寝て起きたら暗黒期!?ベルくんに会うまで死にたくねー! 作:お米大好き
約6000文字くらい書き直しましたぁ…。
未来タクトくんの話は完結後にやるかもです。
時は少し前に遡る
痛い…熱い…苦し……い……。
視界がぼやけ、身体の感覚が痛みとともに消えていく。
「あぁ……ぁ……ぁぁ」
口から漏れる音は意味の無いものばかり。
意識が薄れていき、思考すらまともに出来ない。そんな俺を見て、誰かの声が聞こえる。
「おい…嘘だろ……?なぁ…」
その声はどこか聞き慣れた声で、俺の名前を呼んでいる気がするが……よく分からない。
ただ一つ分かることは俺はここで死ぬんじゃないかということだけだ。
「……」
不思議と恐怖は無かった。むしろ、安堵感さえ感じていた。
もう…疲れた。
これでようやく終われる。
そんな感情が心を支配していた。
しかし、それも束の間。
『ふざけるな』
頭の中で、声が響いた。
どこかで聞いたことのあるような、懐かしいと感じる声だった。
でも、それがどこだったか思い出せない。
『ふざけるな!』
再び響く。
今度は先程よりも強く、頭に痛みが走るほどに。
その声は怒りと憎しみに満ちており、まるで泣いているようだった。
『お前はまだ分岐点にすら立っていない』
分岐……点……?。
何のことだか分からず、疑問を口に出そうとするも口が動かない。
『まだだ!まだ間に合う!だから……!目を覚ませ!!』
頭の中で何かが必死にそう訴えかけてくる。
でも、俺が目を開けたところでこの現状が変わるとは思えない。
だってそうだろ? 俺の腕は無くなり、敵は化け物じみた強さを持っている。
こんな状況じゃ、俺に出来ることなんて何もない。
『………分かった。なら観せてやるよ。間違えてばかりな俺の結果を……』
そう言うなり、俺の中に何かが流れ込んでくる。
こ…れは……。
それは俺の記憶だった。
俺ではない俺の人生。
俺であって俺でない存在。
俺じゃない俺の経験。
《なぜですか…ユウギさん…》
それは裏切りの記憶。
《待って…行っちゃダメだよ…タクトくん》
それは大切な人を切り捨てた記憶。
《私ね……貴方のことが好き…だった……わ…》
それは最愛の人から見捨てられた記憶。
《……はは……ははは……はははははは!!!》
それは狂ったように笑う愚か者の記憶。
《まさか君がこんな事をするとは思わなかった。失望したよ…【──】》
《……これは女神の裁きだ……》
《僕にはどうして貴方がこんな事をするのかは分かりません……でも止めます。これ以上リューさんを泣かせない為にも──────》
それは過去を救う為、世界を犠牲にした悪の記憶。
そして──────。
《いいよ、私の命を君にあげる。その代わり……絶対に皆んなを救ってよ?。約束……破ったら今度こそ許さないからね……!》
それは……過去を変えるために自分の全てを捨て、全てを託した少女との誓いの記憶。
(これが……俺?)
その光景に、その想いに、その決意に、その覚悟に。
俺はただ、圧倒されるしかなかった。
そして、同時に理解させられた。
(……ああ、そっか……)
未来があると言うことは俺はこの現状を乗り越えられる可能性があるという事だ。
(なら───)
(───諦めるには早すぎる)
『わかったんなら早く目を開けろ…手遅れになんぞ?』
(……言われなくても分かってる)
そうして、俺の意識は覚醒した。
────────────
「……ッ!?」
最初に感じたのは違和感だった。
体が重い。息が苦しい。でもそれ以上に全身が痛い。特に食いちぎられた左腕が痛い。
「……うっ」
思わず声が出るが、何とか堪える。
意識を失う前の出来事を思い出し、直ぐに辺りを見渡す。
ライラは無事だ。それにシオン達の姿もある。
どうやら、ギリギリ間に合ったようだ。
(だが現状は───)
男を見ると、既にエリクサーを飲み干した後だった。
「はぁ……はぁ……これでまた形勢逆転だなぁ?。さぁ、どうするよ?。まさかこれで終わりなわけねぇよなぁ!!?」
(──かなりまずいな…)
苛立って興奮してるおかげかまだ俺には 気づいていない。
しかし、それも時間の問題か…なら、先手必勝だ。
「楽に死ねると思うんじゃぁねぇぇぞぉぉ!!」
バチッ
と音を立て、シオン達の間に割って入ろうと駆け出したが
(うぉ!?速え!?)
何故か予想以上のスピードを出してしまい、そのまま男の腕をブレーキ代わりに掴んでしまった。そして
ゴキッ
(あ、折れたなこれ……まあいいか……敵だし)
「うぐ───」
(一々叫ぶんじゃねぇよ……うるせーなぁ……)
喉を掴み、無理やり黙らせる。
「あぁ……ぁ……あ……」
男が目を大きく開き、口をパクつかせている。
何か言いたそうだなぁ…まあ、言わせねえけど。
(それよりこっからどうするかだな…)
正直このまま喉を潰してしまいたいが、それだと……
チラッと左を見ると10mほど離れた先にタクトの腕を食いちぎった蛇女がこちらを観ていた。
「……」
無表情で、何を考えているか分からないが、確実に殺意は向けられている。
(怖えなぁ…見るだけで体が震えるぜ……)
この状況で蛇女が動かないのは多分
魔法、スキル…何を使ってテイムしてるかは知らねえがもしこの男を殺してそれが解除されてしまったら…?。
(間違いなく動き出すだろうな……そうなると詰みだ…)
何故か俺の身体能力が上がってるみてえだが、体が風邪を引いた時くらい怠い。
(勝てねえな…間違いなく……)
なら俺がすべき事は交渉…それしかねえな。
「こ───「タクト……?」……ッ!」
俺の声に被せるように、背後にいたライラから俺の名前を呼ぶ声が聞こえてきた。
今の声色から察するに、怯えて…いや、恐れている?。
何を?俺を?何故?。
畏怖?恐怖?不安?。
そんな感情を俺に向けてくる理由なんて……。
敵だから?。
敵?ライラが?
なら殺しておかないと……?。
ん?まてまて、なんでそうなるんだ。
そもそも敵じゃなくて味方だろ?。
なら、殺す必要なんてないじゃねーか。一旦落ち着け俺。
俺が今しないといけないことはなんだ?。
それは目の前の男を殺すこ……ってちげーよ!。
(ダメだ……だんだん訳わかんなくなってきた……)
「……蛇?」
俺が混乱している最中、ライラの呟きが耳に入ってきた。
(蛇?、がどうした?)
その言葉に釣られて、視線をライラに移す。
あれ?なんで俺を見てんだ?。
「……ッ!?」
そこでようやく気づいた。
ライラの瞳に映っているのは──
血塗れの、腕の無い、醜い
(はは、蛇みたいになってるぅ……)
俺の姿だった。
(そういえば、さっきから尻に違和感があると思ったら尻尾まで生えてるじゃん……)
しかも、よく見ると腕や足にちっさい鱗みてえなもんが幾つもある……つーか肌が白い…。
(こうなった原因は…)
蛇女に噛まれたから?新種のモンスターだし有り得なくはない。でも一番可能性があるとすれば…。
(呪印状態2……)
正直見た目的にはあのキャラにそっくりなんだよなぁ…でもあっちは一応仙人の力でしょ?。
(あーでも一応呪印も強制仙人モードみたいなもんだっけ?)
もしかしてこのヤっちゃえ衝動もスキルのせいか?。
(なんかそうと分かれば少しだけ気が楽になったかも……)
とりあえず、今は目の前の事に集中しよう。
俺はライラに向き直り、声をかけることにした。
「悪いライラ……ちょっと待っててくれ」
「……ッ!?」
すげえー驚いてる……まあ、こんな姿の俺がそんな事言ったら驚くか?。あの表情今すぐ潰した……くねぇよ…ダメだな、気を抜くとすぐおかしな方向に考えちまう。
「おい……お前……」
男が何か言ってるが無視だ。けど蛇女呼ばれたら困るし気持ち強めに絞めとくか…。
「ぅ…テメ……」
「ちょっと黙っててくれよ」
「ッ!?」
「俺は今ライラと話してんの……分かるよなぁ?」
「ッ……!?」コクッ
俺の言葉に男は素直に首を縦に振った。
うん、良い子だ。賢い子は好きだぞ?。褒美にこのまま喉を潰し…たらダメなんだって!!
「……タクトお前、その姿……」
「ああ、これな……大丈夫だと思う…多分」
「多分って……本当に大丈夫なのか?」
うーん、確かに今の俺って結構やばいよなぁ、自分で見ても……あれ?結構かっこよくね?。
「あー……多分だけどな」
「多分……」
「それより、ライラ。一つ頼み事があんだけど」
「た、タクト……?」
ライラが不安そうな顔してこっちを見てくる。
そんな不安そうな顔をしないでくれ……笑っちまいそうだ…。
「……俺のポーチに厚紙みたいなのが入ってるから取ってくれねえか?」
今右腕しかねえから自分じゃとれねえんだ。
「……?」
俺がそういうと、ライラは無言で足を引き摺りながらも俺の指示通りにゆっくりと近づいてくる。
(あれ?なんで俺は足の潰れてるライラに頼んで……ああ、そうか)
そして目の前まで来たライラは俺の腰辺りにあるポーチに手を伸ばし──
「捕まえたぁ」
バシッ とライラの首に俺の尻尾が巻き付いた。
「…は?」
ライラは突然の出来事に目を丸くし俺の方を見ている。だが、俺はそれに構わずライラの体を持ち上げた。
苦しそうにもがき、何とか抜け出そうとしている。
「タク……トッ…離せ!」
ライラが必死の形相を浮かべ、声を振り絞るように叫ぶ。
(いいねぇその表情。ゾクゾクしてき……たらダメじゃね?)
「あ、やべぇ……スキルに意識持ってかれてた……悪りぃライラ」
パッ っと尻尾を放すと、ライラはそのまま地面に倒れ込んだ。
「ゲホッ……ゴホ……ハァ……ハァ……タクト……お前……何を……!」
息を整えながら、こちらに向かってライラが睨みつけてきた。
(やっぱ可愛い女の子にそんな目で見つめられると興奮す……)
ん?今俺なんて思った?。
いかんいかん……。
気をしっかりもて、スキルに飲まれるんじゃねえ!。
「ふぅ……よし、もう落ち着いた……で、ライラ。さっきの話の続きなんだが、俺ポーチの中にある厚紙、トランプみたいなのを取って欲しいんだわ……取ってくんない?」
俺が笑顔でライラにお願いすると、ライラは俺を警戒する様に少し後ろに下がった。
「……」
ですよね…そりゃ、いきなり首を絞められたら誰だって怖いよね。ごめんなさい。
でも、この先の作戦に絶対必要なんだ。
「頼むライラ……俺を信じてくれ」
俺はライラの目を見て真剣に訴えた。そして俺の思いが届いたのか、それともただの偶然か、ライラは俺から視線を外すことなくジッと見返してきた。
そのまま数秒ほどお互い無言のまま視線をぶつけ合う……。
(敵を見る目をしてる気がするけど、きっと俺の勘違いだよな?)
そして遂に決心がついたのか、ライラが俺に近づき手を伸ばす。
(リューさんはむっつりリューさんはむつりリューさんはむっつりリューさんはむっつり…意識を持ってかれるな…意思を強く持て…)
自分に暗示をかけつつ、ライナの手の動きに集中する。
そして
シュバッ とライナは素早く俺の腰からポーチを抜き取る。
(ポーチごと持ってかれた…めっちゃ警戒されてんよ……)
「……何だこれ?」
ライラは俺のポーチの中に入っていた物を取り出して、不思議そうな顔をしていた。
まあ、当然の反応だな。この世界の物じゃないし…。
「その竜巻みたいな絵が描いてるカードを俺の右ポケットに入れてくれ」
「お、おう…?」
俺が指示を出すと、ライラは何も言わずカードを入れてくれた。
よし、あとは。
「次にその紫のカードを2枚とも俺の前に持ってきてくれ」
俺がそういうと、ライラは何が何だか分からないといった様子
だったが、素直に言うことを聞いてくれた。
「これか?」
「それそれ」
ライラは俺に言われた通り、紫色のカードを二枚俺の目の前に差してくれた。
「こんな紙切れどうすんだ?」
ライラは首を傾げている。
「まあ、見てればわかるって──【トラップカードを2枚セット】」
俺がそう唱えた直後、ライラの手から2枚のカードが消え、俺の足元に元のサイズより10倍ほど大きいカードが裏向きで現れる。
「うおっ!?なんだこれ!?消えたと思ったらデカくなって現れやがった!?しかも少し浮いてんぞ!?」
ライラが驚きの声を上げ、俺の方を見てくる。その目は好奇心に満ち溢れていた。でも
「うるせぇなぁ、ぶちこ…ろがし…ますわよ?。………黙ってみていろよ」
あ、やばい……またスキルに意識持ってかれかけた。
落ち着け、深呼吸しろ……スー……ハー……。
うん、大丈夫そうだ。
俺が安心していると、ライラが俺の方を見てくる。
その表情には『何言ってんだ?コイツ』と書いてあるように見えた。
(……やめろよ俺がおかしいみたいじゃん)
俺はライラの視線から逃れるように顔を背け、首を掴んでいる男の方へと視線を向けた。
「ふぅ……準備も整ったし取引といこうか?」
俺はそう言いながら、男の喉を締め付ける力を強める。
男は苦しそうにもがくが、俺の拘束からは逃れられない。
「交渉だ…【はい】なら手をグッと閉じろ、【いいえ】なら手を開け。分かったか?」
俺がそういうと、男は震えながらゆっくりと右手を握る。
それを確認してから俺は少しだけ右手の力を緩めた。
「よし、まずは一つめだ…蛇女のテイム方法は魔法やスキルか?」
そう聞くと、男は左手を握りしめ、俺の質問に答えた。
俺はその反応に満足し、再び右手に力を入れる。
すると、男は苦しそうにしながら、必死に口を動かした。
だが、残念ながら声が出ていない。出させない。
(声が出ないから、代わりに手を握って返事をする……なんつー斬新な方法だよ)
そんな事を思いながら、ライラが呆れているとタクトが次の質問をした。
「二つ目、もしもお前が死んでテイムが解けたらあの蛇女は俺達を見逃すと思うか?」
タクトがそう問うと、男は必死に手を開き、タクトの問いに答える。
(やっぱりテイムが解除されたら動き出すか……そりゃそっか)
「次に三つ目だ16階層へ上がる道に罠はあるか?」
グッ
男は左手を握りしめ、俺の質問に答えた
(やっぱ罠あるよなぁ、全力で走れば逃げられそうなのに…まあ、嘘の可能性もあるけど)
「じゃあ四つ目だ…これが一番肝心で重要な事だ」
(俺の記憶が正しければ痛みもがき始める直前あのモンスターは言葉を話せた…それはつまり───)
タクトが真剣な表情で話を続ける。
ライラもタクトの雰囲気が変わった事に気づいたのか、タクトの話を聞く体勢に入った。
そしてタクトは少し間をあけてから、言葉を発した。
「あのモンスターは魔法が使えるのか?」
「なっ!?」
「……ッ!?」
その瞬間、男が目を大きく見開き、驚いたような顔になる。
そしてライラも同じように驚いていた。
「その反応…結果は解っちまったが一応聞いておく、使えるのか?」
俺が再度問いかけると、男は観念したのか、静かにコクリとうなずいた。
(最悪だな……てか、なんで7年前から存在すんだよ…この頃から準備始まってんの?そんなわけねえよな…)
俺が考え事をしていると、ライラが俺に声をかけてきた。
「なあ、タクト……今の話、マジか……?」
ライラは信じられないといった様子だ。まあ、当然の反応か。
俺だって原作…いや、外伝か?まあ、それで存在を知らなければ信じないだろうし。
「多分こいつは嘘はついてねぇ……だから俺達があの蛇女と戦う状況になればもう詰みって事だ」
俺がライラの疑問に答えると、ライラは苦虫を噛み潰した様な顔をしていた。
「質問はこれで終わりだ。じゃあ本題の交渉に入ろうか」
ここからが本番、俺達の生存を賭けた話し合いの始まりだ。
まあ、ぶっちゃけ結果は殆ど最悪な方向で予想できてるんだけどな…。
「お前を見逃してやる、だから俺達を見逃せ」
正直に言って俺達は今完全な詰みの状態に立たされている。
この男を殺せば蛇女は動き出す。
ならこの男を連れて喋らせないよう逃げればいい…そう考えた。でもそれもダメだった。
それはこの男の死を意味するから。
短い時間だったが、これだけは確信できる、コイツは絶対に『テメェらにやられるくらいなら!!』を地で行くタイプだ。
そしてコイツは俺が絶対に見逃さない事も確実に理解している。
「さあ、どうする?このまま俺に絞め殺されるか、それとも俺達に見逃されるか……どっちがいい?」
この質問に意味はない、どうせ結果は決まってる。
だからこれはただの時間稼ぎだ。詰んでいる俺たちに残された最後の悪あがき。
一本の糸で出来た道を歩くための僅かな希望。
俺がそう考えていると、男はニヤリと笑い、掠れた声で言った。
「最後に…希望は見れた…か?…クソガ…キィ……」
(そう来るよなぁ、分かってたよ……)
俺はため息をつく。
ライナの方を見ると、ライナは諦めた様に首を横に振った。
どうやらライラも同じ気持ちらしい。
(ああ、本当に……)
俺は男の首を締める力を強めながら、男の顔を見る。
男は苦しそうにしながらも、どこか満足げな表情をしていた。
(ほんっとに胸糞悪い野郎だぜ!!)
「ライラ…俺の背中乗ってくれ」
俺は男の首から手を離し、ライラに乗るように促す。
ライラは少しだけ躊躇したが、すぐに俺の言うことを聞いてくれた。
しっかりと背中を掴ませ簡単に落ちないよう尻尾でライラの背中を支える。
(覚悟はできてるけどやっぱ怖えなぁ)
男は俺たちの目の前で喉を押さえながら咽せている。
「ゲホッ……ゴホォッ……ハァ……ハッ……!」
苦しそうに咳き込む男に俺は声をかける。
勿論、優しくなんてしない。
寧ろ、もっと苦しんで死ねとさえ思っている。
だからこそ軽くこの衝動をぶつけよう。
「どうせテイムを解除して俺達を巻き込んで殺すつもりだっただろ?。解除しなくてもいいぜ?生かしてやるよ、その代わり」
俺がそういうと男は驚いた顔でこちらを見てくる。
その顔を見て、俺は思わず笑っちゃったよ、これから自分がどうなるかも知らないくせにさ。
「せいぜい苦しめよ?」
バチッ
そう言って右手に魔法を発動し男の脚を焼き切った。
「ア"ア"ア"ア"ア"!!!」
絶叫を上げのたうち回ってやがる。これで少しは俺の気持ちを思い知りやがれ。
その光景を見ながら、ライラが俺に話しかけてきた。
「おい!タクト!?何やってんだお前ぇ!?」
ライラが慌てて俺を止めようとするが、俺はもう止まらない。
もう止まれない。
ライラの声を無視し、次の行動に移る。
(多分未来の俺はここで選択肢を違えた。この選択も間違いかもしれない、でもやるしかない)
「シオン!!存分に休めただろ!!」
「おう!さっきまでクラクラしてたがだいぶ良くなった!!」
突然の俺の呼びかけにシオンは元気よく返事をしてくれた。
(元気そうに振る舞ってるがかなり無理してんな、服についてる血の量的に貧血か?…まあ、それでも頑張ってもらわねえとな)
「トラップカードオープン!!【緊急脱出装置】!!」
「アリーゼ達に助けを求めろ!!頼んだぞ!!」
「え、それどういう──「対象シオン・ライラック!!」
タクトがそう言った瞬間、シオンの姿がこの場より消えた。
正直ロキファミリアとかに助けを求めたいけど、闇派閥所属のシオンの頼みを聞いてくれる訳がない。でも少しでもシオンを知ってるアリーゼなら、可能性はある。
「ライラ、絶対に俺の背中から落ちるなよ…?」
俺がライラに念を押して伝えると、ライラは力強くうなずいてくれた。
直後。
「そこにいるクソガキをぶち殺せエキドナァァァァ!!」
男の声に反応して蛇女が動き出した。
「フフフ…アソビマショ」
蛇女はそう言い、俺達の方向へと向かって来ている。
「いいぜ、遊んでやるよ!!全力の鬼ごっこでなぁぁぁあ!!!」
俺達の命を賭けた
もともとは呪印状態を制御できずにシオンの腹を刺したり、ライラの首を絞めたりと好き放題暴れてました……。