寝て起きたら暗黒期!?ベルくんに会うまで死にたくねー!   作:お米大好き

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設定はしっかり練らないとね、見切り発車は後が怖い…。


第三章、堕ちた精霊
第一話、女の子の泣き顔に興奮するのは間違っているのだろうか。


 

 

 

 

「—————」

(またここか…)

 

 

 

 タクトが目を覚ますと再び真っ暗な空間にいた。

(やっぱ何も見えねえな…)

 

 

 辺りを見渡すが何もない暗闇が続くだけ。

(さっきまで戦ってたよな……)

 

 

 タクトは自分の記憶を呼び起こす。

(確か、俺は…)

 

 

 

 直後目の前に映像が現れる。そこには先程までの戦闘が映し出されていた。

 

 

 

(これは……)

タクトは食い入るように映像を見つめる、まるで映画を見ているような感覚になる。

 

 

 

(俺…頑張ったよなぁ…ん?)

 しばらくすると、場面が変わった。

 

 

 

 映像にはタクトとシオンそして2人のそばに1人の少女が転がっており、それと対峙する人物がいた。

 

 

 

(シオンのやつ泣いてるのか?…てかなんだよこれ……)

 

 

 タクトは困惑した表情を浮かべる。こんな場面は記憶にない。

 

 

 

 一体何が起きているんだ。そんな事を思いながら、映像を再び眺める。

 

 

すると、突然タクトの視界が歪んでいっく。

 

 

(なっ……!)

 

 

 

 タクトは慌てるが、どうすることもできない。徐々に意識が薄れていく。

 

 

 

(クソ…続きを…)

 タクトは必死に手を伸ばすが、その手が何かを掴むことはなくタクトは完全に意識を失くした。

 

 

 

直後

 

 

 

ザザザッ……。

 

 

 

 

 画面にノイズが入り映像が切り替わった

 

 

 

 そこには腹から血を流し倒れているシオンと謎の化け物と戦っている片腕のないタクトが映し出されていた。

 

 

 

 

────────────

 

 

 

 

「———っ!」

 タクトは再び目を覚ました。

 

 

「ここは……」

 そこは見覚えのある場所。

 

 

 

「病室よ」

 

 

聞き慣れた声が聞こえた。

 

 

「アリーゼ…」

 タクトは上半身を起こし、声の主の方へと顔を向ける。

 

 

 

「良かった……目が覚めたのね……」

 

 

 

 そう言ってアリーゼは安心した表情を見せた。

 

 

 

「あー……、心配かけたみたいだな……」

 

 

 

 タクトは頭を掻きながら答える。

 

 

 

「本当よ……運び込まれた時はかなり重傷だったのよ……」

 

 

 そう言うとアリーゼは涙を目に溜めながら微笑む。

 

 

 

「……悪かった」

 タクトは素直に謝った。

 

 

 

 実際タクトが目覚めたのは、あの戦いから3日間眠っていた。

 

 

 病院に運び込まれた時のタクトの容態は酷かったらしく、一時は生死の境を彷徨っていたらしい。

 

 

 

 タクトは改めて自分の体をまじまじと見る。全身包帯だらけで痛々しかった。

 

 

「本当に生きててよかった……」

 

 

 アリーゼはタクトの手を握り、涙を流している。

 

 

 

「ああ、そうだな」

 

 

 

 タクトはその手に優しく触れる。その手は温かく、生きていることを実感できた。

 

 

「あっ、そ、そうだ!タクトが目覚めた事を報告してこなくっちゃ!」

 

 

 

「あ、ああ…頼む」

 

 

 

 2人はお互いに目を合わせると、照れくさくなったのかすぐに目を逸らしてしまった。

 

 

 

「じゃ、行ってくるわ」

 

 

「ああ、よろしくな」

 

 

 タクトは軽く手を振ると、アリーゼは部屋を出て行った。

 

 

 

「ふぅ……」

 

 

 タクトは息をつくと、ベッドに横になった。

 

 

 

「…………疲れた」

 タクトは天井を見ながら呟いた。

 

 

 

 

 あの後シオンはどうなったんだ?。てか誰が俺を病院に運んだんだ?。

 

 

 

 疑問が次々と浮かんでは消えていく。

 

 

「まぁ、いいか、シオンなら大丈夫だろ」

 

 

 

 タクトは考えることを放棄した。

 

 

コン、コン。

 

 

っと、ドアがノックされる。

 

 

 

 誰だ?と思いながらも、「どうぞ」と返事をすると

 

 

 

 ガチャリ、と扉が開かれ、そこから現れたのはアリーゼではなくフィンさんであった。

 

 

「こんにちは」

 そう言って微笑むと、タクトの横に座る。

 

 

「……どうも」

 

 タクトも挨拶を返す。

 

 

 

「体の調子はどうだい?」

 

 

 

「見ての通り、ボロ雑巾です」

 

 

 

「はははっ、確かにそうだね」

 

 

 冗談混じりで言った言葉だが、どうやら通じたようだ。

 

 

 

「それで、今日は何しに来たんです?」

 

 

 

「単刀直入に言おう。ダンジョンで何が起きていたのか教えてくれないかい」

 

 

 

「ダンジョンで……ですか」

 

 

 

「ああ、ギルドの指令で僕達が現場に着いた時には全てが終わった後だったみたいでね」

 

 

 

「なるほど」

 

 

「そこで君に話を聞きたいと思ってね」

 タクトは少し考え込む。

 

 

 

(どこまで話すべきか……)

 正直に全てを話すわけにもいかない。シオンの存在がバレる可能性だってある。

 

 

 

(嘘をついてファミリアの皆に迷惑はかけれないし…)

 

 

 タクトは黙り込んでしまった。

 

 

 

「……どうかしたかい?」

 

 

 

「いえ、なんでもありません」

 

 

 

「何でもないって感じには見えないけど……何か隠し事でもあるのかな?」

 

 

 

「なっ……」

 タクトは驚いてフィンさんの顔を見る。

 

 

 

「図星、かな」

 フィンさんは楽しげに笑みを浮かべている。

 

 

 

(この人には敵わないな……)

 タクトは観念したようにため息をついた。

 

 

 

「ははっ、そんなに警戒しないでくれ。別に無理矢理聞き出そうとしている訳じゃないんだから」

 

 

 

「そう言われてもですね……」

 

 

 

「僕はただ真実を知りたいだけなんだ」

 

 

「……わかりました」

 タクトは渋々ではあるが、ダンジョンでの出来事を一部を伏せて語った。

 

 

「……ということがありまして」

 ダンジョンが哭いたこと、直後に怪物が生まれた事、そしてその怪物の能力についてを話した。

 

 

 

「魔石を破壊しても死なないモンスター……俄かに信じ難いね」

 

 

 

「はい、俺自身今でも信じられません」

 

 

 

「だけど、それが事実だとしたら厄介極まりないな……」

 

 

「えぇ……」

タクトとフィンはお互い深刻な表情をした。

 

 

 

「ところで、君はどうやって生き残ったんだい?」

 

 

「それは……

 

 

 

気合でなんとかなりました」

 

 

 

「ははっ、相変わらず面白いことを言うね」

 フィンさんはそう言って苦笑いを浮かべている。

 

 

 

「でも、あれは本当になんだったんでしょうか……」

 

 

 

「わからない……けど、言えることは一つだけだね」

 

 

 

「なんでしょう」

 

 

 

「これから先もっと恐ろしいことが起きるかもしれない……」

 

 

 

「はい……」

 

 

 タクトは真剣な表情のまま答えた。

 

 

 

「さて、あまり長居しても悪いからそろそろ帰るよ」

 

 

 

「そうですか……」

 

 

 

「あぁ、そういえばもう一つ聞きたいことがあったんだ」

 

 

 

「聞きたいこと?なんですか」

 

 

 

「君と協力していたであろう「タクト君!!目が覚めたって聞いたよ!大丈夫!?」

 

 

 フィンさんの言葉を遮るように突然病室の扉が大きな音を立てて開き、アーディさんが勢いよく入ってきた。

 

 

 

 

「え…あ、はい。無事です…」

 

 

 

「良かったよぉ……」

 アーディさんは目に涙を溜めながら俺の手を握る。

 

 

 

「あ、ありがとうございます。心配かけてすみませんでした」

 

 

「うん、本当だよ!」

 

 

 俺が謝るとアーディさんは握っていた手に力を込める。

 

 

 

 正直かなり痛かったが、今ここでそれを言うのは憚れたので黙っていることにした。

 

 

 

「どうやら僕はお邪魔みたいだから、これで失礼するよ」

 

 

「あ、はい」

 そう言うとフィンさんは椅子から立ち上がり部屋から出て行った。

 

 

 

「タクト君……」

 

 

 

「は、はい……」

 

 

 

「本当によかった……」

 

 

 すると、急にアーディさんの体が震え出す。そして、大粒の涙を流し始めた。

 

 

「え、ちょ…」

 

 俺はどうすればいいかわからず、慌ててしまう。

 

 

 こんな時、女性の扱いに慣れていればどうにかできたのだろうか……。

 

 

  しかし、今の俺には何もできない。ただオロオロすることしかできなかった。

 

 

 

  俺の焦った様子が面白かったのか、戻ってきていたアリーゼがそれを見て吹き出した。

 

 

 

「ふふふふふふっ……!!」

 

 

 

「ちょっ、アリーゼ、笑うんじゃねえ」

 

 

 

「ごめんなさい……ふふふふっ……」

 

 

 俺が抗議するが、アリーゼはそれでも笑い続けている。

 

 

 

「だって、タクトが困ってるのが面白くって」

 

 

 

「そりゃあ、あんな顔されたら誰だって戸惑うだろうが」

 

 

 

「ふふっ、そうね」

 

 

 

 アリーゼはまだ笑っている。そんな様子を見て、恥ずかしくなってきた。

 

 

「ほら、アーディさんも、もう泣かないでください。こっちまで泣きたくなってきます」

 

 

「ぐすっ、はーい」

 まだ目は赤いが、ようやく落ち着いたようだ。

 

 

 

 その後検診に来ていたアミッドさん…ちゃん?に体を見てもらい明日には退院許可が出た。

 

 

 骨や傷は殆ど治っていて、全身に火傷が少し残っているんだとさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で?聞きたいことは聞き出せたのか?フィン」

 

 

「半分ってところだよ、ガレス」

 

 

 フィンは小さく肩をすくめる。

 

 

「ダンジョンの異変については詳しく聞けだけど、討伐の協力者については口を閉ざしていたからね」

 

 

 

「お主から見てあやつは白か?それとも」

 

 

「黒か……って聞きたいのかい?」

 

 

「…そうじゃ」

 

 

 

「まぁ、今のところシロだね」

 

 

 

 フィンは遠くを見ながら答える。

 

 

 

「ただ、彼からは不思議なものを感じるんだよ」

 

 

 

「ほう?」

 

 

「なんて言えば良いか分からないんだけど……彼はまるでこの世界の人間じゃないような……そんな感じかな」

 

 

 

「……とうとうボケたか?」

 

 

「酷いな……これでも結構真面目に話しているつもりなんだけど?」

ガレスは呆れ顔でため息をつく。

 

 

 

「じゃあ聞くが、この世界じゃないってどういう意味なんじゃ」

 

 

 

「言葉通りの意味さ」

 

 

「わからんな」

 

 

 

「そうだろうね、ただ彼と話している親指の疼きが強くなっていく……」

 

 

 

 フィンは自分の親指をさすりながら考え込む。

 

 

「……とりあえず今はそれで納得しておくとすわい」

 

 

 

「助かるよ」

 

 

「お主がこう言うときは大抵何かあるからのう……」

 

 

 

「ははっ、信用してくれてるんだね」

 

 

 

「……何年一緒にいると思っておる」

 

 

「そうだね……十年以上になるね」

 

 

 

「ああ……」

 

 

 

「……どうしたんだい?元気がないね」

 

 

「……少しあの小僧が気掛かりなんじゃよ」

 

 

「彼のことかい?」

 

 

「……お主もそうじゃろ?なんせあの小娘の忘れ形見なんじゃからのう」

 

 

「……否定はできないね」

 

 

 

「今頃どうしておるのか……」

 

 

 

「僕達が気にした所で何も変わらないよ。それに……」

 

 

 フィンは言葉を区切り、空を見る。

 

 

 その視線の先には雲一つない青空が広がっていた。

 

 

 

 そしてその瞳にはどこか懐かしむ様な光が宿っていた。

 

 

 

 

 






魔法詠唱考えるの…つら…い…。
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