「クソがっ!クソがっ!」
「アインズ様っ!」
「どうかお鎮まり下さい!アインズ様!」
「お前たちが!お前たちが手間をかけて準備した計画をぶち壊されて黙っておられるかっ!」
「御自らお出ましになられての報復攻撃で、ご心情は十分にお察し申し上げますがここはひとつ冷静に!」
「そうでございます。見方を変えれば良い機会だったやも知れません。」
「気休めは良い!」
「いいえ、気休めではございません。もはや王国貴族は麻薬中毒で崩壊寸前。8本指の役割も終わりそろそろ始末しようかとアルベドとも言っていたのです。」
「そうです、デミウルゴスの言う通り。厄介払いを引き受けてくれてむしろ助かりました。」
「そ、そう、、、なのか?」
「はい、けっこう派手に暴れてくれましたので大変目立ちました事も好都合です。」
「それはどう言う事だ?」
「民衆はメイド服姿でしたのでプレアデスと勘違いしたようです。夜間で顔の確認までは出来ませんので。」
「アインズ様お側遣えのメイドが悪の組織を成敗してくれたと。」
「ほう。それは興味深いな。」
「想定外の良い結果です。」
「そうか。ならばこの件は忘れよう。今一度襲撃して奴等を根絶やしにしてやろうと思っていたのだ。」
「アインズ様のお心は嬉しゅうございますが、どうかお一人での行動はこれきりにして下さいまし。」
「いや、すまなかった。以後は肝に銘じよう。」
「ありがとうございます。では私どもはこれにて。」
「うむ。ご苦労だった。ゆっくり休んでくれ。」
「「失礼いたします。」」
(と。大成功だな!これでこの一件は落着だ。アルベドたちも上手く誤魔化せたし、キーラにも恩を売れた。一石二鳥じゃないか!上出来、上出来。)
「姫。銀行行くよ。」
「えー。ワタシ、そーゆー所苦手なんだよね。一緒じゃなきゃ駄目なの?」
「駄目。今日は大切な打ち合わせあるんだから。当主が居ないとカッコつかないでしょ。」
「へーい。」
「これはベイロン様。ようこそいらっしゃいました。」
(ベイロン様!?)
「こんにちは、頭取さん。こちらが我が主人のキーラ様です。キーラ様、こちらはこの銀行の頭取さんで、」
「ジョセフと申します。キーラ様、初めまして。ベイロン様にはいつもお世話になっております。」
「え?はぁ、、その様ですね。初めましてキーラです。今日はよろしくお願いしますね。」
「お任せ下さい。必ずご満足頂けるお住まいをご提供いたします。」
「ツアレ、近頃は銀行屋さんが建築業もするの?」
「ハハ。キーラ様は面白いご冗談を仰る。」
「姫。そうではなくて、銀行さんが色々な職業の人を紹介してくれるのです。」
「なるほどね。でも何故そんなにツアレと?」
「ベイロン様には多額の御預金を頂いておりますし、部下のメイドの方々もそれはご贔屓にしてもらっておりますからこれぐらいの事はさせていただきますよ。」
「部下の、、、そうなの?(全然知らなかった)」
「我が主人は少々浮世に疎くて。姫、あとのお話は私がしてよろしいですか?」
「え?ええ。それじゃあよろしくね。」
「と言う訳でツアレったら銀行で顔なのよ!」
「そりゃそうですよ。私たちもメイド長の紹介だって言ったら銀行の人の態度変わりましたもん。」
「そうそう。最初は、なんだ?このエルフ。って感じだったもんね。」
「だけどメイド長の名前出したら応接室に通されてお茶とお菓子だもん、びっくりした。」
「ツアレの預けてる金額は凄いって実家の連中が言ってたぞ。」
「個人情報過ぎるでしょ!なんでレイナースの実家の人がツアレの預金額知ってんのよ。」
「ああ。それは貴族間の噂話ですよ。聞いた事あります。」
「そうなの?アルシェ。」
「ええ。貴族なんて他所との力関係で生きてますからね。その一番はお金ですよ。」
「なるほどねー。そんでアルシェもやってんの?」
「妹たちの事もありますからね。そこらはキッチリ。」
「えーー。皆んなやってんだぁ。私なんてなんもやってないよ?」
「ナニ言ってんですか?姫のはメイド長がやってますよ?」
「そうそう。そもそも、そのお金持って行ったから銀行も下に置かない様になったんだし。」
「だよね。メイドがいきなり金貨何百枚も預けに行ったら、いくら帝都の銀行でもビビるよ。」
「そんな事やったの!?」
「言ってましたよ。なんでも最初が肝心だって。」
「ガツンとやったもん勝ちだって。」
「メイド長が銀行行くとカッコいいよねー。憧れる。」
「それ私もわかる気がします。前に一度一緒に行ったんですけど、メイド長が入ったら銀行の空気変わるですよ!ちょっと、ゾクっとしました。」
「アルシェまで、、、。」
「ハハ。姫さん、仕方ないって。この子たちはみんなお金には泣かされてきたんだ。持ってる側から見えた景色は違ったんだろうよ。」
「そんなもんか、、、。まぁイイけどさ。それより新しい家って大丈夫なのかなぁ?」
「うむ。それは心配要らんだろう。あの銀行の頭取は顔が広いので有名だ。良い建築士や職人も知っているだろう。なにより支払いの心配が要らん。」
「いや、そーじゃなくてツアレ1人に任せてさ。」
「それも心配要らん。前の屋敷の使い勝手からの改良点や各自の希望なんかも書き出していたぞ。それになにより姫さんのページは細かく指示をしていた。」
「それ私たちも見ました。めっちゃ細かく書いてました。」
「この前の食べ物の指示もそうでしたが、完全に母親ですよね。」
「うんうん。ベッドの高さからクッションの硬さ。絨毯や壁紙、カーテンまで姫の好みがバッチリで驚きました。」
「私はツアレが銀行と付き合ってるのも知らなかったのに、、、。」
「それで良いんだよ。姫さんは今のままの姫さんで良い。ツアレはそんな姫さんの世話を焼きたいのだ。」
「んなもんなの?」
「私は姉だから少し立場は違いますが、まぁ似たようなものですね。妹の世話は全く苦にならないです。むしろ楽しいです。」
「私の方が年上なのに、、、。」
「ただいまー。あれ?どした?皆んなして集まって。なによ?お茶も出てないじゃない。姫、美味しいケーキ買って来たよ。姫が好きな苺たくさん使ってるんだよ。今、お茶淹れるから皆んなで食べよ?」
『ほらね?』