寝て起きたら暗黒期!?ベルくんに会うまで死にたくねー! 作:お米大好き
話を終えた俺とシオンは12階層で新技の開発に勤しんでいた。
「【千鳥】………[千鳥千本]!」
タクトがそう言い左から右へと手を動かすと千鳥を発動している右手から雷でできた針が飛び出す。
が。結果は。
「す、すげぇ!千本って言ってるのに5本しかねぇ!………しかもサイズは爪楊枝並だ!………当たれば強いと思うぞ!」
[千鳥千本]は1メートルも飛ばずに消えた。
「嬉しくない励ましありがとうシオン」
「あ、あははは……」
「次だ!……【千鳥】」チチチチ
「
「おお!今度はすげぇ!雷が伸びた!……でも……槍と言うには……」
「それ以上言うなシオン」
千鳥鋭槍は本来千鳥を槍のように数メートル伸ばす技なのだがタクトの千鳥鋭槍は50cm程しか伸びてはいなかった。
「次で最後だ!頼むまともに発動してくれ!【千鳥】……」チチチチ
タクトは右手に千鳥を発動し地面に触れる。
「…[千鳥流し]———あばばばばばっ!!」
「た、タクトぉ?!」
「・・・」プシュー
[千鳥千本]の次に[千鳥流し]を試したタクトだったが結果は酷いものだった。
千鳥を発動している右手以外に電気への耐性がなくただ電撃を浴びるだけの結果になってしまった。
「………使えねぇ………範囲も1メートルほどしかない……」
「……大丈夫か?タクト」
「問題しかねぇが、問題ねぇ」
「どっちだよ!」
「俺のことはいい、試したかったことは試せた」
「おう、ならよかったぜ!さて!ダンジョン探索しようぜ!」
「まあ待て、次はお前だ」
「ん?俺?」
「ああ、お前の【空圧拳】の形態変化を試す、喜べ俺はお前の魔法の応用技を考えた(知っている)」
試したかった技を試し終えたタクトは次はシオンに試させようと考えた。(失敗して欲しいとは少ししか思ってはいない)
「おお!マジかタクト!俺の技に更なる可能性が!」
「あるよ、結構やばいのが」
「教えてくれよ!タクト!どんな技なんだ!」
「ああ、その名も[空手裏剣]だ」
「[空手裏剣]?何だそれ!」ワクワク
「まあ、落ち着け……まず【空圧拳】を出してくれ」
「おう!……【空圧拳】」フーン
シオンはタクトに言われた通り【空圧拳】を左の掌に半透明の空気の塊を作り出す。
「よし!タクト!出したぞ!こっからどうすればいいんだ?」
「簡単だ……イメージしろ…空気の塊が手裏剣の形になるように」
「い、イメージって……んんーーー!」フーン
シオンはタクトの教え方に思うところはあるも深くは考えず、言われた通りイメージをし始める。
「正直千鳥と空圧拳じゃ、物が違いすぎて教え方がわからん」
「イメージ……イメージ……イメージ」フーン
「聞いてねぇか……」
シオンがイメージをし始めて2分が経つ頃だった。少しづつ空気の塊が平べったくなり始める。
「おお、変化してきたぞ、シオン!」
「イメージ……手裏剣」
さらに1分が経つ頃。平たくなった空気の塊は四つの刃をもつ手裏剣へと変わっていた。
「………できた」シュー
「とりあえず投げてみよーぜ」
「おう!………オラァ!」
シオンは左掌にある空気でできた手裏剣を10メートル程先にいるオークへと投げつける。
「グァゥゥ?———」
シオンの投げた手裏剣はオークの胸を魔石ごと貫通しオークを一撃で灰に返した。
「「うわ〜」」
「タクト……これ…モンスター以外に使えねぇよ……」
「……だな……」
「……でもかなり強力だな!この[空手裏剣]ってやつ!」
「…俺の予想以上の威力だったな」
「他にもなんかあるか?タクト!」
「あと一つあるぞ」
「おお!さすがタクト!教えてくれ!」
「[空手裏剣]で満足しとけよ……まあいい、もう一つの技はあるにはあるんだが、多分できない」
「教えられるのに、できない?」
タクトの教えようとしている技は忍空に出てくる技ではなかった。
ただ形が似ていると言う理由だけで教えようとしていた。
「ああ、次教える技はすごく難しいものなんだ」
「それでもいい!教えてくれ!」
「技の名は……[螺旋丸]だ」
「螺旋丸?……何だそれ…」
「んー……なんて説明するべきか……簡単に言うと螺旋回転するエネルギーの塊だ」
「螺旋回転…………」
「まあ、とりあえずやってみようぜ」
「おう!【空圧拳】………イメージ」
———1時間後———
「ダメだ!全然できねぇ!」
「やっぱ無理か………空手裏剣がいけるなら螺旋丸もいけるとおもったんだけどなぁ」
「悪いなタクト……せっかく教えてくれたのに……」
「気にすんな……もともとできるとは思ってない…」
「それはそれでひでぇな!」
「今日はこの辺にして地上に戻ろうぜシオン」
「おう!あんまり探索してない気もするけどな!」
「ダンジョン探索は明日からだ…もともと俺はリハビリと技の検証で来てんだから」
「そうだったのか!なら本格的な探索は明日からだな!」
こうしてタクトとシオンのコンビ結成、1日目のダンジョン探索が終わった。
——アストレアファミリアのホーム——
「ライラの姉御ぉ〜」ヒョイ
「なっ?!お、降ろせ!デイリー馬鹿!」
「降ろすわけないだろ!常識的に考えて!」
「なに逆ギレしてんだテメェ!お前に常識はない!」
タクトはダンジョンから帰宅後すぐ、目の前に居たライラを脇に手を入れ持ち上げた。
「な?!俺に常識がないだって?!何て失礼な!」
「常識がある奴はいきなり女を持ち上げたりなんかしねぇよ!」
タクトとライラが話?をしていると食堂の方から2人の声を聞きつけたリューが歩いてきた。
「おや、帰っていたのですねユウギさん、何をしているんですか?」
「おいリオン!こいつ何とかしろ!」
「お、リューさん、もうご飯できてる?」
「はい、出来ていますよ。今日の食事当番は輝夜です」
「おいリオン!」
「おお、今日は輝夜さんか楽しみだなぁ」
「何普通に会話してんだテメェら!」
「私は先に食堂に行っていますね」
「おい待て行くなリオン!」
「おう、俺ももう少ししたら行く」
「何であのポンコツ、アタシを助けやがらねぇ!」
「多分巻き込まれるのが嫌なんだと思うぞ、ライラ」
「お前は早く降ろせよ!そろそろデイリーも終わっただろ!」
「いつから俺がデイリーをやっていると錯覚していた」サッ
そう言いタクトはライラを降ろし食堂へと向かっていった。
「………は?」
残された少女はただ呆然と食堂へ向かうタクトの背中を見つめていた。
———???side———
とあるファミリアのホーム。そこにはいくつもの死体と2人の生きた男性がいた。1人は仮面をつけ素顔のわからない者、もう1人は眼鏡をかけた全身傷だらけで今にも死にそうな男だった。
地面に伏した眼鏡をかけた男が命乞いをし始める。
「……ゆるして……くれ……俺がわ———」
ドッ
仮面の男はそれ以上言わせまいと男の頭を踏みつけた。
「うぐっ………や……やめ……俺がわ——」
ドッ
再び仮面の男は踏みつける。
少しして無言だった仮面の男が話始めた。
「死にたくないなら喋らないことだ、私をこれ以上イラつかせるな」
「うっ…………」
眼鏡をかけた男は言われた通りに黙った。仮面の男が言っていることが本当だと理解できたからだ。
「……利口だな……一つチャンスをやる……お前が生き残る可能性があるチャンスだ」
「っ?!」
眼鏡の男は驚いた。もう自分は殺されると、助からないと思っていたからだ。
故に男は待った。仮面の男が話すのを。自分が生き残るチャンスと言うものを聞くために。
数秒の沈黙の後仮面の男が話始める。
「…チャンスは一回……ルールは……私がこのホームに火をつける……お前はこのホームから脱出する、それだけだ」
「私が火をつけたらスタートだ……」
「っ!」
眼鏡の男思った。ラッキーだ、生き残れる、いくら俺が重傷を負っていたとしてもホームから脱出くらい簡単だ。と
そう思った直後だった。
ザシッ
4回……仮面の男によって剣が振るわれた。
「あ“あ“あ“あ“あ“あ“———— 」
「……火をつけるぞ……スタートだ……」ボッ
絶叫する男を無視して血のついた剣を持つ仮面の男はホームに火をつけ外へと出て行った。
残された眼鏡の男は焼けるホームの中ただただ叫ぶしかなかった。
「…ふざけるな!………こんなの!……脱出できるわけがない!」
四肢がない男の声を聞く者は……どこにも居なかった………。
———ホームの外———
「お前を生かすわけないだろ……焼け死にながら懺悔でもしてるんだな……」
仮面を付けた男はどこか悲しそうにそう呟いた。
そして後ろに振り返り、焼けていく死体に一言だけ言い残し暗い夜の路地へと消えていく。
「………ごめんな…………」
再びゆっくりとタクトの物語が始まろうとしていた。
できたぁーストックがつきたぁーネタはつきなぁーい
ある意味想定中の早くて7章くらいに深く関わる話かも。