姫とメイドと不死の王   作:すごろく

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ようこそ。

今回は遠征します。
お供がいつもと違います。

でわ、ごゆっくり。


その13 姫とメイドと不運な竜

「レイナース、ちょっと聞きたい事あるんだけど。ルーン文字って知ってる?」

「藪から棒になんだ?」

「ほら、レイナースって学校出てんじゃん。知ってるかなぁと思って。」

「特殊な文字だって事ぐらいだな。その文字を刻んだ道具は魔化と同じ効果を出すそうだ。」

「やっぱそーかぁー。」

「闘技場を仕切ってるオッサンが持っててな。前にジル皇帝に自慢してた。なんでもアゼルリシア山脈に住んでるドワーフが作ったって言ってた。」

「マジ!?まだ居るの?そのドワーフ。」

「そこまでは知らん。いつ買ったとも言わなかったしな。なんだ姫さん、欲しいのか?」

「昔、手に入れられなかったんだよ。そんで噂に聞いて虫が起きた。アゼルリシアかぁ、、、。行ってみっかな?」

「行くっていってもアテもないんだろ?相手は山脈だぞ?そうは簡単に見つからん。」

「空から見つけるから直ぐだよ。」

「言うと思った。あのな、ドワーフは地下に住んでるんだ。だから空からじゃ無理なんだよ。」

「えー。じゃあダメじゃん!」

「アゼルリシアを支配しているのはフロストドラゴンだ。そいつらに聞けば分かるんじゃないか?」

「会話出来んの!?」

「知能はそれなりに高いそうだぞ。」

「ふーん。なら最初にそのドラゴンを探すか。」

 

「アインズ様!この様な所に一体どうされたのですか?」

「うむ。様子を見に来たのと少し尋ねたい事があってな。どうだ?不自由はないか?」

「おかげさまで。アウラ様やマーレ様にも良くして貰っています。」

「そうか、それは良かった。欲しい物があれば、あの2人に言うといい。」

「何故、そこまで親切にして下さるのですか?」

「私は恩には恩で返す主義でな。まあ、そう気にするな。」

「はぁ、、、アインズ様がそう仰るのでしたら。それで尋ねたい事とは?」

「ああ。ベイロンという苗字はよくあるのか?」

「ベイロン、ですか?ええ、そんな珍しい名前ではないです。エ・ランテルでも何人か知っていましたし。」

「なるほど(俺の鈴木みたいなものか)。それではもう一つ。生き別れのお前の姉の髪と瞳の色は同じか?」

「瞳は同じ青色ですが髪は姉の方が少し明るい茶色です。」

「瞳は緑で髪は青ではないのだな?」

「違います。でもそれがなにか?姉が見つかったのですか?」

「いやそうではない。探してはいるのだがまだ手掛かりは掴めておらん。すまんな。」

「そんな!アインズ様が謝るなんて!」

「最近は王都にも配下が出来てな。ウラの世界にも通じている奴等なので何か分かるかも知れんから、もう少し待っていてくれ。」

「ありがとうございます。」

「ではな、また来る。」

(あのメイドは別人だったのか。ベイロンと名乗っていたし顔立ちも似ていたのでてっきりそうかと思っていたが。他人の空似ってやつか。)

 

「やっほぉーーーっ!」

『やっほぉーーーっ!』

「見て見て!ホラ!雪だよっ!雪だるま作ろう!」

「、、、子供じゃないんですから。それよりお昼にしません?」

「姫、リュックからご飯出して下さい。」

「あのね、前にも言ったけどこれリュックじゃないから。それに預かったのはご飯じゃなくて材料だよ?」

「同じですよ。超便利なリュック。いくらでも入るし中の物腐んないし。」

「納得いかないけど、お腹も減ったしいっか。じゃ出すよ。」

「メイド長からのレシピとかある筈ですから、それも出して下さいね。」

「う〜んと。なんか沢山あるよ?これ全部出すの?」

「一応見ときたいので。」

「でも考えたら1週間分の食材持ってくるよりゲートで帰った方が良くない?」

「姫がキャンプしたいって駄々こねたからね。」

「ナニごちゃごちゃ言ってんのよ。いーじゃん、やりたかったんだから。」

「はいはい。メモ見せて下さい。」

「うわっ!コレって、、、。」

「もはやお母さんですね。」

「なによ?そのメモがどーかしたの?」

「今回はドワーフに会うんで人間のメイド長よりエルフの私たちの方が良さげなので、メイド長はお留守番なのですが。」

「姫の好物ばかり1週間分のレシピと朝のパンは甘いのが好きだとか寝る前にはミルクたっぷりのココア出してやって欲しいとか。」

「これもう子供を預ける母親ですよ。」

「どれどれ?ホントだ、おやつの事まで書いてある。さすがツアレね!」

「怒んないんです?」

「なんで?こんなに想ってくれてんだよ?てか、ひょっとして羨ましいの?」

『ダメだこりゃ』

 

「今回の私に死角は無いでありんす。」

「アンタねぇ。汚名挽回のチャンスをアインズ様がわざわざくれたの分かってる?」

「勿論でありんす。ドワーフ懐柔作戦を見事に成して見せんしょう。」

「はぁ〜。(なんでアタシがお守りなんだろ)」

「アウラ、シャルティア。そろそろ近いぞ、警戒しろ。」

「「はっ!」」

 

「ちょっと待て!話せば分かる!」

「突然襲って来て何が話せば分かるよ!」

「ふざけんなよ!トカゲ!」

「バッグにしちゃうぞ!」

「そこの人!このエルフたちを止めてくれ!頼む!」

「デザートのプリンを台無しにされたんだからちょっとぐらい殴らせないとこの子たち納得しないわよ?」

「ちょ!既に仲間は死にかかってるんだぞ!もうイイだろう!この通りだ!許してくれ!」

「しょーがないなぁー。はーい、そこまでにしてやってちょーだい。」

「た、助かった。死ぬかと思った。」

「ドラゴンのくせに大袈裟だよ。そんでなんで襲って来たのよ?」

「こ、ここらは我らが領域。それで定期的に見回っているのだ。」

「そ、そうだ。決して悪意があった訳では無い。」

「ふーん。じゃあさ、あなたたちがフロストドラゴンなの?」

「そうだ。この山を治める者、フロストドラゴンの一族だ。」

「(姫、使えそうですねコイツら)」

「(ドワーフのとこまで案内させましょうよ)」

「何だ?なにをコソコソ喋っている?まさか!殺す相談か!」

「違うわよ。でも、そうね。お願いを聞いてくれたら助けてあげない事もなくてよ?」

「(うわ!姫、悪役!)」

「(めっちゃ上から!)」

「聞く!なんでも言ってくれ!」

「(ニヤリ)ドワーフって知ってるよね?その国まで案内してちょうだい。」

「なに?ドワーフの国だと!」

「そうよ、ドワーフの国。この山を支配してるんだったら当然知ってるでしょ?さっさと案内してよ。」

「それが、、、その。」

「なによ歯切れが悪いわね。死にたいの?」

「(お願いじゃないよね)」

「(完全に脅してる)」

「いや、そうじゃないんだ。コッチにも色々と事情があってな。ドワーフに会うならその前に我々の長に先に会って貰いたい。」

「(あの方ならこんな奴等一捻りだ)」

「なんか企んでない?」

「ち、違う!頼む!我々の立場も分かってくれ。でないと今度は長に殺されるんだ。」

「て言うんだけど、どーする?」

「予定より早く手掛かり見つかったしOKなんじゃないですか、ボス。」

「親分に従いますぜ。」

「、、、なんの遊びか知んないけど。分かったわよ。じゃあ、あなたたちの長に会う。だけど、今度何かやらかしたら、その時は覚悟しなさいよ?」

 

「見ての通りクアゴアは制圧した。約束は守って貰うぞ?」

「、、、信じられん。あれ程の数のクアゴアをたった1人で。」

「どうでありんすか?ちゃんと出来たでありんしょう?」

「はいはい、良く出来ました。アンタもやれば出来る子じゃない。」

「魔導王陛下。部族会議をやるので少しだけ時間をくれんか。」

「うむ。良かろう、そちらも人選があるだろうからな。だがなるだけ優秀でやる気のある者を選抜してくれよ。ルーンの将来がかかっているのだからな。」

「アインズ様。クアゴアの残党は如何いたしんしょう?」

「長は誰か?」

「はっ!魔導王陛下!私がクアゴアの長、ぺ・リユロで御座います!」

「うむ。ならばぺ・リユロよ、魔導国に忠誠を誓え、そうすれば一族の命は助け繁栄も約束しよう。」

「ありがたき御言葉!子々孫々まで忠誠を誓います!(あの方ならきっと仇を取ってくれる)」

 

「もう一度言うてみぃやぁーっ!ゴラァ!」

「ひゅみあせん!ふるしてふたさぁい!ふちは!ふちははけるぅー!」

「すみません!許して下さい!口が!口が裂けるぅー!と言ってますね。」

「すごーい!エメちゃんよくわかるねー!」

「いや、見たら分かるって。」

「エルフの皆さん!止めて!止めて下さい!ああ!長の口がぁ〜!」

「んな事今更言ったって、ねぇ?」

「んだんだあれ程注意したのに、ねぇ?」

「ブレスだけでもヤバいのに、アタシらの事をエルフ風情とか言っちゃったもんね。姫がキレたら止まんないのよ。」

「そこをなんとか!ああ!もう死んじゃいます!なんでもします!なんでも差し上げますから!」

「ホント?」

「なんでも?」

「ウソ言うと全滅しちゃうよ?」

「本当ですっ!だから!だから早く!」 

「「「言質とった!」」」

「姫ぇー!金銀財宝が取り放題だってぇー!」

「なんでも言う事聞くらしいよぉー!」

「お疲れ様ぁー!」

「こんくらいにしといてヤンよ!ぺっ!」

『やられたっ!』

 

「ではこの者たちは魔導国で預かる。定期的な帰国も認めよう。後の細かい取り決めは後日、」

「大変だー!」

「何事じゃ!今、大事な話をしておる!後にせい!」

「しかし長老!ドラゴンが!フロストドラゴンのオラサーダルクが!」

「何!オラサーが!?」

「何事だね?そのオラサーなんとかとは何者だ?」

「オラサーダルク=ヘイリリアル。この山脈を支配するフロストドラゴンの長ですじゃ!もう、お終いじゃあ!」

「落ち着け!フロストドラゴンだろうがナンだろうが魔導国に楯突く者は私が許さない。条約は成った、安心しろこの国は守る。」

「アインズ様、ご命令を。」

「アタシも行きます。」

「うむ。では、」

「来たー!逃げろー!」

「ちょっと!なんで逃げんのよ!待ってよ!」

「え?」

「あら?モモンガさんじゃん!おひさぁ〜。」

「キーラ?」

「どしたの?こんなトコで。ピクニック?」

「ゴホン!それはこちらの台詞だ、キーラ。そのドラゴンはどうした?」

「ああコレ?色々あって、今はタクシーして貰ってる。ねぇ?オラくん。」

「・・・。」

「なによ!?文句あんの?」

「無い、、、デス。」

「信じられん。あのオラサーが誰かに従うなど。」

「ああ!もう駄目だ!クアゴア族は終わりだ!」

「ヨイショっと。ご苦労様、もう帰ってイイわよ。それから、これからは無闇矢鱈に迷惑かけちゃ駄目だよ?皆んな仲良くね!」

「なるほど。色々あったようだな。それで?ここへ来たと言う事はお目当てはルーンかな?」

「さっすが!モモンガさん!大正解!私、まだ持ってないんだよね、そんでドワーフさんに頼んで1つ作って貰おうと。」

「ハハ。それは残念だったな。ここにはルーンを刻んだ物も無いし技術も無いそうだ。」

「マジ?」

「マジだ。私も聞いた時はガッカリしたよ。しかし職人は健在なので希望はある。だからドワーフ国と我が国とで条約を結んだ、ついでにそこのクアゴア族ともな、優良な鉱物を提供してくれるらしい。そうだったな?」

「全ては陛下の仰せのままに。」

「またぁー、力でねじ伏せたりしてない?」

「その言葉、そっくり返させて貰うぞ。そのドラゴン、さっきから涙目じゃないか。」

「ゲッ!ちょっと何泣いてんのよ!虐めてるみたいじゃない!」

「ああ!姫!殴っちゃ駄目です!」

「あー、せっかくヒールしたのに、、、。」

「また、コブ出来ちゃった。」

「と言う訳だ。悪いが早い者勝ちだ。ユグドラシルのルールだろ?」

「ちぇ!一足遅かったね!分かった、ここは諦めるよ。でも、モモンガさん、取り引きしない?」

「取り引き?ほう、何かネタはあるのか?」

「うん!とっておきだよ?その前に確かめさせてね、モモンガさんルーンの武器持ってるよね?」

「何故そう思う?」

「だってモモンガさん、コレクターだから。それにココに来たって事はルーンに興味ない訳ないじゃん。これは持ってるから更に集めようとしてる、違う?」

「フフ。お見通しか?言う通り、持っている。」

「良かった。じゃあ取り引き成立だね!」

「待て待て。まだ、ネタを見せて貰っておらんぞ。」

「あ、そか!ごめん!ジャーン!ネタはコレでーす!」

「それは!」

「どうした?長老。あの本がなにかあるのか?」

「あれはルーン技術を伝承するために作られた秘伝書。てっきり紛失してしまったと思っていたが!」

「ドラゴンちゃんたちの宝物殿にあったんだよー。是非にって言うから貰ったの。」

「(無理矢理奪ったんだろーが!)」

「ん?なんか言った?」

「なんかドラゴン可哀想。」

「姫、完全悪役。」

「だからね。この本とモモンガさんのルーン武器、交換しよ?」

「なにをこの小娘!失礼にも程がありんす!」

「ちょっとアンタ!調子に乗り過ぎてない!?」

「わかった。交換に応じよう。」

「「アインズ様!?」」

「流石、魔導王陛下!決断早い!はい!じゃあ確かに渡したよ?」

「うむ。間違いなく受け取った。ほら、これで良いな?」

「おー!これがそーかあ!カッコいいじゃん!アリガト!じゃあね、お邪魔だろうからこれで帰るよ。またね!バイバイ!」

「気をつけて帰れよって、もう消えたか、、、。相変わらず騒々しいヤツだな。」

「アインズ様。納得出来ません。」

「アウラ。」

「そうでありんす!何故わざわざ敵に塩を送るような真似を?」

「シャルティアもか。分かった、説明しよう。キーラはあの武器を使わんからだ。」

「え!?使わない?」

「何故使わない武器を?」

「言っていただろう?コレクターと。ヤツもまたコレクターなのだ。ルーン武器を1つ持っていればそれで良い、使う気などはサラサラ無い。第一、私とキーラが闘った場合、ルーン武器など意味が無い。ただ欲しかったのだよ、子供みたいにな。」

(実は俺、もう一本持ってるんだよなー)

 

「いやにアッサリくれましたね?」

「うんうん。もっともったいつけると思った。」

「それ偽物じゃ無いんですか?姫。」

「ホンモノだよ。レア物交換の時に偽物なんか掴ませたらコレクターの恥だからね、絶対にやらない。多分、もう一つ持ってんじゃね?」

「なんでわかるんですか?」

 

「だって、私ならそうするから。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お疲れ様でした。

週一ぐらいで更新したかったのですが
中々難しいです。
まあ、気長にお付き合いください。

ありがとうございました。
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