寝て起きたら暗黒期!?ベルくんに会うまで死にたくねー!   作:お米大好き

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今回結構短いです。

次回は長くなると思います。

誤字報告ありがとうございます!。


第九話、覚悟

 

 

 

 

 

 早朝6時。

 

 

 ライラは1人、ホームを出て街を歩いていた。

 

 

 

「タクト達が見たっつう17階層のナニカ…ガネーシャファミリアが2日調査してもなんの手掛かりもなし…」

 

 

 

 ダンジョンから帰還したタクト、ノイン、マリュー、イスカはアリーゼに報告後ギルドへ調査願いを出し、その後すぐにギルドも動きガネーシャファミリアへと依頼を出したのだが、結果は芳しくないものとなった。

 

 

 

「使えねぇな…憲兵の野郎共も私達も…」

 

 

 

 悪態をつくように吐き捨てながら何か情報はないかと聞き耳をたてながら街を歩く。

 

 

 

闇派閥(イヴィルス)の奴らは何を考えてやがる…近頃ダンジョンから離れた場所でばっかり問題を起こしやがって)

 

 

 その対処にここ数日全団員が駆り出されている。

 

 

 

「…まあ、一度勇者様に報告しとっ──」

 

 

 

「会いたかったぜぇ、【狡鼠(スライル)】」

 

 

 

 突然背後に現れた女に、ライラは反応が遅れてしまった。

 

 

「なっ、テメェ。アラクニ───」

 

 

 

 ライラは最後まで言葉を発する事が出来ず、頭部から血を流しそのまま意識を失った。

 

 

 

「さあて……テメェらこの鼠をダンジョンに連れてけ。殺しちまってもいいが、なるべく生かしたままにしろよぉ?」

 

 

 

『『はっ!』』

 

 

 

「ったく……めんどくせぇ。まあ、これが終われば戦力は劇的に強化されんだ。それまでの我慢……待っていやがれぇフィ〜ン」

 

 

 

 そう言ってニヤリと笑うと女は姿を消した。

 

 

 

 

「────」

(またここか…)

 

 

 

 暗闇の中

 

 

 見えているのか見えていないのか分からない謎の空間。

 

 

(なんだろうな此処は…こんなのスキルにも出てなかったし…んー)

 

 

 

(…もしかしてカサンドラの予知夢みたいな特殊なケース?いやでも最初の頃はこんなのなかったしなぁ……)

 

 

 

(……何かきっかけがあった?。んー、わからん)

 

 

 

(ん?…それよりいつもならそろそろ映像が見え始めてくるはずなのに……何も見えないな……)

 

 

 

 疑問に思いながらもしばらく待つと、目の前にぼんやりと光が現れた。

 

 

 

(お、来た!……って、なんだこれ?)

 

 

 

「───」

 

 

(人型の白い…影?いや、違うな……人型ではあるんだけどなんかこう、輪郭がぼやっとしているというか……)

 

 

 

 そんなことを考えていると、突然ソレが動き出した。

 

 

 

(動いた…?)

 

 

 

 その人型はこちらにゆっくりと向かってくる。

 

 

 

「───違えるな」

 

 

 

 

(話した…?。いや、それよりこの声は──)

 

 

 

「分岐点は──」

 

 

 

(分岐点…?)

 

 

 

「──選択を──違えるな」

 

 

 

(もしかして…そういう事か?()()忠告してんのか……?)

 

 

 

「お前─選択──未来─める」

 

 

 

 

 その言葉を最後に人型から発せられていた光が輝きを増していきタクトを包み込んだ。

 

 

 

 それと同時に、意識が遠のいて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目を覚ます。

 

 

 

 辺りを見渡すとそこは見慣れた自分の部屋だった。

 

 

 

 時計を見ると針は6を指そうとしていた。

 

 

 

 まだ、起きるには早い時間だ。

 

 

 

(今回は覚えてんな…)

 

 

 

 目が覚めたと同時に前回の夢で見た映像を思い出し身震いしそうになるが、何とか堪えた。

 

 

 

(前回に見た映像…なんであの記憶は持ち越せなかった?それに今回の事は…)

 

 

 

(分岐……選択肢……多分あいつが言いたかった事は……)

 

 

 

 手元にある一枚のカードを見つめながら、タクトは少しの間考えた。

 

 

 

 だが、どれだけ考えても答えなど出るわけもなく。

 

 

 

 小さくため息をつき考えるのをやめた。

 

 

 

「はぁ……まぁ、いいか」

 

 

 そう呟き、部屋を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ、誰もいない…出かけてんのか?」

 

 

 部屋を出て、リビングへと向かうとそこには誰の姿もなかった。

 

 

「ふむ、とりあえず飯作るか……」

 

 そう言うとタクトはキッチンへと向かい、手際よく朝食を作り始めた。

 

 

 そして、ものの10分で料理が完成した。

 

 

 「いただきます」

 

 

 タクトはそう言って食べ始める。

 

 

 

「ん〜、へっほう、うめぇあ」

 

(おー、結構うめぇな)

 

 

 

 口いっぱいに頬張りながらそう言った。

 

 

 

「ほうひへばひょうのヘイリーっへあんだろ…」

 

 

 

(そう言えば今日のデイリーってなんだろう)

 

 

 

 タクトは口をモゴモゴさせながら今日のデイリーを確認する。

 

 

 

「……ふぁ?」

 

 

 

 

【デイリー】

 

 

 

・[欠損] 報酬、止血

 

 

 

・[覚悟] 報酬、スキルクールタイムリセット

 

 

 

・[ダンジョンへ] 報酬、全ステータス+50、敏捷+25

 

 ダンジョンへ向かわなかった場合運命の改変が永久的に不可能となります。

 

 

 

【ウィークリー】

 

・[生き残れ]残り時間、2時間と3分 報酬、───

 

 

 

 

「────」

 

(───マジかよ)

 

 

 

 驚きのあまり持っていた手の力が抜けフォークを落としてしまう。

 

 

 

「嘘……だろ……?」

 

 

(俺の知らないナニカがもう始まっている?…それに欠損に止血って…)

 

 

(このウィークリー、報酬が…それ程のことが起きる…のか?)

 

 

 

「……クソッ」

 

 

 

 タクトは悪態をつくと急いで出来る限りの準備をしホームを出た…

 

 

 

 

 

 

のだが

 

 

 

 

 

 

「…ライラの武器……?」

 

 

 

 ホームの外に出てすぐ、玄関扉の前にライラの武器が置いてあった。

 

 

 

「なんでこんなところに……?…これ、手紙か……?……っ!?」

 

 

 

 武器を重さに手紙が挟まれている事に気づき手に取ると、そこには状況を

 

 

 察するに余りある内容が書かれていた。

 

 

 

 

狡鼠(スライル)は預かった、17階層で待つ。助けを呼ぶこと、逃げる事を我々は許さない。もし我々を失望させるような行動をとった場合は、人質の命はない』

 

 

 

「……っ」

 

 

(見られて…監視されてる)

 

 

 

 場所まではわからない、それでも複数の視線を感じる。

 

 

 

「……ははは」

 思わず乾いた笑いが出てしまった。

 

 

 

「もう、ホームの中には戻れない…助けも呼べない…つまり、自力でどうにかしないといけないのか……」

 

 

 

(こういう時こそ落ち着け…まずどうすればいい……?。相手は複数?、目的は、要求はなんだ?……)

 

 

 思考を巡らせ、頭をフル回転させて状況の打開策を考える。

 

 

 しかし、いくら考えてもこの状況の突破口が見つからない。

 

 

 

(くそ……考えろ……考えるしかない)

 

 

 

 焦りながらも必死に頭を回転させる。

 

 

 

(多分目的は俺だけ…じゃないと闇派閥がわざわざライラを生かしたまま連れ去る必要なんてないしな……)

 

 

 

(だとしたら……なんで俺なんだ)

 

 

 

(考えられるとしたら……)

 

 

 

 

「……あのクソ猿のテイマー」

 

 

 

 

タクトはそう呟くと、拳を強く握りしめ歯を食い縛った。

 

 

 

(…アーディさんからある程度情報はもらってる…俺とあいつのレベル差は1。魔法を使用すれば勝てる可能性はある)

 

 

 

(でも、問題はそこじゃねぇ)

 

 

 

「もしも17階層から感じてた視線がテイムされたモンスターなら…」

 

 

(そんな奴らに俺一人で立ち向かう?無理だ)

 

 

 

(武器は壊れて性能が低い物を使ってる、それに17階層に行くまでどれだけ体力が持つか……)

 

 

 

「……チクショウが」

 

 

 小さくそう呟き

 

 

 

(時間がないかもしれない…走りながら考えろ)

 

 

 タクトは駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ダンジョン[2階層]

 

 

 

(視線を感じなくなった?)

 

 

 

 タクトは3層への階段を降りながら周りを警戒していた。

 

 

 しかし、先程まで感じていた複数の視線がいつの間にか消えている。

 

 

 

「……罠?」

 

 

 

(いや、違うな。そもそもそんな事する必要もないはずだ)

 

 

 

(違う…今はこの先、生き残る方法を考えろ!)

 

 

 

 タクトは自分の頬を叩き、自分に言い聞かせるようにして再び足を進めた。

 

 

 

「──オーイ

 

 

 

[16階層]

 

 

 

 

 道中何度か戦闘が繰り広げられるも、タクトは魔法を使用し次が来る前にモンスターを仕留めその場を後にする。

 

 

 

 結果中層で起きるはずの連続戦闘を回避していた。

 

 

 

 

 そして、ついにタクトは目的地である17階層へと続く入口に到着した。

 

 

 

 

「……着いちまったか」

 

 

 

(ここまで来るのに結構な時間が掛かったな……)

 

 

 

「この先に……視線は感じない…それでもやっぱり怖えな…」

 

 

 

(逃げたい…勝てる可能性は低い。というよりほぼゼロに近い)

 

 

 

(作戦も何も思いつかなかった)

 

 

 後一歩が踏み出せない。

 

 

 

(怖えなぁ…)

 

 

 

 

(痛いんだろうな……)

 

 

 

 

(苦しいんだろうな……)

 

 

 

 

 

(嫌だな……)

 

 

 

 

 

(行かなくても……)

 

 

 

 

 

 

(どうしようもなかったって…言えばアリーゼ達も)

 

 

 

 頬を涙が伝う。

 

 

 

(ここで逃げたとしても誰も責めたりしない)

 

 

 

 言い聞かせる。

 

 

 

 

(そうだ……これは仕方がなかったんだ)

 

 

 

 自分は悪くないと。

 

 

 

 

(俺にはどうしようもないんだ…)

 

 

 

 

 誰も自分を咎めはしないと。そう思い込もうとした瞬間だった。

 

 

 

 

 

 

『降ろせデイリーバカ!』

 

 

 

 

 

『お、おい!?何しやがる!?場所お考えやがれ!?』

 

 

 

 

 

『おいやめろ!ここは外だぞ!』

 

 

 

 

 

 

『……まったく!小学生は最高だぜ!!』

 

 

『あ?』

 

 

 

 

 

 不意にライラとの思い出、言葉を思い出した。

 

 

 

 

 

 

「…はは…ろくな思い出もねーのに……なんで今更……」

 

 

 

 思わず笑ってしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

(あ〜、クソッ、こんなんじゃダメだろ俺!!)

 

 

 

 タクトは目元を袖で拭い、大きく深呼吸をする。

 

 

 

 

(ここでやらなきゃ絶対に後悔する…今までなんとかなったんだ。今回だって!)

 

 

 

 

 

「やってやる…!」

 

 

「おう!…ふぅ…やってやろうぜタクト!」

 

 

 

 

 

「…おま!?」

 

 

 

 

 タクトが覚悟を決めたその時

 

 

 背後から聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 

 

 

 

 

 






 
 闇派閥なら真っ先に人質は始末しそうな気がする。
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