寝て起きたら暗黒期!?ベルくんに会うまで死にたくねー!   作:お米大好き

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好きなキャラだけに、アニメでカサンドラ苦手な人結構いて悲しい。





第10話、捕食者

 

 

 

 

 

「あーもう!次から次へと問題を起こして、本当に暇な人たちね!!」

 

 

 

 

「ぐぁぁぁぁッ───!」

 

 

 

 

 オラリオに複数存在する魔石工房の一つにタクト、ライラを除くアストレアファミリアの全員が集まっていた。

 

 

 

 

「団長、ここ数日の闇派閥の動き…どう思う?」

 

 

 

 

「そうねぇ…何かを狙っている、もしくは探しているみたいだった……かしら?」

 

 

 

「探している?何をですか?アリーゼ」

 

 

「それは分からないわ。けど、そんな気がする」

 

 

「勘……という事ですね……」

 

 

 輝夜が質問し、アリーゼが答える。

 

 

そして、それを聞いていたリューが確認すると、アリーゼは首を縦に振る。

 

 

 

「まあ、今は考えても仕方ないんじゃないか?こう言うのはロキファミリアのブレイバーに任せた方がいいだろ」

 

 

 

「ネーゼの言う通り、今私達にできるのは少しでも早く現場に駆けつけて被害を最小限にすることよ」

 

 

 

 ネーゼの意見にアリーゼが賛同し、他の団員達も同意するように首を縦に振る。

 

 

 

「よし!それじゃあホームに帰りましょうか!ライラも勇者に報告して新しい情報を持って帰ってきてるかもしれないわ!」

 

 

 

「「「「「おおーー」」」」」

 

 

 

 

「私は新しい仕事が増えないことを祈ってお──」

 

 

 

 

 その場から去ろうとした時、一人の少年が現場に飛び込んできた。

 

 

 

 

「…ハァ……ハァ…みつ…けた」

 

 

 

 

 その顔は真っ青で、腹部には斬られた傷があり、血が流れ誰が見ても重症な怪我を負っている事が分かる。

 

 

 

「あなたは…」

 

 

 

 皆が状況を理解できずにいる中、アリーゼだけがいち早く駆け寄る。

 

 

 

「大丈夫!?タクトに何かあったの!?」

 

 

 

 

 何かを察したアリーゼは少年に近づき必死の形相でそう問いただした。

 

 

 

 

「アリーゼ…?」

 

 

 

「どういうこと!?」

 

 

 

「何故この状況で小僧の名がでる団長……?」

 

 

 

 その表情は普段の彼女の表情とはかけ離れたもので、この場にいた全員が驚いた。

 

 

 

 そして、少年は息絶えだえに答えた。

 

 

 

 

「17階層…タクトを助けてくれ…」

 

 

 

 少年の言葉を聞いたアリーゼはすぐに行動に移す。

 

 

 

 そして、事情を知らない者達もすぐに行動に移った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は少し遡る。

──────

 

 

 

 

 

「あぁ、そうだな。確かにこのままじゃ俺の負けだ。でもよぉ、それで終わりだと思うか?」

 

 

 

 

 男は不敵な笑みを浮かべ、タクトに向かって言葉を発する。

 

 

 

 タクトは男の態度に疑問を抱きながらも警戒心を高める。

 

 

 

(何だ?何を企んでいる?)

 

 

 

「俺がお前らに近寄れなくてもよぉ、お前を俺に近づけさせれば良いんだよなぁ……!」

 

 

 

 (俺らから近づく?そんな馬鹿な真似をするわけがない、ハッタリか?)

 

 

 

「少し予定は狂ったがまあいい、駆け引きではテメェらの勝ちって事にしといてやるよクソガキィ」

 

 

 

 タクトは男の行動の意図を読めずにいたが、一つだけ分かった事がある。

 

 

 

(アニメとかだとこう言う場面は絶対に状況が覆る…)

 

 

即座に剣を構え直し、男に向き直り、相手の動きを見逃さないよう集中する。

 

 

 しかし男は微動だにせずそのまま口を開いた。

 

 

 

「姉の死体は見つかったかぁ?シオォン?」

 

 

 

 姉?シオンに?…まさかッ!!。

 

 

 

 タクトは男の考えに気づいた瞬間、反射的にシオンの方へ振り返った。

 

 

 

「シオ──ッ!!」

 

 

 

「ねえ…さん……」

 

 

 

 シオンは力なく膝をつき、目を見開きながら虚空に呟く。

 

 

 

 その表情に笑顔はなく、悲しみだけがあった。

 

 

 

「そうだ!!弟を庇って無駄死にしたお前の大好きな姉貴のことだぁ!!」

 

 

 

「シオンこれ以上聞くな!!」

 

 

 

 タクトがシオンの耳を塞ぐが、LV.2になったシオンの聴力は常人よりも優れており男の声はタクトの手のひらを貫通し、シオンの耳に届く。

 

 

 

「あの日、お前の姉を殺すように仕向けたのは俺なんだぜぇ?アッハハハハハ!!」

 

 

 

「嘘だ……だって……あの場には3人し──」

 

 

 

「いたんだよ!!ずっと近くになぁ!泣きながら死んでくお前の姉の表情は最高ぉだったぜぇ?アッハハハハハハハハハ!!」

 

 

 

「だま──ッ!」

 

 

 

 シオンが男は向かって行こうとするがそれをタクトとライラが抑える。

 

 

 

「落ち着け!アイツの言葉を聞くな!!」

 

 

 

「状況はなんとなくわかるが行くんじゃねぇ!!」

 

 

 

 二人の言葉に我に返るが、それでも怒りを抑えきれずに、拳を強く握りしめ、震えている。

 

 

 

「来ないのか?また逃げるのかぁ?あの日、姉を見捨てたようになぁ!!アッハハ!!!」

 

 

 

「黙れ……」

 

 

 シオンの瞳からは涙が溢れ、歯を食い縛り、今にも爆発しそうな感情を押し殺している。

 

 

 

 そんな様子を楽しそうに眺めていた男がニヤリと笑う。

 

 

 

「シオン。おかしいと思ったことはないかぁ?」

 

 

 

 突然の質問に、シオンは戸惑いを隠せずにいる。

 

 

 

 そんな事を構わずに、男は続ける。

 

 

 まるで、悪魔のように。

 

 

 そして、天使のような優しさで囁きかける。

 

 

 

 

「なんであの時、恩恵も授かっていないお前が冒険者から逃げ切れたのか」

 

 

 

 

「何故あの時、偶然にも神と出会えたのか」

 

 

 

 

「何故お前の主神は他に眷属を作らないのか」

 

 

 

 

 それは全て真実であり、残酷なまでに優しい問いかけだった。

 

 

 

 

 だが、それは同時にシオンにとって最も聞きたくない言葉でもあった。

 

 

 

 シオンの頭の中で様々な疑問が浮かんでは消えていく。

 

 

 

 その度に自分の中の何かが崩れていく。

 

 

 

「答えは簡単だぁ。お前は、俺と同じだからだよぉ。お前も、俺達闇派閥の仲間なんだぜぇ」

 

 

 

 

 その一言で、全ての謎が解けた。

 

 

 

 何故、自分が逃げ切れたのか。

 

 

 

 何故、偶然にも神に出会えたのか。

 

 

 

 

 何故、何故、何故。

 

 

 

 

 

 それは、全て簡単な事だったのだ。

 

 

 そう、簡単な事なのだ。

 

 

 なのに、自分は今までそれに気づかずのうのうと生きていた。

 

 

 

 その事実にシオンの心は限界を迎えた。

 

 

 

 シオンはその場で項垂れ、嗚咽を漏らす。

 

 

 

 

 

「ぁ……ぁ…」

 

 

 

 タクトは必死に呼びかけているが、もう聞こえてはいなかった。

 

 

 ただ1人、男の声だけがシオンへと届く。

 

 

 

「お前の姉の死体、幾らしたと思う?」

 

 

 

「ぁ……ぁぁぁぁ…」

 

 

 

 そんな様子を見た男は満足したかのように、最後の言葉を告げた。

 

 

 

「感謝しろよぉ?お前の今までの使っていたポーションや武器はお前の姉が出してくれてたんだからなぁ」

 

 

 

 その言葉でシオンは確信する。

 

 

 あぁ、姉さん……。

 

 

 

 あぁ、タクト……。

 

 

 

 あぁ、なんて僕は愚かなのだろう。

 

 

 

 あぁ、本当に馬鹿だなぁ。

 

 

 

 あぁ、本当に。

 

 

 

本当に──────

 

 

 

 

 

 

 

 ごめんなさい。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ"あ"あ"あ"ー!」

 

 

 

 

 シオンは感情をむき出しにして叫ぶと、地面を強く蹴り上げ猛スピードで駆け抜けていく。

 

 

 

 怒り狂うその姿はまさに獣の様だった。

 

 

 

「止まれぇ!!シオンッ!!」

 

 

 

「そうだ!その表情が見たかっんだよぉ!!!」

 

 

 

 シオンは止まらない。

 

 

 姉の仇を取るためにただ真っ直ぐに突き進む。

 

 

 

 

 タクト達の制止の声など届かない。

 

 

 

 シオンの目には、男しか映っていなかった。

 

 

 

「お前だけはァァァァァァッ!!!」

 

 

 

 シオンの一撃が男に襲いかかる。

 

 

 

 しかし男は余裕の笑みを浮かべたまま、剣を抜き

 

 

 

 

「助かるぜぇシオン、お前が本当に馬鹿で」

 

 

 

「うっぐぁ──」

 

 

 

 シオンの右腹部には深々と剣が刺さっていた。

 

 

 

 男はシオンを嘲笑い、そのまま剣を引き抜く。

 

 

 

 すると、シオンは力なく地面に倒れ動かなくなった。

 

 

 

 

「……シオン?」

 

 

 タクトは目の前の状況が理解できずにいた。

 

 

 いや、正確には信じたくなかった。

 

 

「アッハハ!!さあどうするクソガキィ!!このままじゃぁシオンは死ぬせぇ!!?」

 

 

 

 タクトは頭が真っ白になったが──

 

 

 

「おいタクト!しっかりしねぇか!!今まともに動けんのはお前だけだぞ!」

 

 

 ライラの声によりタクトは我に帰る。

 

 

 そうだ、今動けるのは自分だけ。

 

 

 ならば、やるしかない。

 

 

 

「ライラ…これを」

 

 

 

 そう言って試験管を一つライラへと渡す。

 

 

 

「おま、こんな高価なもんどこで手に入れた!?」

 

 

 

「後で話す!それより、頼んだぞ…」

 

 

「ッ!……わかった」

 

 

 

 ライラは何か言いたげだったが、すぐに察してくれたようだ。助かる。

 

 

「っし……やってやる」

 

 

 

 タクト歩き出し、男と対峙する。

 

 

 

「やっとやる気になったみてぇだなぁ!!」

 

 

 

「ああ……絶対に勝つ」

 

 

「ハッ!その生意気な口がいつまで叩けるかなぁ!!」

 

 

 

 タクトは剣を構え男へと駆け出した。

 

 

 

「オラァ!!」

 

 

 近づいてくるタクトへと男も剣を振り下ろし対抗する。

 

 

 タクトはそれをギリギリでかわし、反撃に出る。

 

 

 

 が、その攻撃も読まれていたようで簡単に防がれてしまう。

 

 

 

「テメェの攻撃なんざ観えてんだよぉ!!」

 

 

 

 男はタクトの攻撃を弾き返し懐へ潜り込む、そして勢いよく斬りかかった。

 

(ッ──させるかぁぁ!!)

 

 

「おっと──」

 

 

「【千鳥流し】ィ!」

 

 

 

 咄嗟に周囲へと電撃を流すが、それも観られていていたのか後方へと跳ぶことで回避された。

 

 

 

「ッチ……まだだ!!【雷の鎧(アルマ・トール)】」

 

 

 タクトは身体中に電撃を身に纏わせ、先程より少し速度を上げて接近する。

 

 

 

「雷を体に纏ったかぁ?だがその程度で俺に勝てるとでも思ってんのかぁ!?」

 

 

 

 男はタクトの斬撃を紙一重で避け、右から左へと大きく振りかぶるとタクトの胴体目掛けて剣を薙ぎ払う。

 

 

 

 タクトはその攻撃を後ろに大きく跳躍することでなんとか避けるが、男の追撃の方が早かった。

 

 

 

 一瞬にして距離を詰められ、タクトの首元に向かって刃が迫る。

 

 

 

「あたんねぇよ──」

 

 

 

「【千鳥流し】!!」

 

 

 

 タクトは再び周囲に雷撃を流し、男に距離を取らせる。

 

 

 

(クソッタレがぁ…ただでさえレベル差があるのに技術でも負けてるとか話にならねえな)

 

 

 

 タクトは心の中で毒づく。

 

 

 

 どうすればいい?相手はLV.4に対しこちらはLV.2…。

 

 

 

 魔法は無理だな、平行詠唱なんて出来ねえし、立ち止まって詠唱なんてしてたら確実に殺される。

 

 

 

 なら俺に残されているのはスキル。

 

 

 正義の使徒を使うか?

 

 

 いや、ダメだな…たった一回の無敵をステータスを上げるためだけには使えねぇ、なら

 

 

 

 

呪印。

 

 

 

 

その状態2を使用するしかねぇ。

 

 

 

 

 

[呪印状態2]

使用時、耐久、魔力以外を階位昇華

一部の魔法を変化

残虐性の増加

発動条件、呪印状態を5分維持

戦闘中効果持続

戦闘終了後強制マインドダウン

 

 

 

 

「どうしたぁ?こねぇのか、クソガキィ」

 

 

 男はタクトの様子を伺いながら挑発してくる。

 

 

 

 しかしタクトはそれを無視して魔法を使い始めた。

 

 

 

「【千鳥流し】」

 

 

 

 バチバチと音を立てて電流が周囲へと流れ、タクトを中心に地面が焦げていく。

 

 

 

 

「あ?気でも狂ったか?ガキィ」

 

 

 

 電撃を浴びせるには距離がありすぎるそれなのに魔法を使用し続けるタクトの行動に男は理解が出来ずにいた。

 

 

 

 しかし、それでも警戒を怠る事はなかった。

 

 

(どう来る?…そのまま飛びついてくるか?それともまだ見せていない別の何かか?まあどちらでもいい、俺には絶対に当たらない)

 

 

 

 自身の魔法に絶対の自信をもつ男はニヤリと笑うと剣を構えタクトを迎え撃つ準備をする。

 

 

 

しかし、タクトはその場を動かず魔法を使用し続けた。

 

 

 

「……何をしている?何故動かない? まさか諦めたわけじゃないだろう? このままいけば──」

 

 

 

 その言葉の続きを言ったのはライラだった。

 

 

「おいタクト!!何してやがる!そのまま使い続ければマインドダウンしちまうぞ!!」

 

 

 

 ライラの声を聞いた男は驚愕する。

 

 

「勝負を捨てたかぁ?クソガキィ……?」

 

 

 

「勘違いすんじゃねぇ…俺は勝つたにこうして──」

 

 

 

 

バタン

 

 

 

 そこまで言うと、タクトはマインドダウンによって意識を失いその場に倒れ込む。

 

 

 

「……は?おい!タクト!起きろ!おい!!」

 

 

 

 ライラは慌てて声を掛けるが反応がない。

 

 

 

 そんな様子を見ていた男は失望したように呟く。

 

 

 

「面白くねぇなぁ…がっかりだぜクソガキ…」

 

 

 

 そう言ってゆっくりとタクトの方へ歩み寄り、剣を振り上げた。

 

 

 

「ッ!やめろ!!おいタクト起きろ!起きやがれ!!」

 

 

 

 ライラの悲痛な叫び声が響くがタクトは微動だにせず他に倒れ伏している。

 

 

 

「本番はこれからだった、ってのによぉ──」

 

 

 男が剣を振り下ろそうとした瞬間───

 

 

 

ピタリと動きを止めた。

 

 

 

「ッ──!」

 

 

 

 直後。後方へと跳び、信じられないといった表情で目の前に転がっている少年を見つめる。

 

 

「……」

 

 

 

「…クソガキィ…テメェ意識がありやがんな?」

 

 

 男の言葉にタクトはなんの反応も示さない。が、それはただの『ふり』だとわかっていた。

 

 

 

「無視してんじゃねぇぞガキィ…」

 

 

「……」

 

 

 

「マインドダウンで気を失ったように見せかけ、油断させておいて俺に攻撃するつもりだっただろぉ? 観えてんだよぉ」

 

 

 

「……はぁ」

 

 

 

 わざとらしく溜息がこの場にいる全員の耳に届く。

 

 

 その発生源は男からでもライラからでもなく倒れているタクトからであった。

 

 

 

「…別に気を失ったふりをしてたわけじゃねえよ」

 

 

 

 そう言ってゆっくりと立ち上がるタクトの身体に黒い炎のような模様が幾つもの浮かび上がっていた。そしてそれを観た男の顔から笑みが消え、真剣なものへと変わっていく。

 

 

 

「ガキィ…何をした…?」

 

 

 

 男の言葉にタクトはニヤリと笑い答える。まるで、相手を馬鹿にするように── 。

 

 

 

「自分の能力を敵に教える馬鹿がどこにいる?」

 

 

 

 タクトが言い終わると同時に男の姿視界から消える。

 

 

 

「っ──!!」

 

 タクトは咄嵯に剣を抜き、男の剣を受け止めるが男の勢いは止まらずそのまま押され始める。

 

 

 

(っ…予想通りコレ(呪印状態1)じゃ全然とどかねぇ……)

 

 

 タクトはすぐに後ろに跳躍し、間合いを取る。

 

 

 男は追撃をせずにジロリとタクトを睨むと口を開いた。

 

 

 

「…ステータスが上がってやがんなぁ?力…それに敏捷もすこし上がってやがんのかぁ?さっきまでとは段違いの動きだ……だが、それでも俺の方が上だなぁ? その程度なら簡単に潰せるぜぇ?」

 

 

 

「ッ…本当にそれだけだと思うか?」

 

 

 

 やべぇな、すぐにバレちまった。やっぱりステータス差がありすぎる。俺がコイツに勝てる可能性があるとしたら状態2を目指すしか無い。

 

 

 

「あ?どういう意味だぁ?」

 

 

 

「そのままの意味さ…」

 

 

 

 5分…コイツ相手に耐えられるか?いや、耐えるしかない。なら取るべき行動は一つ。

 

 

 

ダッ

 

 

 

 タクトはライラの下へと再び走り出す。

 

 

 

 

 男は一瞬戸惑ったがすぐにタクトの行動の理由を察して追いかける。しかしタクトの敏捷は現在、LV.3上位まで上がっており、LV.4とは言え、先に走り出したタクトに追いつくことができず合流されてしまった。

 

 

「ギリギリ間に合ったか」

 

 

 

 タクトは安堵の声を漏らすが、ライラはまだ状況が掴めておらず困惑していた。

 

 

 

「大丈夫なのかよタクト?お前……それ」

 

 

 

 タクトの身体を見てライラは不安そうな声を出す、それにタクトは男の方へと視線を向けながら答えた。

 

 

 

「ギリ大丈夫だ…今すぐ誰かを襲いたい衝動が少しあるけどな」

 

 

 

「それを大丈夫とは言わねえよ…!」

 

 

 ライラのツッコミを無視しタクトは話を続ける。

 

 

 

「シオンの容態は……?」

 

 

 

「意識は戻ってねぇが大丈夫だ、エリクサーのお陰で傷は塞がった。それよりどうするんだ?アイツ…勝ち目はあんのか?」

 

 

 

 2人の視線の先で男はニヤつきながらこちらの様子を見ている

 

 

「あるちゃ、ある…だからここまで戻って来たんだ…時間稼ぎの為にな……」

 

 

 

 タクトの言葉にライラは眉を寄せて尋ねる。

 

 

 

「また、マインドダウン狙いか?」

 

 

 

 ライラの言葉にタクトは首を横に振る。その様子にライラは更に混乱するが、タクトは構わずに続ける。

 

 

 

「いや、今度は違う……別の方法だ」

 

 

「別……? 」

 

 

 

「あぁ……」

 

 

 

 男との距離は約8M、聞こえてしまう可能性はある以上声には出せない。

 

 

「話は終わったかぁ?クソガキィ……」

 

 

 

 男は痺れを切らしたようで、タクト達へと話しかける。

 

 

 

「本当よくやったもんだクソガキ、俺の相手をしてる間に女にシオンを回収させてまたさっきと同じ状況持ち込むなんてなぁ、コレが狙いだったのか?」

 

 

 

「?……その通りだ」

 

 

 

 俺がこの状況を作ろうとしたと勘違いしてんのか?。まぁ、勘違いしてくれるんなら都合が良い、このまま会話を続ければ時間が稼げる。

 

 

 

 タクトが肯定すると、男は不敵な笑みを浮かべ笑い始めた。

 

 

 

「ハッハァ!!頑張ったなぁ!クソガキィ!だが残念だったな!もう時間切れだ!テメェの作戦は失敗したんだよ!!」

 

 

 

 

「……」

 

(時間切れ…?、どう言う事だ?)

 

 

 

 

「俺の魔法は特殊でなぁ、この魔法消費した魔力は時間経過でしか回復しねぇんだよ」

 

 

 

「ッ……」

 

 

 

 ならポーションは効かない?、いや、なぜこのタイミングで弱点をバラした?なにか……何か狙いあるはずだ。

 

 

 

 

「だから、最初っから決めてたんだぜぇ?魔力切れが近くなったら遊びは終わりだってなぁ」

 

 

 

 

 何を言って───

 

 

 

「もうお前らの足掻く時間は終わったんだよ」

 

 

 

 ()()()()()()……?…いや、そんなはずない…あっていいわけがないけ───

 

 

 

 

「俺はもう十分楽しめたぜぇ?」

 

 

 

───ダメだダメだダメだ…上がってくる───

 

 

 

「じゃあせいぜい惨めに足掻いて────死ねよ」

 

 

 

 

「ライラァァァ!!」

 

 

 

「なっ───」

 

 

 

 タクトは全力でライラ達を突き飛ばした…その直後──

 

 

 

 

「来い…蝮の女王(エキドナ)ァァァ!!」

 

 

 

 地響きと共に地面が割れ瓦礫が飛び散り土煙が舞うそんな中──

 

 

 

 

 

()()()

 

 

 

 

っと、瓦礫が砕ける音に混ざりこの場に似つかわしく無い音が響く。

 

 

 

 

それはまるで……果物でも食べているような……

 

 

 

 そして、晴れていく視界の中、タクトは目を見開き驚愕の表情のまま固まる。

 

 

 

 そこにいたのは、6M程の体躯を持つ美しい緑髪をした女性(モンスター)の姿があった。

 

 

 

 

 しかし、その下半身は蛇であり、口元には人の腕が咥えられている。

 

 

 

 その女性(モンスター)は咥えている手をゆっくりと咀噛し、ゴクリ…と飲み込んだ。そしてタクトへと視線を向ける。

 

 

 

 その瞳は紅く、まるで血のように輝いている。

 

 

 

 

 あぁ……これは夢か?……

 

 

 

目の前の女性から目が離せないでいた。

 

 

 

 あぁ……なんだろう……頭がボーッとする……

 

 

 

 魅了されたようにただその女性の事を見ていた。

 

 

 

 あぁ……綺麗な人だな……

 

 

 

 タクトはそう思った瞬間──

 

 

 

 

ピコン!

 

 [欠損] クリア!

 

報酬、止血。

 

 

注意、出血が止まるのは1時間だけです。

 

 

目の前にそんな文字が浮かぶ。

 

 

 

 

 

 欠損……?、何を──。

 

 

 

『何を欠損したって言うんだ』そうタクトが考えようとした時、目の前にいる女性の腕がゆっくりと動きタクトの左腕を指差し──

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゴチソウサマ」

 

 

 

そう言った。

 

 

 

 刹那、激しい痛みがタクトを襲った。

 

 

 

 

「あ…ああ…ぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

 痛いイダイ熱い痛い熱いイダイ痛い!!身体の至る所が燃えてるんじゃないかと思うほどに熱くなる。

 

 

 

 タクトは余りの激痛にその場で転げ回るが、それでも身体の(痛み)は消えず、むしろ勢いを増していた。

 

 

 

 タクトは声にならない叫びを上げながら、身体を掻きむしるが、一向に身体の火が消える気配はない。

 

 

 

 身体が焼けるように熱い。

 

 

 

 意識も遠のきそうだ。

 

 

 

 このまま意識を失ってしまえばどれだけ幸せだろうか。

 

 

 

 しかし、身体の痛みはそれを許さず、意識を失うことも許されない。

 

 

 

 

 苦しい、辛い、助けて、誰か……助けて……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 






別にシオンくんの姉さん、エッ、な事とかされてないですよ。そういう胸糞悪い展開苦手なんで…。
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