ハロウィーンの後日譚。
そのメインはホグワーツの生徒であるサラでは無い。新米の闇祓い、アトスと
アラミスの兄弟だ。後処理として捕まえた闇の魔法使いワルプルギスに所属する
フォルクス・リーの尋問に立ち会っていた。
「まさか教師ともあろう奴が世も末だね」
「バーネット局長」
プリシラ・バーネット。別の職員がフォルクスを尋問している。進行具合は
まだ何とも言えない。
「が、分かった事はある」
プリシラは二人を見た。彼らに強く関係している人物もここには絡んでいる。
だがそれに加えて他に確証が出来た。
「奴らがホグワーツに侵入していたという事実さ」
「かつての戦いでも、ホグワーツに攻め入るのに時間がかかっていたんですよね」
ハリー・ポッターたちとヴォルデモートたちとの戦いはホグワーツにて
行われた。校舎に結界を張り巡らせたのだ。様々な勝因があった。その中には
このホグワーツの校舎も関係していた。攻めることが出来ないなどとは言わないが
時間を有するのに、長くバレていないことに驚きだ。
「生徒のスパイってのは噂じゃないのかもしれないね…灰、ペルソナ。生徒の
皮を被った真っ黒な生徒、真っ黒な沼に片足突っ込んだ生徒…」
「一筋縄ではいきませんね。ただ相手を排除すれば良いというわけでは無いですし…
倒したとしてその後、彼らと繋がっていた生徒についても」
「それよりも今は目先の方が重要だ」
フォルクスから、どれだけの情報を引き出すことが出来るのか。
ワルプルギスの指導者に教主と呼ばれる存在がいる。魔法使いの世界には例え
魔力を持ったマグルであっても、相応しくない。そんな考えを教えとする組織だ。
純粋な黒を汚すことは魔族への侮辱である、なんて教えがあるらしい。
「壮大な事を言っているが、ただの純血主義だな」
「案外いるのかもな。マグルとの差別を無くすために政策をしているけどさ。
心の内を変化させるのは案外難しい。ホグワーツの生徒の中にも家が純血主義
だからって奴も多いだろう」
子は生まれてくる環境を選ぶことは出来ない。それに、簡単に染まってしまう。
そうなればその家からはひたすらに消え去っていくはずの間違った考えが生まれる。
難しい話だ。
「―じゃあ、聞こうかフォルクス。サラ・ナイトに目を付けていたようだね」
今回の事件の根本。フォルクスが漏らした言葉だ。
サラ・ナイトに目を付けていたと遠回しに告げていた。
「あのお方に成り代わることが出来るのは純粋な魂の所持者。すなわちここに
長く生活している奴らよりも彼女の方が新鮮なのだよ」
「確かに、ね。全く違う環境で生まれ育った人間ならば、ある意味ではこの場では
純粋な人間か」
多くの事を聞くことは叶わず。しかしホグワーツを廻って新たな戦いが起ころうと
していることだけは分かっている。
別の場所。何処なのか。答えはホグワーツのとある生徒の部屋だ。
偶然にも相部屋は今、ここにはいない。ライアン・ロザリー。彼の手元には
手紙があった。
「大切な物を作るな、か…」
今までは他者とは一線を画して接していたつもりだ。だがどうにも最近知り合った
生徒は他の生徒とは全く違う雰囲気で、思考を持っていた。
ライアンの指が自身の首に当てられた。首には焼印があった。これは、昔に
父親より刻まれたもの。
父より言い渡されていたのは転入生の監視だった。つまりそれは彼女が
ワルプルギスに既に目を付けられているという事。それだけ彼らにとっては
価値があるという証拠。
「俺には難しい仕事だな」
灰。生徒の中に紛れるスパイ。事情は様々だった。誰かを守るためにならざるを
得なかった者。自ら参加した者。そして強制的にさせられた者。
更に時が経つ。気付けば冬になっていた。次に何があるかと聞かれれば、
クィディッチの試合だろうか。そこでも闇が暗躍する。
寧ろ、今回の事はスタートの合図だったのかもしれない。闇との戦いの火蓋は
既に切って降ろされていたのではないか?