寝て起きたら暗黒期!?ベルくんに会うまで死にたくねー! 作:お米大好き
………どうしよう…。
タクトが気を失うと同時にシオンはヘルハウンドへと魔法を発動した。
「オラァァァ!!吹っ飛びやがれぇ!!」ドッ
「ギャイィィ——」
「ガァァァ——」
シオンの
「っし!1発で2匹…だが…」
「ガァァァッ!!」
1匹のヘルハウンドが声を上げたと同時に11匹のヘルハウンドが円状にシオン達を囲う。
「……かなりまずい状況だな…」
「ガルァァァ」
「グウゥゥゥ」
「ルガァァァ」
「……何でだ…」
ヘルハウンドが攻めてこない…全員5メートル程の距離をとってやがる。それにあのヘルハウンド…何かおかしい。何故あいつだけ囲いの外にいるんだ?。
そう思いシオンは囲いの外にいるヘルハウンドを観察してみると
「ガァァァァ」ニィ
「……笑った…?…」
気のせいか?いや…確かに口角が少し上がってた。意思がある?…モンスターが?、ありえないだろ……でもこの状況をどう説明する?。
「ガルァァァ」
「グウゥゥゥ」
「ルガァァァ」
「囲うだけで1匹も襲ってこない……俺が攻撃をするのを待ってんのか?」
もし俺が囲いに突っ込めばあいつらは気絶しているタクトを襲うだろう、それに後ろから火の玉を打たれたら俺もやられる…。なら!戦う方法はこれしかねぇ!!。
「【空手裏剣】ン!!」ザッ
両手に魔法を発動し空気の塊で出来た二つの手裏剣を創り出し、ヘルハウンドへと投げつける。
「ガ———」
「グ———」
手裏剣はヘルハウンド2匹の頭部を貫き、灰へと変える。
「っし!あと10———なっ?!」
喜ぼうとしたのも束の間、シオンとタクトを囲っているヘルハウンド達が円の中心へと火を放とうとしていた。
「ガルァァァ」ボッ
「グウゥゥゥ」ボッ
「ルガァァァ」ボッ
「ッ——ぶっつけ本番だ!成功してくれ!【
シオンの右手を中心に
「ガァァァァァ」
囲いの外でそれを見ていたヘルハウンドは思った。全て命中した、確実に始末した。主人の元へ帰ろう。……そう思い、振り返り動き出した時だった。
「おいおい…どこに行くんだよ…」チチチチ
「ガァァァ———」
ヘルハウンドが声のする方に振り返ると、そこには全身に黒い模様があるさっきまで気絶していた筈の冒険者が立っていた。
「は…はは…ハッハハハハハ!!死体はしっかりかくにんしねぇとなあぁ!!」チチチチ
右手に黒い雷を纏った冒険者がヘルハウンドの前脚を斬り落とした。
「ギャイィィ——「うるせぇなぁ…折角生かしてやったのに騒ぐんじゃねぇよ」チチチチ
そう言って男はヘルハウンドの腹を踏みつける。
「ああぁすげぇ気分がいい…今なら何でも出来そ「タクトォ!!後ろだ!!」
「ああ?——へぇ」
声がする方を振り返ると先程までシオンとタクトを取り囲んでいたヘルハウンド達がタクトへと飛びかかっていた。
「グウウゥゥ!!」
「ガルァァァ!!」
「ルガァァァ!!」
「【千鳥流し】」チチチチ
「グウ———」
「ガルァ——」
「ルガァ——」
タクトへと襲いかかった9匹、踏まれていた1匹、全てのヘルハウンドが雷に触れ灰へと変わった。
「あららぁ1発で終わっちゃったよ面白くね———」シュー
ヘルハウンド達を倒した数秒後、タクトの体から模様が消え始め首裏へと集まる。
「………なるほどなぁ…呪印状態を発動するとあそこまで気分が向上するのか」
かなり強力だがこれからは発動しないようにしねぇとな。もしあのまま続いてたら、多分シオンを攻撃してた。攻撃することが快楽になってたな。
「てか、体がいてぇ…早く帰っ「タクトォ!!怪我はねぇか?!」
「うぉ?!……お前よく言えたなその怪我で」
シオンは軽くだが右手以外を火傷していた。
「このくらいならポーションで治る!それよりさっきのは何だよ?!さっきのタクトすげぇ怖かったぞ?!」
「少し落ち着けよ…さっきのはスキルだよ、発動条件がマインドダウンなんだよ、それを偶然達成したんだ」
「偶然って…どうやって発動したんだ?教えてくれ!」
「お、おう…目が覚めたら変な球体の中にいて、まだ戦闘が続いてるって思ったから魔法を発動したらマインドダウンした」
「変なって……ひでぇ…」
「あ、あれシオンの魔法か…」
「おう、開発中の攻撃を防ぐ為の新技だ」
「防ぐ為の技にしては怪我だらけだぞ?」
「言っただろ?まだ開発中だ…火球を7発までは防げたんだけどなぁ、残り2発はくらっちまった」
「いや、7発防げたら十分だろ…ん?2発くらった?…ならなんで俺は無傷なんだ?」
「6発目で限界だと思ったから咄嗟に左手でタクトだけ覆ったんだよ」
「……よくやった、褒めてやる、ポーションだ飲め!!」グイ
「ちょ、タクト?!ポーションを押し付けるな?!自分で飲むから!!」
こいつ……ガチの善人だ。今まで疑っててすまん。
[ダンジョン一階層入口]
「戻ってキタァァ!!」
「やったな!タクト!」
一時はどうなるかと思ったがなんとか帰還できた。
「後は魔石を換金して帰るだけだな!」
「換金は任せたぜ!タクト!」
「おう!今回の稼ぎが楽しみだぁ!!」
俺達はダンジョンを出たあとギルドの換金所へと向かった。
[ギルド前]
「・・・」
「げ、元気出せってタクト!今回は運が悪かったんだ!」
「・・・」
「元々数はあるけど高値では売れないかもって話はしてただろ!」
「……そうだけどさぁ」
「今回は仕方なかったんだ!」
「全部換金して1万8千ヴァリス……」
中層で取った魔石の殆どに傷があり、ヘルハウンドの魔石は千鳥流し、や空圧拳のせいで砕けていた為、値があまりつかなかった。
「…ほら、9千ヴァリス」
「9千ヴァリスも駆け出しの俺らには大金だぜ?タクト、だから元気出せって!」
シオンの言う通りではある。俺達はまだ駆け出しだ、それにシオンは俺と組む前は換金自体していなかったらしいし。
「…わかってるよ、明日はもっと稼ぐ」
「おう!明日も同じ時間でいいよな?タクト」
「ああ、それで問題ない……すごい今更なんだけど、シオンはこの3日間何してたんだ?」
「本当に今更だな…主神様が用事で3日間留守にするからその間だけホームで留守番だ」
「そういえば所属はお前だけだったな」
「おう!でも今はコンビがいるがな!」
「このコンビ相手が女なら言うことないんだけどなぁ」
「さらっとひでぇこと言いやがった?!」
「まあまあ、話はここら辺にしてもう今日は解散しようぜ、疲れた」
「そうだな!、じゃあまた明日!」
そう言ってシオンは街中を抜けて帰って行った。あいつよく走れるな、疲れ知らずか?。
「まあどうでもいいや。俺もホームにかえ「タクトの隠してた秘密はこれか」
ホームに帰ろうとした時、後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。
「…幻聴か?早く帰って休もう」
「おいおい、わかってんだろ?後ろ向けよ」ガシ
おっと、服を掴まれた。やっぱり幻聴じゃなかったかぁ。くそったれ。
「おやおや、ライラさんではないですか、お疲れ様です」
そう言って逃げようとしたのだが。
「何逃げようとしてんだ、LV.1がLV.2に掴まれて逃げれるわけねぇだろ」
「離してください…服が伸びます…」
「なら逃げるのをやめろよ」
「っち……わかりました」
「お前今舌打ちしただろ…まあいい、別に怒ったりしねぇからさっきのやつのこと教えろよ」
「俺よりあの男をとるの「あ"?」
「冗談です……実は————」
「なるほどねぇ、このご時世、流石に他所のファミリアとダンジョン探索はやべぇんじゃねぇか?」
「そうだな…でもまあ、結果論だけどシオンはいい奴だったし?」
「開き直んな………まあ、お前が信用してんならそれでいいと思うぜ?アリーゼ達みたいに怒ったり、止めたりはしねぇよ」
「やっぱりライラさんはいい人!」
「ただ、私に弱みは握られてると覚えておけよ?」
そう言ってライラは笑った。
「やっぱりライラさんは悪い人!」
「そんなこと言っていいのかぁ?アリーゼにチクるぞ?」
「ごめんなさい…それだけは勘弁してください」
「そうそう、そういう態度でいいんだよ、チクられたくないなら今から言う二つのルールを守れ」
「ルール?」
「ああ、一つ目は2度と私を持ち上げるな!!毎度毎度目が合うたびに持ち上げやがって!!」
「もしかして嫌だったのか?!」
「嫌に決まってんだろ!恥ずかしい!!次やったらアリーゼに今回のことチクる!」
「っく……わか…た…」
「なんでそんなに苦しそうなんだよ!!」
「っく………二つ目はなんだ……」
この世界での俺の娯楽が一つ消えた。
「二つ目は簡単だ、もしさっきの奴となんかあったらアタシに教えろ」
「?…なんかあったらって?」
「喧嘩したり、裏切られたりしたらって意味だよ」
「ライラさん……あんた…優しいんだねぇ」
ライラの出した条件はあってないようなものだ、寛大だなぁ、いつも嫌がらせみたいなことしてるのに。バレるのがライラでよかった。本当によかっただって。
「うぜぇ、まあわかったならいい、帰るぞ」
「おう、帰ろう!よっこいしょっと」バッ
そう言って俺はライラを持ち上げた。
「おいやめろ!ここは外だぞ!///」
「その顔が見れて我満足」
「なっ?!テメー!アリーゼにチクられてもいいのか?!///」
「いいよ?まあもしチクったら俺もライラがこの前カジノに行ってたことチクるけど」
「なっ?!なんで知ってやがんだ!!」
「デイリーを甘くみてはいけない」
その後一悶着あったが結局2人とも黙っているって事で話がついた。
——シオンside——
「ただいま帰りました!主神様!!」
「おや、帰って来たんだねシオン」
「はい!今日少しですが冒険をしました!ステータス更新お願いします!」
「いいよ、そこに座ってくれるか?」
「はい!」
「よし、さっそくステータスを更新しようか」
「お願いします!
最近リメイクしようか迷っている。多分しない。
親の件いらなかったなぁ。