寝て起きたら暗黒期!?ベルくんに会うまで死にたくねー!   作:お米大好き

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3週間ぐらいあいたかな?久しぶりの投稿だぁ!

ストックなど無い。どうしよう…。

その場のノリで変な設定付け加えたり、遊戯王のカードを出したりしたのを今更後悔…。


第三話、一時の感情に身を任せるのはやめよう。

 

 

 

 

 

時は夕暮れ

 

 

 少し古びた孤児院。その庭先に1人、子供が立っていた。

 

 

 

 まだ10にも満たないであろう小さな少年は何をする事もなくぼんやりと空を見る。

 

 

 

 すると、そこへ誰かがやってきた。

 

 白髪の修道服を着た女性。その見た目はまだ大人になりたてに見える。

 

 

 女性は少年に近づくと前にしゃがみ込み、話しかけた。

 

 

 

「ふふっ。また外で待っていたの?」

 

 

 女性はそう言うと優しく少年の頭を撫でる。すると、少年は嬉しそに微笑み、コクリとうなずいた。

 

 

 それをみて女性はニコっと笑う。

 

 

 とても優しい笑み。だけどどこか悲しげな雰囲気を出しながら。

 

 

 

「おかえり…お姉ちゃん」

 

 

 

「ただいま。シオン」

 

 

 

 そう言ってシオンの手を取り立ち上がると、一緒に手をつなぎ孤児院の中へと入って行った。

 

 

 

 

 

 

——————

 

 

 

 

 

 

 

(やべぇ……やべえよ!何だよあれ!?)

 

 

 

 俺は今、絶賛全力疾走中だ。

 

 

 

 後ろからは、足音と怒号が聞こえてくる。

 

 

「タクトぉー!!待ちなさいぃ!!」

 

 

 

「待てと言われて待つ馬鹿がいるかよ!」

 

 

 っと叫び返すとさらに速度を上げる。

 

 

 しかし、すぐに追いつかれ方を掴まれた。

 

 

 足を止めチラッと背後を見ると、そこには般若のような顔をしたアリーゼがいた。

 

 

 

「その紙を渡しなさい!!」

 

 

「嫌に決まってんだろォがァァ!!!」

 

 

 

 この紙にはなぁ!男にとっては何にも変えられない大切なものが書かれてんだよォォ!! そう思って必死に抵抗するが、レベル差で敵うはずがなく、あっさりとその紙は奪われてしまった。

 

 

 そして、俺の目の前でビリビリに破かれる。

 

 

 アリーゼはその様子に満足そうにウンウンと何度もうなずく。

 

 

「これでよし」

 

 

「よくねぇよ!?」

 

 

「……さぁ、次はアナタの番よ、タクト」

 

 

 そう言ってアリーゼは俺の首根っこを掴む。

 

 

「ちょっ、まっ、落ち着けって!」

 

 

「問答無用!」

 

 

 

俺は抵抗するが、結局捕まり、ズルズルと来た道を引き摺られていく。

 

 

 

 どうしてこんな事に……。

 

 

 

 事の始まりは数時間前に遡る。

 

 

 

 

 

───────────

 

 

 

退院から3日が経った頃。

 

 

 

「ダンジョンに行きたいです」

 

 

 俺はファミリアメンバーの前で堂々と宣言する。

 

 

 すると、皆んなが一斉に俺を見つめてきた。

 

 

「突然どうしたのタクト」

 

 

「タクト君が変なのはいつもの事ですよ」

 

 

「タクトは相変わらずだね」

 

 

 と、三者三様の反応を見せる。

 

 

 

 失礼だなあんたら……。

 

 

 

 まぁ、確かに日頃の行いがある分、否定しないが……。

 

 

 

 俺は咳払いを一つして話を続ける。正直、今の現状に不満はない。

怪我も完治し、体調もバッチリ。

 

 

 

 働かなくてもご飯が出てくるし、ステータスはデイリーで上げられる。文句のつけようがない。

 

 

 でも、今の間に少しでも強くなっていないと死の七日間を生き抜ける気がしないのだ。

 

 

 

 退院後毎日、鍛錬を欠かさずやっている主に腕立て。それに輝夜さんに刀の使い方も習ってはいる。

 

 

 

 だが、それだけでは限界もある。だからこそ、こうして頼み込んでいるわけなのだが……。

 

 

 

「ダメよ」

 

 

 案の定、アリーゼが却下してきた。

 

 

 そりゃ、分かっていたよ。でも、頼むよ! そう思って見つめるが、アリーゼは首を横に振るだけだった。

 

 

 

 くそっ……こうなったら最後の手段だ。

 

 

 俺は意を決して、ある神物に目を向ける。

 

 

 

 それは……アストレア様だ。

 

 

 アストレア様にお願いすればきっと……! そんな淡い期待を込めてア

ストレア様を見る。

 

 

 

 

 すると、アストレア様はこちらの視線に気づいてくれたのか、ニコッと笑い返してくれた。よし、これなら行けるぞ! 俺はグッと拳を握りしめ、アストレア様の口が開かれるのを待つ。

 

 

 しかし、次に出てきた言葉は予想外のものだった。

 

 

 

「今日の闇派閥(イヴィルス)の隠れ家襲撃作戦にタクトも参加するって言うのはどうかしら」

 

 

 

「え?いや、俺は……」

 

 

「賛成です!」

 

 

「私もいいと思います」

 

 

「私も構わないわ」

 

 

「私も」

 

 

 俺以外の全員が賛成の意を示す。

 

 

 

 いやいやいやいや

 

 

 いや、ちょっと待ってくれ。

 

 

 

 なんで急にそんな話に?、俺はダンジョンに行くって言っただけですよね!?

 

 

 

「いや、流石に冗談ですよね?」

 

 

「偶にはいいんじゃないかしら、そういうのも」

 

 

 そう言ってクスッと笑う。

 

 

 

「偶にはファミリアの活動に参加するのもいいと思うぞ?タクト」

 

 

 

「そうですね。偶にはこういうのもありでしょう。タクトさんは基本巡回などには参加していませんでしたし」

 

 

 

 アリーゼとネーゼさんそれにリューさんまで……! なんだよそれ……! まるで俺が普段何もしていないみたいな言い方じゃねえか! 事実だけど!

 

 

 

「それに、今回の件はタクトにとって良い経験になるはずだぜ」

 

 

「そうだな。小僧はもう少し冒険者との戦い方を学ぶべきだろう」

 

 

 ライラと輝夜さんがそう言いこっちを見て、うんうんとうなずいている。

 

 

 

 あ、これ無理なやつだ。完全に逃げられないやつだ。

 

 

 俺は観念してため息をつくと、アストレア様に向き直る。

 

 

「…分かりました。参加しますよ」

 

 

 そう言うと、アストレア様は嬉しそうに笑った。

 

 

「ふふっ、ありがとうタクト」

 

 

 

 こうして俺の闇派閥隠れ家襲撃作戦の参加が決まった。

 

 

 

 

その数時間後

 

 

 

 

 

 

 

「ここか?闇派閥の隠れ家って場所は」

 

 

 ダンジョンに行くはずが何故か闇派閥の隠れ家に行く事になった俺は今アリーゼにリューさん、それとネーゼさんと共にとある建物の近くにいた。

 

 

 建物はそこまで大きくはなく、周りに生えている木々に隠されるように建てられている。

 

 

 パッと見では普通の民家にしか見えないが、恐らく間違いないだろう。

 

 

 何故そう思うかというと、見張りが立っているからだ。

 

 

 その数は2人。装備から見てLV.1か?

 

 

 正直、レベルだけ見れば大したことはない。

 

 

 しかし、相手は曲がりなりにも闇派閥の構成員。

 

 

 レベルが低いからと言って油断はできない。

 

 

「思っていたよりも小規模ね。さて、どうするべきかしら?」

 

 

 アリーゼは俺の隣に立ち、辺りを見渡す。

 

 

「…面倒だし正面突破でよくない?。アリーゼとリューさんなら一瞬でしょ」

 

 

 

 早く帰りたい。見返りのない偽善って疲れるんだぞ?そう思いながら提案するが、アリーゼは首を横に振った。

 

 

「駄目よ。一応闇派閥って事にはなってるけど、まずは事実確認が先!。もし間違えでした、ってなったら最悪じゃない!」

 

 

 

「まぁ……確かに」

 

 

 それは一理ある。

 

 

「という事でタクト。アナタが調べてきて頂戴」

 

 

「……はい……はい?」

 

 

 今なんて言ったこの女? 俺が調べてくる? 冗談だろ? いや、マジで勘弁してくれよ……。

 

 

 

「こういうのも経験しといて損はないわ!大丈夫!何かあってもタクトの実力なら何とかなると思うわ!それにいざとなったら私達もいる

し!」

 

 

 

 そう言ってアリーゼは、グッと親指を立てる。

 

 

 

 ふざけんな!…何が悲しくて闇派閥のアジトに単身乗り込まなきゃいけないんだよ!。

 

 普通、こういうのはもっと強い人が行くべきだろ! 例えば、リューさんとか! ネーゼさんとかさ! 。なのにどうして1番弱い俺が行く事になるんだよ!

 

 

 

 俺が抗議の声をあげようとすると、リューさんに肩を掴まれた。

そして、

 

 

「諦めなさい、ユウギさん…アリーゼは一度決めた事を曲げない」

 

 

 と言われてしまった。……ちくしょう! 結局、俺がやるしかないのか! 俺は、心の中で涙を流す。

 

 

 くそっ……こうなったらヤケだ!やってやんよ! 俺は覚悟を決め、建物の方に歩き出す。

 

 

 

 建物に近づくと見張りの男達が俺に気付き、話しかけてきた。

 

 

 

 

「止まれ!ここは関係者以外立ち入り禁止だ。何をしに来た?」

 

 

 見張りの男は武器に手をかけ、警戒している。まあ当然の反応だ。

 

 

 いきなり知らない奴が近づいてきたら誰だって怪しむ。

 

 

 しかし、ここでビビッていては何も始まらない。

 

 

 俺は、男達の目を見ながら口を開いた。

 

 

「おいおい、お客様に対して随分な態度じゃないか」 

 

 

 

 これぞ俺の考えた最高の策! 

 

 適当な事を言って話が合わなければ実力行使作戦!

 

 

 さあ来い!動き出したと同時に電撃を浴びせてやらぁ!。

 

 

しかし、そう言うと、男が眉を潜める。

 

 

「…客だと?お前みたいな子供がか?…いや、子供だからか?…」

 

 

 ん?なんか雲行きが…。

 

 

「俺たちが何を扱っているか知って言っているのか?」

 

 

「ああ、勿論」

 

 

 嘘です。知りません。でも、そんな事言えねぇ。

 

 

 だが、そんな俺の言葉を聞いて、男の態度が変わる。

 

 

「お前も…同志ってわけか…いいぜ、中に入りな」

 

 

 

「ふっ、感謝するぜ」

 

 

 え?え?え?なんで?なんでそんな簡単に通すの? いや、逆に好都合だけど! でも、もうちょっと疑うとかしない?

 

 

 俺は内心の焦りを隠しつつ、建物の中に足を踏み入れる。

 

 

 

 すると、建物の中には複数の人間がいた。全員闇派閥の構成員だろう。

 

 

 しかし、俺を見ると全員が頭を下げた。……本当になんなの? これじゃあ、まるで俺が偉くなったみたいじゃん!

 

  俺は案内されるがまま、部屋に入るとそこには一人の私服を着た男性立っていた。

 

 

 その男性は俺に気付くと笑顔を浮かべて声をかけてくる。

 

 

「いらっしゃいませ、お客様!。本日は何をお求めで?。あ、申し遅れました。私は当店の店長のガラードと申します。以後お見知りおきを」

 

 

 

 …………うん、どうしよう。

 

 

 俺、こんなに丁寧に対応された事ないんだけど。

 

 

 

 正直、ここまで丁寧だとどう返せば良いか分からない。

 

 

 とりあえず、当たり障りのない感じで返すか。

 

 

「ああ、よろしく頼む。今日は商品を見に来たんだが、何かオススメはあるか?」

 

 

 そう言うと、ガラードは嬉しそうに笑った。

 

 

「はい!もちろんございますとも!。ささっ、こちらへどうぞ!」

 

 

「あ、ああ……」

 

 

 

 言われるがままにさらに奥の部屋へと連れていかれる。

 

 

「さて、お客様。本日のおすすめですが、こちらなどいかがでしょうか?」

 

 

 

 そう言って取り出されたのは10枚ほどの紙束だった。

 

 

 

 大きさは一般的なノート等と同じくらいで、表紙にはアストレアファミリアと書いてある。

 

 

 恐らく闇派閥の構成員から手に入れた情報をまとめたものだろうか。

 

 

 俺はそれを手に取る。

 

 

「これは……?」

 

 

「はい。そちらは今大勢のお客様から一番人気のアストレアファミリアでございます」

 

 

「ほ、ほう…一番人気がある…」

 

 

 俺はページをめくり中身を見る。

 

 

 

 

……成る程……そう言う事かぁ…。

 

 

 

 そして、全て見終わると俺は静かに紙をガラードさんに渡す。

 

 

 

 ガラードさんはそれを受け取ると、笑顔のまま俺の方を見た。

そして、俺の口からは自然と言葉が出た。

 

 

 

「【象神の詩(ヴィヤーサ)】はありますか?あ、あと【九魔姫(ナイン・ヘル)】も」

 

 

 俺がそう言うと、ガラードさんの表情が一瞬固まる。

 

 

しかし、すぐに笑顔に戻ると ゆっくりと口を開いた。

 

 

 

「お客様は…申し訳ありませんが、【九魔姫(ナイン・ヘル)】は取り扱いしておりません。もしもエルフの方に見つかれば捕まるだけではすみませんので」

 

 

 そりゃあそうか……。まあ予想はしてたがな。

 

 

 

「ですが【象神の詩(ヴィヤーサ)】は人気ですので在庫は豊富にございます。もし宜しければご覧になりますか?」

 

 

 そう言ってガラードさんは俺を手招きする。

 

 

 俺はそれに黙ってついて行く。

 

 

──────────

 

 

 

 

 

 

 

アリーゼside

 

 

「本当に良かったのか?団長。タクト1人に向かわせて」

 

 

 

 

 タクトが建物に入って少しした頃。ネーゼが私に尋ねてきた。

 

 

 

 確かに、ネーゼの言いたい事は分かる。

 

 

 タクトはまだ冒険者になって1ヶ月程度。

 

 

 普通なら、私達も一緒に行くべきだと思うだろう。

 

 

 

 でも、それじゃあダメ。闇派閥が蔓延るこの時代、少しでも経験を積んでおかないといざという時動けない。

 

 

 だからこそ、今回の件を任せたのだけれど……。

 

 

 私はチラッと隣にいるリオンに視線を向ける。

 

 

 彼女は無言で建物の方を見つめていた。

 

 

(……やっぱり心配よね。私も人の事言えないけど……)

 

 

 私は苦笑いを浮かべると口を開いた。

 

 

「大丈夫よ。タクトの強さは本物だわ。きっと、上手くやってくれるわよ!多分!」

 

 

「そう……だな。よし!アタシ達がここでウジウジ悩んでても仕方ない!今は信じて待つとしよう!」

 

 

 

「ええ、そうね」

 

 

 

 私はネーゼの言葉に微笑みながら答える。すると、今度はリオンが口を開いた。

 

 

「ユウギさんは……本当に大丈夫でしょうか?。中に入って結構な時間が経ちますが……」

 

 

「そうねぇ……でも、見張りの人達に変かわないし、静かさからして戦闘をしているとも思えないわ」

 

 

 実際、このアジトに入ってからかなり時間は経った。でも、今のところ誰かがやられた気配はない。

 

 

 だから、まだ無事だと思う。

 

 

 だけど、それはあくまで推測に過ぎない。

 

 

 何が起こるか分からない以上、早く助けに行きたい気持ちもある。

 

 

 でも、焦って失敗すれば元も子もない。

 

 

「だから、もう少し待ちましょう?。タクトを信じて……」

 

 

 「……そうですね。分かりました」

 

 

 私がそう言うと、リオンは納得してくれたようだ。

 

 

 これでひとまず安心。後はタクトが帰って来るのを待つだけ。

 

 

 

 しかし、タクトは1時間ほど経っても戻って来なかった。

 

 

「遅い……な」

 

 

「ええ……いくらなんでも遅すぎます……」

 

 

 流石にここまで時間がかかるとは思ってもなかった。

 

 

 

 タクトの事だから、既に仕事を終えて出てくると思ったのに……。

 

 

 

「まさか、中で何かあったんじゃねえか!?」

 

 

「それも…考えられるわね」

 

 

「っ!そんな!。なら、ユウギさんを今すぐ呼び戻します!」

 

 

「待て、リオン!。それは危険過ぎる!もしかしたら人質にされてる可能性も……」

 

 

「だ、だが。ネーゼ!このままでは……」

 

 

 

 ネーゼがリオンを落ち着かせようとするが、リオンは気が気でない様子だった。

 

 

 確かに、この状況は危険かもしれない。でも、もし本当にタクトが囚われているのだとしたら、今すぐに助けるべきだと思う。

 

 

 

 その判断を間違えば、取り返しのつかない事になるかも知れない。

 

 

 しかし、だからと言ってここでただ待っているのは違う。そう考えていると、私の脳裏にある考えが浮かぶ。

 

 

 

「……リオン。ちょっと良いかしら?」

 

 

 私は声をかけると、リオンはすぐに反応した。

 

 

 そして、ネーゼも私を見る。

 

 

私はそれを確認すると、自分の考えた事を二人に伝え、行動に移した。

 

 

────────────

 

 

 

 

 

タクトside

 

 

 

「ははは、お客様はこちらの様なものがお好みなのですか?ならこの娘など」

 

 

 ガラードさんが嬉しそうに紙束をペラペラとめくっている。

 

 

 

 俺は今、最高に興奮している。

 

 

 だってそうだろ?。こんな美少女達の絵がいっぱいあるんだぞ?。

 

 

 俺が絵を見ながらニヤけているとガラードさんが俺に声をかけてきた。

 

 

「お客様。どうですか?。気に入った娘はいましたか?。なんなら全種買われていきますか?。あ、もちろんその分お値引きさせていただきます」

 

 

 俺はガラードさんの言葉に思わず顔を上げる。

 

 

「ほ、本当か……!?」

 

 

「はい。お客様が満足していただけるのであれば、喜んで」

 

 

「そ、そうか!ありがとう!」

 

 

 やったぜ!。これさえあれば毎晩がパラダイスだ!。……あれ、俺なんか忘れてる気が…

 

 

 

 まあいいか。

 

 

「お客様は素晴らしいお客様だ。これからも贔屓にお願いします」

 

 

「ああ、分かった!。ガラードさん、また来るよ!」

 

 

「はい。是非に!。次回のお越しをお待ちしております!」

 

 

 こうして俺は最高の気分でお店を出ようとした、その時だった。

 

 

「た、大変です!!」

 

 

 突然、奥の部屋から一人の男が慌てて出てきた。男は息を切らせながら、ガラードさんに詰め寄る。

 

 

「アストレアファミリアに見つかりました!!」

 

 

 

「なんだと!?。馬鹿な!どうしてここが……。に、人数は!?何人来ている!!」

 

 

 

「・・・」

 

 

 

やっべー。完全に忘れてた…。

 

 

 

「な、なにこれぇ!?裸の絵が沢山!?それも女性ばかり!!」

 

 

 

 扉の向こうからアリーゼの声が聞こえてくる…。

 

 

 

「おい団長!!これ私らの絵じゃないか!?」

 

 

 

 おっとネーゼさんの声も聞こえる。

 

 

 

 

 ……やばい、これはやばい!。

 

 

「くっ!もう見つかったのか!。仕方ない、お客様申し訳ありません。裏口がございます。そちらから脱出いたしましょう」

 

 

「あ、あぁ……」

 

 

 ガラードさんがそう言うと、俺は黙ってついて行く。

 

 

 しかし、途中で足を止めると振り向いて口を開いた。

 

 

「な、なあ。ガラードさん。1つ頼みがあるんだけど」

 

 

「な、なんです?。あまり時間はありませんが……」

 

 

「なに、簡単な事さ。この絵達をタダで売ってくれ…そしたら俺があんたが逃げる時間を稼ぐ」

 

 

「な、何を言っているのです!。貴方はお客です!!私達の事情に巻き込むわけにはいきません!」

 

 

「あんたが捕まれば、この店は終わりだ!!。だが、あんたが生き残ればまだ店の一つや二つ作り直せるだろ!!」

 

 

「で、ですが!」

 

 

「いいから行けよ!。俺の夢、いや、男達の夢はあんたのに託した!」

 

 

 

「わ、分かりました。本当にすみません……」

 

 

「気にすんなって。それより早く逃げてくれ」

 

 

「は、はい、分かりました……」

 

 

 ガラードさんはそう言うと、急いで裏口に向かっていった。よし、これでとりあえずはガラードさんは大丈夫だろう。

 

 

 

 後はアリーゼ達ををなんとかしないとな。

 

 

 

「全部聞こえてたぜ?タクト…」

 

 

 

「そりゃそうですよね……」

 

 

 俺は苦笑いを浮かべると、ゆっくりと振り返った。

 

 

 そこには、怒りのオーラを纏う獣人とヒューマンが立っていた。

 

 

 

「その手に持っている紙を渡しなさいタクト。それは私達にとって必要な物だわ」

 

 

「悪いが渡せねぇ相談だな。こいつは俺のコレクションだ」

 

 

 俺は2人に睨みつけられながらも、余裕な態度を崩さない。

 

 

 すると、裏口の方からガラードさんを拘束したリューさんが入ってきた。

 

 

 

「アリーゼの言った通り、裏口にって……こ、これは一体どういう状況ですか?」

 

 

「申し訳ありません…お客様…」

 

 

 なに捕まってんだよぉ!?おっさん!?

 

 

「ふ、ふざけんじゃねえぞ!?お前が捕まったら意味ねえじゃねえか!?」

 

 

 

「本当に面目ございません……」

 

 

 ガラードさんは謝りながら涙を流していた。きっと自分が情けないと思っているに違いない。

 

 

 

 だが、今はそんな事を考えている場合ではない。目の前にいる二人の女は今にも飛びかかってきそうな勢いでこちらを見ているのだ。

 

 

「タクト。大人しく渡しなさい」

 

 

「タクト、素直に渡すなら命までは取らないぞ」

 

 

 俺はそんな二人を見ながら、冷静に考える。

 

 

 正直、今の俺では勝てる見込みはないに等しい。でも、ここで諦めたら俺は自分の欲望を満たす事が出来ない。

 

 

 せっかく手に入れたんだ!。絶対に手放してたまるか!。

 

 

「嫌だと、言ったらどうするんだ?」

 

 

「力ずくでも奪うまでだ!」

 

 

 ネーゼが俺に飛びかかろうとすると、横からリオンが割り込んでくる。

 

 

 リオンは俺を守るように両手を広げて、ネーゼの前に立ち塞がる。

 

 

 そして鋭い眼光を放ちながらネーゼを睨んだ。

 

 

「な、何をしている!?どうしてユウギさんを襲うのですかネーゼ!」

 

 

「リオン……どけ。私はタクトに用事がある」

 

 

「どきません!。何故このような真似をするのです!」

 

 

 

リューさん…。俺が言うのも何だけど、そんなんだからいつまでも輝夜さんにポンコツって言われるんですよ。

 

 

「ッ……タクト。少し聞きたいことがある、答えてくれるか?」

 

 

「お、おう……」

 

 

「お前…絵を買ったのか?。私達の絵を……」

 

 

「い、いや…買ってない。見ただけ…だ」

 

 

 俺はそう言うと、手に持つ紙を背後に隠し、数枚、ズボンへと挟んだ。

 

 

 

「本当か?。嘘をついていると、痛い目にあうぞ」

 

 

 

「ほ、ほんとだって……。信じてくれよ…買ってはない…」

 

 

 

 俺は冷や汗を流しながら必死に言い逃れようとするが、

 

 

 

「ん?ユウギその背後に隠している紙はなんですか」

 

 

 

 リューさんが俺の手から紙を奪った。

 

 

 

「な!?なななな!?何ですかこれは!!」

 

 

 

 やっべぇ!?。

 

 

 俺は慌てて後ろを振り向くと、リューさんが顔を真っ赤にしてプルプル震えていた。

 

 

おいおいおい死んだわ俺…。

 

 

 

 

1時間後

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺は正座をしながら、アリーゼとネーゼさんの前で説教を受けていた。

 

 

 理由は簡単である。闇派閥お店で、買い物をしたからだ。

 

 しかも、殆どがファミリアメンバーのもの。

 

 

 

 当然、メンバーは怒っていた。

 

 

 特にアリーゼなんかはもうプンスカ怒っていて、俺はひたすらに頭を下げ続けていた。

 

 

 ネーゼさんも同様だ。

 

 

 ちなみにガラードさんも一緒に正座をしているのだが、彼はアリーゼ達にボッコボコに殴られたらしく顔が腫れ上がっていた。

 

 

 

「ふぐっ…うふ♡……うぐ…」

 

 

 しかし、何故か嬉しそうだった。……Mなのかな?このおっさん?。

 

 

 

 そしてリューさんはと言うと。

 

 

「・・・」

 彼女は未だに顔を真っ赤にし思考が停止している。

 

 

 

 

「本当に申し訳ありませんでした…この通りです」

 

 

 俺は土下座の体勢を取る。すると、上から声が聞こえてきた。

それは、怒りに満ちた女性の声。

 

 

 俺はゆっくりと見上げると、そこには鬼の形相を浮かべているアリーゼがいた。

 

 

 あぁ、終わったわこれ。

 

 

 そう思った時、アリーゼは口を開いた。

 

 

 だが、彼女の口から出てきた言葉は意外なものだった。

 

 

 

 

「今回だけ…今回だけ許してあげるわ」

 

 

 

 アリーゼはそう言うと、俺に手を差し伸べる。

 

 

 え?マジ?。

 

 

 俺は驚きながらもその手を握り返す。アリーゼの表情を見ると、まだ怒りの感情はあるものの先程よりはかなりマシになっていた。

 

 

 ま、まさかこんな形で許されるとは思わなかったぜ。

 

 

 いやまてよ。ここで調子に乗ってしまうとまた同じ事を繰り返してしまうかもしれない。

 

 

 ここは慎重に行動しなければ。

 

 

 俺は立ち上がると、そのまま出口に向かって歩き出す。そして扉を開けると、振り向いて笑顔で口を開く。

 

 

 ありがとう、皆。俺は幸せ者だよ。先ホームに帰って反省しとくね!。

 

 

 

 そう言って店を出た瞬間に全力疾走した。

 

 

 

 懐から一枚の紙を落とした事に気が付かず。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 やった!やった!やった!逃げ切った!手に入れた!隠し通した!!

あの地獄のような時間を乗り切れたぞぉぉぉぉぉぉ!

 

 

 

 

「あとはこれをバレないよう部屋に隠さねえと」

 

 

 

 

 店から離れ、街中を走って行く。すると、後方から物凄い足音が近づいてきた。

 

 

 振り返ると、そこには鬼のような形相をして追いかけてくるアリーゼの姿があった。

 

 

 

 やばい、やばすぎる!?あれは、完全にキレている!?。

俺は慌てて走る速度を上げた。

 

 

 

 

冒頭に戻る。

 

 

 

 

俺は抵抗するが、結局捕まり、ズルズルと来た道を引き摺られていく。

 

 

「ごめんなさい!本当にごめんなさい!魔が刺したんです!!どうか!、どうかそれだけは許してください!!お願いします!何でも言うこと聞きますから!だから!それだけは!それだけは勘弁してください!」

 

 

 俺は泣きながら懇願する。

 

 

 

「・・・」

 

 

 

 しかし、アリーゼはそんな俺の言葉に耳を傾ける様子もなく引きずっていく。

 

 

 そして、とあるファミリアのホーム前まで来ていた。

 

 

 そこは俺の所属するアストレアファミリアのホームではない。

 

 

 ガネーシャファミリアのホームだ。

 

 

 アリーゼの目的はただ一つ。

 

 

 

「説教がダメだったんだもの…もうこうするしかないわ」

 

 

 

 アリーゼは俺をガネーシャファミリアのホームに連れ込む。

 

 

 そして、ガネーシャファミリアの団員達にある人を呼ぶように声をかけた。

 

 

 

 頼む!!出かけていてくれ!。

 

 

 

 

 しばらく待つと、奥から一人の女性がやってきた。

 

 

 

 

「珍しい!アリーゼがホームまで来るなんて、って…何でタクト君引きずられてるの?」

 

 

 

 終わったぁ……アーディさん。あなたは、何で今日に限ってホームにいるんだ……。

 

 

 俺は絶望しながら、アーディさんを見る。

 

 

 

 彼女は、不思議そうな顔をしながら俺を見つめてきた。

 

 

 俺は何とか言い逃れようと、頭をフル回転させるが全く思いつかない。

 

 

 

「タクト、貴方……闇派閥から絵を買ったでしょ?。しかも、私達の絵を」

 

 

「・・・」

 

 

 

「沈黙は肯定とみなすわよ」

 

 

「・・・はい」

 

 

 俺は観念して、正直に答える。

 

 

 

「と、言うわけでアーディ。よろしく頼むわ」

 

 

「な、何を!?話が読めない!」

 

 

「大丈夫、2、3日牢屋に入れるだけで良いから。罪状は本人に聞いてちょうだい」

 

 

 

 そう言ってアリーゼは俺を置き去りにホームを出て行ってしまった。

 

 

 

 

「え?えぇぇぇぇぇぇ!?」

 

 

 

 

 こうして俺はガネーシャファミリアに引き渡されてしまった。

 

 

 その後、アーディさんに事情を説明させられ、ハイライトの消えたアーディさんに牢へと入れられた。

 

 

 

 

 

「……明日から…どうしよう…」

 

 

 

俺はただ牢屋の中で呆然としていた。

 

 





ダンまち18巻最高でしたね!。特にリューさん!

アストレアレコード読んだ後に読むと……最高ですね!。
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