寝て起きたら暗黒期!?ベルくんに会うまで死にたくねー!   作:お米大好き

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多分三話くらいで次の章(3)に行く。

息抜き回だね。


1.5章、1週間の入院生活
入院中ってする事なくて暇だよね。


 

 

 

 

 

「【雷切】ィィーー!!」

 

雷を纏った刀による一閃は容易にシルバーバックを魔石ごと斬り裂いた。

 

 

 

「——————————ッ!」

 

シルバーバックは雄叫びをあげ灰となった。

 

 

「勝ちやがった………」

 

「勝っちゃった………手を貸すつもりだったのに……」

 

「褒めてやる小僧、見事な冒険だった」

 

「ユウギさん……おめでとうございます」

 

 

「本当に勝っちゃった………ふふ、カッコよかったよ、タクトくん………今度はダンジョンじゃなくて地上でデートしようね…」

 

 

「って、おい!あいつ動かねーぞ!」

 

「た、多分マインドダウンだわ!、速く地上に連れて行かないと!」

 

 

 

 

 

 

こうして俺のこの世界に来て初めての冒険が終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここは……」

「おはようタクトくん……気分はどうかな?」

 

 

 目を覚ました俺が見たものは、白い天井と俺の手を握るアーディさんの姿だった。そしてアーディさんの隣にはアリーゼがいる。

 周りを見渡すとそこはどこかの病室みたいな部屋で、窓の外を見ると日はまだ出ておらず夜だった。

 

 

 

 

 そしてベッドの反対側にはリューさんがいた。少し離れたところで椅子に座り寝ている輝夜さんの肩にもたれ掛かって寝ている。

 

 

カメラがあるなら写真が撮りたい。

 

 

 

 そんなことを思っているとアーディさんが話し始めた。どうやら俺は2日間眠っていたらしい。

 

 

 その間、俺が起きるまで毎日見舞いに来ていたそうだ

 

 

 

「もう起きないんじゃないかって……心配したんだからね……」

 

 

「ごめんなさい、アーディさん」

 

 

「ううん、いいの……タクトくんが起きてくれて嬉しい」

 

 そう言って涙目になるアーディさん。

 

 

 

 

 なんて可愛いんだろうなどと思っていると、お腹がぐぅーと音を立てる。

 どうやら俺は丸二日間何も食べていなかったせいか体がだるく力が入らない。

 

 なので少しして食事が運ばれてきたのだが、なんとその食事を持ってきたのは小さい姿のアミッドさんだった。

 その背後にはライラがいた。どうやら俺が起きたのを見てライラがアミッドさんを連れてきたようだ。

 

 

(マジか…この頃にはもうオラリオに居たのか)

 

 軽い診察を受けた後、アミッドさんの運んできてくれたスープをスプーンを使って飲む。

 

 

 野菜が柔らかく煮込まれていてとても美味しい、これなら何杯でもいける。

 

 

 

「おいしい?」

 

「はい」

 

「そっかぁ……良かったね」

 

安心して笑顔を見せるアーディさん。

 

 

 

「可愛い……」

 

「ん?」

 

 

 

 

「いえ、なんでもないです」

 危なかった、つい本音が漏れてしまった。

 

 

 

 

「そう言えばアーディさん」

 

 

「なにかな?タクトくん」

 

 

「もう怪我は大丈夫なんですか?」

 

 

「うん、完治とは言えないけど日常生活に支障はないよ」

 

 

「それは良かったです」

 

 

「ありがとうタクトくん、君のおかげで私は生きているだよ」

 

 

 

 彼女は俺の手を強く握ると、真っ直ぐ見つめて言った。

俺は照れ臭くなり視線を逸らす。

 

 

 

 すると彼女の後ろでアリーゼがため息をつく。

 

 

 

なんで?

 

 

 その後少しして起きた輝夜さん達と共にアーディさんは帰って行った。

 

 俺も帰りたいと思ったが後5日間入院することになっているらしい。

 

 

 運び込まれた時の体の状態だが、全身打撲に筋肉断裂、骨折多数、まさに満身創痍といった感じだったらしい。

 

 

 ファミリアには貯金があまりない為高い薬が買えず、1週間かけてゆっくり治すんだとさ。

 

 

(まじかよ……)

 

 

 

 

次の日

 

 

 

 

 

 俺は暇を持て余していた。

 

 ここは2人部屋なのだが昨日から向かいにいる年が近そうな人はずっと寝ているし、誰も見舞いに来ない。

 

 

 

 そのため話す相手がいない、暇なのだ。

 

 

 

(暇だ……)

 スマホが恋しくなってきた、ゲームがしたい、アニメがみたい、漫画が読みたい、ラノベが読みたい。

 

 俺は今、猛烈に前の世界が恋しい。

 

 

 

 そんなことを考えているとコンコンっとドアがノックされる。

 

 

 

「どうぞー」

 返事を返すと扉が開きそこにはアリーゼがいた。

 

 

 

 

「元気にしているかしら」

 

 

「見ての通り、ぼちぼち元気だよ…」

 

 

 

「なら良かったわ!」

 彼女は俺の顔を見るなりほっとした表情をする。

 

 

 

 

「お見舞いに果物を持ってきたの、食べる?」

 

 

「もちろん!ありがとう」

 

 

「えぇ、じゃあ切るから少し待ってて」

 

 

 そう言ってアリーゼはナイフでりんごを剥いていく。

そして切り終わったリンゴを食べやすい大きさにしてフォークと一緒に渡してくれた。

 

 

 

「食べさせてあげましょうか?」

 

 

 

「いい、自分で食べられるから」

 

 

 

「遠慮しないの!」

 

 

 

「…」

 

 

 

「ふふん♪素直が一番よ?」

 

 

 そう言いながら俺の口に一切れ入れた。

 

 

「美味しい?」

 

 

 

「…うん、美味しい」

 

 

 

 しゃくしゃくと音を鳴らしながら食べる。噛む度に果汁が溢れてくる。

 

 

 

あっという間に一つ完食してしまった。

 

 

 

 もう一つ食べたかったが流石にこれ以上は恥ずかしいので我慢する。

 

 

 

 アリーゼは自分の分のりんごを切り分けて食べ始めた。

 

 

 

「どうしたの?」

 俺に見られていることに気づいたのか、彼女が聞いてきた。

 

 

「いや、なんでもないよ」

 

 

 

「そう?なら良いけど……」

 

 

 

 近くで見ると本当に美人だよなぁ…。

 

 

 

 それからしばらく他愛のない話をした。

 

 

 

 アリーゼの好きな食べ物とか趣味の話とか、シルバーバックにそのテイマーらしき男の話とかね。

 

 

 

 あとアリーゼの胸の感触の話をしたら殴られましたね。

 

 

 

 

 その代わりデイリーがクリアできたけど。こうしてアリーゼとの時間は過ぎていった。

 

 

 

 

 2時間くらい話したら、また明日来ると言って帰っていった。

 

 

 

「また暇になっちまった」

 

 

 

 

 俺は再びベッドの上で横になり天井を見つめる。すると、向かいのベットから声が聞こえた。

 

 

 

「あのぉ……」

 

 

 

「んっ?起きていたんですか?」

 どうやら寝ていると思っていた人は目を覚ましていたようだ。体を起こし向かいを見てみると。

 

 

 

 

「はい、さっき目が覚めたところっす」

 

 

 

 

「ら…」

 ラウルくんじゃねえか!?なんで入院してんだ!?。

(いかんいかん……落ち着け、冷静になれ俺!……)

 

 

 

 俺は深呼吸をして心を落ち着かせる。

 

 

 

 

 

「自分ラウルって言うっす。大丈夫っすか?」

 

 

 

「あ、ああ」

 

 

 

「そりゃあ良かったっす」

 

 

 

「ら、ラウルさんはどうしてここに?」

(まさかこんなところで出会うとは)

 

 

 

「ラウルでいいっすよ!それがっすね、油断したところをモンスターにやられちゃったんすよ」

 

 

 

「ああ…それは災難だったな」

 

 

 

「本当っすよ〜、それで気がついたらここに運ばれてたんすよ」

 

 

 

「ちなみにどんなモンスターにやられたたんだ?」

 

 

 

「えっとっすね…背後から一撃でやられたんで一瞬しか見てないんすけど、大きさがシルバーバックくらいの赤い毛並みのモンスターっす!」

 

 

 

「へ、へぇ〜」

 

 

 

 ラウルは頭を掻きながら笑っていた。

 

 

 だが、俺は内心では焦りまくっていた。

 

 

 

 

(間違いなくあの化け物だな……)

 

 

 

 俺は苦笑いを浮かべつつ話題を変える。

 

 

 

 その後、ラウルと俺は色々な話をした。

 

 

 

 

 趣味や今までの冒険の話を聞いたが原作にない話にはテンションが上がった。

 

 

 

 それと、どうやらラウルも俺と同時に入院をしたらしい。そらそうか。

 ただ一つ違うのがラウルは2週間程入院予定とのことだ。

 

 

 入院費で貯金が殆ど飛んで、治療代が少ししか払えなかったらしい。

 

 

 

(もしかして俺はまだマシな方?)

 

 

 

 

次の日

 

 

 

 

 

 俺は暇なので病院の中を散歩することにした。一歩歩く毎に体が痛むがベットに居てもすることがなくて辛い。

 

 

 

 別に外に出ても良かったのだが、看護師さんに怒られるかもしれないと思い止めた。

 

 

 

 廊下を歩いていると、ナースステーションの前を通ると何やら騒がしかった。

 

 

 

 何かあったのかと思い近寄っていくと、少し騒がしい。俺は気にせず通り過ぎようとしたが、その光景を目にし足を止めてしまう。

 

 

 

 

そこにはライラの姿があったのだ。

 

 

 

 

「あの馬鹿が病室にいないだと!?」

 

 

 

「は、はい!部屋に院内のどこにも!」

 

 

 

 

「クソッ!一体どこに行った!タクトの奴!あの怪我で動くとは思えねぇし、攫われたか!?」

 

 

 

 

 ライラは怒りの形相で辺りを睨みつける。

 

 

 彼女の周りにいる看護師達は慌てふためき、あたふたとしている。

 

 

 俺はその様子を唖然と見ていた。俺のせい……だよなこれ? でもちょっと散歩してただけだよ?

 

 

 

 そう思いながら振り向きその場を離れようとすると、誰かが俺の服を掴んだ。

 

 

 恐る恐る後ろを振り向くと、そこにはピンク色の鬼がいた。

 

 

 

 

「おい……お前はそこで何をしている?」

 

 

 

「……何もしてませんよ?」

 

 

 

「ならなぜ立ち去ろうとした?」

 

 

 

「いやぁ……なんか俺のことで揉めてるみたいだったので……」

 

 

 

「ほぉ?なのに立ち去ろうと?」

 

 

 

 ヤバイ、目がマジだ。正直に言おう。怖いです。

 

 

 

 そして彼女はゆっくりと口を開いた。

 

 

 あ、終わったわ。

 

 俺はそう悟った。

 

 

 

「お前のせいだろうが!!」

 

「ごめんなさい!」

 

 

 

 即答した。だってめっちゃ怖かったもん。

 

 

 

 

 

 

 

「全く!心配させやがって、それで体は大丈夫なのか?」

 

 

「ええ、まぁ……」

 

 

 

「ならいいけどよぉ……」

 

 あれ?思ったより優しい?

 

 

 

 もっと怒鳴られると思ったんだけど……。

 

 

 

「あのぉ……、怒ってないんですか?俺のせいで……」

 

 

 

「まぁ確かに今回の件はお前のせいだけどよぉ……」

 

 

「ですよね……」

 やっぱり怒るよね。

 

 

 

「まぁ無事だったから私は許してやる」

 

 

 

「えっ?」

 

 

 今なんて言った? 聞き間違いか? いや、そんなはずはない。

 

 

 このは間違いなくこう言った。無事に帰って来たんだから今回は許してやると。

 

 

 

 俺は嬉しくなって思わず彼女を持ち上げたすると、彼女はビクッとして俺を見た。

 

 

 その顔は真っ赤に染まっている。

 

 

 

「お、おい!?何しやがる!?場所お考えやがれ!?」

 

 

 

「ありがとうございます!」

 

 

 

「分かった!分かったから降ろせ!恥ずかしいだろ!?」

 

 

「あ、悪い」

 

 

 俺は慌ててライラを降ろす。

 

 

 

「ったく……、それじゃあ私は行くぞ」

 

 

 そう言ってライラは去っていった。やっぱライラさんやさしぃー。

 

 

 

 説教がなくてよかった、よかった。

 

 

 

 

 俺は再び歩き出したのだが、この後、背後に立っていた赤鬼(アリーゼ)に怒られるのはまた別の話。

 

 

 

 





もうすぐでお気に入り1000人だぁー。


そろそろ憑依ヴェルフの方も書かないと…。

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