中々納得できるものができなかったので時間が掛かりました…
「うおおおお!!」
バースはセルレンダーの中のセルメダルを一枚消費してバースバスターをカザリに向けて連射する。今度は吹っ飛ばされていないようだった。
バースバスターから放たれたのはセルメダルのエネルギーと使用者の魔力が混ぜられているメダル状のエネルギー魔力弾。媒体にバースバスターが必要だが、SBCを使うためにはデバイスを大きく改造しなければならない他、こちらはセルメダルの力を最大限引き上げることに特化させているため、対ヤミー・グリード戦においてはバースバスターに軍配が上がることが見込まれている。
後藤が所有している魔力を使わずセルメダルのみを消費するバースバスターもあるが、魔力を混ぜることでセルメダルの消費を抑えられるため、ドクター真木は魔導士達には魔力装填型のバースバスターを配備する予定だ。
このバースバスターの問題点は、使用時の反動が大きすぎて鍛えている人間でも吹っ飛んでしまうことだろう。いずれカートリッジシステムを使用していない魔導士にバースバスターを配備する予定だが、一般魔導士達の運命は如何に。
「そんな攻撃、当たらないよ」
高速で連射されるエネルギー弾をカザリは余裕をもって躱していた。俊敏に動けるカザリにとってはこの程度の速さなら当然のことだが。
「ま、そうだよな。というわけでヤマト、サポート任した」
『任された』
「え、そのベルト喋るの?アンクから聞いてたナックルはどうしたんだろうと思ってたけど、まさかそれになったの?」
バースの頼みにベルトが答えたのを見て、カザリは一発で答えにたどり着いた。そう、このベルト、正式名称『バースドライバーヤマト』は圭のデバイスであるヤマトを接続し、魔法プログラムとバースシステムを一括で行うことが可能になった最新の超高性能ベルト型デバイスなのだ。
「その通り!それじゃあ、ヤマトの新しい力を見せてやるよ!」
そう言うとバースバスターのセルレンダーの中のセルメダルが一枚消費された。
『チャージ』
「そんじゃもう一回!」
再びバースバスターを連射する。
「だからあたらないって・・・!」
言葉を途中で区切り、カザリは動き回った。それはエネルギー弾がカザリを追尾しだしたからだ。ただ直線に発射されていた先程とは違い、エネルギー弾の一つ一つが動き、カザリを捕らえようと追い詰める。
そのうえ、次々にエネルギー弾を発射し、速度を維持し数を増やしながらも、その全てのエネルギー弾をコントロールしているのだ。
「この!!」
前後に挟まれ、咄嗟に前のエネルギー弾を爪で弾く。すぐさま振り向き手から暴風を発生させて薙ぎ払った。が・・・
「ぐああっ!!」
暴風を発生させた一瞬をついて上からセルメダルのエネルギーが込められた魔力弾がカザリを襲う。シールドもガードも間に合わず直撃し、全身からセルメダルが飛び散る。
「ハイ次」
『クレーンアームズ』
バースバスターを左に持ち直した後にセルレンダーのメダルが消費されると、バースの右腕に人のサイズに合わせた小型のクレーンが出現・装着された。
「ほい!」
そして右腕を大きく振りかぶると、クレーンの部分が右腕から離れ、カザリに向けて飛んで行った。
「ぐっ!」
カザリがこぼしたセルメダルを引き寄せながら飛んで行ったクレーンは、今度はシールドによる防御が間に合い防がれた。だが、その威力は凄まじく、カザリは踏ん張ることはできたものの、地面をガリガリと削りながら後ろに押し出された。
「どんな馬鹿力して・・・」
「俺に釣られてみる?」
カザリはシールドを展開したままで、クレーンはシールドに張り付いていた。いや、正確にはシールドの向こう側にいるカザリに引き寄されている。もっと正確に言うと、カザリの体もクレーンに引き寄されていた。
そしてクレーンには鉄線が繋がれており、それはバースの右腕に繋がれている。
もしここで、カザリの体が急に強くクレーンに引き寄せられてシールドに密着し、バースが体を後ろに振り替えりながら右腕を振りかぶったら、どうなるだろうか?
「なっ!」
強い力に引き寄せられ、体がシールドに密着する。
「そおい!」
そしてバースが体ごと右腕を振りかぶった。
この時、バース達の近くではバッタのカンドロイドを掴んでいたタカのカンドロイドが飛んでいた。その戦いの様子をみた者はみな、その光景を同じように言った。
「うわああああああ!!」
見事な一本釣りだったと。
「ごあっ!」
釣られた魚(カザリ)はそのまま反対方向に叩きつけられた。
「まだ奥の手見せたくないし、まともにやるべきじゃないか・・・」
カザリはバースのスペックを測ってから確実に倒そうと考えていたが、想像よりも強いバースに様子見はしてられないと判断し、立ち上がる。
「大量大量」
バースはクレーンを車に向けて振り、クレーンの吸引力を失ったことでクレーンにくっついていたセルメダルは車へと飛んで行った。そして散らばったセルメダルを、三体程の小さい何かが車の中へと放り投げていた。
「ナイスゴリ」
小さい何かに礼を言うバース。三体の正体はゴリラのカンドロイド。力があるのが特徴だ。
「他の所にも行かないとだから、速攻で行くぞ」
『リリース』
デバイスの声と共にクレーンが消失する。
「次くれ」
『ほいよ』
使用されたことにより粉々になったセルメダルが入っているセルパレットをポイ捨てすると、ヤマトに収納されていた予備のセルパレッドポッドがバースの目の前に出現し、それを手に取る。
「はあっ!」
そこにカザリの手から発生した暴風が襲い掛かる。だがそれをすぐさま右に避けながら をバースバスターのセルダンパーにセルパレットをセット。セルパレットの中のセルメダルがセルレンダーに装填され、セルパレットをジャンクションフレームにセットする。
「そこ!」
回避を予測していたカザリが爪による高速の突きを繰り出した。
「マッハストライク!!」
「ぐっ!」
肘から魔力を噴出し、超高速で放たれた拳はカザリの突きと微かに擦れ、軌道をずらしながら正確にカザリの顎を捕らえて吹っ飛ばした。
『ドリルアームズ』
ポッドのメダルが消費されると、クレーンが消えて今度はドリルが出現・装着された。そして急速にドリルが回りだす。
『バインド』
今度はバインドによりカザリの両手が拘束される。クロノにかけられたバインドと同じように引きちぎろうとするも、かなり固い。体を崩しセルメダルの集合体にしようとしたが、それもできなかった。
「・・・これ、もしかしてまずい?」
「いぐざくとりー!」
仮面でどんな顔をしているかわからないが、ドリルを回しながらこちらに向けようとしている男の仮面の向こうは笑顔だろうなと冷静に分析した。
『メテオインパクト』
「ひっさーつ!」
左手に持っていたバースバスターの が三回前後に動き、左手から姿を消した。止めを刺すのに邪魔なため、ヤマトが自身の中に収納したのだ。
そして、バースの体にエネルギーが溢れた。
「メテオー・・・」
そして一歩目を踏み出し、一気に加速した。
「インパクト!!」
「う、うわああああ!!」
情けない声を出すカザリにドリルがカザリに届く、その時だった。
「・・・なーんてね」
「圭、後ろだ!!」
カザリに向かって走った際の加速は忽然と消えてバースはその場に停止し、振り返りながらドリルを突き出した。するとバースに飛び掛かってきたトラヤミーにドリルが突き刺さり、ドリルからエネルギーが放出された。それによりトラヤミーは体に一気に注ぎ込まれたセルメダル入りのエネルギーに耐え切れず爆散し、辺りにセルメダルが散らばった。
「やっと隙ができたね」
バースは技を決める直前、カザリの目の前で背を向けてしまっていた。危機を回避したと一瞬でも気を緩めてしまい、隙を突かれて後ろから頭を掴まる。
「セイントスラッシャー!」
万力で頭を掴まれ振り返ることができなかったがそれでもバースは諦めず、左腕を掲げ、左手に魔力で構成した刃を纏わせながら後ろに向かって振り下げた。
「ほんっと、ただでは転ばないね君・・・」
振り下げ、約315度回転した手刀はカザリの体を切り付けるが、痛覚のないグリードにとってコアメダルさえ無事ならば、それは大したダメージにならない。手刀はカザリの中にあるコアメダルがはじけ飛ぶには傷が浅かった。
「でも、記憶は覗かせてもらうね?」
「う、うがあああああああああ!!!!」
「圭!!」「最上!!」
カザリの手が光った瞬間、バースは凄まじい頭痛に襲われる。それと同時に、前世の自分が少し過った。何もできなくて情けない、世界で一番嫌いな人間の顔を思い出す。
そして圭、いやバースはすぐにカザリの万力から解放され、膝と手を着いた。
方向感覚を失いかける頭痛で気持ち悪く、すぐには立ち上がれそうにはなかった。あまりにも隙だらけだった。後ろにいるカザリならばクロノ達が止める間もなく致命傷を与えることができるであろう。だがカザリは攻撃をしなかった。
「魔法少女リリカルなのは、仮面ライダーオーズ・・・?」
「!?」
否、しなかったのではない。する余裕がなかったのだ。
うわ言のように呟いたカザリの言葉にバースは思わず振り向く。そこには頭を抱えて困惑しているカザリの姿があった。
「圭から離れろ!!」
『スティンガースナイプ』
「この!!」
クロノと後藤はそれぞれ魔法とバースバスターで攻撃を行うが、シールドを展開して全て不正だ。クロノ達はそれでも追撃を行おうとするが・・・
「ふふ、ふはは!!」
カザリが嗤った。大声で嗤った。だが圭にはどこか、悲しそうに見えた。
「何をやっても世界は変わらず、元の世界と同じに結末になって!君、それでよく狂わなかったね?」
「!!」
「この!」
後藤がカザリに向けてエネルギー弾を乱射するも、それらを全て避けて近くの屋根に着地する。
「アハハハハ!」
「何がおかしい!!」
仲間を、友人を傷つけられ怒りを露にしているクロノがカザリに問う。
「ふふ、いやだって、笑っちゃうよこんなの。こんなこと知ったら、今までやってきたことが全部馬鹿馬鹿しく思うよ!あ、ごめん。君は知らないもんね。気にしないでいいよ」
何がおかしいのか、クロノにはわからなかった。カザリはただ、自分一人で納得して話しているだけなのだからしょうがないが。
「それじゃ、僕は寄るところがあるからこれで。また会おうね、仮面ライダーバース」
そう言って、高く飛び上がり何処かへと去っていった。
「済まない圭、僕がヤミーを抑えられなかったばっかりに・・・怪我はないか?すぐに医療班に・・・」
「なんで、どうして、まさかそんな・・・」
「どうしたんだ・・・?」
クロノはぶつぶつと呟く圭の顔色を窺う。仮面越しなので顔は見えないが、心なしか動揺しているように見えた。
「い、いや、俺は大丈夫。残りのヤミーは?」
呼びかけによって意識を浮上させ、状況を確認しようとする。
「それなら、君が連れてきた彼と共に殲滅して、数体は氷結魔法で捕獲している」
「了解。なら、俺はアイツを追う」
「正気か!?君は何をされたのかわからない。ここで安静に・・・」
「却下。現状グリードと戦えるのは俺となのはとヴィータ、そしてオーズだけだ。そしてグリードは五体。どうやっても手が足りない。そんな状況で俺が戦わなかったらそれこそ終わりだ。それに俺はもう平気だ、全然戦える。それに休むべきなのはクロノの方なんじゃないの?」
「・・・わかった。僕は残りのヤミーを、圭とあなたにはグリードを頼みたい。いいですか」
「わかった。こいつのことは俺に任せろ」
バースに説得されたクロノは後藤にバースを任せることにし、後藤も了承した。
「何だろうこの扱い、ちょっと納得いかない・・・」
まるで子供を預けるみたいなやり取りに若干の不満があるバースであった。
狙いをつけられないように不規則に動きながらビルの間を高速で飛翔する白のバリアジャケットを纏った少女、なのはと、それを追う大きな翼を羽ばたかせる赤い怪物、アンクがいた。
後ろから追尾する赤い羽根、弾速の速い直射型の魔力弾、そして砲撃魔法が次々と襲い掛かるが、なのははそれを全て躱しきる。
『リロード』
なのはが持つデバイスからカートリッジが飛び出し、なのはの魔力が一時的に跳ね上がり、セルメダルの力を得る。
それと共に一気に加速しながら上に上昇、そのまま円を描くように下降してアンクの背後を取った。
『ディバインシューター』
「シュート!」
なのはの周りに10のスフィアが展開され、そこから魔力弾が放出される。アンクは躱そうと飛翔するが、放たれた魔力弾はなのはが全てコントロールしているのでそう簡単には引き離せない。
「いけ!」
そこでアンクは追尾する魔力弾に羽根を、なのはに向けて魔力弾を放つ。前者は迎撃のため、後者は隙を作るために。
なのはは魔力弾を最小の動きで躱しつつ、魔力弾のコントロールの維持を離さずアンクを追い詰める。
「こい」
その言葉と共に、アンクが放った魔力弾の1つがUターンしてなのはの背中を狙う。アンクは直射型の中に一つだけ誘導型の魔力弾を混ぜていたのだ。
なのははそれを無詠唱で左手にシールドを展開して防ぐ。
だがその直後、アンクが魔力弾を振り切ってなのはに殴りかかった。
『プロテクション・パワード』
すぐさまシールドを展開。アンクの拳を受け止めた。
『バリアバースト』
「ちいぃっ!」
そしてアンク側のシールドの表面が爆発。アンクは直前に離れたが僅かにだが爆発に巻き込まれ、腕からメダルがこぼれた。
「だがこの距離なら!」
すぐさま反撃しようと手をなのはに向けて炎を発生させようとした。
「そこ!」
「なっ!?」
だがなのはのバインドが発動し、両手が拘束された。そしてレイジングハートから二つのカートリッジが飛び出した。
『ディバインバスター』
「シュート!!」
カートリッジ二本を消費して威力を底上げしたショートバスタ―が直撃し、アンクはビルに突っ込んだ。それを見届けるとレイジングハートは した。
「残りマガジンが一本、カートリッジは6本。エクセリオンモードで押し切れるかな・・・」
『頑張りましょう』
現在、なのはは窮地に立たされていた。グリードに有効打を与えることができるSBCの弾数が底を尽きかけているのだ。
アンクはジュエルシードを最大限利用して魔力を引き出し、高火力の魔法を連発し続けていた。技術はまだ爪が甘いところが多いが、それでも湧き水のように溢れる魔力と、そこから連発される高火力魔法に対抗するにはこちらもそれ相応に魔力を消費しなくてはならない。
渡されていたマガジンは4本だったのだが、この短時間でほとんどを使わされてしまった。
なのはに残された手段は二つ。1つは一時撤退。他の魔導士と合流してアンクを撃破する。2つ目はエクセリオンモードでの短期決戦だ。
前者は一番現実的だが、アンクの飛行速度を考えると厳しい。なら残されているのは後者の身だった。エクセリオンモードは体に大きな負担がかかるが、そんなことを言っている状況ではなかった。
『なのはちゃんストップ!オーズさんとフェイトちゃん、翔君がもうすぐ到着するからエクセリオンモードは無しで!
「え!」
一か八か、ここで勝負を決める。そう覚悟し、新しいマガジンをレイジングハートにセットし終えてレイジングハートをエクセリオンモードに変形させようとした時、エイミィから朗報が届いた。
「オーズさんとフェイトちゃん達は無事にヤミーを倒したんですね!」
「オーズさんもフェイトちゃん達も取り逃がしちゃったみたい。でも飛翔魔法を阻害していたグリードがいなくなったからすぐにそっちに向かってるよ。フェイトちゃん達の方は怪我をしてないけど、オーズさんは無事・・・なのかなこれ。今カメラ越しに彼を見てるんだけど、ちょっと、いや全然無事そうに見えないんだよね・・・」
「え!?」
だが喜ぶのも束の間、オーズの状態を聞かされてさらに驚く。なのはの認識では、ヤミーを単騎で倒したり、空間を引き裂いたりなどからオーズは優秀な魔導士となっている。対ヤミーに置いての重要戦力であるオーズが重症ならばそれは緊急事態だった。
「実はオーズさんの所にグリードと小型ヤミーの大群が待ち伏せしてて・・・」
オーズがいた場所には結界が張られていたため、カメラによる視認はしていないがヤミーから僅かに漏れる魔力反応から状況を推察していたため、それを話すエイミィ。
「オーズさんは大丈夫なんですか!?」
「状況的に追い払ったみたいなんだけど、フェイトちゃん達から見ても辛そうに見えたみたいで、体に鞭打ってそっちに向かってる・・・」
「止めないとダメじゃないですか!」
「フェイトちゃん達も止めようとしてるんだけど、追いつけないの。それになんていうかその、カメラ越しからでも気迫が凄くて・・・」
「談笑か。舐められたもんだな」
そんな中、アンクは復帰してなのはのいる高度まで上がってきた。
「だが、そろそろネタが尽きてきたみたいだな。なら後は押し切るだけだ」
心配事はあるが、時間を稼ぐことに専念することにしたなのははレイジングハートを構え、アンクが無数のスフィアを展開した、その時だった。
『うわもう着くの!?』
エイミィの通信が耳に響き・・・
「んなのはああ”あ”あ”あ”!!」
『誰か止めてえええええ!!』
「・・・え?」
それは唐突に結界を突き抜け、藍色の光の道を空に敷きながら現れた。
太陽のように輝いたライオンのたてがみのような頭部。両手には大きな黄色の爪。チータのような柄がついた細く美しい足。トラのようなバイクにまたがっているオーズのその姿には神々しささえもあった
・・・全身をチェーンバインドでそのバイクに括り付けて神々しさを盛大に台無しにしていなければ。
こうして、オーズはなのはの予想、到着時間や繪面などを色々と裏切って現れたのだった。
寂しくても この想いだけは捨てなかった
持っていることで痛くて苦しくなっても この想いが全ての始まりだから
シリアス?ああ、あいつは良い奴だったよ。
バースの設定は次回の後書きに書きます。