欲望のロストロギア   作:創作好き

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グリードの襲撃なの

木曜日の早朝、学校への通学路にサイドテールを揺らしながら1人で登校する美少女の姿があった。彼女の名前は高町なのは。管理局の魔導士にして、この世界の主人公である。

 

「やっぱりちょっと、眠いかも」

 

あくびをしながら登校する。彼女は朝に弱い。普段ならこの時間に家を出ることはないのだが、時間を少し遡る。

今日は携帯のアラームが鳴るよりも早くに目が覚めた。二度寝をするには短いので着替えて一階にあるリビングに向かうと、朝食を作っている母がいた。

 

「あら?なのはおはよう。今日は早いわね」

 

「おはよう。目が覚めちゃって」

 

そう言っていつも自分が座る席に着く。だがいつもより早い時間のため、朝食まで時間がある。それに、家族全員で食べるには、父と兄と姉の武術の朝練が終わっていないはずだ。それまではこの空っぽの胃袋が満たされることはないだろう。

 

「ねえ、お母さん」

 

「どうしたの?」

 

なのはの母、桃子は声をかけられ、手を止めた。

 

「今日、早めに学校に行っていい?」

 

「珍しいわね。どうしたの?」

 

「なんとなく、早く学校に行きたい気分なの」

 

そんな娘の唐突な要望に桃子は快く引き受け、なのはの朝食を急いで作って弁当と共に送り出した。

 

時間はいつもと違うが、いつもと同じ通学路を歩くだけだ。大した変化はない。違いを強いていうなら、人がいつもより少ないくらいか。

 

「寄り道は・・・別にいいかな」

 

いつもより早くに出発した分、授業が始まるまでコンビニで時間を潰そうかと考えるが、真っすぐ学校に向かうことにした。なんとなく、早く学校に着きたい気分だった。

 

学校に着き、自分の教室の前に着いたが当然友人たちはまだいない。教室で待つのも一つだが、なんとなく、自分の教室を通り過ぎて隣の教室の前に足を運んだ。

 

なのはが悠を襲撃したのは月曜日、その次の日の火曜日に、悠は学校を休んでいる。さらにその次の日である水曜日には、なのはが新装備のテストをしていたため休んでいた。つまり、なのはと悠は二日あっていない。なのはと悠は今まで交流があったわけではない。なんなら、まともに会話をしたのは月曜の放課後くらいではないだろうか。

 

「学校休んだのもやっぱり気になるし、後・・・」

 

もう一度、ちゃんと謝らないといけない。なのははそう考えていた。水曜日に悠と同じクラスのはやてから元気であることは既に聞いている。だが、なのはからすれば、自分が襲い掛かった次の日に悠が休んでいるのだ。学校を休みたくなるほど嫌な思いをさせてしまったのではないかと考えていた。

 

実際は、友人が自分を守るために危険から遠ざけようとしてくれたのにも関わらず駄々をこねて拒否した挙句、暴力でねじ伏せた上に管理局を裏切らせるという最低コンボを決めた代償に寝込んでいただけである。

 

扉の前に立つ。扉の向こうはなんだか騒がしい。その騒がしい音の中に、彼の声が混ざっていた。少し前まで、悠は朝早く登校することはすずかから聞いていた。最近は遅くに登校しているらしいが、彼が向こうにいる、そんな予感がした。今日はなんとなくでここまで来たが、今日こそは彼に会えると無意識に思っていたのだろう。

 

なのはは扉を開けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「竜〇旋風脚!」

 

「ゴパアッ!!」

 

なのははそっと扉を閉じた。

 

「き、気のせいだよね・・・?」

 

悠が片足を上げながら空中でコマのように回転し、圭を弾き飛ばすなどという非現実的な光景は見ていないと自分を落ち着かせる。そう、きっと気のせいなのだ。普段と違う行動をしたため、幻覚を見てしまったのだと自分に言い聞かせた。

 

「今度は大丈夫」

 

そうして、意を決して扉をもう一度開いた。

 

「ダメだよ悠君!それ以上は圭君が死んじゃう!」

 

すずかが悠に向かい大きな声で訴える。

 

「すずか、俺は圭を信じてるんだ」

 

悠は圭を逆さにし、両腕を巻き込みながら上半身を抱きかかえていた。

 

「圭は、俺の親友は!この程度じゃ死にはしないって!!」

 

「悠君・・・」

 

「いや殺そうとしてる奴のセリフじゃないよねそれ。感動の名シーンみたいになってるけど状況と合わせて聞いてみるとマジで意味不明だからな?」

 

逆さまになりながらも、圭は冷静にツッコむ。

 

「ごめんすずか、圭。俺は、行くよ」

 

「お前じゃなくて俺が逝くんだよ!?」

 

「受けるがいい!これが俺の、全力全開!!

 

「ま、まて!それは色々とまずい!」

 

拘束から逃れようと体を捻り暴れるが、拘束が解けることはなかった。

 

「スターライトォ――!!」

 

「や“め”ろ“お”―――!!」

 

悠は圭を持ちながら天(井に)高く飛び上がろうと足に力を貯めた!

 

「ブレ・・・」

 

「ちょっと待ってぇ!?」

 

飛び上がろうとする直前に意識を取り戻したなのは全力で止めた。自分の切り札と同じ名前の技で友人が1人酷い目にあいかけていたためである。

 

 

 

 

「それで、どうしてあんなことしてたの?」

 

現在、悠は教室の隅で正座をさせられていた。そしてなのはと悠の様子を圭とすずかは見守る。圭によると、いつも通りの挨拶(おは嫁)をしたら、悠が最初からクライマックス?で仕留めに掛かってきたらしい。

 

「別に、高町さんには関係な・・・」

 

「言って?」

 

なのはの顔は笑顔だ。それも怖いタイプの。悠が圭に行おうとしていた技は傍目から見ても大変危険だとわかる。圭なら死ぬことはまずないだろうが、友達が傷つくことをよしとしないのが彼女だ。

 

「圭が、その・・・」

 

悠が非常に言いずらそうにしているが、なのはは容赦しない。

 

「圭君が?」

 

「俺に、変なあだ名を・・・」

 

「あ」

 

ここで圭は殺されかけた理由を察し、体が硬直する。

 

「あだ名?」

 

「・・・閃光の、王子様」

 

観念したのか、非常に言いずらそうにあだ名を言った。

 

「そこまで悪いあだ名じゃないと思うけど・・・」

 

なのはからしてみれば、閃光の王子様などというプラスの意味にしか捉えられないあだ名ならまだマシだ。親友のフェイトとはやては金色の死神、歩くロストロギア、自分なんて管理局の白い悪魔などという、どちらかと言えば悪役に着けられそうな2つ名を持っている。寧ろ閃光の王子様というあだ名と交換してほしいくらいだ。

 

「嫌だよ!考えてもみてよ、このあだ名を知っている人に俺は会うたびに『あ、この人閃光の王子様だ』とか思われてたんだよ!?それにこれわりと浸透されてるらしいし最悪だよ!」

 

「お、落ち着いて・・・」

 

すずかがあらぶっている悠を宥めようと努める。なのはは悠に関わるのは最近だったため、遠目から見た時のキャラと違っていて少し戸惑っていた。

 

「悠君ってこんなに声を荒げる人だったっけ・・・?」

 

「テンション高い時いつもこんな感じだぞ?」

 

「そうだったんだ・・・」

 

今まで知らなかった一面を見て驚きつつも、悠の言い分を認めるわけにはいかない。なのはは悠の言い分を否定しにかかった。

 

「と、とにかく!暴力はいけません。人に嫌なことをされたとしても、それを力で解決しようとするのはいけないんだよ?」

 

「説得力ェ・・・」

 

圭がつぶやく。彼がそう言ってしまうのも無理はない。なのはは今まで言葉で分かり合えない人達とは戦って解決してきた。人はこれをO☆HA☆NA☆SI☆という。

 

「何か言った?」

 

「いえ、何も」

 

圭もO☆HA☆NA☆SI☆を食らいたくないため大人しくすることにした。

 

「ほら、仲直りの握手」

 

なのはが悠と圭の手首を掴んでお互いに掴ませる。

 

「その、ちょっとやり過ぎた。ごめん」

 

「いや、俺もあのあだ名をそこまで嫌がるとは思わなかった。ごめん。次はもうちょっといいのを考える」

 

「え、悪意無しであれ?嘘でしょ?」

 

仲直りしたと思ったら、またやいやい言い始めた。なのははそれをしばらく眺めていたのだが、ふと気になることができた。

 

「そういえば、さっき悠君が使おうとしてた技ってなんていうの?」

 

「スターライトブレイカー。その場で考えてつけた」

 

「そうなんだ・・・」

 

自分と切り札と同じ名前でえげつない技を親友によくかけようと思ったなと内心引いていた。あのままだと一般人なら首がへし折れてたのではないかと。なお、なのははなのはで昔親友と最初で最後の本気の勝負した時、消耗したところをバインドで動きを完全に止めてスターライトブレイカーで仕留めているので、あまり人のことは言えない。

 

「私としては、フィニッシャーマンズ・スープレックス・ホールドを使ってみてほしかったな・・・」

 

「すずか、中の人出てるぞ」

 

すずかが何かぼやいていたが、なのはと悠には聞こえなかった。

 

 

 

 

「はああっ!!」

 

1人の騎士が眼前の敵を両断せんと剣を振り下ろし、ピンクのポニーテールが揺れる。

 

「はあっ!」

 

だが、その敵は腕についているかぎ爪でそれを弾き返した。

剣を弾かれた剣の騎士・シグナムはその勢いを利用し、後方へと飛んだ。

 

「やはりヤミーとは違うか」

 

「当然だ」

 

頭にはクワガタを連想させる角。緑の鎧でできた胴体。そして右腕に着いたかぎ爪が特徴のグリード、ウヴァが鼻を鳴らて答えた。

金曜の昼時、海鳴市周辺を見回りしていたシグナムは突如として現れた大量の小型ヤミーの対応に追われていた。そんな時、突如として飛翔魔法が正常に機能しなくなり地面に着地するも、そこをウヴァに襲撃された。

 

「もう一度言う。大人しく投降すればこちらもこれ以上危害は加えない。反省の意志が認められれば、管理局員として働くことで罪を軽くすることも認められるぞ」

 

「断る。俺の目的は完全復活。そしてこの世界を食うことだ。それとも何か?お前らは俺が世界を食うことを許すのか?」

 

グリードとは欲望から生まれた存在。永遠に満たされることのない欲を満たすために活動している。欠けた体はコアメダルを九枚集めることで復活し、その後は人を食らい、そして世界すらも食らう欲望の申し子達。悪事を辞めさせ、更生させることは不可能だ。何故なら、欲望を満たすために世界を食らう、それがグリードの生まれた時から決められた運命だからだ。

 

「そうか。ならば後2つ程聞こう。飛翔魔法が使えなくなったのはお前たちの仕業か。そして今まで姿を隠していたというのに、何故今になって姿を現した?」

 

地面に着地したタイミングを見計らって攻撃を仕掛けてきたこと。

今まで二度ヤミーを作り、セルメダルを体内で作らせようとするだけで行動を起こさなかった。それだというのに今になって動き出したのは・・・

 

「1つ目はその通り、と答えてやろう。そして2つ目は、お前たちを叩き潰す準備ができたからだ!!」

 

ウヴァはそう答えると、角に雷を発生させシグナムに向けて放出した。だがシグナムはそれを横へと駆けて躱していく。疾走するシグナムを雷は追尾するが、シグナムに追いつかない。

 

「ならばその自身、へし折るまで!レヴァンティン!」

 

『シュランゲフォルム』

 

シグナムのデバイス、レヴァンティンを一度鞘に納めると、レヴァンティンが音を鳴らしてカートリッジを装填し、排莢を行う。

 

「魔力が増大する奴か!」

 

ウヴァは雷による攻撃を止め、シグナムの攻撃に対応できるように構え直す。グリードの1人、カザリのヤミーからの情報によると、目の前の騎士の武器から空気が抜ける音がすると何かしら強力な魔法を使ってくることを知っていたからだ。

 

「はあっ!」

 

だがその場で動かず受けの体制でいることが裏目に出た。シグナムが抜刀すると、それは剣ではなかった。ワイヤーによって連結された刃が伸び、鞭のようにウヴァを襲った。カートリッジを1つ使用することで変形する蛇腹剣型の姿。シュランゲフォルムだ。

 

「うお、何だこれは!?離せ!」

 

初見のため対応できなかったウヴァは蛇腹剣に体を絡めとられ、力で解こうと足掻くが解ける様子はない。

 

「はあーっ!!」

 

「ぬおわあ!!」

 

シグナムはレヴァンティンを後ろに大きく振りかぶり、縛られていたウヴァは先程とは反対側の地面に叩きつけられた。

 

「この、よくm・・・」

 

「はあっ!」

 

「もわああ!!」

 

ウヴァの言葉が最後まで言い切る間もなくもう一度反対側へと叩きつける。

 

「がっ!くっ!だっ!ぐわっ!」

 

一度や二度ではない。シグナムはウヴァに何もさせまいと何度も何度も地面に叩きつけた。シグナムは好きでこのようなことをしているのではない。自分一人ではグリードに決定的な一撃を与えることはできないことをわかっていた。だから新装備を携えた仲間が来るまで時間稼ぎをすることにしたのだ。

 

「いい、加減に・・・」

 

「!!」

 

嫌な予感がしたシグナムが拘束を解除した。

 

「しろぉー!」

 

怒号と共にウヴァの体から純粋で、膨大な魔力が爆発的に解放された。それにより寸での所で拘束を解除したレヴァンティンが大きく弾かれた。拘束をしたままだったら、レヴァンティンを破壊されていたかもしれない。レヴァンティンを鞘に収納しながらそんな考えが過ったシグナムはウヴァへの警戒を更に高める。

 

「舐めたマネしやがって!タダで済むと思うな!」

 

シグナムはレヴァンティンの形態を戻し、抜刀の構えを取る。

そして立ち上がったウヴァがシグナムへと歩を進めた、次の瞬間、何処からか何かを装填するような音がした。

 

『テートリヒ・シュラーク』

 

「でああー!」

 

「な、ぐああ!!」

 

男勝りな少女の掛け声と共に、ウヴァ目掛けて空から大槌を振りかざされた。不意打ちに対応できなかったウヴァは、血しぶきのように体からセルメダルをばら撒いきながら吹き飛んだ。そして大槌は魔法使用後排莢を行う。

 

「大丈夫かシグナム!」

 

「ああ、問題ない」

 

赤みがかったオレンジ色の髪に、のろうさと呼ばれるぬいぐるみをつけた帽子を被り、機械の大槌を担ぎながらシグナムに駆け寄るおさげの少女。彼女こそ、鉄槌の騎士・ヴィータである。

 

「間に合ったようだな」

 

「遅れてごめんなさい。シグナム、怪我はない?」

 

「ザフィーラ、シャマル、お前たちも来たのか」

 

後から続くように、青い大型の狼・・・いや、盾の守護獣・ザフィーラがビルの上から、金髪でおっとりとした優し気な女性、湖の騎士・シャマルが走って現れた。

 

「少し遠くをヴィータと見回りを行っていたのだが、飛翔魔法が急に使えなくなってな。走ってここまで来たため遅くなった。すまない」

 

「いや、寧ろ思ったより早く来てくれて助かった。ヴィータ、デバイスの方は?」

 

「ああ。カートリッジの方は問題なく機能してる。それどころか、あいつの作ったカートリッジを使うとアイゼンもなんか調子がいいんだ。ムカつくけどあの眼鏡、腕はいいらしい」

 

彼女が眼鏡と呼ぶ人物、真木と名乗った人物かとあたりを付ける。管理局の整備士がデバイスを、真木がカートリッジを改造し、セルメダルの力を籠めるとの話だったが、上手くいったようだ。

 

「よし。ヴィータをメインにし、それを私達三人がサポートする。ヴィータ、今はお前の攻撃が頼りだ。いけるか?」

 

「問題ねぇ!こいつはここで仕留める!」

 

ここに夜天の守護騎士・ヴォルケンリッターが揃う。この4人が揃った時、もう誰も、彼女たちを止められない。

 

「4対1は卑怯だろ・・・まあいい。情報を取れる奴は多ければ多いほどいいしな」

 

「なっ!」

 

誰が驚愕の声をあげたのか。シグナムか、ヴィータか。シャマルだったのかもしれないしザフィーラかもしれない。もしくは、その全員か。

 

「三人に増えた・・・!?」

 

ウヴァの姿がいくつにも重なって見えたかと思ったら、それらが横にずれて二つに増えたのだ。

 

「これこそ、この石の力で俺が手に入れた能力、分身だ」

 

ウヴァは自慢するかのように自身の体から青い宝石を取り出して見せた。その宝石からは莫大な魔力を内包していることが感じられた。

 

「ジュエルシードか・・・」

 

「ほう、こいつはジュエルシードというのか」

 

名前を知って少し嬉しそうにする。敵が目の前にいるというのに、油断するのは自分に己惚れているのか、またはよっぽどの自信があるのか。ウヴァはジュエルシードを大事そうに胸の中に入れるとシグナム達に向き合う。

 

「さて、数の不利はこれである程度解決したな。それじゃあ・・・」

 

殺気がシグナム達を襲う。本体はジュエルシードを仕舞った真ん中だろう。そいつを倒せば勝てるはず。だが、こちらの攻撃が通じるのはヴィータのみ。苦戦は必然。

 

「後はお前らを蹴散らすだけだな、虫けら共!!」

 

昆虫の王とヴォルケンリッターが衝突する。

 




ウヴァ:原作よりパワーアップして分身を覚えた。魔法は攻撃系より防御系の方が得意。シグナムのデバイスがまだ改造していないためダメージを与えられず苦戦を強いられているが、ヴィータと同じように改造すれば話は変わる。だが、ウヴァの方にも成長性が見られるため、倒すのが長引くほど魔導士側が厳しくなるだろう。

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