Roses fall fleetingly, violets bloom vividly   作:MIA

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241 True END

『……これで私はしばらく沖縄には行けないなぁ……』

 

 すみれはそんなことを言ったが、そもそも普通のリコリスはそんなに気軽に旅行に行けないのだが、ノバラがあっちこっちに引っ張りだこだったせいか、すみれにはあまりそういう認識がない。

 

 楓は沖縄への異動という結末のようだが、千束はその意味を考えてみる。

 

 今回の一連の騒動の内容からすれば、穏便が過ぎる、と言うのが、千束の印象である。

 それに鑑みれば、今回の楓の結末については、妥協によるものだろう。

 

 上層部の首を挿げ替える。それに成功したとしても、彼女自身が権力を握ったわけではない。やろうと思えばできたのだろうが、やはりそんなつもりはなかったらしい。

 

 ……だとすれば、未だ残存している敵対派閥に命を狙われてもおかしくない。沖縄行きは、彼女を表舞台から引きずり下ろす左遷であると同時に、命を守るためのものでもあるだろう。

 

 明確に処罰もできないが、そのままだとすると、もっと厄介なことが起きそうだ。なら、物理的に離しておけばそう問題もないだろう、というような判断があったに違いない。

 

 ……もっとも、千束とたきなを相手にあれだけ戦える人が、そうそう殺される想像などできもしないが。

 

「沖縄か……沖縄はいいぞー。……ん? でも、何で行けないんだ? 行きたきゃ、行けばいいじゃん」

 

 逃亡中の千束も沖縄にいた。

 ゆっくり時間の流れるあの感覚は好きだ。

 

 何なら自分も行きたいくらいだ。……たきなと。

 

 ……だが、すみれが、行けない、という意味が分からずに、千束は首を捻った。

 

「あー……楓さんとあの御形って人が私の実の両親だったんだけど……」

 

 ぽりぽり、とバツが悪そうに頬を掻くすみれ。

 

 別に彼女のせいではないのだが、今回の件の根幹に関わる部分に自分が関わっていることはあまり面白いことではないらしい。

 

「は!?」

 

 千束にとって、すみれが楓たちの娘だとは初耳だし、内容があまりに衝撃的だった。

 

 ……元ファーストリコリスと元リリベル隊長との間に生まれた娘。

 

 すみれの戦闘センスは間違いなく遺伝だろう。

 

「……私もちょっと思うところがあって、あの人に付いて行かなかったから。うーん……次に会ったら、殺し合いになるかも?」

「思うところって……別に仲が悪いわけじゃないでしょ?」

「でも、それだと、千束ちゃんが元気になるところ確認できなかったし。あと、ノバラちゃんと比べられても困るし? ……楓さん、絶対、私よりノバラちゃんの方を娘扱いしてたでしょ!? ノバラちゃんと比べられても困るよ! ノバラちゃんに勝てるわけないもん!!」

 

 ぷく、と不服そうにすみれが頬を膨らませている。

 

 あ、何かいつものすみれに戻ったな、と千束はそっと安堵した。

 

「ま、でも。千束ちゃんの元気になった姿が見られて良かった! 本当は私も東京に残ろうかと思ってたけど。札幌からスカウトが来ちゃったんだよねー」

「……札幌? あぁ、アンタは元々保護されたのは札幌だから縁はあるのか」

「そうそう! たぶん、その関係! それでできるだけ早く来いって言われてて、今日出発予定なんだよ。もうちょっとこっちにいるー、って言ったら、たきなちゃんが、『心配しなくても千束は私が幸せにしますから!』って……あれ? もしかして、私、お邪魔虫だったのかな……?」

 

 まぁ、たきなとしては、合法的に千束に思うさま触れることができる機会である、ということもあったのかもしれないが。

 

(……あぁ!? そうか、寝ている間にたきなには色んなところを見られている訳か! うぁ、恥ずかしい、顔見れないかも……)

 

 ぽちぽち、とスマホを触っていたすみれが、くす、と笑って千束にその画面を見せる。

 

「……うん。リコリコ、臨時休業して皆来るって!」

 

『みんなで行きます!』という、たきなの返信が表示されている。千束は、嬉しげに顔を綻ばせる。

 

「そっかぁ……たきなと、先生と、ミズキと、クルミか」

「プラスして、フキちゃんとサクラちゃん、エリカちゃんとヒバナちゃんもだねぇ……」

「はぁ!? 何でそんなに……」

「ノバラちゃんの営業活動のせいじゃない? 人手が足りなーい、ってミズキがさんが呼び出したっぽい」

「はぁ~……そりゃうるさくなりそうだな。すみれは、それを待つの?」

「あ、どうだろ?」

 

 すみれが考える仕草をすると、彼女のスマホから声が聞こえた。

 

『……飛行機に遅れますよ、すみれ』

 

 ……それはとても良く聞いたことがある声で。

 

「あ、やっぱり? じゃ、ごめんね、千束ちゃん。皆によろしく」

「ちょ!? ちょっと待って、すみれ! その声は!?」

 

 慌てて立ち上がろうとする千束にすみれは釘を刺す。

 

「まだ寝てなきゃダメだよ、千束ちゃん! 答え合わせがしたいなら、札幌に遊びに来てね!」

 

 すみれは悪戯っぽい笑みを残して、千束の病室を後にする。

 

 背後からは抗議の声が聞こえるが、すみれは構わず廊下を歩く。自然、くすくす、と笑みが零れていた。

 

 病院の庭に出たすみれは、ぐーっ、と大きく背伸びをしてから、スマホに向かって話しかける。

 

「……気づいたかな?」

『何のことです?』

「そっかあ、()()()()()()じゃ、まだ分からないかな」

『意味あり気に話すのは止めてください、すみれ。それと早く帰り支度を』

「はいはい。分かってるよー……私たちはちゃんとこれからを生きていかなきゃいけない。歩いて行かなきゃ行けないだから。ちゃんと生きる。生き残る。花の命は短いけれど、それでも精いっぱい咲き誇るよ! バラだって、散ったままになんてしてあげないんだから」

 

 共にあったバラはあえかに散り行き、それでも少女は生き続ける。

 その生のある限り、全力で鮮やかに。やがて散るそのときまで、命を紡ぎ続ける。

 

― Roses fall fleetingly, violets bloom vividly -

True END

 




とりあえず、これで一旦完結かな!

一応HAPYY ENDもやる予定。


AIローズちゃん


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