姫とメイドと不死の王   作:すごろく

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ようこそ。

今回は少し趣向が変わります。
だからと言う訳ではありませんが短いです。

それと、お礼を。
評価やお気に入り、ありがとうございます。

でわ、ごゆっくり。


その6 姫と王とお月様

「では、今回の派遣はご意向通りシャルティアで宜しいですね。

「・・・。」

「アインズ様?」

「あ、ん。すまん。」

「いや、やはり不都合があるのかと。」

「いや。よく練られた良い策だし、シャルティアに汚名挽回させてやって欲しいと言ったのは私だ。流石、我がナザリックの頭脳だ、デミウルゴス。」

「お褒め頂き恐縮です。しかし、私などはまだまだ。」

「謙遜するな。主が誉めているのだ。時に素直に喜ぶのも大事だぞ?」

「ハッ。」

「では、今日はもう遅いお前も休むが良い。しっかり休める時に休むと言う事も大切な仕事だと心得よ。」

「おお!お優しいご配慮!それではこれにて御前失礼いたします。」

「うむ。おやすみ。」

「おやすみなさいませ、アインズ様。」

 

(はぁ〜。こんな夜中まで仕事して、、、。これじゃあトンだブラック企業じゃないか。いくら食事も疲労も無いとは言え、これではいかん。なにか良い案は無いかなぁ、、、。って。トップが休養を説く先から仕事の事を考えていたんじゃダメだよな。情けない事に、この体になっても社畜根性だけは染み付いているようだな。)

「さぁーてと、俺も寝るとするか。」

(あ〜、また独り言だよ!前はこんなこと無かったんだけどなぁ〜。第一、寝れねーじゃん。瞼ねーし。眼球ねーし。)

「どーして時間潰すかな。」

(しまった!またか!)

 

「まんまるお月さまだぁ〜。」

(勿体ない事しちゃったなぁ〜、みんなでお月見すれば良かったよ。)

「起こしちゃう?」

(なぁ〜んてね。みんな朝早いからね。と言うか、コッチの人はみんな早起きなんだよね。電気無いから暗くなったら寝るし。その分、朝早いし。明け方までゲームやってたのが遠い昔みたいに感じるな。たった5年前なのにね。)

「5年かぁ。」

(向こうじゃ私、死んじゃってるんだろうなぁ。不審死?孤独死?わぁ〜、ゼッタイ見たくないなぁ。

けど、なんで死んだんだろ?栄養失調?過労?寝不足?それともどっか悪かったのかなぁ。でもあんなトコで20年以上も暮らしてたら病気になってても不思議じゃないよね。きっと知らない間になってたんだよ。あ〜、まだ若かったのに可哀想、私。)

「なんてね。」

(むしろラッキー?理想の顔やスタイルになって、大好きだったゲームの魔法使えて。それよりなにより、フツーに空気吸えるしお水飲めるし生のお野菜も本物のお肉もフレーバーじゃない果物も食べられる!それで、こ〜んなデッカいお月さまも空いっぱいのお星さまも!向こうじゃ一生無理だもんね。)

 

「フフ、脱出成功。」

(ヨシ!見つかってないぞ。一度コツさえ掴めば簡単だな。)

「ああ!いつもながら綺麗だ!」

(ホント、皆んなにも見せてやりたいよなぁ。)

「満月か。」

(だけど不思議って言えば不思議だよな。アンデッドになってドンドン意識は人間から離れていくのに、星空や月を見て綺麗だとは思う。ニンゲンが死ぬのはなんとも思わないのに。)

「不思議なんだよな。」

(物を食えない。まぁ食欲も無いんだけど。最初はそれって当たり前だと思った。歯はあるけど舌も無いし消化器官も無いから。だけどよ?じゃあ何で匂いは分かる?鼻は形だけだぞ?穴が開いてるだけだ。もっと言えば脳ってあるのか?どうやって考えてる?どうやって身体を動かしてる?)

 

「不思議よね。」

(アルシェあたりからヘンだなってのはあったんだよね。前はさ。人と連むの苦手だった。それがゲームやり始めて少しマシになったけど、あんな事あってまたソロになった。なのにツアレやルビーたちやアルシェを助けた。なんで?私はそんな良い子じゃなかったよね?引っ張られてる?このキャラに?ニンゲンだった星輝はゲームの中のキーラになって、中身もキーラになってきてる?)

「これからどーなんだろ?」

 

(別に世界征服なんて考えてなかったんだよな。だってそーだろ?昨日までフツーのサラリーマンがいきなりそんな事考えるか?それが盛り上がってしまって今の様だ。どこかでブレーキかけてりゃこうはなってなかったのかもな。)

「いや。それは違う。」

(じゃあこの不死の体で未来永劫、地下墳墓で暮らすのか?仲間の子供たちが一緒だとは言え、だ。何百年、何千年だぞ?そうだ!その何百年の間にも仲間が誰一人来なかった時はどうだ?百年単位で、ああまた今度も来なかった、百年先は来るだろうか?なんて思い続けるんだぞ?耐えられるか?)

「ゲームの続きがやりたかったんだよ。」

(俺はNPCに仲間の面影を見ている。だから、ユグドラシルの続きがやりたかったんだ。終わりたくなかったんだ。世界征服というクエストを仲間と一緒にやりたかった、それだけだ。)

 

「ホントはソロなんてしたくなかったんだよね。」

(パーティー組んで冒険だ!ってコピーに惹かれてやり始めてたんだもん。疲れてたんだよ、独りぼっちの生活に。誰かと喋りたかったんだよ。ワイワイしたかったんだよ。だけどさ。)

「アハ!ボッチ拗らせ過ぎてたんだよね。」

(ゲーム始めて直ぐにアレ?ってなった。なんか違う。会話が成立してない。パーティーで浮いてる。凹んだ。マジサイアクだった。だから今やり直してる。今度は理想のパーティーで冒険するんだ。みんなでワイワイ楽しく騒ぎたい。)

 

「でもな、今更なんだよな。」

(世界征服なんて止めて、この世界を冒険しようぜ。なんて言えないんだよ。守護者たちはユグドラシルがゲームだなんて知らない。自分たちはそのゲームの中で作られたキャラクターなんて、たとえ言っても信じない。至高なる創造者に生み出されし者。忠誠を誓い忠義を尽くす。)

「重いんだよ。」

 

「でもさ。背負ったのは案外重いんだよね。」

(時々、思うんだよ。私はイイけど付き合わせるあの子たちはどーなるの?って。ゲームの続きしたいから人生かけて付き合って、なんて言えないよ。そんなの無茶苦茶だもん。分かってた事なのに。それは初めっから分かっていた事。)

 

「そうさ。最初から分かりきってたんだよな。」

(クエスト完了!なんてテロップが出てくるんじゃない。征服してどうする?飴と鞭?そんな簡単に飴を与え続けられるのか?自然災害なんか起こったらどうする?魔法は万能か?そしたら飢えたニンゲンを鞭で黙らせるのか?そりゃあ、デミウルゴスやアルベドは優秀だよ。だから心配なんだよ。いつかは俺の化けの皮が剥がれるんじゃないかって。ここへ来てからずっとだ。帝国がどうとか、王国をどうするかじゃない。バレやしないか、そればかりだった気がする。」

 

「もう、いっそバラしちゃうか?」

(実はね、私は遊びたいだけなんだよって。だから付き合ってよって。そしたら何て言うかな。騙された、バカじゃないの、サイテイ。怖いよ。そんなのイヤだよ。もう独りぼっちはヤなんだよ。)

 

「嫌なんだ。」

(来る日も来る日も作業の用にポップアップモンスターを狩ってナザリックの維持費に充てる日々は。もう限界だったんだよ!)

 

「「ひとりはイヤなんだよっ!」」

 

(だからやっぱり世界をこの手に入れてやる。魔王の仮面を被り続けてやる。被った仮面も付け続けていたら本当の顔になるさ、きっとそうなるさ。)

 

(やっぱ遊び続ける!そんであの子たちにも遊びの楽しさを分からせてやる。楽しいねって言わせてみせる!)

 

「だから、月よ。」

「だからね、お月さま。」

 

「「そこで見ていて欲しい。」」

 

 

 

 




お疲れ様でした。

ifだから許される独自解釈とご容赦下さい。

じゃあまた、お会いしましょう。

ありがとうございました。
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