Roses fall fleetingly, violets bloom vividly   作:MIA

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こっそりEXの後書きに
バレンタインノバラちゃんを挿入しておいたよ。


131 Dream or Real

 寝る場所を決めるに当たっては一悶着あった。

 

 よって、千束とたきなに挟まれているすみれはむすっとしていた。

 

「ノバラちゃんと寝たかった……」

 

 理由はそこである。

 

 だが、ノバラの部屋に置いてあるのは、たきなの用意した布団と、ノバラがいつの間にか買ってきた布団である。小柄な、ノバラ、せり、すずなでは特に問題ないが、すみれの場合、大分狭くなる。よって、セミダブルベッドなたきなの部屋にすみれが泊まることになったのである。

 

「すみれー、アンタ、一緒に風呂に入るのは恥ずかしがる癖に、一緒に寝るのは平気なのな?」

 

 千束がそう言って、すみれを揶揄うと、すみれは、毛布で顔を半分隠すようにしながら答える。

 

「だって! ……ノバラちゃんに見られるの恥ずかしいし? ……見たら、興奮して鼻血出しそうだし?」

 

 あまりに正直な答えにたきながくすくすと声を上げた。

 

「すみれ、もしかして、この間、私と入ったとき、興奮してたんですか?」

「はう!? ……だ、だって、たきなちゃんが、大人になったノバラちゃんだって、考えちゃったら、恥ずかしいし、興奮しちゃうしで……」

 

 ついには、すみれは毛布を頭まで被った。

 

「お、こいつめー。人の恋人に色目を使うとはー」

「えぇ!? あのときは、まだ、違ったよね!?」

「あはは。別に怒ってないよ。すみれのことだしね。しっかし、そこまで恥ずかしいもんか?」

 

 千束とノバラの間ではそう言ったものはない。お互い真っ裸になったところで、照れるようなところはない。

 

「……でも私の筋肉って、見たら引かない?」

 

 だが、すみれは心配しているのは、別のところだったようだ。

 

 すみれは服を着ているとそうは見えないが、体脂肪率一桁代である。

 所謂、見せ筋ではないので、それほど筋肥大が進んでいるわけではなく、アスリート女子寄りではあるが、自分の意に反して付いてしまったものであるから、年頃の少女からすれば、コンプレックスなのだろう。

 

「……うーん……綺麗な筋肉だなぁ、と思うだけだと思いますけど。……一般人ならまだしも、相手はノバラですよ?」

 

 そもそもノバラは練習・基礎トレ大好き人間なので、自分自身が割と筋肉質なのである。

 

 少女らしい外見を保ちつつ、最高レベルに鍛え上げている、という稀有な例ではあるが。

 

 そして、すみれのことなど見慣れているノバラが、今更、すみれの裸を見て、筋肉がどうの、などと忌避感を示すはずがない。

 むしろ、腹筋を触って、はぁはぁ言っている方が似合いそうである。

 

「……でも、もし万が一、嫌がられたら……」

 

 すみれが、目元だけ毛布から出して、じんわりと涙を滲ませる。

 

 悩み多き恋する乙女は、不安の方が先に立つようだ。

 

「よしよし。心配すんなー……私の妹はそんなヤツじゃないぞー」

「そうですよ。すみれみたいな美少女だったら、イチコロです」

 

 千束に頭を撫でられ、たきなに手を握られ、両サイドから耳元で囁かれたすみれは、ぞくぞくっと体を震わせながら、顔を真っ赤にした。

 

(えぇ~!? なになに、何なのこれ!? ご褒美!?)

 

 大好きな人の姉と大好きな人に似ている人に挟まれて、耳元で囁かれつつ甘やかされる。

 

 ……若干背徳感はあるものの、すみれは正直物凄く興奮している。

 

 千束からは大好きな人(ノバラ)と似た甘い香りがして。

 たきなに目を向ければ、大好きな人(ノバラ)にそっくりな顔が優しく微笑んでいる。

 

 すみれはノバラとはよく一緒に寝ているが、自らの気持ちを恋だと理解してからも、正直、そこまで興奮したことはなかった。

 

 すみれにとって、それが日常であったし、家族としての想いもまたあったからである。

 

 しかし、千束とたきなは家族寄りであるとは言え、従姉のお姉さんくらいには距離感がある。

 

 だからこそ、ノバラ以上にドキドキしてしまうのだろう。

 

「ふふ? ……すみれ、もしかして、ちょっと興奮してます?」

 

 たきなが悪戯めいた口調で囁きながら、さわっ、と太ももの辺りを擽る。

 

「ひぃぁ!? た、たきなちゃん!?」

 

 すみれは驚いて、身を離そうとするが、今度は逆側から、むにゅっと千束の胸の感触が腕に返ってくる。

 

「あぅ……千束ちゃん、ごめん」

「……ん♡ ……なぁに、すみれ? 私にもして欲しいの?」

「ち、違っ……あぅん♡」

 

 すみれが否定するより早く、千束がすみれの胸を乱暴に掴んで揉みしだく。

 

「ぁ……や、ん……千束ちゃん、ダメぇ……♡」

「すみれ……私がいるのも忘れないでくださいね?」

 

 たきながそう言いながら、足の付け根の辺りまで、指を這わせていく。

 

「た、たきなちゃん、そこはダメぇ!」

 

 すみれは慌てたようにたきなの腕を掴む。

 その先は色々危ない。

 

「……どうして?」

 

 慌てた様子のすみれにたきなは不思議そうな顔をした。

 

(や、やめてー! ノバラちゃんみたいな顔しないで!?)

 

「……よ、汚れちゃうよぉ……?」

 

 すみれは辛うじてそう答えるが、すでに脳が蕩けかかっている。

 

「くす……汚れちゃうようなことを考えちゃったんですね?」

「ち、ちがうもん……」

「じゃあ、いいですよね……?」

 

 するっとたきながすみれの秘所に指を寄せてきて……。

 

◇◆◇

 

「あれ? すみれ、寝ちゃった?」

「そうみたいですね?」

 

 千束とたきなが耳元で囁いていた辺りで容量をオーバーしたのだろう、湯気を出して顔を赤くしながら、今ではだらしない笑みを浮かべて、時折びくんびくんしながら、寝息を立てている。

 

「……千束的に、ノバラとすみれが、というのはどう考えているんです?」

「どうも何も……なるようにしかならないんじゃない? まぁ、個人的にはすみれが押し切れば、ワンチャンかな、と。……たきなは?」

「……出遅れている分、せりさんの背中を押しちゃいましたねぇ。ふふっ、あちらの部屋もどうなっていることやら」

「せりかぁ……せりなぁ……。すみれも警戒してたけど、せりがノバラから何とも意識されていない分、一番可能性が高いんだよなぁ」

 

 千束としては、何だかんだいいながらも、短い時間ではあるが一緒に暮らしてきたすみれに一票入れたいところである。

 だが、たきながせりを推すという気持ちも分かる。少なくとも人間的にはノバラの好みであることが間違いないからだ。

 

「ま、いずれにしろ、ノバラ次第なんだよなぁ……」

「そうですねぇ……ところで千束?」

 

 真ん中に眠るすみれを飛び越えて、たきなが妖艶な笑みを千束に向ける。

 

「うん?」

「すみれも、眠ったことですし、お休みの挨拶が欲しいところですね?」

 

 だが、暗がりのせいか、千束はたきなの笑みに気づかない。

 

「ああ、そうだね。お休み~」

 

 普通の挨拶をして眠ろうとする千束にたきなはため息をついた。

 

「……全然分かってないじゃないですか」

 

 たきなの不機嫌そうな声を聞いて、ようやく千束はたきなが何を求めているのかを覚る。

 

 だが、これまでは一応はこそこそとしていた訳で、しかもすみれが寝ている横で、というのは、中々に恥ずかしさがあった。

 

「うぇ!? あー……でも」

 

 千束の煮え切らない態度にたきなはせりとの話を暴露する。

 

「どうせ、さっきのは後輩たちは皆見ていたみたいですよ?」

「い!? あれ、見られてたんだー……」

「彼女たちもリコリスだったってことですね。……それで、どうします?」

 

 言いながら、たきなが、ん、と唇を突き出すので、千束には応える以外の選択肢がない。

 千束は吸い寄せられるように、たきなの唇に自分の唇を重ねる。

 

「……ん♡ ……あむ……ちゅっ♡」

「……んちゅ♡ ……れろ……ちゅる♡」

 

 はぁ、と唇を離せば、唾液がとろっ、と唇と唇の間に橋を作っている。

 互いに、それを、ぢゅる、と吸い込んで、顔を赤くした。

 

「……お休み、たきな」

「はい。お休みなさい、千束」

 

 体は多少火照っているが、ゆっくり眠れそうな二人であった。

 

◇◆◇

 

(目を覚ました瞬間、そんなの見せられたら、私は眠れないよー!?)

 

 どうやら、夢のような体験のどこかで気を失ってしまっていたらしいすみれは、千束とたきなの話し声で、覚醒を余儀なくされた……のだが。

 

 そのとき目に入ったのは、自分体の上で、千束とたきなが深く口づけをしている様子だった。

 慌てて目を瞑ったが、そもそもがっつり舌が入っている様子を見てしまい、さらには、水音と喘ぎ声のようなものが聞こえた。

 目を瞑ってしまったことが色々な妄想を掻き立てる。

 

 二人が眠りに落ちた頃、すみれは悶々としたものを抱えながら、眠気が下りてくるのをひたすら待った。




……どこまでがすみれちゃんの妄想でしょうね?
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