寝て起きたら暗黒期!?ベルくんに会うまで死にたくねー!   作:お米大好き

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戦闘、シリアスが書けん・・・・。




第七話、新技×決着

 

 

 

「【千鳥】!」チチチチ

 

 

(!……タクトくん魔法が使えたんだ……それに詠唱をしていな———)

「ルガアァッ!」

 

彼は(赤いシルバーバック)今まで多くの冒険者を潰してきた……その中には少なからず魔法を使う者達がいた。

 

彼は(赤いシルバーバック)知っていたのだ。

故に走った。目の前の男へと。

魔法がどれだけ強かろうと、発動する前に潰せばいい。

化け物はそう考えた。

 

「ガァァァァッ!!」

 

彼は目の前の男に向けて右拳を振りぬく。

 

 

「避けてぇーーッ!」

 

ボロボロの少女が叫んだ。

 

決まった、彼はそう確信した。

今まで出会った冒険者はこれで()全て再起不能にした。

 

 

バチッ

 

 

 

と、音が聞こえた。

 

彼の拳が男に当たる事はなかった。

 

目の前に居たはずの男がいない。

 

「グゥゥゥ………ギイィィィ!!」

 

彼が最初に感じたのは困惑だった。

そして次に感じたのが痛みだった。

腰を斬られた、深くはない。

だが、確かなダメージを彼は受けた。

 

 

「俺に残された時間はあと100秒ってとこかな」

 

 

「グゥゥゥゥゥ!」

 

 

後ろから声が聞こえて振り返る。

すると先程まで彼が立っていた場所に男が立っていた。

 

 

 

 

———主人公side———

 

 

 

「【千鳥】!」チチチチ

 

(もしも俺の予想が正しいなら……勝てる可能性はある)

 

(前に俺が【ガチャ】のショックで【千鳥】を使用した時、マインドダウンするまで30秒ほど時間がかかった)

 

 

その時から考えていた、【千鳥】は発動時に魔力を消費し、それ以降はゆっくりと魔力が減っていくと。

あの時、俺の魔力の基本アビリティは88。

 

ここで魔力をMPとして考えよう、今の俺のMPは620。

残りの魔力量的に【千鳥】の発動に約100MP使用した。

ガチャ時の俺のMPは88、足りていないのだ。

 

そこから考えるに【デイリー】や【原作ファン】で獲得したステータスポイントは多分更新しなくても追加される。

 

 

つまりあの時、俺の本来の魔力の基本アビリティは大体240。

ここから−100して残り140。

気絶するまでに30秒と言う事は1秒につき約5MP消費する。

つまり————

 

 

 

「ガァァァァッ!!」

 

 

(来たッ!)

 

 

「避けてぇーーッ!」

 

 

(前に進んで斬る、前に進んで斬る、前に進んで斬る!)

 

俺は斬ることだけを考え一歩を踏み出した。

 

 

バチッ

 

 

 

「グゥゥゥ………ギイィィィ!!」

 

 

(斬ったッ!よかった攻撃が通る!でも———)

 

「思ったより浅いか……俺に残された時間はあと100秒ってとこかな」チチチチ

 

 

「グゥゥゥゥゥ!」

 

 

 

 

 

私の前でありえない事が起きた。

あの化け物(赤いシルバーバック)の強さは多分LV.2の上位。

対してタクトくんはLV.1、あの魔法が身体能力向上の効果があったとしても勝てる相手ではない。

それなのにシルバーバックはタクトくんを目で追えていなかった。

もしかして———

 

「レベルが……上がってる?……」

 

 

 

 

 

 

「次行くぜ?クソ猿」チチチチ

 

 

バチッ

 

「ガアァァァ!!」

 

ブン

 

ザシュッ

 

化け物(シルバーバック)は突き進んでくるタクトへ向けて拳を振るう。

しかし当たらない、スピードで負けている。

 

 

「ギイィィィィ!!」

 

 

化け物(シルバーバック)は腹を斬られた事による痛みで声を上げる。

 

残り持続時間95秒

 

「ふぅ…まだスピードに慣れないな…」

 

「【千鳥】の難点は真っ直ぐにしか進まない事だな……」チチチチ

 

「グヴガァァ!!」

 

斬られた事にイラだった化け物は男へと向けた咆哮する。

 

「アガガァァー!!」

 

 

「お前がパワー特化で助かったよ、スピードだけなら…勝てるッ」チチチチ

 

 

 

 

バチッバチッバチッバチッバチッ

 

ザザザザザッ

 

「ギィィィッ!ガガァァァ!!」

 

俺は近づいてきたシルバーバックの手や足、背や腹、身体中を斬り刻む。

 

「す……すごい…あのシルバーバックが手も足も出ない……」

 

残り持続時間80秒

 

「ガァァ…ァァ!!」

 

 

(おかしい……こいつ(赤いシルバーバック)何故ガードもしないんだ?)

 

 

(それに……斬れば斬るほど斬り口が浅くなっていく……俺の動きに対応してきているのか?)

 

 

「グゥゥゥゥ!」

 

 

(……何故攻めてこない………)

 

 

「気にしても仕方ない……時間に余裕があるうちに攻めるッ!」チチチチ

 

バチッ

 

 

そう言って俺は向かって走り出した。

その時化け物は

 

 

「グヒィィ」

 

 

笑っていた。

 

 

 

 

(な……こいつ…笑って———

 

 

ブンッ

 

 

 

「な———あ"あ"あ"あ"っ!」チチチチ

 

 

バチッ

俺は化け物の拳を前方に跳ぶことにより回避する。

 

 

「グアァァァァ!!」

 

 

化け物の拳がタクトに当たることはなかった。

 

 

 

「こいつ……俺の動きに合わせて……」

(ギリギリだった、斬るのをやめてなかったら……死んでた)

 

残り持続時間70秒

 

 

「グゥゥゥゥ」

 

 

(っく……こいつまた攻めて来ない…俺が攻めるのを待ってやがる……)

 

 

「俺の動きに対応し始めている……こうなったら……次の一撃で決める」

 

ザッ

 

 

俺は地面に剣を突き刺し千鳥を解除した。

 

残りMP325

 

(狙うは胸の魔石)

 

 

「グゥゥゥゥ」

 

 

「【千鳥】ィ!」チチチチ

 

 

「ハァァァァァッ!!」

 

俺は右手に千鳥を発動し化け物へと走り出した。

 

 

 

「グゥゥゥゥゥ!!」

 

それを見た化け物は左腕を前へ突き出し、右拳を構えた。

 

(なぁ?!こいつ左腕を盾に?!)

 

 

「ッ!ハァァァァ!!」チチチチ

 

ブチッ

 

「ギィィ!!ルガアァッ!」

 

 

ブンッ

 

 

 

 

「アガッ———っ!」

 

 

シルバーバックの左腕を千鳥で切断したと同時に俺は化け物の右拳で数メートル殴り飛ばされた。

 

 

「タクトくん!!」

 

 

「ギィィィ!ガァァァァ!!」

 

 

化け物は痛みを感じながらも勝利の雄叫びを上げている。

 

 

 

「ぐぁ"ぁ"ぁ"....う"ぅ"ぅ"……」

 

(息が……俺は殴られ……何で生きて……)

 

 

タクトは【千鳥】の耐久上昇とシルバーバックが腕を切り落とされ少し怯んだお陰でギリギリのところで生きながらえた。

 

「グウッ……クソ猿が……」

 

 

「!———ガァァァァ!!」

 

化け物はタクトが生きていることを知るとトドメを刺そうと走り出す。

 

 

(ふざけんな……少しくらい休ませやがれ……)

「あ“あ“あ“あ“【千鳥】ィ!」チチチチ

 

 

ダッ

 

 

 

俺は【千鳥】を発動して全力で右に跳んだ。

残りMP125

 

 

「グヴガァァ!」

 

 

化け物はタクトを仕留めようと追いかける。

 

 

「ッ!——」

 

 

ダッ

 

 

「グヴガァァァァ!!」

 

 

(まずい…このままじゃ…殺される…)

「……剣を…」

俺は化け物に背を向け剣を突き刺した場所に走った。

 

 

チャキ

 

 

 

「…よし…剣を拾えた————

 

 

剣を拾い振り返る。

 

 

 

「グゥゥゥゥゥ」

 

 

化け物は距離をとりこちらを見ていた。

 

残り持続時間3秒

 

 

 

「クソ猿がぁぁぁ!!」

 

そう叫び【千鳥】を解除した。

 

 

ゴトッ

 

(まずいな……もうマインドダウンが近い……今にも気を失いそうだ)

 

 

 

魔法を解除した直後タクトは膝をついた。

 

(ああ、足に力が入らない……惜しかったなぁ…こいつ(赤いシルバーバック)がもう少しバカならなぁ……)

 

「グアァァァッ!!」

膝をついたタクトを見た化け物が再び向って動き出す。

 

(ごめん、アーディさん、勝てなかった)

 

そう思い、アーディさんの方を見るとこちらに手を伸ばし何かを叫んでいた。

 

「グガアァァァ!!」

 

タクトの目の前まで来たモンスターがトドメを刺そうと右拳を振りぬく。

タクトは目を閉じて死を待った。

(原作の続きみたかったなぁ)

 

 

 

 

 

キィン

 

 

 

 

しかし化け物の拳がタクトに当たることはなかった。

 

 

 

(…………ん?………攻撃がこない…………なっ…)

 

 

目を開けるとそこにはタクトのよく知る人物達、

 

 

 

「大丈夫?!タクト?!息してる?!」

 

「団長は少し落ち着け、小僧はまだ死んではいない」

 

「おいおい、赤いシルバーバックなんて初めて見たぞ」

 

「よくも私達の仲間を」

 

 

頼れる家族が立っていた。

 

 

 

 

「グヴガァァ!」

 

ダッ

 

 

「おいおい、あのシルバーバック距離取ったぞ、知能でもあんのか?」

 

 

「タクトだけじゃなく、アーディもやられてるってことはそう言うことよね」

 

 

「大丈夫ですか?ユウギさん、ポーションです…ゆっくり飲んでください」

 

ゴクッ

 

 

「ぷはぁ、ありがとう…リューさん」

 

「よく耐えたな小僧、女を守るとは…褒めてやる」

 

「それよりあのモンスター早く倒しちゃいましょ!タクトとアーディを地上に連れてって治療しなきゃ!」

 

 

(ああ、あいつ(赤いシルバーバック)死んだな……でも)

 

 

 

「待ってくれ……あいつは俺がやる…」

 

 

ファミリア一同「は?」

 

 

「何言ってんだお前、そんな死にかけの状態で」

 

「大丈夫?!頭でも打った?!」

 

「それは無謀ですよ、ユウギさん」

 

「死にたいのか?小僧」

 

「ひでぇ、折角人が頑張ろとしてるのに」

 

 

「当たり前でしょ!自分の状態わからないの?!」

 

 

「わかってるさ、でもこれは()()()()()()()

 

 

そう言う皆は黙って道を譲ってくれた。

 

「一撃だけよ…それで仕留めきれないなら私達が倒すわ」

 

「ああ、わかった……輝夜さん…刀貸してくれ」

 

「・・・」サッ

 

 

「ありがとう」

 

 

 

 

「グゥゥゥゥ」

 

 

シルバーバックは逃げるのを諦めたのか、じっとしている。

それでも目だけは俺を見ていた。

 

 

(俺だけでも道連れにしようと考えてんのかな?)

 

 

 

「……やってやる。これは俺の冒険だ。 ───誰にも譲らない。」

 

勝つ方法は一つだけある。

ただ今まで条件が揃わなかった。

【千鳥】を覚えた時に真っ先に考えた千鳥の応用技。

 

条件は三つ

 

千鳥が使える

 

千鳥使用時に武器を持つ

 

相手から攻撃をさせる

 

 

(今ならこの条件を達成できる、ただ魔力だけは回復しねーとな)

残りMP15

【千鳥】必要MP100

 

「誰か…マジックポーションをくれ」

(千鳥さえ発動できれば勝てる)

 

 

 

「無いわよ?」

アリーゼが絶望を告げる。

 

「……え?」

 

「遠征中に全部使ったわ」

 

(………終わった)

 

 

「あ、あの〜あれだけカッコつけて申し訳な———

 

ウィン

 

ピコン

 

[12階層に向かい少女を助ける] クリア

 

報酬、アーディ・ヴァルマの命

 

 

 

「今?……」

 

延長に対する追加報酬、全ステータス+100

 

 

「何か言おうとした?タクト」

 

 

「やっぱ何でもないです、頑張ります」

(よっしゃーー、流石デイリーさん!)

 

残りMP115

 

 

 

 

「それでも約3秒か……十分だ」

 

 

 

俺はゆっくりと化け物へと向かって歩いていく。

 

距離約10メートルまで近づき刀を構える。

 

 

「グゥゥゥゥゥ」

 

 

「こいよ、どうせ死ぬなら俺を道連れにしてみな?」

そう言った直後、モンスターは俺に向かって走り出した。

 

 

「ルガアァッ!!」

 

(ベルくんもこんな気持ちだったのかな?モンスターは怖いが、後ろに仲間がいるだけですごく勇気が湧いてくる)

 

 

「【千鳥】」チチチチ

残り持続時間3秒

 

 

俺は今までと違い千鳥を、刀を持っている右手に発動させた。

すると千鳥は右手だけではなく刀にまで効果が現れた。

 

(刀に千鳥を注ぐイメージ!)

残り持続時間2秒

 

「ガァァァァァァァァァァ!!」

 

ブンッ

 

 

 

シルバーバックは右拳を振るう。

それに合わせて俺も刀を振り抜いた。

 

 

(原作では名前以外違いがなかった、だからこっちでは俺が違いをつくる!!)

残り持続時間1秒

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「【雷切】ィィーー!!」チチチチ

残りMP0

 

 

雷を纏った刀による一閃は容易にシルバーバックを魔石ごと斬り裂いた。

 

 

 

 

「——————————ッ!」

 

シルバーバックは雄叫びをあげ灰となった。

 

 

 

「勝ちやがった………」

 

「勝っちゃった………手を貸すつもりだったのに……」

 

「褒めてやる小僧、見事な冒険だった」

 

「ユウギさん……おめでとうございます」

 

 

 

 

「本当に勝っちゃった………ふふ、カッコよかったよ、タクトくん………今度はダンジョンじゃなくて地上でデートしようね…」

 

 

 

 

 

「って、おい!あいつ動かねーぞ!」

 

「た、多分マインドダウンだわ!、速く地上に連れて行かないと!」

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして俺のこの世界に来て初めての冒険が終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少し離れた別の場所

 

 

 

???「猿が現れるところから見てたが何だよあれ!かっけぇーー!手を貸さなくてよかったぜ!あいつ俺の相棒になってくれねーかな!」

 

 

 

 

俺の次の冒険は思いの外近いのかもしれない。

 




説明多くなった気がするが……まあいいや。

次より少しの間、日常回です!

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