Roses fall fleetingly, violets bloom vividly   作:MIA

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17 Lycoris Sanguinea is influencing Rose's growth a lot.

 たきなの印象と異なり、意外にも楓の車はミニバンだった。

 

 ミズキと同じで実用的な面でSUVか、千束みたいにスーパーカーとか好きそうに見えたのに。

 

 千束は三列目シートに座らせられると、特等席とばかりにその隣にノバラが陣取った。

 やってやったぜ、と漢の顔をするノバラに千束とたきなは苦笑した。

 最終的には、運転手として楓、助手席にはたきな達の鞄が置かれ、運転席の後ろにはすみれ、その隣にたきな。その後ろが千束、そしてその隣がノバラとなったのだが。

 ノバラは後手に手錠をかけられたままの千束の膝の上に座った。頭は丁度千束の胸の上だ。ゆっくりと車が加速するとノバラの頭を千束の豊満なおっぱいが受け止める。クッションか枕扱いである。

 

「……じーじんとでぃべすてん(おっぱいさいこ~)

「おい……せめて、手錠を外せ」

うぃ、まどもわぜる(は~い)

 

 千束は困ったやつだな~という雰囲気を出しながらも、甘えてくるノバラが可愛いのか、たきなから見た千束は何と言うか、でれでれしていた。

 

 ……妹に甘すぎでしょう。

 

「……ノバラさんの、その、何と言うか、節操のない外国語は何なんですか?」

 

 ランダムに出てくる棒読みと言うか、舌足らずと言うか。幼い子どもが真似をしているだけのような言葉が気になっていたたきなはそんな疑問を投げかける。

 すると、クスリと笑ったノバラは、カチャカチャと千束の手錠を外しながら答えた。

 

I just felt like it.(意味なんてないよ。)If you don't like it, I'll stop(気になるならやめるけど)

 

 ……語学ができない訳でも、発音が苦手な訳でもないらしい。流暢な英語が返ってきたので、たきなも同様に答える。

 

I’m just curious(ただ興味があっただけです)

Do you interest in me?(私に興味あるの?)

 

 にひっとからかうような笑みを浮かべたノバラにたきなは、

 

Yes, so much(ええ、とっても)

 

ととびっきりの笑顔で返すと、ノバラはぽっと顔を赤くした。そして、視線を逸らして、体を両手で恥ずかしそうにして、瞳を潤ませて、頬を上気させている……って。

 

「『そう』いう意味じゃありませんっ!」

 

 無論、性的な意味で言ったのではないが、そう取られなくもない。

 ノバラは満足したのか、けらけら笑っているが、顔はちょっとまだ赤い。

 

 ……なるほど、わざとそんな反応をしたのは照れ隠しか。

 

「じょーくじょーく。たきなは千束が好きなんだもんね?」

 

 何を当たり前のことを聞くんだろう、とたきなは怪訝そうな顔をする。

 

「そりゃあ、千束は大好きですが……」

 

 たきながそう答えると、ノバラはそれはもうキラキラと目を輝かせている。

 

「わは~! どんくらい好き? いっぱいちゅき?」

 

 興奮した様子で掴みかからん様子のノバラにやっと拘束を抜けた千束が脳天にチョップをした。

 

「ノ・バ・ラ!たきなを困らせんな!」

「……うぃ」

 

 千束のチョップに撃沈した……振りをして今度はふとももに頭乗せて膝枕をさせている。やれやれと千束が頭を撫でてやるのと、ノバラはご満悦な様子だ。

 

「ま、昨日話したとおり、この子、小さいときに私のルームメイトだったんだけど。暇なときは二人で映画ばっか見てたからかな?邦画よりも洋画が多かったし。この子はアクションとか好きだし? アメリカの無駄に爆発するようなものが特に好きだし?」

 

 あなたも好きですよね? というのは、言わぬが華か。

 千束が映画好きなのは知っているし、何と言うか『雑食』とも言うべきほどのジャンルの統一感の無さで目についたものを見ている感がある。面白い、面白くない以前に、『映画を見る』という行為そのものを楽しんでいる節もある。

 リコリスに許される娯楽の中で体調に不安を抱えていた千束には合っていたのだろう。

 ノバラの頭に千束が顎を乗せて、脚の間に座ったノバラが千束に寄っかかって、二人揃って一喜一憂している様子が目に浮かぶ。

 

「……千束が日本のホラー映画見て、一人でトイレ行けなくなったのは惨い事件だったね……」

 

 遠い目をして言うノバラ。

 千束は『姉の尊厳が!』などと意地を張って、ノバラがお手洗いに行きたい体裁を作って、二人揃ってお手洗いに行っていそうだ。あと、ノバラはホラーとか気にしなさそうなので、『お姉ちゃんは仕方ないなぁ』と騙されてあげていそうだ。

 

「……ぷ」

 

 あまりに似合い過ぎる想像をしてしまい、たきなは自然と吹き出した。

 

「うぉい! 過去話で人を貶めるのやめ~や!」

 

 千束が顔を赤くして反論するも、ノバラは優しい笑みを浮かべて、千束を愛しく思っているような、そして、それが切ないような声色で答える。

 

「でも、私、千束に寄っかかって映画見るの大好きだったよ?」

 

 きっとそれは本心なんだろう。

 ノバラが千束との思い出を大事にしていることがよく分かる言葉だった。

 

「……ノバラ……」

 

 千束は大切なものを包むようにノバラの頬を両手で触れる。

 それは女神同士の触れ合いの一枚絵のような何とも言えない美しさで・・・ゆっくりと千束の顔がノバラに近づいていく。

 

 

 

 

 

「……お前、ちょっといいこと言って誤魔化そうとしてるな?」

 

 唇が触れそうになるほどにノバラの顔を覗き込んでいた千束は徐にそう言った。妹の魂胆は姉に見透かされているようだ。

 きらきら笑顔のままの千束の怒りが中々に迫力がある。

 

 「えへ?」

 

 とノバラは可愛く笑みを浮かべるが……

 

 その誤魔化しの笑顔は姉には通じず、ノバラは千束に両頬を引っ張られる『うにょ~ん』の刑に処された。

 




イメージに合う言葉がなかったので

Lycoris Sanguinea = 千束又は姉 と読んでくださいね
彼岸花科 キツネノカミソリだそうな。

同様に
Rose = ノバラ又は妹 と読みます。

ノバラをそのまま訳すと wild rose です。
バラちゃんではゴロが悪いので ノ が付きました。

これらを踏まえると
副題は 姉は妹の成長に多大な影響を与えた となります。
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