寝て起きたら暗黒期!?ベルくんに会うまで死にたくねー!   作:お米大好き

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週一投稿はもう無理だろうなと悟った今日この頃。


ベル君の過去転移物?が公式から出るらしいですね。


次の章からやっとアストレアレコード……。


第十七話、決着?

 

 

 

 

 

 

「フフフ、折角待ッテタノニ……フフ、絶対二逃ガサナイワヨ……?」

 

 

 

 全身が赤黒く変色し、目は赤く充血したように血走っている。その姿はまさしく化け物。

 

 

 

 

 そんな姿に成り果てた蛇女(エキドナ)が、タクトを見下ろし不気味に笑う。

 

 

 

 

 

(……時間稼ぎ?コイツ相手に?冗談だろ……?)

 

 

 

 

 

 戦う覚悟、逃げる覚悟、そのどちらも出来ている、それなのに足が動かない。タクトは目の前にいる怪物をただ見つめることしか出来なかった。

 

 

 

 

 

「……な……ん……なんだよ……お前……」

 

 

 

 

 

 

 思わず漏れ出たタクトの弱音。その言葉を聞いても、誰も何も言えない。それ程までに目の前に居る"ナニカ"は異常な存在だった。

 

 

 

 

 

「フフ、私ト遊ビマショウ?」

 

 

 

 

 

 その声色はどこか甘く、まるで愛しい人に語りかけるような優しい声で紡がれた。

 

 

 

 

 

 

「……ふざけるなよ……誰がてめぇなんかと遊ぶか……ッ!」

 

 

 

 

 

「強ガリモ可愛イ……デモ駄目」

 

 

 

 

 そう言うと、タクトの視界から蛇女(エキドナ)は消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……きえ…た?」

 

 

(どこだ、どこにいった…俺は目を離してなかっ───)

 

 

 

 

 

 

 

 

「コッチヨォ……?」

 

 

 

 

「………ッ!」

 

 

 

 

 

 

 突如として背後から聞こえた声に驚き振り向くと、タクトの眼前に巨大な拳が迫っており、咄嵯に体を捻り直撃を避ける。タクトの鼻先数センチ横を通り過ぎて行った蛇女(エキドナ)の拳はダンジョンの地をを大きく砕いた。

 

 

 

 

「アアン、避ケチャッタァ……残念……デモ、ドウシテ?」

 

 

 

 

 蛇女(エキドナ)は心底不思議そうに距離を取るタクトを見る。

 

 

 

 

「…今……どうやって俺の後ろに……?」

 

 

 

「ソンナノ簡単ヨ?普通ニ走ッテ来タダケ♪」

 

 

 

 

「は……?」

 

 

 

 

(走った……それが本当なら俺の反応速度を軽く超えて───)

 

 

 

 

 動揺を隠せないタクトを見て、蛇女(エキドナ)は笑った。

 

 

 

「フフ…次行クワヨ?」

 

 

 

 

 次の瞬間、蛇女(エキドナ)の姿が消えタクトの腹部に衝撃が走る、痛みを感じるよりも早くタクトの体は宙を舞いダンジョンの天上に激突した。肺から全ての空気が強制的に吐き出され、体中の骨という骨が悲鳴を上げる。

 

 

 

 

 あまりのダメージに意識が飛びそうになるのを必死に堪えながら、タクトは地面を転がった。蛇女(エキドナ)が移動した瞬間、それはタクトにも見えた。しかし、その動きについて行く事は出来なかった。

 

 

 

 

(なんだよ……いまの……速すぎんだろ)

 

 

 

 

 視界がぼやけ、息を吸う度に咳き込み体が軋む。それでも、タクトは立ち上がった。

 

 

 

 

(……クソ……どうすればいい……?)

 

 

 

 

 蛇女(エキドナ)の一撃を受けた事で、タクトはようやく状況を理解した。

 

 

 

 

(速さも力も向こうが上、このまま戦っても勝ち目は無い…かと言って逃げるのも無理)

 

 

 

 唯一勝つ方法があるとすればアーディさんの拘束魔法に掛けるしかない。

 

 

 

(問題は俺がそれを使う隙を作れるかどうかだが……)

 

 

 

 

 

 正直厳しい。これ以上バケモンの攻撃を回避する余裕も防ぐ強さも今の俺にはねぇ。

 

 

 

 

 

(どうする……どうしたら……ッ!?)

 

 

 

 

 

 タクトが再び思考の海に飛び込んだ時、既に蛇女(エキドナ)が眼前に迫っていた。

 

 

 

 

「余計ナコト考エル暇ガアルノカシラ……?」

 

 

 

 

 気づけば、蛇女(エキドナ)の拳がタクトの腹を捉えていた。鈍い音が響き、タクトの身体は軽々と吹き飛ばされる。口から胃液が溢れ出し、全身の感覚が無くなる程の激痛がタクトを襲う。

 

 

 

 

 

(あぁ……無理だ…反応でき──)

 

 

 

 

 タクトは薄れゆく意識の中で自分の死を悟った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────── 蛇女(エキドナ)はタクトの元へゆっくりと歩み寄る。

 

 

 

 

 既に虫の息、あと一度攻撃をを加えれば確実に死ぬだろう。そんな状況にも関わらず、蛇女(エキドナ)の表情は何処までも穏やかで、慈しみすら感じられた。そして、蛇女(エキドナ)はタクトの前に立つと優しく頬に触れる。

 

 

 

 

 

「貴方本当ニ面白イ、フフフ」

 

 

 

 その言葉に、タクトは何も答えない。答えるだけの体力がもう残っていなかった。それでも構わず蛇女(エキドナ)は構わず言葉を続ける。

 

 

 

「1つに2つヲ兼ネ備エタ人間、フフ……トテモ歪デ……凄ク面白イ」

 

 

 

 

 そう言い、蛇女(エキドナ)はタクトを少女達へと投げ渡した。

 

 

 

 ライラは慌ててタクトを受け止めると、アーディは直ぐに回復魔法をかける。蛇女(エキドナ)はずっとその様子を眺めていた。

 

 

 

 

 暫くすると、タクトの呼吸が安定し始め傷口が塞がっていく。その様子を確認した後、蛇女(エキドナ)は再びタクトに視線を向け、

 

 

 

 

 

「サァ、再開シマショウ?」

 

 

 

 

そう言って不気味に微笑んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────────────────

 

 

 

 

 

 

【シオン視点】

 

 

 

 

 

「あーもう!次から次へと問題を起こして、本当に暇な人たちね!!」

 

 

 

 

「ぐぁぁぁぁッ───!」

 

 

 

 

 オラリオに複数存在する魔石工房の一つにタクト、ライラを除くアストレアファミリアの全員が集まっていた。

 

 

 

 

「団長、ここ数日の闇派閥の動き…どう思う?」

 

 

 

 

「そうねぇ…何かを狙っている、もしくは探しているみたいだった……かしら?」

 

 

 

「探している?何をですか?アリーゼ」

 

 

 

「それは分からないわ。けど、そんな気がする」

 

 

 

「勘……という事ですね……」

 

 

 

 

 輝夜が質問し、アリーゼが答える。

 

 

そして、それを聞いていたリューが確認すると、アリーゼは首を縦に振る。

 

 

 

「まあ、今は考えても仕方ないんじゃないか?こう言うのはロキファミリアのブレイバーに任せた方がいいだろ」

 

 

 

「ネーゼの言う通り、今私達にできるのは少しでも早く現場に駆けつけて被害を最小限にすることよ」

 

 

 

 ネーゼの意見にアリーゼが賛同し、他の団員達も同意するように首を縦に振る。

 

 

 

「よし!それじゃあホームに帰りましょうか!ライラも勇者に報告して新しい情報を持って帰ってきてるかもしれないわ!」

 

 

 

「「「「「おおーー」」」」」

 

 

 

 

「私は新しい仕事が増えないことを祈ってお──」

 

 

 

 

 その場から去ろうとした時、一人の少年が現場に飛び込んできた。

 

 

 

 

「…ハァ……ハァ…みつ…けた」

 

 

 

 

 その顔は真っ青で、腹部には斬られた傷があり、血が流れ誰が見ても重症な怪我を負っている事が分かる。

 

 

 

「あなたは…」

 

 

 

 皆が状況を理解できずにいる中、アリーゼだけがいち早く駆け寄る。

 

 

 

「大丈夫!?タクトに何かあったの!?」

 

 

 

 

 何かを察したアリーゼは少年に近づき必死の形相でそう問いただした。

 

 

 

 

「アリーゼ…?」

 

 

 

「どういうこと!?」

 

 

 

「何故この状況で小僧の名がでる団長……?」

 

 

 

 その表情は普段の彼女の表情とはかけ離れたもので、この場にいた全員が驚いた。

 

 

 

 そして、少年は息絶えだえに答えた。

 

 

 

 

「17階層…タクトを助けてくれ…」

 

 

 

 少年の言葉を聞いたアリーゼはすぐに行動に移す。

 

 

 

 そして、事情を知らない者達もすぐに行動に移った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────────────

 

 

 

 

 

 

【タクト視点】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(一体何度目だ)

 

 

 

 

「ぐぅ……ッ」

 

 

 

 

「フフフ、素晴ラシイワァ……」

 

 

 

 

 攻撃が当たらない。伸ばしても(千鳥鋭槍)広げても(千鳥流し)全てコイツの速さの前では意味をなさない。

 

 

 

 

 

 

 

(一体いつまで続くんだ)

 

 

 

 

 

 

「ごほッ……ぁぁ…」

 

 

 

 

 

「フフ、痛イデショウ?苦シイデショウ?」

 

 

 

 

 

 

 回避も防御も許されない。コイツの力は俺の耐久を軽々と凌駕する。

 

 

 

 

 

(この地獄のような時間はいつ終わるんだ)

 

 

 

 

 

 

「ぁ……ぐ……ッ!」

 

 

 

 

 

「フフフ、モット頑張ッテ」

 

 

 

 

 

 

 

 殴られ、蹴られ、潰され、砕かれ、切られ、貫かれる。

 

 

 

 

 

 手も足も出ない、何度も気が狂いそうな程に繰り返される苦痛。それでも諦められなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「ァ……ッ……ッ」

 

 

 

 

 諦めたくなかった。

 

 

 

 

「今ノハ惜シカッタワネ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう言い痛みと恐怖に涙を流すタクトを蛇女(エキドナ)は少女へと投げ渡す。

 

 

 

 

 

 

 癒して潰すか、癒やさず殺す。少女に問われる究極の二択。

 

 

 

 

 

 

「……ディア・カウムディ」

 

 

 

 

 

「……ア…ディ…さん……」

 

 

 

 

「……ごめんね…ごめんね」

 

 

 

 

 

 死なせる選択肢を選べない自分を責めるように、涙を流しながら謝り続ける少女にタクトは首を横に振る。その行為が意味を成しているのかは分からない。ただ、少しでも安心させたかった。だからタクトは笑う。精一杯の笑顔を浮かべて。

 

 

 

 

 

「大丈夫ですから…ッ…泣かないで…くださいよ……あはは」

 

 

 

 

 その顔を見て、少女は泣き崩れ蛇女は笑みを深めた。

 

 

 

 

 

「貴方に…泣かれ…るのは……"もう"嫌なんだ……」

 

 

 

 

 

「………タクト…君?」

 

 

 

 

 

「……俺は……もう後悔するのは御免だ……」

 

 

 

 

 タクトは静かに立ち上がる。蛇女(エキドナ)を見据えて、"覚悟"を決めた。例え勝算は無くとも、救うと誓ったのだから。

 

 

 

 

 

(力も敏捷も相手の方が上、その上まだ見せてないが再生能力も健在なはず。今の俺にできる唯一の足掻きは──────)

 

 

 

 

 

【デイリー】

 

・[覚悟] 報酬、スキルクールタイムリセット。未達成

 

 

 

 

 戦う、生きる、逃げる、死ぬ、この戦いの中でいろんな覚悟をした。それは今も変わらない。それでもクリア条件を満たしていな──。

 

 

 

 

 

(いや、言い訳してる場合じゃねぇな)

 

 

 

 

 最初からわかっていた、この戦いが始まった時から、いや、もっと前、俺が初めてダンジョンに足を踏み入れた時から───。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アーディさん…剣、借りますね」

 

 

 タクトの纏う空気が変わる。蛇女(エキドナ)はそれを感じ取ったのか、楽しげに笑っていた。

 

 

 

 

 

「ふぅ………2人とも…。俺のする事を今回だけでいい、黙って見ていてくれ」

 

 

 

 

「タクト…?」

 

 

「タクト…君?」

 

 

 

 

 そう言い放つとタクトは少女達に背を向けた。そして、ゆっくりと歩き出す。それは少女達の元でもなければ蛇女(エキドナ)の元でもない。

 

 

 

 

 

「俺に負けるのが怖いならかかって来い…勝つ自信があるなら少し待ってろ、蛇野郎…」

 

 

 

 

 

「フフフ、イイワ……ソノ挑発ニ乗リマショウ♪」

 

 

 

 

 

 蛇女(エキドナ)は動きを止めて、タクトを待っていた。その瞳には期待の色が滲んでいる。タクトがどんな行動を起こすかが楽しくて仕方がなようだ。

 

 

 

 

 

 そしてその数秒後、タクトの歩みが止った。

 

 

 

 

 

「よう」

 

 視線を下に向け見下す様にタクトは言葉を投げかけた。

 

 

 

 

 

 

「………ッ」

 

 

 

 

「まだ生きてて安心したぜ」

 

 

 

 

 

「…ガ…キィ…」

 

 

 

 

 

 そこに居たのはこの戦いの発端である赤髪の男、タクトに切断された脚を長い鞭で縛り不完全ながらもなんとか出血を抑え、生き延びていた。

 

 

 

 

 

 

「よく片手で止血できたな…その鞭はモンスターの調教ようか?」

 

 

 

 

「………ッ」

 

 

 

「流石はLV.4だ、生命力が半端ねえな」

 

 

 

 男の視線にタクトは気にせず言葉を続ける。その余裕な態度が男の怒りを更に増幅させていた。

 

 

 

「どれだけ怒っても、もう動くだけの体力もねぇみたいだな、それならやりやすくて……丁度いい」

 

 

「……テメェ…マサ……カ」

 

 

 

 男は察してしまった、このタクトと言う少年が自分に何をしようとしているのかを。

 

 

 

 

「フザケ……ンナ…」

 

 

 

 

 だからこそ、その行動を止めるために動こうとしたが、タクト言った通りもう男に動くだけの体力は残されていなかった。

 

 

 

 

 

「元を辿ればお前のせーだけ──いや、ダメだな」

 

 

 

 

 タクトは言いかけたその言葉を飲み込んだ。

 

 

 

 

 

(これじゃダメだ、これだと大義名分を振りかざして復讐するだけだ、それは覚悟じゃない)

 

 

 

 

 

 もっと純粋で残酷な────。

 

 

 

 

「……もう言い訳は無しだ……」

 

 

 

 

 これは復讐ではない。これは報復でもない。この世界では良くある物語。ありふれた日常。だけどそんな当たり前の事が出来なかった俺は──。

 

 

 

 

 

 今、"初めて"その一歩を踏み出そうとしている。

 

 

 

 

 だからもう言い訳はいらない。ただ自分の心のままに従うまでだ。

 

 

 

 

 俺が何をしようとしているか理解したんだろう、背後から2人の声が聞こえるが、もう遅い、"覚悟"は出来ている。

 

 

 

 

 

 俺は大きく息を吸い込み吐き出すと同時、アーディさんから借りた剣を男の胸に突き刺した。

 

 

 

 

 

 

「"俺が"生きるために死んでくれ」

 

 

 

 

 男が目を見開きこちらを見上げる、しかし、それも一瞬の事。次の瞬間には事切れ、男の身体は力無く地面に伏していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【デイリー】

 

・[覚悟] 報酬、スキルクールタイムリセット。

 

 

クリア

 

 

『全スキルのクールタイムがリセットされます』

 

 

 

 

 

【正義の使徒】再使用可能。

 

 

 

 

 

【デイリー】

 

 

・[戦う覚悟]報酬、ステータス上昇効果を高域補正、覚悟の丈により効果向上。戦闘中効果持続。

 

クリア

 

 

・[生きる覚悟]報酬、補血。戦闘中効果持続。

 

クリア

 

 

・[諦めない覚悟]報酬、一時的に全発展アビリティを一段階ランクアップ。

 

 

クリア

 

 

『ウィークリー』

 

・[守る覚悟]報酬、全ステータス+50、敏捷+25 。黒刀。

 

クリア

 

 

 

『全デイリーがクリアされました、報酬が与えられます』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【ステータス上昇効果を高域補正】

 

対象

・千鳥

・呪印状態

・ディアカウムディ

正義巡継(ダルマス・アルゴ)

 

 

 

 

【黒刀】

不壊属性(デュランダル)

 

 とても頑丈な刀です、壊れる事はありませんが切れ味が落ちやすいです。

 

 

 

【補血】

 

 出血時魔力を消費して血液が補充されます。

 

 

 

【止血】

 

・効果時間が切れました、解除されます。

 

 

 

「…もはや魔法の領域だな」

 

 

 

 

(それにこの刀、不壊属性(デュランダル)はかなりありがたい、切れ味は最悪千鳥でなんとかなる)

 

 

 

 

 

「フフフ、ソレデ?ドウスルノ?」

 

 

 

 蛇女(エキドナ)が楽しげに笑う。

 

 

 

 

「はっ、決まってるだろ?」

 

 

 タクトはその問いに鼻で笑いながら答えた。

 

 

 

 

 

「さぁ、再開しようぜ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その言葉と同時に蛇女(エキドナ)は跳んだ。先程とは比べ物にならない速度でタクトへと迫る。

 

 

 

 

 

「フフ、エエ再開シマショウ……ッ!!」

 

 

 

 

 蛇女(エキドナ)は鞭のようにしならせた腕でタクトの頭部を狙う。それを一歩、タクトが後ろに下がる事で蛇女(エキドナ)の一撃は空振りに終わる。

 

 

 

 

 

「っし……!」

 

 

「……!?」

 

 

 

 

 蛇女(エキドナ)は避けられるとは思っていなかったのか驚きを隠せないでいた。その隙を見逃さずタクトは一歩前へ踏み込み──

 

 

 

 

「そろそろ一太刀ぐらい受けろ…!!」

 

 

 

 蛇女(エキドナ)の懐に入り込むとそのまま袈裟斬りを放つ。蛇女(エキドナ)は咄嵯に右腕を差し出しタクトの斬撃を防いだ。

 

 

 

 

 

「……グッ……!イイ!凄クイイワァッ!!」

 

 

 

 蛇女(エキドナ)は歓喜の声を上げると蛇の下半身をうねらせ勢いよく蹴りを放つ。

 

 

 

 

 

「く……ッ…そ……ッ!」

 

 

 

 タクトは黒刀を、盾にし防ぐが、衝撃を殺しきれ大きく後方へと吹き飛ばされてしまう。

 

 

 

 

 

 

 

「……痛ぇ」

 

 

 

「ヤハリ良イワ、貴方……!」

 

 

 

「…そりゃどうも……」

 

 

 

 弾き飛ばされ背を壁にぶつけながらもタクトは口角を吊り上げ笑みを浮かべ黒刀を構え直す。

 

 

 

 

 

(……これでもまだ俺の方が劣るか……)

 

 

 

 でも今の一撃でわかった、この状態ならギリギリやり合える。

 

 

 

 

 そう確信すると、黒刀を強く握り再び駆け出した。

 

 

 

 

 

「フフ、ソウヨ!モット……モットッ!!ワタシノ相手ヲシテッ!!」

 

 

 

 

 今度はタクト自ら間合いを詰める。蛇女(エキドナ)も嬉々として迎え撃つ。互いの武器(腕と刀)がぶつかり合う度に火花が散り、甲高い音が響く。

 

 

 

 

 

「ハハッ、素敵……♪」

 

 

 

 

「チィッ…!!」

 

(コイツの皮膚は鉄かなんかかッ!!)

 

 

 

 

 

 蛇女(エキドナ)は両腕を振り抜き頭、首、胴、脚と順々に狙う。タクトはそれを黒刀一本で捌き切るが、反撃する暇を与えぬほどに絶え間なく続く攻撃に防戦一方であった。

 

 

 

 

 そしてその猛攻の中、蛇女(エキドナ)の口角が一瞬だけ上がる。

 

 

 

 

 

(……何か来る)

 

 

 嫌な予感が脳裏を過ったその刹那───。

 

 

 

 

 

 

「上ヨ…」

 

 

 

 蛇女(エキドナ)は嘲笑うかの様に呟いた声音にタクトは反射的に空を見上げた。

 

 

 

 

 

(上……ッ!違う下だッ!!)

 

 

 瞬間、地面から飛び出す複数の石槍がタクトを襲う。

 

 

 

 

「ぐっ……!」

 

 

 

 

 

 慌てて回避を試みるが、完全ではなかった。数本の石槍が肩や腰を掠め、鮮血が舞う。

 

 

 

 

(えぐい技使いやがってッッ!!)

 

 

 

 

 

 痛みを堪え、無理矢理身体を捻らせ迫る追撃(石槍)をかわす。しかし、その代償は大きかった。

 

 

 

 

 

「私カラ目ヲ離シタラ駄目ヨォ?」

 

 

 

 体勢が崩れた事により蛇女(エキドナ)の拳をもろに喰らってしまう。

 

 

 

 

「っ───!!」

 

 

 

 

 

 

 強烈な打撃により壁まで吹き飛び、激突した。身体を強打した事で肺の中の空気が一気に吐き出される。それでもなおタクトは意識を保った。身体はボロボロだが、心は折れてはいなかった

 

 

 

 

 

(痛え……でもなんだろう……すげぇいい気分だ…)

 

 

 

 

 

 むしろ今までにない程タクトの心は高揚していた。

 

 

 

 

 それは、今まで経験した事の無い戦闘だからだろうか、それともこの怪物と戦いになっている事に興奮しているのか、どちらにせよ、タクトはこの状況が楽しくて仕方がなかった。

 

 

 

 

 

「フフ、今ノヲ生キ残ルナンテ凄イワァ」

 

 

 

 

 

 そう言って蛇女(エキドナ)は楽しげに笑った。

 

 

 

 

 

「はは……」

 

 

 

 

 

(やっぱり彼女は強い)

 

 

 

 

 だからこそ、こんなにも楽しい。

 

 

 

 もっと、戦いたい。

 

 

 

 もっと、楽しみたい。

 

 

 

 "何をしてでも"彼女に勝ちたい。

 

 

 

 そんな思いがタクトの脳内を支配する。

 

 

 

 

(あるもの全部──)

 

 

 

 

 

 武器を杖代わりにして立ち上がると、黒刀を握り直し蛇女目掛け駆けた。

 

 

 

 

 

(身体が焼けてもいい。上限を超えて最大出力ッ)

 

 

 

 

 

 

"ピコン"

 

 

 

 

 

 

 黒刀が纏う黒い雷が一層強く輝き、タクトの速度が上がる。蛇女(エキドナ)は向かってくるタクトに対し、両手を広げ構えた。

 

 

 

 

 

 直後蛇女(エキドナ)が放ったのは、先程のタクトの不意をついた数にして20を超える石の槍、それがタクトに向かい放たれる。

 

 

 

 

 迫り来る無数の刃槍を前にしてもタクトは足を止めなかった。黒刀を一振り、二振り、三振り……、自身にとって危険な物のみを感知し次々と襲い掛かる槍を斬り伏せ蛇女(エキドナ)との距離を詰めていく。

 

 

 

 

 

「キャハハハッ!凄イッ!凄イワッ!ソノ剣モ、貴方モ!!」

 

 

 

 

 蛇女(エキドナ)は狂喜乱舞しながら腕を振るう。刀と腕がぶつかり合いその度に蛇の鱗が剥がれ落ち、肉が裂ける。その激痛すら今の彼女にとっては興奮剤にしかならない。

 

 

 

 

 タクトの放つ一刀一刀が、蛇女(エキドナ)に傷を付け、蛇女(エキドナ)の攻撃の一撃一撃が、タクトを死に近づける。

 

 

 

 

 互いに譲れぬ想いを抱え、死闘は更に加速していく。

 

 

 

 

 蛇女(エキドナ)は腕を振り下ろし、タクト腕を両断しようと黒刀を振るう。蛇女(エキドナ)の右腕とタクトの黒刀がぶつかり合い、蛇女(エキドナ)の右腕が宙を舞い、タクトの頬には一筋の赤い線が刻まれる。

 

 

 

 

 蛇女(エキドナ)は即座にタクトの急所(心臓)を狙い残る腕を突き出す。

 

 

 

 

 タクトはそれを黒刀を盾に受け止める。互いの力が拮抗し、両者共に一歩も引かない。蛇女(エキドナ)は口角を上げ、楽しげに笑うと、力任せに半身を振いタクトを弾き飛ばす。

 

 

 

 

 タクトは黒刀を地面に突き刺し飛ばされる勢いを殺ぎ、着地すると同時にそのまま前方へと跳躍した。蛇女(エキドナ)はその動きに合わせ再生した腕を振るう。

 

 

 

 

 迫り来る左腕を黒刀で切り落とし、蛇女(エキドナ)の懐に入り込むと脇腹目掛け黒刀を突き刺し──

 

 

 

 

 

「千鳥流……ッ!!」

 

 

 

 

 蛇女(エキドナ)の身体へと電撃を流そうとした瞬間、タクトは足元で動く何かを感知し咄嵯に黒刀を手放し後方へ飛ぶ。

 

 

 

 

 

 刹那、タクト元いた地面から飛び出す複数の石の槍。

 

 

 

 

 

(感知が遅れてれば串刺しだったな……)

 

 

 

 

 

 蛇女(エキドナ)は再生した右手で自身の胸を撫でると口角を吊り上げ笑みを浮かべた。蛇女(エキドナ)は身体に刺さったまま黒刀を引き抜くと、タクトに向け投げつけた。

 

 

 

 

 

 タクトは飛んできた黒刀を掴み取る。

 

 

 

 

 

「……礼は言わねぇぞ」

 

 

 

 

 

「フフ、ドウシテ?」

 

 

 

 

「折角のチャンスを邪魔してくれたからな……」

 

 

 

 

「フフフ、ソウ……デモ、ソレデ良イワ」

 

 

 

 

 蛇女(エキドナ)は笑みを浮かべたままタクトにゆっくりと近づく。

 

 

 

 

 

「ただ一つだけ素直に認めて褒めてやる、"今の俺"じゃ、お前には絶対勝てない。腐っても精霊、流石だ」

 

 

 

 

 タクトはそう言うと、蛇女(エキドナ)に向かって不敵に笑って見せた。

 

 

 

 

 

 蛇女(エキドナ)はピタリとその歩みを止める。そして、一瞬だけ悲しげに表情を変えるが、すぐに口角を上げる。

 

 

 

 

「降参カシラ……?ソンナコトヲ言ッテモ、逃ガサナ──「そうじゃねえよ」」

 

 

 

 

 蛇女(エキドナ)の言葉にタクトは被せる様に答えた。そして、黒刀を肩に乗せニヤリと笑いかける。

 

 

 

 

 

「安心しろ、逃げるつもりはない。ただ───」

 

 

 

 

 

 

「何ヲスルツモ───ッ!?」

 

 

 

 

 

 蛇女(エキドナ)は突然、身体に違和感を感じた。全身が痺れる様な感覚に身体が硬直し、動かなくなる。そして、その原因をすぐに理解させられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「【ガーナ・アヴィムサ】、さっきの事絶対に許さないからね……!」

 

 

 

 

 

「……ッ!コレハ……ッ!」

 

 

 

 

 

「お前は俺に意識を割き過ぎたんだよ」

 

 

 

 

 

 

 

「……グッ」

 

 

 

 蛇女(エキドナ)は必死に身体を動かそうとするが、指一本動かす事が出来ない。

 

 

 

 

 

「…フ、フフ……。デモ、コンナノハ、一時的ニシカ効カナイワヨォ……!」

 

 

 

 

 

「ああ、そうだな。でも、それで十分だ」

 

 

 

 

 

「……ドウシt「お前はもう詰んでるんだ」

 

 

 

 

 

 

「フフ、詰ンデル?私ガ……?」

 

 

 

 

 

 

 蛇女(エキドナ)は余裕の笑みを浮かべるが、その顔は少し青ざめていた。

 

 

 

 

 タクトは蛇女(エキドナ)を見据えながら、黒刀を構える。

 

 

 

 

 蛇女(エキドナ)はその様子に恐怖を感じながらも、どこか期待するかのように目を輝かせていた。

 

 

 

「……マダ終ワラセナイワッ!!」

 

 

 

 

 蛇女(エキドナ)は叫び声をあげ、自身の周りに石の剣を複数を生み出して壁を作り出した

 

 

 

 

「無駄だ」

 

 

 

 しかし、タクトそう呟くと同時、蛇女(エキドナ)を囲う壁に何かがぶつかり────爆ぜた。轟音と共に煙が舞う。

 

 

 

 

 

「──────今度ハナニッ!!!」

 

 

 

 

 声にならない悲鳴を上げ続ける蛇女(エキドナ)の視線の先には、桃髪の少女が立っていた。

 

 

 

 

「へっ、アーディもよくこんなモン持ってたな……!」

 

 

 

 

ここ(17階層)に来る道に仕掛けてあったのを少し回収しただけだよ。それよりタクト君!!」

 

 

 

 

 

「悪いな…俺の持つモン全部使ってお前に勝つ」

 

 

 

 

 

 

 タクトは黒刀を握り直すと、蛇女へと向ける。そして────

 

 

 

 

 

「【千鳥刀】………」

 

 

 

 

 

 刀から一直線に伸びる黒い雷撃の槍が、動けぬ蛇女(エキドナ)の腹部の少し下を穿つ。

 

 

 

 

 

 蛇女(エキドナ)は目を大きく見開き、信じられないとばかりに、自分の腹部を眺める。

 

 

 

 

 

「フフ、フフフフ!!残念ネェ、私ノ心臓ハモウソコニ無イノ、ソレニヤット体ガ動ク───「わかってるよ…」

 

 

 

 

 魔石が破壊されず勝ち気になったそんな蛇女に対し、タクトは小さくため息を吐いた。

 

 

 

 

「言っただろ?"詰み"だって」

 

 

 

 

 そう言いタクトは黒刀へと魔力を流し込む。すると、既に雷を纏う黒刀は更にバチバチと帯電し始め、雷槍で繋がる蛇女(エキドナ)にも電撃が流れる。蛇女(エキドナ)は苦しそうな表情を浮かべ、何とか逃れようともがくが、動く事は叶わない。

 

 

 

 

「千鳥流し……流石に距離がある分威力は落ちるがそれでも動きを止めるには十分だ」

 

 

 

 

 蛇女(エキドナ)との距離は約10M程離れているが、それでも蛇女(エキドナ)が動けない程身体に電撃が流れている事から、かなりの電圧であることが窺える。

 

 

 

 

「ウゥ…デモ……貴方以外ニ私ヲ…倒セル人……ナ何テ…ッ!」

 

 

 

 蛇女(エキドナ)は苦痛に顔を歪ませながらも、不敵な笑みを見せる。タクトは黒刀に魔力を流し込み続けをニヤリと笑った。

 

 

 

 

「そうだな、俺は動きを止めるほひ必死で動けない、それにアーディさんもライラもお前の硬度の上がった皮膚を切り裂けない」

 

 

 

 

 

「フ、フフ…フフフソウヨ───「"俺達"には…な……」

 

 

 

 

 タクトの笑みに蛇女(エキドナ)は嫌な予感を感じる。そして、その予感は現実となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よく耐えたわね!偉いわタクト!後は任せなさい!」

 

 

 

 

「ユウギさん…その姿は…」

 

 

 

 

「そのない腕はあの畜生にやられた、そう言う事でいいですかぁ?小僧」

 

 

 

 

「お、おいライラもアーディもタクトも全員傷だらけじゃねぇか!?」

 

 

 

 

「タクトちゃん?いやモンスター?え、どうなっているのぉ!?」

 

 

 

「い、今すぐ回復を───」

 

 

 

 

 タクトの後方から現れた、赤髪の少女と、エルフの少女、着物を着た少女、そしてその仲間達とボロボロの少年がタクトの隣に立つ。

 

 

 

 

「呼んできたぜ…タクト」

 

 

 

 

「ああ、本当に助けられたよ、シオン」

 

 

 

 タクトはそう言うと、蛇女(エキドナ)を見据えた。

 

 

 

「さて、これで形勢逆転。俺達の勝ちだ」

 

 

 

 

 そう告げると、蛇女(エキドナ)は痺れる腕を動かしゆっくりとタクトを指差し、微笑んだ。

 

 

 

 

「フフ…貴方ノ名前……タクト…ッテ言ッタワネ?」

 

 

 

 タクトは蛇女(エキドナ)の言葉に眉を潜める。

 

 

 

 蛇女(エキドナ)はそんなタクトを見てクスリと笑い楽しげに言葉を紡ぐ。

 

 

 

 

「貴方達ノ勝チ…ジャナイワ…」

 

 

 

 

 

「……この状況でまだ勝ち目があると?」

 

 

 

 

「フフ…ソウジャナイワ…」

 

 

 

 

 そう言って蛇女(エキドナ)はタクトを指差す手とは反対の手で自身の胸を撫でる。タクトはその行動を不審に思いながらも、蛇女(エキドナ)の次の言葉を待った。

 

 

 

すると蛇女(エキドナ)は目を細め、まるで愛しい恋人を見るような眼差しをタクトへ向けながら口を開く。

 

 

 

 

「私ハ……タクト…"貴方ニ"、負ケヲ認メルノヨ……」

 

 

 

 

 タクトの瞳が大きく見開かれ黒刀を握る手に力が入る。蛇女(エキドナ)はそんなタクトの様子を満足気に笑みを浮かべ最後の言葉を口にした。

 

 

 

 

 

「フフ、楽シカッ…タワ……大好キヨ……タクト」

 

 

 

 直後地面から飛び出した大量の槍が蛇女(エキドナ)の胸の魔石を貫いた。

 

 

 

 

「フフ、マタ────────」

 

 

 

 蛇女(エキドナ)は小さく笑い声を上げると、その体は灰となり散った。

 

 

 

 

 

 

 

「……え?」

 

 

 

 タクトは目の前で起こった出来事を直ぐに飲み込めず、間抜けな声を上げた。

 

 

 

 

 

 しかし、それはタクトだけではなく場の空気に呑まれていた皆が突然の出来事に混乱していた。

 

 

 

 

 

 そんな中、いち早く正気に戻ったのはライラだった。蛇女(エキドナ)が消えた場所を呆然と眺めるタクトの元へと駆け寄ると、服を掴み強く揺すり叫んだ。

 

 

 

 

 

「てんめぇタクトォ!!無茶ばっかりしやがって!私がどれだけ心配したと思ってんだ!」

 

 

 

 ライラは涙を堪えながらタクトを睨む。タクトは少し困り顔で頭を掻くと、優しくライラの手を握り締める。そして、少し照れ臭そうに笑みをこぼすと、こう言った。

 

 

 

 

 

 

「涙顔のライラさん貴重すぎてマジ最高…!」

 

 

 

 ライラは一瞬キョトンとした表情をすると、顔を真っ赤にしてタクトの手を振りほどき怒鳴る。ライラの罵声で正気を取り戻したのか、タクト以外の面々もタクトの周りに集まり始めた。

 

 

 

 そんなタクトに一人の男が声を掛ける。

 

 

 

 

 

「その……本当にごめん…タクト、俺のせいで……」

 

 

 

 

 そう言ったシオンに対し、タクトはため息を吐いた。そして、いつもの様に皮肉混じりに言葉を返す。

 

 

 

 

「別にいいよ、気にすんな。元々お前がここに来る原因を作ったのは俺とライラだしな」

 

 

 

 

 そう言うと、タクトはシオン肩を叩く。

 

 

 

 

 

「それに最後お前が来てなかったら勝負はどうなってたかやからねぇしな」

 

 

 

 

 タクトはそう言うと、蛇女(エキドナ)がいた場所に視線を向ける。

そこには、小さな魔石が転がっていた。

 

 

 

 

 

(勝負はついた……か)

 

 

 

 

 

 何か違和感があるとすれば、それは蛇女(エキドナ)が最後に残した言葉。

 

 

 

 穢れた精霊(デミ・スピリット)が俺に好意を寄せているなんて事はあり得ない。あり得るとすれば精霊の血を持つ剣姫(アイズ)だけだ。タクトは蛇女(エキドナ)が消えていった場所を見ながら思考を巡らせるが、答えは出ない。

 

 

 

 

 

 

(…考える事はそれだけじゃねぇな……)

 

 

 

 

『1つに2つヲ兼ネ備エタ人間、フフ……トテモ歪デ……凄ク面白イ』

 

 

 

 

(あいつの言った意味……一体何を指している?)

 

 

 

 

 タクトは蛇女(エキドナ)の言葉に引っ掛かりを覚えるも、今はそれどころではないと、頭を振る。

 

 

 

 

 

「……取り敢えず、誰かエリクサーとか持ってない?俺今にも死にそ────」

 

 

 

 

 

 不意に全身の力が抜け、膝をつく。そして、そのまま地面に倒れこんだ。タクトは薄れゆく意識の中、視界の端に写る仲間達の姿を見つめる。

 

 

 

 

 

(ああ…そうか…デイリーの時間切れで…失血が……ッ)

 

 

 

 

 

何かを叫ぶ仲間の姿がぼやけて見える中、タクトは意識を手放したのであった。

 

 

 

 

 

 






ピコン


[戦闘の天才]
自分より強い者との戦闘時全ステータス階位昇華
モンスターから得る経験値を200%アップ
信頼のできる者との共闘時、"自身とパートナーの全ステータスを20%アップ"



シオン君のスキルですなぁ。
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