アドニスイナズマ転生物語   作:かんりにん

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15話 一回戦の相手は

 

 

 

全国大会、雷門中の第一回戦は、強豪として有名な野生中(のせちゅう)との対戦が決定した。昨年の全国大会一回戦で帝国と戦い、惜しくも敗退したチームであった。

 

「野生中は選手達が自然の中で鍛えられて、まるで本物の獣のような技を使ってくるようです。中でもジャンプ力が高く、それを越えられないと得点は厳しいかと思います。」

 

春奈が、調べた対戦校の事について、雷門メンバー全員へと説明していた。

野生と言う名が示す通り、獣の力で溢れる学校。

 

獣。

その言葉を聞いたアドニスは、うずうずとした。

彼女の中に流れる、思い切り、狩りをしたいという気持ち。前世では狩る事の出来なかった獣を、今度こそ獲物にしたい。

 

「野生中、俺も帝国にいた頃に対戦した事があるけど春奈ちゃんの言う通り、彼らは本当に強豪だよ。空中戦だけなら帝国さえも凌ぐ程だ。大丈夫かなあ。」

 

土門が、その時の試合を思い起こしながら不安そうに言った。

野生中と対戦した事のある彼がそう言うのだから、強敵となるのは間違いないだろう。

 

「高さ対策か…新しい必殺技が欲しいところだな。」

 

豪炎寺がぼそりと言う。

今のところ、この中で高く飛ぶ事が出来るのは豪炎寺のみである。

だが獣の力となれば、それすらも遠く及ばないだろう。

ここは特訓して新しい必殺技が欲しいところであった。

 

「円堂。お前のじいさんの特訓ノートに何か良さそうなのはないのか?」

 

「うーんと…」

 

豪炎寺に言われた円堂は、祖父が残した特訓ノートをパラパラとめくり出す。

アドニスもそれを横からちらりと覗き込むが、何とも言えない独特な字の為、何が書かれてあるのか全く理解できなかった。

 

「あ、あった!これなら良いんじゃないか?」

 

円堂キャプテン、読めるんだ!

そう心の中でツッコミを入れる。

 

「イナズマ落とし!一人がビョーンて飛ぶ。もう一人がその上でバーンとなってクルッとなってズバーン!これぞイナズマ落としの極意!」

 

「おいおい、何だそりゃ……」

 

「ビョーンとかズバーンとかそんなのばかりじゃないですか」

 

「円堂、お前のじいさん、国語の成績は良かったのか…?」

 

染岡、少林寺、風丸が呆れながら次々とツッコミを入れていく。

 

だが、試合も迫って来ている為こうしてはいられない。

豪炎寺が何とか意味を解読し、今は練習するのみだ。

 

そして、アドニスは単独で練習を始める。

獣ときたら…何らかのトラップで仕留めるというのはどうだろうか。

まだ必殺技の使えない彼女だが、ふとそう思い取り出したのは網だった。

高さ対策なら、弓で撃ち落とすのも良いかと思ったのだがさすがにそれは…と思い、網を使った技の開発をする。

 

とりあえず、網をぶんぶんと振り回し始める。

 

「アドニスちゃん、何してるの?それは…」

 

その奇妙な行動を円堂と春奈は不思議に思い、見つめていた。

 

「獣が相手なら、網か何かで捕らえる事も出来るんじゃないかと思って。やっぱり変かな?」

 

「おお!それ良いじゃないか!お前はその網を使った技を開発しててくれ!オレ達はイナズマ落としを完成させるから!!」

 

「はい、任せて下さい!」

 

こうして円堂から頼りにされ、初めて戦う事になる第一回戦にアドニスは張り切っていた。

 

 

一方。

 

「嫌っス!高いの怖いッス~!!」

 

高さ対策のイナズマ落としを完成させるには豪炎寺と壁山の力が必要なのだが。

高くジャンプをして飛ばないといけない事に、高所恐怖症である壁山は怖がっていた。

 

「おいおい壁山…怖がってちゃ何も出来ないぞ?せっかくここまで来たんだ。もうやり切るしかないだろう?」

 

先輩ディフェンダーの風丸から、呆れられながらも宥めてもらっているものの。

 

「そもそも踏み台だなんて…何かカッコ悪いッスよ!」

 

「カッコ悪くなんかないっ!!!」

 

つい不満を言ってしまった壁山に、それを聞いていた円堂は力強く叫ぶ。

 

「カッコ悪くなんかないぞ!壁山!だって、お前じゃなくちゃ出来ない技なんだぞ?それをカッコ悪いなんて言うヤツがいたら、オレがソイツを殴ってやる!!」

 

「キャプテン……」

 

「そうだぞ。壁山。カッコ悪い技なんてありはしないんだ。お前が一生懸命練習した技を笑う奴なんていないさ。」

 

熱心な円堂に続き、風丸からも何度も励まされ、ようやく決意をする壁山。下がっていた眉をキリッと上げる。

 

「俺…やるだけやってみるッス!!」

 

「頼もしいぞ、壁山!」

 

そして豪炎寺と合流し、イナズマ落としの猛特訓が始まった。

だが、必殺技と言うのはそう簡単に出来るものではない。

特に、互いの息を合わせる必要のある2人以上で発動する技なら尚更である。

 

何度も何度も高く飛ぼうとジャンプを繰り返し練習に励むが、上手くいかない。

 

「壁山…お前、飛ぶ時に目を瞑っているだろう。」

 

豪炎寺が冷静に何故上手くいかないのかの原因を突き詰める。

 

「だってぇ……高いのが怖くて…」

 

「…………。」

 

それを聞き、黙り込む豪炎寺。

どうすればいいのかと思考を練っても、もう時間は残されていない。

これで必殺技を完成させる事は出来るのだろうか。

 

 

一方アドニスは。

 

相変わらず網を振り回していた。だが、技は何も出来てはいない。

疲れてきたので少しだけ一息ついているところだった。

 

「何が駄目なんだろう…。」

 

闇雲に必殺技を発動させようとしても、簡単には行かない。

 

「ねえ、アドニスちゃん。もっと左手に力を入れてみたらどうかな?」

 

ずっとそれを見ていた春奈はアドニスから網を取り、左手から力を入れ、網を振り出す。

すると。

 

「!!」

 

僅かではあるが、何かの力を感じた。必殺技が発動するような、見えない力が。

アドニスは感心する。

 

「…!…春奈ちゃん、すごい!」

 

「何となくなんだけどとりあえず、左に力を入れた方が良いと思って……さあ、頑張ろうっ!」

 

「うん!」

 

春奈の何故か、ふと思いついたアドバイスによりコツを掴んだアドニスは今度こそ、と思い練習を再開する。

言われた通りに左手を意識しながら、網を振り回す。

すると___

 

「あ!」

 

技は発動しなかったものの、先程の春奈がやった時のように…力を感じた。

左に全ての中心である心臓があるからだろうか。理由は定かではない。これが超次元というものなのだろう。

 

「アドニスちゃん、あともう少しだよ!」

 

「うん!何か…出来るような気がする!」

 

アドニスの中に希望が芽生える。

それは何度かの練習によって具現化する時が来るだろう。

 

野生中との試合は、もう間もなくだ。

 

 

 

 

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