Roses fall fleetingly, violets bloom vividly 作:MIA
時間軸は遡り、ノバラとすみれが喫茶リコリコに来る前にDA仙台支部で受けた仕事の終わりまで遡る。
作戦終了後のシャワールームでノバラはすみれを脱がそうとしていた。
「……は、恥ずかしいよぉ、ノバラちゃん……こんなところで……」
「いいから早く見せなさい」
「はぁい……」
すみれは躊躇いながらも、一枚一枚、血にまみれた制服を脱いでいく。
(なになに!? なんなの、これぇ!? どういうプレイなのぉ!?)
すみれは混乱していた。
これまでも、ノバラの前で服を脱いだことはある。というか、お風呂に入ったり、着替えたり、一緒にしていることが多いので当然だ。
しかし、少なくとも、ここまでまじまじと見られたことはない。……なかったはずだ。
すみれは羞恥から胸元と股間の辺りを隠す。
「あのあの、ノバラちゃん!」
すみれは頬を紅潮させ、涙目になりながら、訴えかける。だが、ノバラはうっすらと、(少しだけ意地悪そうに)笑みを浮かべて、慈悲もない言葉を続ける。
「……まだ、全部じゃないでしょう?」
もはやすみれは一糸纏わぬ姿のようにも見える。だが……
「えぇ~! でも、これ以上はぁ!?」
「……私に脱がしてもらいたいの?」
「ひょわ!? そうじゃなくてぇ!?」
観念したようにすみれは顔を赤くしたまま、手を下すが、そこにはあるべきものがない。いや、極めて素肌に似た質感ではあるが、よく見れば、それは素肌ではないことが分かる。
「……見せたく、ないんだよ。分かるでしょ……?」
すみれの体を常に押さえつけている拘束服ともいうべき超強力なコンプレッションスーツ。一目には服とは分からないそれは、すみれの体を外から守ると同時に、内側からも守るものだ。異常な筋肉の発達とも言うべきすみれの体質は、四六時中相当強固に体(というよりも肉体そのもの)を物理的に押さえつけておかなければ、数日と立たず、すみれの体を醜い筋肉の塊に変えてしまう。物心ついた時には発症していたすみれの病であり、最大のコンプレックスであった。
「私は見たい」
「えぇ~っ!? ノバラちゃ~~ん!?」
だが、ノバラにはそういったデリカシーとかそういうようなアレはなかった。
ノバラは単に応急処置が必要なら効率良く行いたいだけである。
この『見たい』もケガがあるなら早く見たい、と解すべきだろう。
しかし、すみれには、そういったノバラの思考を理解することができなかったため、額面通りに受け取ってしまう。
(ノバラちゃんが! ノバラちゃんが、私の裸を見たいって!? うそうそ!? こんな筋肉ばっかりのくせに、何だか胸だけは無駄に大きくなってる醜い私の裸が見たいだなんて!?)
仮にノバラがすみれの思考が読めたならば、激しく絶望することだろう。別に百合的思考で見たいわけではないのに、性的な目で見ているよう思われるているし、身体的特徴の差(具体的には自らの『ひんぬー』具合)を見せつけられるからだ。
「わ、分かったよぉ……」
すみれは、少しだけだらしなく口の端で笑みを浮かべる。
求められているんだ、という気持ちと、大好きな人に裸を見られるという快感が合い混じっていた。
「何でちょっと嬉しそうなの?」
「わ、分かってるくせにぃ!」
ノバラには心当たりがなかったため、きょとんとした。
すみれが胸元にあるスーツの解除ボタンを押すと、シュー、という音がして、中に空気が入って行き、すみれの素肌とスーツの間に隙間を作った。
それまでは見えていなかったジッパー様のものをボタンのすぐ下辺りから下すと、すみれの素肌が露となる。
「……ん……しょっと」
裸となったすみれの肉体は神話の英雄を思わせる彫刻じみた美しさだった。ボディビルダーのような魅せるための筋肉ではない。筋肉の張り具合、彫の深さは筋肉らしい筋肉に見えるが、どこか野生じみた、不自然さのない、ある意味で必要最低限の筋肉がついているように見えるのだ。
すみれ自身はリコリスとしての訓練は受けているものの、筋肉トレーニングの類は一切行っていない。つまりは、体を動かしているときは、戦闘訓練だけである。故に、特定部位の異常発達がなく、その姿を見れば、限りなく戦闘そのものに特化していることが分かるだろう。
「……ノバラちゃん……?」
「……ぜあぐーと……んぐ……ぅ」
ノバラから見たすみれは完璧だった。
特に胸。圧倒的に胸。具体的にはおっぱい。悔しくて泣きそう。
筋肉?あーそういうのもあるよね。でもおっぱい。
ノバラは無意識のうちにすみれの胸を掴んでいた。
遠慮なくぐぃんぐぃんともみしだくとそれは、かなりの手ごたえを返してくる。
(ふかふかでももちもちでもなく、かと言ってがちがちでもぐにぐにでもない。なんだこれは……!? これが、これそが『乳』か!?)
これまで数多くの女性(主にリコリス)の胸を揉んできたノバラ。
しかし、一緒に着替えることはあるにしろ、自らの妹分として接してきたすみれには、積極的にスキンシップ(と言う名のセクハラ)は行ってこなかった。
無論、そこには、『お姉ちゃんとして妹に無様な姿を見られるのはちょっと……』という『いいカッコしい』なところがあるノバラの美意識というか、背伸びした感覚があるからでもある。
だが、ここにしてこのおっぱいである。
おっぱいソムリエたるノバラに衝撃走る。
ノバラ自身、おっぱいに貴賤はないと考える(自分が『ひんぬー』ということはおいといて)。それは遍く母性の象徴であるが故。そこにあるだけで尊い。爆乳も、巨乳も、貧乳も、無乳も等しく愛せる。爆乳であればその成長に涙し、巨乳であればそのバランスに感謝し、貧乳であればその希少性に喜び、無乳であれば、これからの成長をお祈りする。特徴がなくても良い。平均的であるということは全ての属性を持っているということ。それは受け止め側の心次第。そこには無限の可能性があるだろう。
そこですみれのおっぱいである。
見た目は巨乳だが、たぶん大胸筋だからきっと硬くてピクピクするんだろうな、と勝手に思っていた。
何たる無礼か!
確かに筋肉の硬さはある。だが、良い筋肉というのは柔らかいらしい。適度な弾力が単なる脂肪ではないことを主張する。だが、待って欲しい。この芯にある少女独特の硬さは何だ。いや、まさか、お前、まだおっきくなるのか!? そうなのか!? だとすれば、これは一体どれだけの凶器になると言うのだ!?
あらゆる男を虜にし、女性達には嫉妬させ、持たざる者には絶望を与える。
ノバラはそんな未来を確かに見た。もう一度言う。泣きそう。
「……ふふ……ふふふ……」
「ノ、ノバラちゃん……っ、遠慮なく揉みすぎ……んゅ……」
ノバラが我に返ると、すみれは頬を紅潮させ、少しだけ目を潤ませ、そして、だらしなく口からは少しだけよだれが零れている。俗に言う『トロ顔』である。
(あ、これヤバイわ)
ノバラはやりすぎたことを反省し、そして危機感を抱いた。
ノバラちゃんのF言葉が多いのは、
子どもの頃から千束ちゃんと映画ばっかり見ていた影響……という設定。
時折混ざる外国語も映画の影響。