今回も戦闘回です。
《ライオン!トラ!チーター!ラタラタ~ラトラーター!》
「うおおおおおおおおおおお!!!」
金色の戦士となった聖君が叫んでいる。可視化できるほどのエネルギーを放出しているその姿は、どこか神秘的なものすら感じさせる。
・・・あんなに傷ついたのに、聖君はまた立ち上がった。聖君はいつもそうだ。誰かを助けるためにいつも無茶ばかりしてる。私は聖君にもう・・・
私がまだ小学校にも通っていない程小さいころ、ハンターに攫われたことがある。ハンター達は私をすぐには殺さず、私の家族も一緒に殺すための餌にしたんだ。
体を押さえつけられた時、本当に怖かった。自分がこの後何をされるのかわからない程鈍くもなかった。でも・・・
「やあああああああ!」
同い年くらいの、小さな男の子が私の下に駆けつけてくれたのです。
「なんだこのガキ」
「誰か捕まえろ」
あの日、10人のハンターがいたけど、その内2人は彼が倒した。
「やあ!」
「ぶべえ!」
「こいつやべえ!吸血鬼の仲間か!?」
「早く撃て!!」
でも彼は足を撃たれて動けなくなってしまった。そこから先は、あまり思い出したくない。
「ふざけやがって!!」
「があっ!」
「なにしてくれてんだこのクソガキ!!」
「おえっ!」
彼は必要以上に殴られ、蹴られ続けた。でも彼は、ずっと私を見てた。
「だ・・・ぶよ・・・たす、け・・・があっ!」
ずっと、私を安心さえようとしくれた。痛いのも辛いのも、全部彼が引き受けてくれたのに。私は彼が傷つけられる姿を泣きながら見続けることしかできなかった。
「やめろおー!!」
その時助けてくれたのが翔君だった。翔君はハンター達を瞬く間に倒して、聖君の傷も治した。
「念のため病院に連れて行ってあげて。後、今見たことは誰にも言わないでもらえると助かる」
「う、うん」
「それじゃあ」
翔君とはそれ以降、小学校まで会わなかった。
「う・・・」
聖君が目を覚ました。
「!大丈夫、痛くない?」
「ごめ、んね」
「え・・・?」
「助けられなくて・・・ごめんね」
目から涙を流し続けるその顔を、今でも覚えてる。あの時、確かに助けてくれたのは翔君だけど、守ってくれたのは、君だよ?でも、私もつられて泣いてしまった。緊張の糸が切れてしまったのだ。
その後、お母さんたちが来てくれた。帰ってこない私を心配したのだ。そして、聖君の記憶から、今日の出来事を消したのだ。
わかってる。私たちのことは誰にも知られてはいけない。ハンターたちは何度か吸血鬼という単語を言っていたし、消すのも当然だ。でも、私には一つ、後悔がある。
小学校に入学して、なのはちゃんとアリサちゃんと友達になった次の日、私は聖君に再開した。隣のクラスにいたのだ。どうやって声をかけよう思っていた時、彼を見て気が付いた。
笑わないのだ。何をしても無反応。興味も示さない。一つの例外を除いて。それは誰かが助けを求めた時だ。彼は誰かを助けようとするとき、一瞬だけ、焦った顔になる。
ある日、私は勇気を出して、廊下を歩いていた聖君に質問した。
「あの!わっ私、月村すずかって言います。ど、どうしていつも人助けをしてるんですか!」
聖君からしたら初対面なのに、我ながらひどいファーストコンタクトだった。でも彼は、答えてくれた。
「そうしないといけないって思ったから。よく覚えてないけど、何もできなくて誰かを泣かせた気がするんだ」
私はそれを聞いてひどく後悔した。どうしてあの時、「守ってくれてありがとう」って言えなかったんだろう。それが言えていたら、聖君はこんなにも、傷ついていなかったのに。
もう彼はその時のことを覚えていない。他の誰かが同じ質問をしたとき、「困ってる人は見過ごせない」と言っていた。
でも、私はこの出来事を忘れない。だって、聖君にはもう・・・
体中からエネルギーが溢れる。この万能感。もう誰も、俺を止められない。
俺は走った。方向はもちろん、男に一直線。トラクローによる突きを繰り出すと、男は反応に一瞬遅れて大剣で防いだが、数メートル程後ろに跳んだ。
「・・・おいおい、嘘だろ。さっきのは、あいつで間違いないはずだ。なのに、強引にねじ伏せただと?そのうえコンボにも適応した?・・・お前マジか!あいつがここ十年以上目撃されてねえのは、そういうことだったのか!ははは!!」
男が嬉しそうにこちらを見ている。
「月村さん、ここから離れて。今度は、ちゃんと勝つから」
月村さんに声をかける。もう負ける気がしない。
「もういい!」
「え・・・?」
月村さんが叫ぶ。その顔は、今にも泣きそうだった。
「もういいから、聖君だけでも逃げてよ!」
「なんで急にそんなこと・・・」
「急じゃない!さっきからずっと言ってた!聞かなかったのは聖君!」
あれ?えっと、そうだっけ?
「いっつも無茶ばっかりして、心配かけて、こっちの身にもなってよ!」
「なっ!別に心配してくれなんて頼んでないだろ!」
「心配しないなんて無理だよ!だって、だって・・・」
月村さんが俯く。
「聖君が傷ついてるのは、私のせいだもん・・・」
そんな言葉が出てくるなんて、想像もしていなかった。月村さんは優しいのだ。彼女は悪くない。悪いのは全部、月村さんを襲ったやつらなのに。
「私は・・・私はもう、聖君に傷ついてほしくないの!!」
懇願するような声がその場に響いた。でも、それはちょっと難しかった。
「・・・ごめん月村さん、それはちょっと難しいかな」
「なんで・・・」
「俺が君を助けたいから」
「だから、私のことはもう・・・」
「違うよ」
彼女の目を見る。綺麗な瞳だ。
「俺は君と明日も明後日も、何年も後でも直接会って、色んなことを話したいんだ。だから頑張れるんだ」
「え・・・?」
月村さんが驚いた顔をした。
「さっきのは撤回。見てて。ちゃんと勝って、戻ってくるから」
最後にそう告げ、男に向き直る。
「終わったか?」
律儀に待っていてくれたらしい。見た目に反して気が利く。もう会いたくはないけど。
「ああ、後はお前に勝つだけだ」
俺は構える。男は左腕が動かずぶら下がっているが、右腕だけでも様になっていた。
「お前は俺が名乗る相手にふさわしい。俺は永久機関三星、破壊のバルバトスだ。行くぜ、今代の器・・・いや、新たな魔王!」
「魔王じゃない、オーズだ!」
「それはその姿の名前だろうが魔王様よお!!」
俺とバルバトスは互いに一直線に跳んだ。その距離は一瞬でゼロになった。
「ぜあっ!」
「おらあ!」
トラクローと大剣が衝突する。その衝撃は凄まじいものだった。だが・・・
「くそっ!」
打ち勝ったのは俺だった。バルバトスは後ろに跳んだ。
「クリスタルソウル、二段階目いくぞ!」
『ファイアエンチャントツヴァイ』
大剣が纏っていた炎がさらに激しくなった。あれとまともに打ちあったらただでは済まないだろう。だがこちらにも、先程とは違い手段がある。
「はあっ!」
「んなばかな!そこまで使いこなしてんのか!」
俺は全身に溢れるこのエネルギーを両腕に集中させた。これであれとも打ち合える。
「おおおお!」
「このっ!」
バルバトスの着地を狙い、切り込む。だが、バルバトスは俺の斬撃を弾き再び高くうち上がった。そして空中に留まり、こちらを見下ろしている。
「悪いが、仕事を優先させてもらう。さっきからの戦いからしてお前、飛べないんだろ?」
確かに俺は飛べない。でも・・・
「走れるぜ!ウイングロード!」
「なっ」
俺はトラクローを地面に突き付けると、そこから藍色に光る道が空中に向けて展開される。その道は多く枝分かれしていて俺が走る道を予測させにくい。
「まあ、最短距離で走るんだけどな!」
「このっ!」
再び両者の武器が交差する。今のところ俺が圧倒している。だが、正直この体があとどれくらい持つかはわからなかった。
「おら!」
「があっ!」
だから、速攻で決めさせてもらう。俺は空いている左わき腹に蹴りを決め、ウイングロードに叩きつける。
「バインド!」
「しまった!」
両腕と両足を固定して詠唱を開始し、バックルにオースキャナーを通した。
「我 純白の裁きの星 汝の罪を裁く星 今ここに 」
《スキャニングチャージ!》
俺の体が白い光に包まれる。
「クリスタルソウル!!」
『スターパニッシャー』
大剣から三つの弾薬らしきものが落ち、バルバトスが右腕のバインドを引きちぎる。互いに準備はできた。俺は新たにバルバトスにつながるウイングロードを展開する。そして三つのリングが形成され、走った。
「イノセントー!!」
「スター!!」
「スター!!!!」「パニッシャー!!!!」
二つの眩い光が、激突した。
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