーケー。因みに、顧問は」

「まだ決まってない。でも、受けてくれそうな先生は分かってるから大丈夫」

 

ベアトリスではなくサラが全て答えていた。巻き込まれる形ではあったのかも

しれないが、サラは嫌だとは言わないし思ってもいない。エドワード…エディに

穴熊寮の生徒からの参加者の署名集めは任せることにした。

 

「で、ポッター先生のところに行くのね」

「先生ぐらいしか、頼めそうもないから。防衛術を学ぼうって意味で結成するん

でしょう。後々騎士団にするのなら、より実践的な内容にする必要がある。

その手に詳しい、専門家にお願いする方が良いに決まってる」

 

三人は迷わず足を動かす。探し人はすぐ見つけられた。グリシャ・ポッター、

穏やかな教師だ。しかし防衛術を生徒たちに教えている。その術のプロ。

クィディッチ杯襲撃の際もワルプルギス相手に善戦しており、数名の確保に

多大な協力をしたのだ。彼に話をすると表情が曇った。

 

「本当に、良いの?相手は人を殺すことも厭わない連中が多い。子ども相手でも

辞さない人たちだよ。研究部と偽っても騎士団であるということはきっとすぐに

知れ渡ってしまうだろう」

「先生―」

 

グリシャに対してサラは強く、強く前に出た。

 

「子どもですけど、何時までもおんぶにだっこは恥ずかしいんですよ。怖いなら

参加しなければ良い。たったそれだけです」

「先生、私たちは別に大きな事は考えていないわ。ただ、魔法について学ぶだけ。

違うかしら」

 

珍しくメイラもそう付け加えたのだ。

 

「今、他の寮にも参加してくれる生徒を集めています。三回もの襲撃を経験して

他人事では無いと考えを改めた生徒や、もしもの為に備えようとする生徒が

いるんです。無理な戦いはしないと、約束しますから」

 

三人は頭を下げた。グリシャは彼女たちの言葉を聞いて、折れた。

 

「…あはは、三人とも。頭を上げて。僕は何も、君たちを諦めさせようとは

思っていないよ」

 

試しに言っただけ。これぐらいの言葉で簡単に折れてしまうなら、手を貸す必要は

無いだろうと思っていたが…。

 

「分かった。顧問は僕にやらせてくれるかな?その代わり、あまり無茶はしない。

授業よりも実戦的な事を君たちには教えよう」

「良かった。助かります、先生!」

 

騎士団創設への一歩、顧問の確保に成功した。後は部員数を特定の人数、

集めるだけだ。四つの寮でそれぞれ生徒を募集する。鷲寮はベアトリスに

蛇寮はヴィンスに穴熊寮はエドワードに、そして獅寮はサラに参加を望む

生徒は集まって来る。

 

 

 

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