寝て起きたら暗黒期!?ベルくんに会うまで死にたくねー! 作:お米大好き
今回は自分なりに結構いい出来してると思う。
「
そう言ったシオンの体からは厚さ5センチほどのオーラの様なものが溢れ出ていた。
「そりゃ、全身に魔法を纏ってるわけだしな、いつもより消費する魔力が増えるのも仕方ねぇよシオン」
「んー、で?こっからどうすればいいんだ?タクト」
「俺のするイメージでは体に纏った空気のお陰で防御力アップ!みたいな感じなんだが」
「…よし!なら全力で俺を殴ってみてくれ」
シオンは腰を落とし両手を重ね前へと突き出した。
「お、おう。殴られる気満々かよ……まあいい、効果も気になるしな。それじゃあいくぞぉ。——らぁ!」
「おう!———うおぉぉ!?」
タクトがシオンの掌へと拳をぶつけた直後、シオンの体は後方へと吹っ飛んだ。
「…うわ。8、いや10メートルは飛んでったか?」
吹っ飛ばされたシオンは10メートル程先で体制を立て直し、何とか両足で着地する事に成功していた。
「おーい、シオン。大丈夫か?」
「…お、おう。痛みはない。多分タクトの言った通り防御力は上がってると思う。でも、殴られただけで吹っ飛ぶのは…」
「実戦じゃ使いにくいな…」
「これならまだ空圧球の方が便利だと思う」
「それもそうだな、この技は失敗作だな…って、そろそろ魔法解除しろよ…マインドダウンしちまうぞ?」
「おっ、そうだっ———んなぁぁ!?」
「なっ——シオン!?」
魔力の無駄遣いを指摘されシオンが魔法を解除しようとした時だった。腹部辺りから空気が吹き出しシオンは目にも止まらぬ速さで再び後方へと飛んでいく。
「うぉわぁぁぁ!?」
ズガガガッ
上手く地面に着地することができずシオンは土塗れになりながら地面を転がる。
「…っ。何でだ?腹から空気が吹き出した?」
服についた土を払いながら、原因を考える。しかし答えは出ない。結果、シオンはもう一度魔法を発動する。しかし吹き飛ぶ事はなく、再び空気の膜を体に纏う。
「……変化はない、何でさっきは」
「魔法を解除したからじゃね?」
近くまで来ていたタクトがそう言った。
「解除したから?」
「俺の予想だがお前のその状態は風船に近いんじゃねえかな」
「風船?あの?」
「おう、あの風船だ、結んでない風船って吹き口を摘んでないと空気が逃げるだろ?。纏っている状態=摘んでいる。魔法の解除=摘みを離す。って感じじゃねえかな」
「摘みを…離す…」
さっき俺が吹っ飛んだのは
身体に纏った魔法を一部解除、そうしては再び発動。手や足、背中に頭。至る所から空気が吹き出し、シオンを高速で移動させる。
「シッ!!次ィ!!」
シオンの攻撃は的確に怪物を捉えその巨体へも剣を振るう。
一度斬っては離脱、離れればまた近づき斬る。そうしてシオンは
「コザカシイ!!」
怪物はなんとか反撃しようと試みるが、シオンのスピードに付いていけず、一方的に攻撃を受けるだけだった。
「ラァ!!——次ィ!!」
シオンの連続攻撃を受け続け怪物の体は血塗れになり、傷だらけになっていた。しかし少しづつ古い傷が癒えていく。
それでもシオンは攻撃の手を止めない。止めることなくただ只管に斬り続けた。
「ヴヴゥゥゥ……」
(傷の治りが遅い…このままでは)
「どうしたァ!もう限界か!俺はまだまだいけるぞぉ!!」
「コノテイドノコトデ……マケルカァ!!」
シオンの言葉に怒りを覚えた怪物は全身に力を入れると、その筋肉を少し膨張させた。
「ヴモォォォ!!!」
シオンの攻撃により怪物の体にいくつもの切り傷が出来ている。そこからは大量の血液が流れ出していた。
「俺達だって負ける気はねえよ!!」
シオンの攻撃は更に加速していく。
「ヴゥゥォォオオオ!!!」
シオンの攻撃を耐え続ける怪物だったが、徐々にその勢いに押され始めていた。
「ヴヴゥ…オマエモ……コロシテヤル」
怪物の瞳には強い殺意が込められていた。
「返り討ちにしてやる!」
シオンも同じように鋭い眼光を怪物へと向ける。
「ヴヴヴヴヴァアアアアア!!!」
シオンの怒涛の攻めを受け止め続けていた怪物が遂に動き出した。
シオンの猛攻を受けながらも力任せに振り上げた拳を地面に叩きつける。
「なっ!ぐはぁ」
地面から飛び出した巨大な
「ヴゥ……フハハハハッ」
笑い声を上げながら怪物はシオンへと歩み寄る。
「——っ」
(いてぇ……クソ!)
「ドウダ……イタイダロウ」
(くそ!油断した)
シオンの表情は苦痛に歪む。
「モウジユウハアタエナイ……シネェ!!」
「やべッ」
迫りくる拳を避けようとシオンは後ろへと飛ぶが、怪物はその拳を振り下ろした。
「ヴヴヴウウ」
轟音と共に大地は割れ、土煙が舞い上がる。
「……」
(あの攻撃を受けていたら……流石に死んでたかもな。それよりここからどうするか…そろそろ魔力が限界だ…)
シオンは
(魔力が尽きるまでにあいつを倒す方法はあるのか……?)
(斬っても斬っても再生は止まらない。残り魔力も少ない。…仕方ねぇ……賭けにでるか)
土煙が晴れる。
「ヴヴ……ヤツハドコエイッタ…」
怪物は今の状況に困惑していた。何故なら目の前にいた筈の男がいないからだ。
「ドコダ…」
怪物は周りを見渡す。しかしどこにもそれらしき姿はない。
「————ここだぜ」
「ッ!?」
背後から聞こえた声に怪物が振り返る。そこには剣を構えたシオンの姿が見えた。
「これで終わりだ!!」
直後背中から空気を吹き出し、シオンは一瞬で怪物との距離を詰める。
そして
「グガァァァア!!」
突き刺しそのまま腕を捻り、怪物の血肉を魔石ごと引き裂いた。
「まだまだ——っ!」
そして直ぐに剣を抜き取り再び剣を突き刺そうとした直後、怪物の腕が横からシオンを襲った。
「ッ!危ね!」
間一髪で避けると、怪物の体を蹴り飛ばし距離を取る。
「ヴヴヴヴヴヴヴヴ!!」
怪物は怒り狂っていた。それは自分の体がズタボロにされた事への怒りなのか、それともただ単に痛めつけられた事に怒っただけなのかは分からない。
ただ言える事は一つ。怪物は冷静さを失い、本能のまま暴れている。
「ヴゥガアァアアア!!」
「ッ!まじかよ!」
怪物は今までとは比べ物にならない程の速さでシオンに攻撃を仕掛けてきた。
「速い!!」
先程までのシオンならばこの攻撃を避けることが出来ただろう。だが今のシオンにそんな余裕は無かった。
避けきれないと判断したシオンは咄嵯に剣を盾にし、その攻撃を防ぐ。
「ぐぅ!————やばい」
攻撃を防いだものの、余りにも威力が高かった為、シオンは後方へ吹き飛ばされてしまった。
「うおぉ!……なんてパワーだよ」
何とか体勢を整え着地すると、怪物は追撃を仕掛けるべくシオンへと向かってきていた。
「ヴゥオオォオ!!」
「チッ!少しは待てよ!!」
怪物は拳を振り上げ殴りかかってきた。
「ヴゥヴァア!!」
「クッソ!!」
なんとか剣で防ごうとするも、その圧倒的なスピードにシオンは完全に押されていた。
(このままじゃやられる!!)
その時、怪物が動きを止め。一つの影がシオンの前に現れた。
「おい……さっきはよくも殴り飛ばしてくれやがったな…」
「————え?」
シオンの前に現れたのはボロ雑巾のような姿になった男だった。その男はフラつきながらも、しっかりと二本の足で立っていた。
「待たせて悪かったな…
その言葉を聞いたシオンは笑みを浮かべる。
「タクト……もう戦えないと思ってたぞ!!」
シオンの言葉に笑みを返し、タクトは怪物へと向かい合った。
「ヴゥオオォオ!!」
怪物は再び雄叫びを上げながら突進してきた。
「
次の瞬間、眩い光に包まれたタクトの体に雷が流れ始める。
「いくぜ……
「おう!行こうぜ
二人は同時に駆け出した。
アルマ・トール
アルマトゥーラ=鎧
トール=雷神?
かな