1話の描写を増やしました。気が向いた時に読んでくれれば嬉しいです。
今回は初めての戦闘回です。それではどうぞ!
自分の体が変化した。頭はタカの力を。胴体はトラの力を。そして下半身はバッタの力を手に入れた。今の俺の肉体は並の人間の比ではない。足に力を込め、怪物に肉薄する。先ほど怪物に吹っ飛ばされ、数メートルは離れていた距離が一瞬で埋まる。俺は怪物に拳を振りかぶる。
「なっ!ぐはあっ!!」
怪物の胸元に拳がぶつかり、怪物は大きく吹っ飛んだ。怪物は上手く着地し倒れはしなかったが、胸元を抑え呼吸を繰り返していた。そして何より、まるで人間が出血するかのように、胸元から銀色のメダルが数枚こぼれていた。
倒せる、そう思った。一方的に、確実に。この私に歯向かったことを後悔させる。私は全身に力を込め、怪物を始末しようと動き始め・・・
「ゆ、う?」
横から声がした。聞きなれた声だ。振り向くと、高志がいた。そう、高志だ。先ほどまで助けようとしていた高志を私は、違う。俺は何で、忘れて・・・
「大丈夫、なのか?さっき俺を助けようとして吹っ飛ばされてたのに・・・もう、痛くないのか?」
高志が俺の体の心配をしてくる。ああ、本当に高志は優しいな。今の俺の姿はとても人間には見えないっていうのに。守らなきゃいけない、この大切な友達を。例え、これほど守ることに執着している理由を思い出すことが出来なくても。
「レイジングスピリッツって言ったっけ。高志を守ってくれないか?あれは俺が倒す」
『イエス、マイマスター。そのために一度、レイジングスピリッツ、セットアップと言ってもらえますか?』
今も宙に浮いている青い球、レイジングスピリッツに頼んだら、逆に頼まれ返されてしまった。だが高志を守るのに必要ならと、言われたようにする。
「レイジングスピリッツ、セットアップ」
変化はすぐに訪れた。レイジングスピリッツは光の粒子になり再び俺の中に入っていく。するとまるで、透明で重さのない服を着ているような感覚がした。
「これは・・・」
『バリアジャケットです。本来はマスター本人が服の形状と性能を決めるのですが、今回は時間もないですし、マスターの全身を覆うバリアということで』
自分の頭の中にレイジングスピリッツの声が響く。なるほど、ありがたい。そう思っていると、公園の様子がおかしい。いつの間にか、薄い膜のようなものが公園を覆っていた。そしてへたり込んでいる高志を守るように、ドーム状のバリアのようなものが張られていた。
『結界とシールドを張りました。これで外にもご友人にも被害は出ません。それに、あちらの怪物も逃げられません』
なるほど、さっきのセットアップというのは、この魔法のようなことをするために必要だったのか。そしてそれらを一瞬でこいつはやったのか。優秀だな。・・・いやすごすぎない?というか何で俺は上から目線?
「と、取り敢えずありがとう。これで安心して戦える」
レイジングスピリッツにお礼を言って、もう一度怪物に向き合う。もう息切れをしていないし、メダルもこぼれていない。先ほどから大人しいなとは思っていたが、なるほど。あちらも想定外の事態が連続で起きていて、警戒してこちらの様子を伺っていたのか。わかるよ、その気持ち。正直俺もさっきから意味不明だし、自分が自分じゃなくなるような感覚に陥ってるから結構困惑してる。・・・いや本当に意味不明だなこれ。
「悠、逃げないのか?」
「・・・ああ!大丈夫、勝ってくるから」
高志が心配してこちらを伺う。俺はその不安を取り除こうと強気な宣言をした。
「さあ、第二ラウンドを始めようか!」
「はあっ!!」
俺の言葉を合図に、俺と怪物は走った。互いの敵を討つために。怪物は自身の腕についているカマキリが持っているような刃物で戦うらしい。それならこちらは爪を使わせてもらおう。俺はこの姿に変わってから、自分の体のことがなぜか手に取るようにわかる。つまり、この姿の能力を理解しているということだ。
俺と怪物の距離が近づく。そして互いの間合いに入った。互いに腕を振りかぶる。
「はっ!」
「があっ!」
俺は怪物が切り付けてくるよりも速く、爪状の武器“トラクロー”を展開し切り付けた。それにより、怪物からまたもメダルがこぼれ落ちる。だが、メダルの量は先ほどの拳より多い。怪物はこれ以上ダメージを受けまいと、後方に跳躍した。
「すげえ、頑張れ悠!」
高志が応援してくれるのは嬉しいが、めっちゃむずがゆい。たぶんあれだ、授業参観の時の子供の気持ちだこれ。
「ぐ、ならばこれでどうだ!」
怪物が両手を向かい合わせにしてエネルギーの刃物をいくつも作り出す。でもあれ、何処かで見たことがあるような・・・
「八つ裂き〇輪じゃねえか!」
「ブフォッ」
高志がツッコむ。俺は思わず吹き出してしまった。だ・・・駄目だ、今は笑うな。こらえるんだ・・・戦闘中だぞ。で・・・でも・・・
「フフッ」
「バカにしているだろお前ら!」
流石に怒った怪物が、八つ裂き・・・じゃなかった。エネルギーの光輪を飛ばしてきた。スイッチを切り替え、俺はもう一度正面から怪物に接近戦を仕掛ける。光輪がそれを阻もうとするが、俺はトラクローで全てはじき返しながら接近していく。
「この、化け物があ!!」
光輪を連射しながら怪物が電撃をこちらに打ち込もうとしていた。お前には言われたくねえ、そうつぶやきながら回避しようとするが・・・
『プロテクション』
レイジングスピリッツの声が聞こえ、そのまま突っ込むことにした。予想どうり、電撃を全て藍色のバリアーが防いだ。ありがとう、と心の中でお礼をしながら怪物を間合いに入れた。
「しまっ」
「はあっ!!」
怪物を4連撃、流れるように切り付ける。大量のメダルを零しながら怪物はもう一度後ろに下がるが、遂に膝を着いた。
「トドメだ」
俺はもう一度バックルにオースキャナーを通す。
《スキャニングチャージ!》
オースキャナーから声が響く。俺の足はバッタのような足“バッタレッグ”に変形し、空高く飛び上がる!
「せいっやあー!」
そして上から怪物に向かって急降下し、突如出現した赤・黄・緑のエネルギーのリングを通過し、怪物にキックを炸裂させた!
「がああああああ!!!!」
怪物は爆散し、メダルとなって辺り散らばる。全身メダルでできてたんだな、あいつ。
「う、うおー――――!!!やったな、悠!!」
プロテクションが解除され、高志がこっちにすっ飛んできた。すげえ速さだった。
『喜んでいるところ申し訳ないのですが、緊急事態なので失礼します』
「へ?ふにゃあ~」
レイジングスピリッツはそういうと、高志に向かい魔方陣を展開。すると高志は眠るように倒れた。
「なっ!レイジングスピリッツ、何するんだ!!」
『マスター、すみません。ですが事態は急を要します。あなたの命を狙う組織がこちらに向かっています』
そう告げると、またも魔方陣を展開。今度は高志が透明になろうとしていた。俺は慌てて高志の腕を掴む。
『そのままご友人を掴んでいてください。マスターにも隠ぺい魔法をかけ、一度この世界から離れます』
レイジングスピリッツが魔方陣をもう一度展開しようとするが、俺は慌てて止めた。
「ま、待ってくれ!一体何が何だか、少しは説め・・・」
説明してくれ、そう言い終わる前に広場に変化が起きた。見上げると、結界に穴が空き、誰かが入ってきていた。その人物の顔を見て、俺は固まった。
茶色の髪に、髪型はツインテール。服は全体的に白がメイン、それに青のラインが入っていてとてもきれいだった。だが何よりも、その顔を見て驚いた。なぜなら・・・
「動かないでください。私は時空管理局所属、高町なのはです。お話を聞かせてください」
なぜなら、彼女は俺が通っている学校の五大天使の一人、高町なのはだったからだ。
『え!?お姉ちゃん!?何で!?ナンデ・オネエチャンガ=ココニ!?』
あ、駄目だこれ。レイジングスピリッツさん壊れちゃった。と思ったら『いや、まだ気づかれてないから大丈夫』とか言ってる。こんな時に大丈夫なんだろうかこいつは。
「こちらの指示に従ってついてきてくださるなら、危害は加えません」
『マスター、彼女の言葉、いえ、管理局を信じてはいけません。お願いです、一緒に逃げてください』
レイジングスピリッツの立ち直りのスピードは凄まじかった。いや、今は真面目なことを考えよう。・・・俺は本来、ここは高町さんの言葉に従うべきなのだろう。でも何故か、ここはレイジングスピリッツの方を信じるべきだと即座に判断した。
「逃げるぞ!」
『!イエス、マイマスター!』
「待って!」
レイジングスピリッツは魔方陣を展開。高町さんは凄まじいスピードでこちらに向かうが、あと一歩の所で広場から、正確には地球から俺たちの姿が消えた。
彼はいつも部屋の片隅で、膝を抱えて震えていた。なぜなら、
戦闘描写を書き終わった後に、「あれ、タトバ強くね?」って思いました。
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