寝て起きたら暗黒期!?ベルくんに会うまで死にたくねー! 作:お米大好き
——ガチャを引いた次の日——
[食堂]
「さて、どうしたものか」
タクトはそう言って手に持つ一枚の紙を見つめ続ける。
【スキル習得の書】
3つの内一つを選ぶ。
詠唱式、
[○番目のスキルを選択、決定]
1つ目、正義の使徒
2つ目、正義の怒り
3つ目、魔力増強
「せめて効果がわかればなぁ。情報の開示も意味なかったし、んー」
この中で俺が欲しいと思うのは[魔力増強]だ。魔力が増えれば千鳥の持続時間も延びる。でもなぁ、正義関係も気になるんだよなぁ。効果のわからないワクワクするスキルを取るか、効果の予想できる無難なスキルを取るか。
「んー、本当にどうしよう……ん?」
俺がスキルについて考えていると食堂にリューさんが入ってきた。
「あ、リューさんおはよう」
「ええ、おはようございます、ユウギさん」
朝から美人と出会えるこの環境…最高だぜ。
「ん?私の顔に何かついていますか?ユウギさん」
「今日もリューさんは可愛いなぁと」
「い、いきなり何を言い出すんですか!///」
どうやらリューさんは可愛いと言われて照れているようだ。その証拠に。
ウィン
ピコン
[エルフを照れさせる] 報酬、器用+20
「ありがとうリューさん」
「……なるほど……デイリーですか」
バレるの早いなぁ。最近は皆デイリーだって気づくようになってきたんだよなぁ。
「可愛いって言うのは本当ですよ?」
「なっ?!///」
最近俺はこの生活に慣れてきた為か平気でこう言うことが言えるようになった。慣れって怖い。まあ、相手は選ぶんだが。
「話が変わるんだけど、リューさん、俺の相談に乗ってくれないか?」
どうせならスキルの事をリューさんにも相談してみよう。
「そ、相談ですか?急ですね」
「ちょっとした事なんだけどね、1人じゃ決められないんだ」
俺はそう言ってリューさんに【スキル習得の書】を見せてリューさんなら何を選ぶかを聞いてみた。
「なっ?!こんなのグリモアと殆ど変わらないじゃないですか!しかも3つの中から選べるだなんて!」
まあ、驚くよね。スキルを選んで獲得出来るんだから正直グリモアよりも希少だ。
「リューさんはどれが良いと思う?」
「そ、そうですねぇ、やはりユウギさんの魔法から考えて3つ目ですかね」
「3つ目、魔力増強だな。まぁ、やっぱ魔法を使うならこれだよなぁ」
やっぱり魔力増強の方が良いのかもな。3つ目にす——「でも上2つも捨てがたい」
俺が3つ目に決めようとしたその時、リューさんがそう呟いた。
「え?」
「私たちは正義のファミリアですし、正義と付くものに悪いものはないかと」
何その理論。結局どれだよ。
「私には決められそうにありません。やはりユウギさん自身で決めるべきかと」
「……え…」
決められないから相談したんだよ?リューさん。
本当にどうしたものか。
「2人して何を悩んでいるのですか?」
「!………輝夜さん」
どれを選ぶか再び迷い始めたところ、いつの間にか食堂に居た輝夜さんが話しかけてきた。
丁度いい所に来てくれた、どうせなら輝夜さんにも聞いておこう。
「実は———」
*説明後
「なるほど、私のオススメは二つ目の[正義の怒り]ですかねぇ」
「おお、何故ですか?」
「効果が予想できるものより予想できないものの方が面白いと思いません?」
「ああ、そういうこと……」
「輝夜、それはあまりにも適当すぎませんか?」
「満足に選ぶ事すらできないポンコツエルフよりはましかと」
「ポンコツと呼ぶなぁ!」
「ポンコツにポンコツと言って何が悪い!」
リューさんが輝夜さんに襲い掛かり喧嘩が始まった。前から思ってたんだが、何故リューさんは輝夜さんにだけはこんなにキレるんだろう。
まあいいや。巻き込まれないうちに離れよう。
[玄関]
「んー、どうしよ「どうしたの?タクト」おお、アリーゼ」
外に出ようとした所を、入り口で待ち構えていた?アリーゼに声をかけられた。
「何か悩み事?」
「ないよ、警邏にも行かないよ」
いつもなら警邏に出かけているアリーゼがここに居るという事は何か目的があるからだ。
「まだ何も言ってないわよ!それより食堂の声聞こえてたわ!」
「何だ、知ってんのか」
「スキルでしょ!私にも教えて!」
3度も説明するのは面倒だ…それにアリーゼには何故か意地悪したくなる。
「アリーゼ、1か2か3、この中の数字で何が好きだ?」
「え、いきなりね……そうね、1かしら」
「ほほう、それは何故?」
「何事も1番の方が良いじゃない?」
何ともアリーゼらしい理由だ。ならそれでいくか。俺は紙を持ち詠唱式を唱えた。
「【1番目のスキルを選択、決定】」
「え、ちょと待って!私まだ何も聞いてないわ!」
俺が詠唱式を唱えると紙が薄くなっていき、5秒とせずに消え去る。
「ん?特に変化がないな」
もうスキルを獲得しているのか?、それとも更新待ち……どっちだ?。
それよりもまずはアリーゼへの対応だな。
「・・・」プクー
頬を膨らませてこっちを見ている。実際にする奴居たんだ。
「アリーゼが一番っていうからぁー」
「何で私のせいみたいに言うのよ!私もしっかりと見て決めたかったぁ!」
「なんかもう面倒だった、食堂に来ずに待ち構えていたアリーゼが悪い、ドンマイ、次があるさ」
そう言って俺は外に出ようとした時、アリーゼが聞いてきた。
「………今日はダンジョンへ行くの?」
「ん?、行かねぇぞ」
「そう、ならいいわ!いってらっしゃい!」
よくわからないがアリーゼは俺がダンジョンに行くかを確認するために待っていたようだ。食堂に聞きにくればよくない?。まあいいや、出るとしよう。
[ジャガ丸くん屋台前]
「おばちゃん、普通のジャガ丸くん一つと小豆クリーム味を一つ頼む」
「はいよ!少し待ってておくれ!」
この世界に来て一度は食べたいと思っていた。つい最近までお金に余裕がなかったり、入院してたりで食べる機会がなかった。たが!ついに食べる事ができる!。
「はいよ、待たせたね、熱いから気をつけて食べなよ」
そう言って屋台のおばちゃんはジャガ丸くんを手渡してきた。
「ありがとうございます……ほら、熱いから気をつけろよ」
俺はおばちゃんから手渡されたジャガ丸くんを一つ、隣にいる金髪の少女へと渡した。
「本当にいいの?」
「いいぞ、いらないなら俺が貰うが」
俺がそう言うと少女はジャガ丸くん取られまいと一気に食べ始めた。
「!……もぐっ…」
「と、取らねぇからゆっくり食べな?アイズ」
「……もぐっ」コク
いやぁ、まさかこんな所で会えるとは思ってなかった。ジャガ丸くんを買いに来たら物欲しそうに屋台を見てんだもんなぁ。こんなの見たら奢ってあげたくなっちゃうよね。
「…美味しかった、ありがとうジャガ丸のお兄さん」
「お、おう、ジャガ丸のお兄さんって……タクトでいいよ」
「…タクト?」
「おう、それが俺の名だ」
「タクト……うん、ありがとうタクト」
「どういたしまして」
子供アイズすげぇ可愛い。
「今度リヴェリアにお金返してもらったらお礼する」
「いいよ、ジャガ丸くんくらい、それより奢ってもらった事リヴァリアさんにはバレないようにしろよ?バレたらゲンコツかもな!」
「ううっ、ゲンコツはもうやだ、タクトと私の秘密!」
「そう、秘密だ。俺はもう行くから、アイズもあまり屋台の前をうろちょろしたらダメだぞ?迷惑になるからな」
「うん…ありがとう」
「じゃあな」
ジャガ丸くんを食べ終えた俺はアイズと別れホームへの帰路を歩いて行く。
帰路を歩いて10分ほどした頃だった。
「おーい!タクトくーん!」
「ん?その声はアーディさ「捕まえたぁ!」ぐはっ」
再びアーディさんのタックルが俺の腹へと決まった。
「一昨日ぶりだね!」
「そ、そうですね…次からタックルはやめてください」
「あはは、ごめんごめん」
本当にこの人は毎日毎日元気だなぁ。可愛い。
「今日は休みですか?アーディさん」.
「まだ巡回の途中だよ、偶然タクトくんを見つけたんだ!」
「仕事中ですか、お疲れ様です!」
俺はそう言ってアーディさんから逃げようとしたのだが、腕を掴まれ逃げる事ができない。
「まあ、待ちなよ!私からの説教がまだだよ!」
「あ……あはは……はい…」
俺は約1時間ほどの説教を街中で受けることとなった。ちくしょう。
「次からはダメだよ!まだLV.1なんだから!中層は早いよ!」
「…はい…以後気をつけます」
「本当にわかってるの?」
「…はい」
「ならよし!」
説教だけならまだいいのに、よりによって街中で受けることになるとは。通りがかる人皆こっち見てるよ。今日は運がないな。
「…話は変わるんだけどタクトくん、明日暇?」
「……予定はありません」
場所を変えて説教の追加だろうか?。どうせなら最初から変えて欲しかった。
「私明日仕事が休みでさ!……デートしない?今度は地上で!」
「……で、デート」
どうやら今日の俺はかなり運がいいらしい。ああ神様ありがとう。
「うん!タクトくんさえ良ければだけど!」
「お願いします!」
「よーし!なら明日の9時にバベル前集合ね!それじゃあね!」
そう言ってアーディさんは走ってどこかへ行ってしまった。アーディさんとデート。ああ、テンションが上がる。今の俺なら
「帰るか……ああ、楽しみだ」
[タクトから少し離れた場所]
「ああ、誘っちゃったよぉ///」
1人の少女が顔を赤く染めていた。
——???side——
壊れた教会で1人、仮面を付けた男が立っている。周りに声を出すものは居らず男の声だけが響く。
「ふざけるな!!何故だ!何故こんな———」
ただ1人、男は何かを見て苛立っている。
「出来るわけがないだろ!!あと少しだったのに!!ここまできて何故条件を追加するんだ!!」
「大切な人達を裏切った!!沢山の人を殺した!!なのに!!」
たった一度のミスから全てを失った。失ったものを取り戻すために生きたた。唯一縋っていたものに裏切られ、男は今にも壊れそうだった。
「あ"あ"あ“あ“あ“あ“!!!」
叫ぶしかなかった。泣くしかなかった。諦めるしかなかった。世界は男に対してどこまでも残酷であった。
だが、そんな男を救おうと近づいてくる人物がいた。
「……やあ」
「・・・」
後ろから声をかけられて男が振り向くと後ろには女が立っていた。20代くらいだろうか、その女は左腕がなく片目に眼帯をしている。その女は今の男にとって最も会いたくて、会いたくない人物だった。
「やっと見つけたよ……———」
お願い、死なないでタクト!あんたが今ここで倒れたら、アーディさんやアリーゼとの約束はどうなっちゃうの? ライフはまだ残ってる。ここを耐えれば、運命に勝てるんだから!
次回、「アーディ・ヴァルマ死す」