夜明けの魔女   作:瑠璃。

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第五章のメインは学生ではなく、大人になる予感…。


第三十六節「事件を追う」

レオナルドと共に行動をしているアトスは至急連絡を取った。

連絡相手はベル・ホワイトだ。彼女に連絡した理由は病院勤務であること。

慌てているアトスにその考えがあって連絡したかどうか分からない。彼は兎に角

この混乱を解消したかった。ベルはすぐに応答した。

 

「すまないな、ベル。確認したいことがある」

『珍しいわね。何かしら。仕事中だから、あまり長くは連絡取り合えないわよ』

 

それでも彼女はしっかり用件を聞くつもりだ。

 

「グリシャ・ポッター」

『あぁ、彼ならいるわよ』

「いるのか!?怪我の治療だよな。何処から運ばれて来た」

『ウィーズリー宅付近。他に爆発で巻き込まれた人たちと一緒に救急搬送

されて来たのよ。私も驚いたわ。今日、平日よ?彼は教師でしょ。何をしてたのか

聞きたいなら来なさい』

「あぁ、ありがとうベル。助かるぜ」

 

そう言ってアトスは切ろうとしたがベルから待ったを掛けられた。彼女の息が

漏れる音がした。

 

『そのぅ…週末の事なんだけど。お誘い、受けるわ。時間が出来たの』

「…それは良かった。俺も時間は作ったから、じゃあ。すぐに向かう」

 

改めて電話を切った。この短い会話はレオナルドには聞こえていなかった。それに

アトスは安堵して、心を入れ替える。今は仕事中。ベルも腕利きの医者だ。彼女が

グリシャ・ポッターだというなら、間違いない。ならばホグワーツにいる今の

彼は誰かが変身しているということになる。またか…。ホグワーツ学校長に化けた

輩もいて、それは解決した。だというのに次はグリシャに誰かが成り代わったと

言うのか。ホグワーツに確かな穴があるという証明だ。その原因をどうにかしようと

いう気概はあるのだろうか。否、責め立てても仕方ない。敵が緻密に、綿密に、

計画を立て、そして進めているという事だろう。かつての死喰い人とは違う。

 

「どうだった」

「病院にいると。本人と会話が出来るので、行きましょう」

「やっぱり伝手があると便利だよなぁ。顔が広くてさ」

 

アトスとレオナルドは聖マンゴ病院に向かった。病院に到着し、受付に事情を

説明する。ベル・ホワイトより既に教えられていたので彼らも迅速な対応を

してくれた。白衣を着た医者ベルは待っていた。

 

「もう少し掛かると思ってたわ。速かったわね」

「グリシャさんは」

「中にいるわ」

 

部屋に入るとそこにグリシャはいた。見たところ大きな怪我では無いらしい。

彼は普段通りの穏やかな顔をして、二人を出迎えた。

 

「やぁ、紛らわしいことになっているようだね。迷惑を掛けてごめんよ」

「いいえ。そんなことはありませんよ。話を、聞いても?」

「あぁ」

「ホグワーツには届け出をしているんですよね?」

 

アトスが聞くと彼は頷いた。校長に提出したはずだと。

 

「ですが、ホグワーツには今、貴方がいます」

「なるほど。アグリア校長と同じような状況になっているという事だね。だけど

犯人は甘いな。しっかり本人を隠さなければすぐに分かるというのに」

「笑いごとじゃないですって…」

 

グリシャが笑っていた。アトスはそんな事じゃないと思いつつ、これだけの余裕が

ある彼を尊敬した。この程度、問題ですらないのだろう。または自分が生きていれば

幾らでも挽回できるという事か。どっちでも構わない。

 

「何かあれば校長も手を出すはずだ。それが起こってないのなら、犯人の演技力を

称賛するよ。だけど、崩れるだろうね」

 

グリシャは校内の生徒に期待している様だ。

 

「あ、ちょっと。外に出るつもり?利き手、怪我してるのに」

「手紙を書くだけだよ。ホグワーツに連絡が取りたい。宛先はアグリア校長だ」

 

彼の書いた手紙を白フクロウがホグワーツまで配達する。その後、どうなるか

分からないが彼らにはすべきことが他にある。爆破事件について調査するのだ。

ベルは仕方なく退院を許可した。グリシャを加えた三人は病院を出て、再び

爆破された場所に戻って来た。

 

「フランカちゃんたちは」

「どうだろう。来てすぐの爆発だったから、分からないんだ。彼女の事を探すなら

魔法省が一番早いのでは」

「そうなんだけどよー…」

 

レオナルドはそっぽを向いた。アトスが代弁する。

 

「闇祓いの仕事にも上から圧が掛かるようになって来たから、今の魔法省…特に

上層部の人間は信用できないって意味ですよ」

「そう言う事か。分かったよ。フランカたちの安全も確認したいけど、こっちを

先に調査しよう。それが終わったら、僕は学校に戻るとしよう」

「言っておいて難ですけど、気にして無いんですか学校の事」

 

アトスが聞く。グリシャの表情は変わらない。声色も何も変わらない。心配してない

と言えば嘘になる。だが今の教師たち全員を信頼している。グリシャはフランカ達と

話をするためにここに来ていた。だが家の前に来たのと同時に家が火に包まれた。

何かあると感じ彼は人々を守るための行動に出た。アトスたちがグリシャがここに

いたことを知った目撃証言をした女性たちを守っていた。

運よく彼は犯人の逃げた方向を知っている。逃げて行ったであろう方向に歩みを

進めるとそこには小屋があった。扉に耳を当て、音を確認する。物音ひとつ、

聞こえない。扉をゆっくり開き、中を確認する。

 

「―ッ!?」

 

思わず目を逸らしたくなる現場だった。死体が、幾つも、転がっている。

中に進んだ先に、人影があった。

 

「何をしている?」

 

黒いローブが揺れる。振り向いた。顔には仮面があり、素顔不明。だが声を

聞くことが出来た。仮面から見える目をみれば、表情も何となく分かる。

笑っている。

 

「どちらの世界も、夜が支配する。復活の時は近い」

「待て!」

 

相手は窓から逃走した。箒を使わずの飛翔、そんな事は中々出来た事ではない。

闇の帝王は箒を使わず空を飛べたという。その時代、最強とも言われる

アルバス・ダンブルドアですら飛行するのに箒を必要としたというのに。

敵には逃げられてしまったが、時間が無いという真実を受けて彼らは

動かなければならない。

彼の人物が人を大量に殺したのは間違いない。何の為だろうか。ただの私利私欲?

違う、明確な理由がある。

 

「研究をしていたようだね」

 

グリシャは机に置かれた魔導書に目を向けた。

 

 

 

 

 

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