夜明けの魔女   作:瑠璃。

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第二十七節「嘘か真か」

夜の校舎の外だ。広い校舎の外を歩くグリシャは人外を見つけた。その姿を見て

驚愕する。新種の魔法生物、オーグ。守護霊の呪文で追い払うことが出来る生物。

滅することは出来ず、研究も進んでいない。捕縛が難しいのだ。メスのオーグは

特に希少だ。

 

「―エクスペクト・パトローナム」

 

グリシャは闇祓いをしていた。守護霊の呪文を使うなど容易い事だ。追い払った

後、彼が行ったことは報告である。

 

「ポッター先生も見たようね。オーグを」

「トレント先生」

 

長い髪の女性教師ドロテア・トレントもオーグを追い払ったところらしい。

突然現れたオーグと言う新種の魔法生物。ドロテアはもう一つ、繋がりのある

物を拾っていた。植物の葉だ。

 

「これ、多分…クォーレよ。学校での栽培は行っていないはずの植物が

どうして…」

「クォーレ?」

「オーグが好むとされる植物よ。独特の甘い香りが特徴ね。好むから集まるって

訳でも無いのよ。彼らを上手く誘導するのにも利用されるわ。育ち切るのに

ほぼ一年。雑草とかと変わらない見た目をしているのよ」

 

話を聞いてグリシャは振り返る。学校で栽培されていないのなら、外から

持ち出されたと仮定できる。そこから逆算する。ここから一年程度前で外から

入れるとすれば…。

 

「…そうだ。魔導書の騒ぎが起こった頃じゃないか!」

 

二人の教師の報告により、ホグワーツでは全生徒と職員に緊急連絡がされた。

オーグと言う生物に気を付けるようにと言う注意喚起の後、副校長より課題が

出された。とある魔法道具のピースを見つける事。そのピースは破片や部品では

無く、パズルのピースである。校舎内のあちこちに隠されており、寮対抗で

順位が付けられるらしい。

これが素直に進めば良い。最近、校内で噂が流れている。騎士団設立、そのせいで

ワルプルギスに目を付けられるようになったのではないかと。言っておくが、

この噂は筋が通らない。何故なら騎士団…防衛術研究部は最近ようやく人数が

集まって、今は審査されている。正式な部活とはなっていないし活動など

行っていないのだ。

 

「気にしなくても良いわよ、サラ」

「ベアトリス」

 

ベアトリス・ゾグラフ、メイラ=フゥと共にピースを探していたサラは不安を

口にしていた。自然と出た言葉に対してベアトリスは強かった。この状況にも

強かでいる。サラは不安を堪え切れず、揺れ動いていた。そんな彼女を支える

大きな柱、それがベアトリス。

 

「不安だから、それを気にしないような動きをする人が妬ましいだけ。羨ましいの。

私たちは堂々としていましょう」

「…うん。そうだよね、私たちは何も悪い事はしてないもんね」

「そうよ。信じなければ、何も始まらないわサラ。変えたいなら、自分で

変える、それが一番の近道」

 

メイラもベアトリスも大切な友人であり、サラの心の支えだ。

 

「そうだよね。誰かがやらなきゃ、変わらないよね。一歩動けば、それは

変わったって事だもんね」

「そうそう」

 

寮対抗と言えど、他の寮と協力してはならないとは言われていない。

それに、授業も通常通り行われる。鷲寮と穴熊寮の生徒が受けているのは

天文学だった。その授業の中で教師が語ったのだ。

 

「古くから伝わる純血と言う考えを真っ向から否定してはならない。だが、

それを素直に受け止めてはならない」

 

生徒たちの多くが耳を傾けていた。だがそのうちの一人は異議を唱えていた。心の

中で、だ。少数派の意見に賛同できない。マグルも魔法族も全てを同一として

扱うのは間違っているのではないか、それが彼の考えであり、灰になった理由。

騎士団と言う存在が設立されたという話を耳にして利用しようと考えた。彼らを

内側から破壊するための工作を練っていたのだ。

 

「大丈夫?ボーっとしていたようだけど」

 

エディは隣に座る同級生に声を掛けた。ダミアン・バルツァー、穴熊寮五年生。

彼に声を掛けたのだ。

 

「あぁ、大丈夫だ。エディは」

「うん?」

「エディは騎士団についてどう思っているんだ」

 

エディが騎士団の名簿を握っている事をダミアンは知っている。質問をすると

彼は素直に答えた。

 

「俺は良いと思うよ。騎士団なんて大袈裟な名前を言ってる奴が多いけど、今

設立されそうなのは防衛術研究部だろ。何か可笑しいかな?魔法について研究

することは」

「そうだが…騎士団が秘密裏に作られてるって話は?」

「そんな話が?」

 

エディは知らないふりをした。その話は今、進行している最中だ。ここで妙な噂が

流れている。騎士団が既に設立されており、彼らのせいでワルプルギスは

この学校に攻めているという話。一つ、違和感がある。

エディは気付いた。幸か不幸か分からないが、こちらとしては利用できる嘘が

流れている。

 

「知らないのか?」

「あぁ。でも、聞くことが出来て良かったよ」

 

場面が変わる。白い駒が一歩動く。盤面を見てみると、今動かしたことで白が

一歩リードした。チェス部と言う部活がある。エマ・ノースはそこに所属して

チェスを楽しんでいた。対戦相手はダミアン・バルツァー。

 

「…何?」

 

彼は思わぬ一撃を入れられ困惑した。エマは得意げな顔をして言う。

 

「詰めが甘いわね、ダミアン」

「お前に言われるとはな」

 

彼が知る情報。実は嘘である。騎士団は設立されようとしている、まだ設立に

至っていない。だが、流れた情報は既に設立されているとされる。矛盾だ。

これに彼は気付くだろうか。

 

 

 

 




設立に至っていない騎士団が設立していることになっている。
そんな嘘を誰が流したんでしょうか?
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