欲望のロストロギア   作:創作好き

21 / 38
やっとできた・・・お待たせしました!


帰宅とウィルスと信じたい気持ち

「ただいまー・・・」

 

慎重に帰宅する。あちらの反応を窺わなければならないからだ。なんせ学校からは帰って来ず、そのまま丸一日たっていたのだ。正直怒っててもおかしくない。後、このボロボロの姿を見られたらどうなるかもわからない。トチクるって何も知らない管理局に特攻かましかねない。怖い。

 

『・・・マスター?』

 

玄関の向こうからひょこっと青い球体が現れる。

 

「えっと、今帰ったよ?」

 

「・・・マスター―!!」

 

「グボアッ!」

 

その小さな体からは信じられない程のスピードを出して俺の腹に特攻をかます。俺の方は体がボロボロなのでまともに動けずに直撃。よりにもよって自傷したところに当たったため、今にも膝から崩れ落ちそうだ。

 

『ほんとにどこ行ってたんですか心配してたんですよ!改造が終わって夜になってたのに家に帰ってきていないから慌てて外にでて飛び回って探したんですよ!姿を見られるわけにもいかないから魔力探知も使えなくて全然見つけられなくてずっと不安だったんですからね!』

 

レイジングスピリッツが俺の懐(自傷した痣の真上)にくっつきながら早口で喋る。喋るたびに音で腹が震えるため滅茶苦茶痛い。これが球体じゃなく人なら上目遣いしてきているみたいで可愛いんだろうな。

 

「そ、それならインビシブ・・・」

 

「インビシブル使ってる最中に魔法使ったら効果が切れちゃうの忘れたんですか!結界などの予め魔力で作ったものを対象にしたものならそれ自体に魔力による変化がなければ効果は持続しますが私自身を対象にしているとき魔法を使ったら丸見えですよ!というか今はマスターの体の中に入れてるので手元にもありませんでしたよ!あれ、マスター大丈夫ですか?顔色悪いですよ」

 

遊戯王のルールみたいな難解な効果説明を終えて俺の様子にようやく気付いたらしい。

 

「ちょっと怪我してて・・・」

 

『いや全然ちょっとじゃないですねボロボロですしなんなら生まれたての小鹿みたいに足が震えてます』

 

「いやそうなったのはお前の突撃のせい」

 

『い、いやそれはマスター帰ってこないうえに連絡もくれないからで・・・』

 

「それは。そうなんだが・・・」

 

いやしょうがないじゃん。だってあんな二足歩行して服着てる化け物が襲ってくるとは思わないじゃん? あ、そろそろ限界だ。

 

「と、取り敢えず治療、頼ん、だ・・・」

 

『マスター?マスター!?』

 

言葉を遺し、俺は息絶えた。

 

 

 

 

「え、いやおま、え?」

 

目が覚めると、真っ白な空間にいた。すっごいデジャブだ。取り敢えず目の前にいるサングラスをかけた金髪の男に声をかける。

 

「えっと・・・へっへい大将、やってるぅ?」

 

「いや軽っ。というか何でまた来ちゃうかなお前・・・」

 

子孫が会いに来たっていうのになんかすげえ迷惑そうにするなこの先祖。ちょっとイラっときた。

 

「何でそんなに嫌がるんだよ。孫が会いに来たようなもんだろ?丁重に扱え」

 

「なんでふんぞり返るんだよ!というか敬語はどうしたんだよ敬語は!」

 

全く、敬語が何なのかもわかってないのかこいつは。しょうがない、教えてやろう。

 

「敬語ってのは尊敬に値する相手に使うものだろ?」

 

「俺はそうじゃないって言いたいのか」

 

なんだ、わかってるじゃないか。

 

「おいそのわかってるじゃないか顔止めろ!はったおすぞ!というか何で尊敬できないんだよ」

 

「いやだって管理局とうちの家系が敵対関係にあるのは先祖達のせいだろうし、魔王なんていうのが俺の中にいるのも先祖達のせいだろう?何よりグリードがいるのも先祖たちのせいだろうが」

 

「くそ、微妙に否定しきれないことを・・・」

 

何で微妙になんだよ。完全に否定しきれないだろこれは。こっちはそのせいで迷惑かぶってるんだからな。コアメダル製作に1人の魔導士が関わってるって鴻上さんの情報にあった。多分というかほぼ間違いなくうちの先祖の一人なんだろうなーと思ってたけど、それ以上情報がなかったんだよな。後でレイジングスピリッツに聞いても知らないと言われたし。

 

「あ」

 

「どうした?」

 

大事なことを思い出した。迷惑かけられているとはいえこれはちゃんと言わなきゃな。

 

「あの時助けてくれてありがとう。おかげで友達が怪我せずにすんだよ」

 

「はあ・・・おまえさあ」

 

呆れてる雰囲気を出してきた。

 

「なんだよ」

 

「・・・いや、言ったところでお前は変わらねえか」

 

・・・?まるで意味がわからんぞ。でも答える気もなさそうだしな。・・・そういえば

 

「なあ、俺うっかり気絶したけど、魔王って出てくるの?」

 

ここでちょっと冷静になったので質問してみる。もしそうならもう一度自分の腹にブレイクランスを撃ち込まないといけないうえに、下手したらレイジングスピリッツに危害が加わるかもしれない。・・・いや、やっぱあいつが負ける姿が思いつかないわ。

 

「ん?あーそれなら大丈夫だ。前のブレイクランスで今もあいつはダウンしてるし、万が一起きても近くにレイジングスピリッツがいるからお前の体が痣だらけになるだけで済む」

 

「一体どこが大丈夫なんだよ!?今あれ食らったら死ぬぞ!」

 

やっぱりレイジングスピリッツじゃなくて自分の心配をするべきだった。冗談じゃねえ、俺は自分の体の中に帰らせてもらう!・・・またか!

 

「なあ、ちょいちょい知らないセリフが俺の頭の中を過るんだけど、どうにかならないかこれ」

 

「無理。俺の記憶が既にお前の中にインプットされてるからな」

 

「ウイルスに感染したパソコンの気分だ・・・」

 

「誰がウイルスだ誰が」

 

ここで俺は違和感に気付く。

 

「ちょっと待て、何であんたがパソコンを知ってるんだ?パソコンができて100年もたってないだろ」

 

先祖って言うと、そもそも電子機器の類がないレベルの時代の人間を連想していたんだけど。そういえば前にレイジングスピリッツが他の世界には地球より文明がずっと進んでるところがあるって言ってたな。あれ、もしかして聖家って地球生まれじゃない・・・?

 

「ああ、実はちょいちょい外の様子を見てたんだ。とは言っても、長時間見れるようになったのはお前からだけど」

 

「ふーん・・・ん?」

 

おい今こいつなんつった?

 

「お、もう時間切れらしいな」

 

体が光の粒子になっていく。

 

「待て、俺からってどういうことだ?」

 

「言ってなかったか?先祖代々俺の精神は次の世代に移っていくんだ」

 

「気持ち悪!?それじゃああの魔王ってのも!?」

 

「お前ほんと容赦ないな!・・・まあそれはしょうがないか、俺も同じ立場だったら嫌だし。それとあいつに関してはお前が産まれたときに入ってきたから先祖云々は関係ない」

 

「はあ!?」

 

「んじゃ、できればもう来るなよー」

 

「ちょっとまてぇー-!!」

 

白の世界から、1人の青年が姿を消した。

 

「にしてもあいつ、変なところがあいつに似てきたな。一応俺の子孫なのに」

 

 

 

 

「待ちやがれスパム野郎!!」

 

『きゃあ!』

 

大声を出しながら飛び起きる。あの野郎、あの感じから俺の体に何が起こってるのかわかってそうなのに全然説明しなかった。いや聞かなかった俺も悪いんだけど!・・・やっぱこれまでの諸々考えると別に尊敬に値しないな、次会ってもため口でいいだろ。

 

『マ、マスター?』

 

考え事をしていると横から声を掛けられる。青い球体が心配そうに俺の様子を窺っていた。

 

「あ、ごめんレイジングスピリッツ。ちょっと変な夢見てて。って、それよりすげえな、さっきから体が全然痛くない」

 

『もちろんです!専門は戦闘ですが、私に使えない魔法はありませんよ』

 

ピカピカ光りながら自慢げに答えてくる。顔があったらドヤ顔してそうだ。

 

『それじゃあ治療も終わりましたし、そろそろ・・・マスターがなぜ帰ってこなかったのか、大けがをしていたのかを説明してください』

 

レイジングスピリッツが真面目な口調で聞いてきた。

 

「わかった。でも長くなるからな」

 

それから俺は、一つずつ話していった。すずかが誘拐されたこと、物陰からその現場を見た俺がかなり強い魔導士に不意打ちをくらって一緒に連れられて行ったこと、そして誘拐犯達を撃破後、魔導士と戦闘し辛くも勝利したことを話した。

 

話していないことはすずかが吸血鬼であること。誘拐された理由は金銭目的と言っておいた。

 

そして二つ目、俺の中で先祖にあったこと。話さない理由は三つ目の存在にある。

 

三つ目、コアメダル、そして魔王と呼ばれている何かが、俺の中にいることに俺自身が気付いていること。

 

レイジングスピリッツは確実に何かを隠している。隠したかったのは魔王って存在のことなのか。というかそもそも、俺の体は今どうなっているのかまるでわからない。今冷静に考えれば、人間の中にポンポン異物が入るものなのか?レイジングスピリッツが俺の体から飛び出した時におかしいと思うべきだったかもしれない。でも・・・

 

『マスターがそんな大変な時に傍居なくて、申し訳ございません』

 

でも俺は、彼女の言葉を疑いたくなかったんだ。

 

「謝らないでくれ、不要に近づいた俺も悪い。それに、そんな終わったことより、レイジングスピリッツがどんなパワーアップしたかが聞きたいかな」

 

これ以上レイジングスピリッツが気を落とさないように話題を逸らす。正直、今はまだレイジングスピリッツのこと信じきれていない。だけど、レイジングスピリッツが俺を利用したり、陥れようとしているようには思えない。

 

だから、いつか話してくれるまで待ってみることにした。

 

『・・・聞きたいんですか?』

 

「もちろん」

 

レイジングスピリッツがパァーっと光る。喜んでいるのはわかるけど、絵面が面白いな。

 

そして俺は後悔することになる。忘れていたんだ、自分語りになると話がなることを。レイジングスピリッツが満足して話し終えるのに1時間はかかった。話し終えた時には俺は屍になっていた。

 

 




皆さんの感想・高評価、お待ちしてます!

日常回、誰と過ごす?

  • なのは
  • フェイト(andハラオウン家)
  • はやて(andヴォルケン)
  • すずか
  • 高志
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。