それでは出来たてほやほやをどうぞ!
前回のあらすじ
「グリードとヤミー、撃破!」
「馬鹿め!私には第二形態があるのよ、死ねぃ!!」
「孫の敵!俺に任せろ!」
「俺は、勝ちたいィィィ!」
「ゑ?」
融 合 召 喚 ☆
頭がフワフワする。さっきの一撃で気絶しかけたせいだろうか?意識がはっきりとしない。まるで夢の中にいるような、そんな感じ。そんな状態で戦えるのか?そう思ったけど、何だろう。いつもより動ける・・・というより、上手く戦える気がする。
/あまりスッキリしない。何というか、朝起きて寝ぼけてるって感じか?でも意識ははっきりしてる。うーん、わからん。今まで俺は体の持ち主が外部からの攻撃で意識を失うと出てきてたんだけど、こんな事は初めてだ。正直、上手く戦える気はしないんだが・・・
俺の戦意を感じ取ったのか、メズールが警戒を高めた。そして、両手を掲げた。
「残ったヤミー達、そしてセルメダル。私の下に集まりなさい!」
その呼びかけに答えるように、小魚ヤミーと川の中に散らばっていたセルメダルがメズールの体に取り込まれていく。メズールは自分の直感を信じた。このまま突っ込めば、手痛い反撃を食らいかねないという直感を。だから確実にすり潰すために、セルメダルを吸収する。
『マスター、撤退を!』
「あれは放っておけない。ここで倒す。そのためにこれを使う」
そう言って取り出したのは二枚の黄色のコアメダル。タカとバッタのコアメダルをバックルから取り外した。
「いつの間にカザリのメダルを揃えていたのね。でも、あなたはコンボを受け止められるだけの器かしら?」
セルメダルを吸収しながら挑発するようにメズールは問いかける。いくら戦闘センスが高くとも、オーズの器に相応しいかは別だ。コンボとは、常に暴走の危険が付きまとう。最悪、ベルトの力によって封印されるのだ。
だが、彼女のその言葉には僅かに、器に相応しくないことを願う気持ちが籠っていた。
今、あいつを倒すのにはこれしかない。あいつをここで倒さなければ、きっと沢山の人が
傷つくことになる。その中には、俺の大事な人達もいるかもしれない。だから、どんなに痛くても、苦しくても構わない!ここで、倒す!
その覚悟と共に、二枚のコアメダルをセットする。
/この状況であいつを倒すにはコンボを使うしかない。でもどう考えてもこのコンボっていうのは危険だし、ここは逃げるのが正しいんだけど、悠と意識が混ざっているせいか逃げようとは思わない。
これは正義感・・・いやこれは義務感か?それと少しの恐怖。あの怪物に対して?違うな。これは自分が逃げる、もしくは敗れることで周りに被害が及ぶことに怯えてるのか。なーんか拗らせてる気がするなぁ。リツの奴、メンタルケアとかは・・・してないだろうなぁ。まだ16にも満たない子供が、何をどうしたらこんな覚悟ガンギマリになるんだよ。周りの大人は何してんだよたく・・・周りに大人、いないんだった。
・・・しゃーない、今は俺が悠にしてあげられることをしよう。悠の体に負担がかからないように速攻であいつを倒す!コンボは今のところ二回変身して倒れるだけで済んでるし、三回目もいけるいける。
俺は結構軽い気持ちで二枚のコアメダルをセットした。
『マスター、それはまだだめ・・・』
レイジングスピリッツの静止を振り切り、三枚の黄色のコアメダルセットしたバックルを傾ける。右手には、心臓の鼓動のように鳴るオースキャナーが握られていた。
「まさか本気・・・!?」
「変身!!」
バックルにオースキャナーを通し、コインがぶつかったかのような甲高い音が3度、鳴り響く。
《ライオン!トラ!チーター!ラタラタ~ラトラーター!》
「うおおおおおおおお!!!」
眩い光を放ちながらそれは現れた。ライオンの鬣を模したライオンヘッド。敵を引き裂かんとトラクローが展開されたトラアームズ。高速で移動し、時には強力な蹴り技を放つチーターレッグ。限界を超え、ラトラーターコンボに変身し、高温のエネルギーが放出され、そのあまりの高熱に川の水が蒸発した。
「この姿になっていなければ危なかったわね・・・」
メズールは自身の体が弱っていないことを確認する。メズールとメズールの作り出すヤミーはカザリのメダルとは相性が悪い。本来なら今のエネルギーで彼女はコアメダルを失うほどのダメージを受けていただろう。だがジュエルシードの力は、彼女に究極の肉体を与えた。通常時とは比べ物にならない程の運動能力、頑強さ、そして技の威力の底上げすらもされている。この姿を長時間維持するにはセルメダルの燃費が悪い上に、この姿での戦闘は今回が初めて。自分にどんな影響があるかは未知数だった。
だからこの場にいる者の意見は一致した。少しでも早く、相手を倒す。
右手には剣を。左手にはトラクローが展開されている。更に、剣とトラクローには、本来常時全身にみなぎっているエネルギーを収束させていた。これにより、切れ味を向上させつつ、体への負担を軽減させていた。
『うわめっちゃ漲る・・・魔力じゃないのに魔法も使えそうだしどうなってるんですかこれ、こわ・・・』
レイジングスピリッツが気味悪がっていたが、スルーした。
準備はできた。互いに構える
蒸発した水を補うように、川に水が流れてきた。それと同時に2人は駆けだした。
先手を取ったのはオーズ。剣によるシンブルな突きだ。だが、チーターレッグによる加速、そして高温エネルギーを剣に収束させたことによって、音速すらもを超えた速度で放たれる必殺の一撃となった。
対してメズールは、先手を取られることは予想していた。想定外だったのは想定より速い速度くらいか。頭を狙った一撃を紙一重で躱しながら、左足からカウンターを繰り出した。人間が食らえば上半身と下半身がきれいに別れる程の威力。回避は不可能。直撃を確信した。
「え?」
だが次の瞬間、メズールは宙を舞っていた。理解が遅れ、困惑のあまり言葉が漏れた。
そのまま体を川に叩きつける・・・ことはなく、体をひねって華麗に着地する。一体何があったのか。オーズを見るとカウンターを受けた様子はない。自分もカウンターが決まった感触はなかった。なぜか?自分の左足をみた。
ポロポロと、セルメダルがこぼれていた。
そして理解した。カウンターが決まる瞬間、オーズは左手のトラクローをカウンターに合わせて自分の左足に突き刺したのだ。そして突きとカウンター返しの勢いを利用し、体を右回転させ自分を投げ飛ばしたのだと。
「意味がわからないわ・・・」
自分で考察して困惑していた。状況から見て一番可能性があるのがそれだと思うのだが、正直納得できなかった。剣の突きが空を切っていたのは目視していたので、投げ飛ばしたということは自分の足を貫いた左腕だけで、ということなのだろう。
だが、自分はその、それなりに・・・人間と比べれば!重い、とは思う。人間と比べれば。
それを片腕だけで、それも無茶な体勢から投げ飛ばせるものなのだろうか?
そもそもあのカウンター返しだ。あの投げが決まるにはカウンター返しが決まっているのが条件だ。そんなあの一瞬で、そこまでの判断ができるわけ・・・
「余裕あるな?」
トラクローの斬撃を左腕で弾く。思考に浸っている暇はなかった。目も前の敵に集中する。
今度は左足から蹴りが放たれる。その蹴りを防ごうと右腕を盾にして・・・
「なっ」
衝撃は来なかった。蹴りは空を切り、そのまま体を回転させながら体をメズールの足元まで落下させ、足を薙ぎ払った。
バランスを崩して頭が水に触れる直前、姿勢を低くしたオーズと目の高さ揃い、目があった。
「せーのっ!」
その瞬間、川底に左手をついて体を支えながら腹目掛けて蹴りが放たれた。ガードは間に合わず、水切りのように吹っ飛んでいく。
「この・・・!!」
すぐさま立ち上がる。あれに隙を見せてはいけない。それに、格闘戦はあっちが上。それなら・・・。 ポロポロとメダルがこぼれる腹を抑える。
すごい。すごいすごい!自分の体じゃないみたいに力が入る!いや、力が入るというより、力の籠め方がわかるって感じかな。さっきまでとは動きが段違いだ!それに、不思議とあいつの動きが読める!もっと強く!もっと速く!
/何あれ、あの蹴りで普通死ぬんだけど?ちゃんと軸合ってたから岩を砕ける威力の上にオーズの力も合わさってるのに何であの程度のダメージしか受けてないの?怖・・・。でもだとしたらどうやって倒そうか?今のところ戦闘は成り立ってる。身体スペックはあっちが上だが、技術では圧倒的にこっちが上。流石俺!まあ自画自賛はここまでにして、どうやって倒すだが・・・
問題はあいつの硬さ。普通の攻撃じゃあ倒せない。長期戦になるほどこっちが不利になる。レイジングスピリッツの次元切り(仮名)はもうカートリッジが足りなくて使えない。なら、スキャニングチャージで一撃必殺しかない。
/孫の思考が来た。おけおけ、『すきゃにんぐちゃーじ』ね。それを使うのには少しタイムラグがあると。なら一瞬でも動きを止められれば一気に片を付けられるな。
(リツ、残りカートリッジを身体強化に使え。後、指示したタイミングにバインドをかけられるように準備しろ。俺が動いてこっちに注意を引くようにするからその隙に仕掛けろ)
(りょ、了解です・・・?)
何故か疑問形で返事をされた。こんな時にシャキっとしてもらわないと困るんだけどな・・・
/ほんとだよ全く。真面目そうに見えてその実ただのドジっ子だからなコイツ。
まあ、俺が頑張ればいいか。
作戦はある。それを可能にする力もある。なら後は実行するだけだ。足に力を籠める。
考える時間があったため、あちらも作戦を立て終えたのかすぐにでも襲い掛かってきそうな雰囲気を醸し出していた。
先手をうったのはメズール。土手のあちこちから水で形成されたタコ足が生えてきた。狙いは全てこちらに向けられている。俺に最も近かった二本のタコ足が襲い掛かった。
それと同時にメズールに向けて駆けだし、タコ足の叩きつけは川を叩きつけるだけに終わる。だがそれだけでは終わらない。進んだ先には更に多くのタコ足が叩きつけ、薙ぎ払い、絡みつこうとしていた。
ウイングロードの神髄、見せてやるよ。
「ウイングロードネクスト!」
土手に現れたのは、無数の藍色に光る道。直線に伸びているもの、曲がりくねったもの、中には走らせる気があるのかわからない一回転しているものまであった。そしてそれらは全て片足が乗る程度の幅しかなかった。
そして俺は足元に展開したウイングロードネクストに左足を前に、右足を後ろに置いて滑走した。そしてタコ足の連撃を滑らかに全て躱した。
『あのゴミクソの魔法を、何で・・・』
何かすごいディスられてるけど、今回は見逃してやろう。次会ったら土に埋めて一週間放置する程度で許してやる。
「!? 落ちなさい!!」
高速で接近する俺をウイングロードネクストから落とそうと、無数の水の弾丸と水色のスフィアを展開して発射してきた。
「ファーー-!甘い甘い」
剣を逆手に持ち、両手で構えた。
「旋衝破!」
俺に殺到してきた弾幕は俺から逸れ、そして俺の周りを流れるように漂った。
「『は?』」
メズールと手元の剣から声が漏れた。
「クーリングオフ!!」
俺はメズールの周りの空中に展開されていたウイングロードネクストに飛び移って滑走し、メズールの周りのタコ足に向けて弾幕を返却した。やはりというべきか、グリードの攻撃は効くらしくタコ足は次々と破壊されていく。
「ここにきて意味がわからないことを連続でしないで頂戴!!」
射撃は止め、代わりにスケールダウンして先程よりもサイズを小さくし、小回りが利きそうな細長いタコ足を先程の倍生やしてきた。正直さっきよりキツイ。
「はあっ!!」
そしてタコ足が槍のように伸びて俺を貫こうとする。それを全て紙一重で躱し、トラクローで切り裂く。だが数が多いため、手数が足りない。つまり攻めにいけない。
と、いうわけで、そろそろ準備はできただろうから決めに行くか。
「うおおおおおおお!!」
「くっ!」
ライオンフラッシャーの力を全力で開放し、タコ足をまとめて蒸発させる。少し体に負担がかかるけど、これくらいなら想定内!
「リツ!」
『バインド』
俺の掛け声に反応し、メズールの両腕を拘束する。
「しまった!?」
動きが止まったこの瞬間、メズールの周りを滑走していた俺はウイングロードネクストから飛び降りながらバックルにオースキャナーを通す。
《スキャニングチャージ!》
目の前に現れたのは三つの黄色のリング。その先には身動きが取れなくなったメズール。
「はあああああ!!」
「まだよ!!」
最後の抵抗。無数のタコ足が出現し、俺を叩き潰そうと襲ってくる。そんなものでは止まらないというのに。
俺は駆けだした。横に薙ぎ払うとしたタコ足は突進して破壊した。一つ目のリングを通る。
水の弾丸と水の刃が飛んできたが全てトラクローで弾いた。二つ目のリングを通る。
真正面に俺を貫こうとタコ足が、上空には俺を貫こうと無数の弾丸が俺を襲う。
ライオンフラッシャーで水の弾丸を蒸発させ、ライオンフラッシャーでも蒸発しなかったタコ足は真正面から切り裂いた。三つ目のリングを通る。
「はあああああ!!」
最後。メズールが展開したシールドに剣が衝突する。
メズールを拘束していたバインドにひびが入る。そしてシールドにもひびが入った。
「はあああああ!!」
「うおおおおお!!」
僅かな拮抗。永遠とも思える一瞬。それを、左手のトラクローが引き裂いた。
「せいやあああああー――!!」
その一撃は、メズールの体を引き裂いた。
旋衝破
魔法少女リリカルなのはvividに登場するラインハルトという少女が使用した技。弾殻を壊さずに受け止めて投げ返す。勿論悠の技ではなく祖父の技。