寝て起きたら暗黒期!?ベルくんに会うまで死にたくねー!   作:お米大好き

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19巻発売日までもう少し…。

今更ですが原作(外伝?).、アストレア・レコード未読者注意!。


第九話、成長途中

 

 

 

 

「娘と妻に合わせてくださいぃぃ────!!」

 

 

 

 

 

カチッ

 

 

 

 

 

 何かが鳴る音がした。

 

 

 

 

 一瞬にも満たない時間の狭間。

 

 

 

「ぁ─────────」

 

 

 

 

 

 少女(アーディ)は死気を悟った。自身の体はこれから起きる爆破により呆気なくそして跡形もなく弾け飛ぶと。

 

 

 

 

───そして。

 

 

 

「───!」

 

 

 

 生存を諦め閉じつつある視界の隅に映り込んだ黒髪の少年。複数人の闇派閥を相手にたった一人で戦っている。

 

 

 

 

そんな状況下にも関わらず……()()()()()()()()()()()

 

 

 

 (ふふ、ごめんね──)

 

 

 

──君は生きて。

 

 

 

 

 そう心の隅で呟き少女は静かにその目蓋を閉じる。少女の顔に恐怖は無く、あるのはどこか安らかで満ちた表情で、その口元は小さく笑みを浮かべていた。

 

 

 

 

もう時期、少女の体を木っ端微塵に消し飛ぶ……。

 

 

 

 

───筈だった。

 

 

 

 

 

(………あれ…?)

 

 

 

 いつまで経っても痛みを感じない、それどころか、先程まで耳を叩いていた戦場の喧騒と剣戟が全く聞こえてこない。

 

 

 

 

(…もしかして痛みを感じるよりも速く死んじゃった?)

 

 

 

 そんなことを考えた少女は恐る恐る目蓋をゆっくりと開けると、そこには……

 

 

 

「ぇ……」

 

 

 

 

 少女が想像していた悲惨な情景はそこには一切無く。代わりに視界に映ったのは。

 

 

 

 

「わ、私の部屋……」

 

 

 

 つい数時間前も目にした、自分の家(ファミリアホーム)

 

 

 

「どうなってるの…?本当に死んじゃった?」

 

 

 

 アーディは、困惑しながらも自身の体に視線を落としてみる、装備していた武器に、そして纏っている服には微かに土が付着して少し汚れてはいる、しかしそれ以外は……、怪我などは一切負っていない。

 

 

 

「腕も足もちゃんとついてる……死んではなさそうだけど…」

 

 

 

 考えれば考える程に分からない事だらけで混乱する頭を抱えながら彼女は立ち上がった。

 

 

(とりあえず外に出よう。何かわかるかも…)

 

 

 

 

 自身の部屋を出る為ドアを開け、廊下に出たその時、少女は再び困惑する事になった。

 

 

 

 

「空が赤い……違う、これって……」

 

 

 

 

 

───都市が燃えてる

  

 

 

 

(一体なんでっ、いや……今はそれどころじゃな───)

 

 

 

 アーディは再び驚愕し、言葉を失った。何故ならその廊下の奥、視線の先には血塗れとなった自身の仲間(ファミリアのメンバー)の姿があったからだ。それも1人だけではなく数十人、全員が、皆一様に血と涙に濡れ、苦痛と恐怖に染まっていた……。

 

 

 

そして、そんな彼らを背には──。

 

 

 

 

「お母さぁぁぁんッ!!」

 

 

 

「ちくしょうッッ!!ちくしょうッッ!!」

 

 

 

「まだ夫が残ってるんですッ!!助けさせて……」

 

 

 

 泣き叫ぶ、市民がいた。しかし彼らは皆一様に負傷しており、まともに動ける状態では無かった。そんな市民達を背に庇い、彼ら、彼女らはただ一心に叫び続けている。それは愛する者を救う為に、大切な誰かを生かさんとするが故の叫び。

 

 

 

 

闇派閥(イヴィルス)を押し返せぇぇぇッ!!」

 

 

 

「市民をホームの奥へッ!!」

 

 

 

 1つの都市が今まさに崩壊しようとしていた。そんな中少女は一人立ち、その目に映る、いや、感じ取ったのだ

 

 

 

 

『戦争が始まった』と。

 

 

 

 

「行かなくちゃッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲

 

 

 

 

 

 

 

 

「タクト君ッ!!しっかりして!!」

 

 

 

 

 

(傷が多すぎるッ!!()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()…それにこの熱傷……このままじゃ──ッ!!)

 

 

 

 少年に駆け寄り、その体に触れた彼女は今現在起こっている事を正確に把握出来ておらず、混乱してしまっていた。

 

 

 

 

 しかしそれは仕方がないと言えるだろう。彼女は少年の強さを知っている。相手が格上だとしても簡単に負けるなんてことはありえない。それがこの数分間でボロボロになってしまったのだから。……しかし

 

 

 

 

「大丈夫……」

 

 

 

 

 そんな彼女の心情を悟ったのか、少年はゆっくりと口を開くと安心させる様、優しい声で言った──。

 

 

 

 

「大丈夫だから……」

 

 

 

 

──まず右足から治療してくれ。

 

 

 

 

 その言葉には確かな力があった。彼女は知っている、今目の前で倒れ、そして自分を安心させる様に笑ったこの少年が、自分の事をいつも気にしてくれて、そして自分が困っていればすぐに駆けつけて助けてくれる、そんな心優しい少年であることを……。

 

 

 

 

「ッ!!」

(そうだ、落ち着いて……)

 

 

 

 少女は一度深く息を吸ってから気持ちを落ち着かせた後、ゆっくりとその右脚に触れた。

 

 

 

「──。【ディア・カウムディ】」

 

 

 

 彼女がそう言葉を口にすると、触れた手を中心に淡い光が広がり、やがてタクトの脚を覆った。その光が少年の中に吸い込まれて行くと同時に、傷は徐々に塞がって行った。

 

 

 

「…ありがとう。……アーディ、君の現状を教えてくれ」

 

 

 

「………?」

 

 

 

 少年の言葉に違和感を感じたがそれを無視し、治療を続けながら彼女は頷いた。

 

 

「おかしな話だけど気がついたらホームに居たんだ……外に出たら──」

 

 

 

 アーディは、この数分で何が起こったのかを話し始めた──。

 

 

 

一つ、複数の教会、中規模以上のファミリアを市民の避難所としている。

 

 

 

二つ、今タクト達がいるのは複数ある教会の中の1つである。そしてアーディは市民の避難と治療を優先的に行なっている。そして勇者(ブレイバー)の指示のもと既に市民の避難は7割完了している。

 

 

 

 

三つ、今現在も教会の外では闇派閥と冒険者による激しい戦闘が繰り広げられている。

 

 

 

 

「……そうか。わかった……ありがとうアーディ」

 

 

 

 

 少年は、アーディから一通り状況を聞き終えると少し考えるように目を閉ざす。

 

 

 そして少しすると、何かを決意したかのように小さく口を開いた。

 

 

 

「はぁ………取引の内容、覚えてるよな」

 

 

 

 この場にいる誰でもない、見えない誰かに伝えるように、タクトは言った。

 

 

 

「…タクト君?」

 

 

 

 冷たく暗いその口調、声音、そして何より少年の表情を見たとき、アーディは考えてしまった。今自分の目の前に横たわる少年は───本当に私の知る少年なのだろうか?、と。

 

 

 

 

(タクト君……君はいつから私の事を──)

 

 

 

 

 

「…お前の足りない部分を補ってやる代わりに、俺の望む時に体の主導権を寄越してもらう。それが契約……返すのも当然俺の自由だ……安心しろ、サポートはしてやるし──」

 

 

 

 

──残った傷は()()()()()()が治してくれる。

 

 

 

 

 そう続けた少年の言葉の意味を理解できず、アーディは一瞬、呆けてしまう…が。

 

 

 

(え……精霊が、治す……?)

 

 

 

(それって──)

 

 

 

 

 そう、その精霊というのは……、アーディは直ぐに一つの事に気が付くと同時に、少年が口を開いた。それは

 

 

 

 

「痛ぇ…呪詛(カース)のペナルティを考えれば気持ちはわかるが…いきなり主導権返すんじゃねぇよ…」

 

 

 

 そう小さく吐き捨て、少年は、瞬く間に癒えて行った体を見ながら、ゆっくりと身体を起こした。するとそんなタクトにアーディが声をかける。

 

 

 

「タクト君……?」

 

 

 

 その声に、タクトの体は一瞬だけビクッと震えたがすぐに「あ、あぁ」と返事を返した。そして───

 

 

 

 

《話している暇はない…早く外に出て備えろ》

 

 

 

「うぉ…!?、なんだこれ……?」

 

 

 

「??……何って?」

 

 

「あ……アーディさんには聴こえないんですね……」

 

 

 

 かなり聞き覚えのある声が頭に響いた。それに驚き、辺りを見回すタクトと不思議そうに首を傾げるアーディ……しかし、そんな2人を他所に話は進む。

 

 

 

 

《外に出ろ……最悪の展開がすぐそこまで迫っている》

 

 

 

「最悪の展開……?」

 

 

 

アビリティ(感知)に意識を集中しろ……そして魔力の残滓を感じ取れ……》

 

 

 

「……おう」

 

 

 

 そう小さく呟いて、タクトはその瞼を閉じた。

 

 

 

 

(感知……感知……あれ、この感じって……)

 

 

 

「これって──」

 

 

 

《そうだ、お前の想像している通りだ……》

 

 

 

 

「───ッ!!」

 

 

 

 

 感じる、外に、扉の向こうにアイツが居る。……()()()が、生きてる。

 

 

 

「何でもっと早く教えなかった!!外で戦闘してるのはアイツなんだろ!?なら俺も一緒に戦っ…て……」

 

 

 

 

《……》

 

 

 

 タクトが声を荒げ、外へと飛び出そうとした瞬間、その身体は急に脱力し、地面へと倒れそうになる。しかしそれをアーディが優しく支えた。

 

 

 

(は……?)

 

 

 

「おい……何やってんだよ…」

 

 

 

《……身体の主導権だけを奪った》

 

 

 

「なんだと……?」

 

 

 

 タクトが困惑する中、少年……否、青年は続ける。

 

 

 

《言っただろ…この外では()()()()()()()()……》

 

 

 

「それは"アイツ"が危な──」

 

 

 

《言った筈だ……"最悪"だと》

 

 

 

 その言葉に、今までにない圧を感じ、タクトの喉は締まる。そして、青年は続けた。

 

 

 

《お前の優先するものはなんだ…。アーディか?それとも外にいる"アレ"か?》

 

 

 

「それは……」

 

 

 

《感情に左右され、怒りに身を任せ行動するのも良いだろう、だがその先にあるものは後悔だ》

 

 

 

 そうして青年は、少しだけ間を開けると、

 

 

 

《っ……お前に、そんな結末を迎えさせる訳にはいかない。だから、俺は今のお前に主導権を譲る事をしない……》

 

 

 

 タクトが何も言えなくなるのを確認すると、青年は再び口を開いた。

 

 

 

《失いたくないなら…成長しろ。いつまでもガキのままじゃ、何も変われ…ない》

 

 

 

(……ッ)

 

 

 

 

「……わかったよ。俺は何をすればいい」

 

 

 

 

《何があっても取り乱す…な。そして中にいる者…全員を連れて……教会の外に出……ろ》

 

 

 

「は……?」

 

 

 

 

《っ……もう、限界だ……数人殺してでも…外へ…》

 

 

 

 

(おい!どうした!!)

 

 

 

 

 青年が主導権を返すと同時、タクトの内側から気配が消えた。意識を失ったのだろうか、それとも……。

 

 

 

 

「あぁぁぁクソッ。信じるぞ、未来人ッ」

 

 

 

 

 

「タクト君!!」

 

 

 

 

 アーディが心配そうな声音で、名を呼ぶ。しかし反応はない。

 

 

 

 

 そして……、少女の目の前には、先程とは打って変わって静かな瞳をした少年の姿があった。

 

 

 

 

(俺じゃザルドを相手に生き残るなんて無理だった、アーディさんを避難させるのも失敗したんだろ?…お前は俺の期待に答えてくれた、なら俺だってッ!!)

 

 

 

 タクトは、青年の言葉を信じて行動した。肩を掴むアーディ手を優しく払い…。

 

 

 

「アーディさん、今からする俺の行動は考えあってのものです。俺を信じてください」

 

 

 

 

「ぇ?いきなりどうし──」

 

 

 

「ふぅ……。皆さんッ!!2度しか言いませんッ!!一度教会から出てください!!」

 

 

 

 大きな声で、そう叫んだ。しかし──

 

 

 

「ふ、ふざけるなッ!!」

 

 

 

 その行動に、一人の男性が異議を唱える。すると、闇派閥に怯え啜り泣いていた他の者達も次々に声を上げ始めた。

 

 

 

「私たちに死ねというのかッ!!」

 

 

 

 

「アンタ達冒険者が戦わないで、私達市民が戦えるわけが無いでしょう!!」

 

 

 

 

「避難所から出してどうすると言うのだ!!」

 

 

 

 

「お前も闇派閥なんじゃないのか!!?」

 

 

 

 

 突然のことにアーディは驚きながらも、市民達に落ち着くよう呼びかけるが……、一向に収まる気配はない。

 

 

 

 

 当たり前だ。外では今も戦闘が行われている。そんな状況の中、誰が外に行こうと思うのか。

 

 

 

 タクトはその光景を見て、小さくため息をつくと──

 

 

 

 

(覚悟はできてんだ…迷うな)

 

 

 

 

「【千鳥】」

 

 

 

小さく呟いて、天に片手を掲げる。

 

 

 

 

───魔力の無駄使いだ(非効率だ)……。と言って青年からのお叱りを受けるイメージが頭の中を過ぎる。しかし今はそんなことを気にしてる場合では無いと、タクトは小さく頭を振るってその手の先へと意識を向けた。

 

 

 

 

(俺なりのやり方で)

 

 

 

 

 すると、そこから雷が天に向かって伸びて行き、教会内に雷光が輝いた。そして────── パリンッ!!

 

 

 

 

 そんな甲高い音を立てて、教会の窓が割れる。

 

 

 

 先程まで騒いでいた者達も、その光景を見て絶句していた。

 

 

 

 それはそうだ。なぜならその発生源たる少年は。

 

 

 

「2度目、これが最後です。…外に出ろ、さもなければ今度は建物を壊す」

 

 

 

 従わなければ生き埋めにすると、そう言っているのだから。

 

 

 

 

「ぁ、ぁあ」

 

 

 

 

 先程の威勢は何処に消えたのか、一人の男が一歩後退る。それが引き金となったのかはわからないが、一人、また一人と恐怖に支配された心でゆっくりと教会の出口へと足を動かし始めた。

 

 

 

(これで、いい…んだよな)

 

 

 そして、そんな光景を見て、タクトはホッと一息を着いた時。

 

 

 

 

「何か理由があるんだよね?。今じゃなくてもいいから、あとで絶対に教えてもらうからね」

 

 

 

 隣に並び立つアーディが、タクトの耳元でそう囁いた。

 

 

 

「…はい、必ず」

 

 

 

 そう答えて、タクトもアーディと共に教会の外に足を踏み出した。

 

 

 

 

(覚悟はできてんだ…この先俺にとっての最悪が待っていたとしても、俺はその最悪を覆してみせるッ!!)

 

 

 

 

 そしてタクトは、息を大きく吸い込むと、大きな声で告げた──。

 

 

 

 

 

───早く教会の外に出るぞ!!。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ふざけるな!! ふざけるんじゃねぇぇッ!!! そう叫び、少年は駆け出した。

 

 

 

 

 

 少年の脳裏を過ぎるのは数分前に何度も告げられた青年の台詞。

 

 

 

 

『外に出ろ……最悪の展開がすぐそこまで迫っている』

 

 

 

『言っただろ…この外では最悪が起きている……』

 

 

 

 

(ふざけんな……ッ!!)

 

 

 怒りと恐怖が混ざり合うぐちゃぐちゃな感情に整理がつかない。

 

 

 

 

 青年の言っていた最悪、それは少年にとっての悪夢であり、絶望。避ける事は出来ず、逃げる事を許さない運命。

 

 

 

 青年は既にそれを理解し成長している、何より一度経験していた。だからこそ常に冷静を保てた。しかし少年は違う。

 

 

 

『感情に左右され、怒りに身を任せ行動するのも良いだろう、だがその先にあるものは後悔だ』

 

 

 

『失いたくないなら成長しろ。いつまでもガキのままじゃ、何も変われない』

 

 

 

 青年は助言が無意味だと理解していたのだろう。だから気づかせようとしていた。

 

 

 

アビリティ(感知)に集中しろ……そして感じ取れ……』

 

 

 

『何があっても取り乱すな』

 

 

 

(……ッ、うるせぇ、わかってんだよ)

 

 

 

 理解していても止まらない、止まれない。

 

 

 

 背後から聞こえる悲鳴、祈り、怒声。助かった者の感謝、助からなかった者の恨みの声。そんなものが混ざり合いタクトの心に突き刺さる。

 

 

 

(うるせぇ!うるせぇ!!うるさいッ!!)

 

 

 

 少年は、そんな声に聞こえないフリをしながら、走り続けた。ただ1人を求めて。

 

 

 

(クソが……ッ!何でだ!?)

 

 

 

 

 己の無力を嘆く。背後では死に損ねた者の声が聞こえ、目の前では1人の"少年"による虐殺が行われていた──そう、地獄絵図だ。

 

 

 

(何でッ!!どうして俺はッ!!)

 

 

 

 

 自分の周りで命がまるで物のように次々と奪われている。自分は1つのミスですらも許されはしない戦いの只中に居るというのに、それなのに……。

 

 

 

(半分死んだッ!!半分もだッ!!)

 

 

 

 タクト達が教会を出た時、空から業火が降り注ぎ、炸裂した。教会は崩れ去り躊躇した者、そして逃げ遅れた者、100をゆうに超える命が簡単に失われた。

 

 

 

 

(まだ助けられる人もいるかもしれない!!なのにッ!!何で俺はお前を優先してんだッ!!)

 

 

 

 タクトは、そんな事を考えながらも走り続けていた。理由は簡単だ、この地獄で自分が最優先しなければならない者がいるから。

 

 

 

「何やってんだッ!!シオンッ!!

 

 

 

 

 その者の名を呼ぶタクトの声は怒りに震えていた。当然だ、今タクトの目の前では、シオン()による冒険者の虐殺が起きていたのだから。

 

 

 

 

「……ゴロズ

 

 

 

 

「た、助けてくれぇぇぇ!!?」

 

 

 

 

 シオンのその瞳には光はなく、まるで操り人形のようにただ機械的に命を奪う。握られた白銀の剣は既に血に濡れてしまっていた。

 

 

 

 タクトは、そんなシオンの姿を見て、顔を歪ませると── 『やめろッ!!』

そう叫んだ。しかし止まらない。

 

 

 

 目の前ではまた一つの命が奪われようとしている。

 

 

 

 叫びは届かない。だからこそ、タクトは駆けた───全力で、友を止める為に。

 

 

 

「千鳥ッ!!」

 

 

 

 タクトは、背後からシオンに飛びつくと、雷を纏った手でその体を押さえ込む。そして、そのままシオンと共に地面を転がった。

 

 

 

 

「止めろッ!!止めてくれッ!!もう殺すな!頼む、正気に戻ってくれ……!」

 

 

 

 

 早くも限界を迎えそうになるタクトの目から涙が落ちる。その涙は、シオンの顔にも落ちて、雨のように流れた。

 

 

 

 

 しかし、そんなタクトの叫びも虚しく。

 

 

 

 

「ぅ……あぅぁ……ぁぅぁぁぁッ!!」

 

 

 

 

 シオンの瞳は依然として冷徹で、血に染まった手は止むことを知らなかった。

 

 

 

「クソッ……!!」

 

 

 

 

(LV.2が出せる力じゃねぇッ!!ランクアップしてやがるッ!!片腕じゃ抑えきれな───)

 

 

 

 

 ズッ────ッ

 

 

 

 

(ぁ……?)

 

 

 

 腹部に感じた鈍い痛み。それと共に体の力が抜ける、タクトはシオンの上へ重なるようにして崩れ落ちた。

 

 

 

 

──刺された…?。背後から…、誰だ…シオンは……ッ。

 

 

 

 

 タクトは意識が朦朧とした中で理解した。腹部に突き刺さった一本の剣は自分を狙ったものではない。これは…。

 

 

 

 

「ハ、ハヒハハ、はは……。やった……やってやったぞ……、はッ!!ははッ!!ざまぁみろッ!!」

 

 

 

 

 と、背後から声が聴こえた。その声はまるで狂ったような笑い。()()()()()()()()()()()()だった。

 

 

 

「こんなヤバい奴を1人の犠牲で殺せたんだ!!俺は悪くねぇ!!必要な犠牲だったんだ!、仕方なかったってやつだ!!」

 

 

 

 

 1人、意味も分からぬ言い訳をする男の声をタクトはどこか冷静に聞いていた。

 

 

 

(……俺は選択を間違えたんだな)

 

 

 

 

 薄れゆく意識のなか、タクトは思う。

 

 

 

 怒りが湧いてくるが、それもすぐに消え失せた。もうその感情を抱く余力すら残ってはいない。

 

 

 

"もう既に身体は限界を迎えている"

 

 

 

 そんななか、1人の声がタクトは聞き取った。

 

 

 

──ぁぅぁ。…と

 

 

 

 

(……ッ、ダメだ。意識を……手放したら、ダメだッ)

 

 

 

 

 諦めるな、俺はまだ何も為していない。今を乗り越えればきっと何か変われる、いや、変わるッ。

 

 

 

「ぅぐ、ぁぁぁぁぁぁぁあああああッッッ!!!!」

 

 

 

 タクトは力を振り絞り。叫ぶ 叫ぶ─────ッ。

 

 

 

 己を奮いたたせる為に、少年は咆哮を上げる。

 

 

 

 

 それは闇を切り裂き、天に届かんばかりの咆哮。この限界を超えた先で少年にとって長く続く"冒険"の始まりである。

 

 

 

 しかしそれはまだ先の話、今はまだ─────少年は最悪の中にいるのだから。

 

 

 

「ッ!!まだ息がありやが───」

 

 

 

 

ゴトッ──────ッ。

 

 

 

 

 鈍い音と共に1人の男の声は途切れる、数瞬後、タクトとシオンに剣を刺した冒険者の頭が地面に転がっていた。

 

 

 

 

 それは、誰が?───決まっている。シオンだ。

 

 

 

 

「……ゴロズ

 

 

 

 

グチャッ

 

 

 

 血塗れた白銀の剣、1()()()()()()()()()()シオンは再びその剣を地面に転がった死体へと、振り下ろした……。

 

 

 

 

「ッ!?」

 

 

 ……その光景を見たタクトが最初に感じたのは悲しみと、悔しさ。そして次はお前だと言わんばかりの、悪寒だった。

 

 

「……ゴロ

 

 

 

 シオンが振り抜いた剣は、タクトの頬を掠めて地面に突き刺さる。その剣には血が滴っていて、少年の頬からは血が溢れ出た。

 

 

 

 

 信じたくない、目の前の光景を。

 

 

 

 理解できない、どうしてこんな事になったのかを。

 

 

 

 

……タクトに剣を向けるシオン。その姿に、タクトは死を覚悟し……、それでも尚、その目に闘志を燃やす。

 

 

 

 

(……悪かったな)

 

 

 

 タクトは今できる最大の力を振り絞りシオンの腕を掴み

 

 

 

 

「ぁああ"ッ!!」

 

 

 

 そのまま全力で前方へと駆け出した。

 

 

 

 その拍子に剣が抜け血が滴り身体は悲鳴をあげている。だがそれでもその足を止めることはない。

 

 

 

 

『タクトはさ…もしも、もしもだよ……大切な人を助けるために他の人を切り捨てなきゃいけない状況になったら』

 

 

 

 

───もし俺があの時お前を止めていれば。

 

 

 

 

『その人を助ける為に、自分は見殺しにしないといけない状況になったら……タクトはどうする?』

 

 

 

 

 

『俺は、もし自分を犠牲にしなければならない時がきたら、迷うと思う。でももし大切な人が助けを求めて来た時は、迷いながらでも助けるだろうな…』

 

 

 

──あの時お前の心情に気づいてやれていれば。

 

 

 

 

『ありがとう、流石は僕の相棒だ』

 

 

 

──1人スッキリしやがって…俺はずっと後悔してるぞ相棒(馬鹿野郎)。…だから今度はッ…。

 

 

 

 

(今度こそはお前を止めてやる!!)

 

 

 

 

「ぁああ"ッ!!」

 

 

 

 言葉にならない声を上げ、タクトはシオンを民家へと投げ飛ばした。

 

 

 

 

 シオンが叩きつけられたのは石製の建物、タクトはそんなシオン目掛けて突進する。

 

 

 

呪詛(カース)か何かで操られてんだろッ。お前を一度再起不能にしてアミッド(解呪師)の所まで連れてってやるッ!」

 

 

 

 

 原作(クノッソス)を知るタクトはそれ呪詛(カース)が原因だと考え、行動に移した。

 

 

 

(もう魔力に余裕はないッ!!ここで一気に決め───)

 

 

 

 

 そこまで思考しタクトは、言葉を失うことになった。なぜなら……

 

 

 

 

キィン──ッ!!

 

 

 

 白銀の剣と黒刀が、闇夜に煌めくと、甲高い金属音が辺りに鳴り響く。

 

 

 

 

「グッ……!!」

 

 

 

 

 一瞬の間に繰り出された、シオンの一撃……。咄嗟に取り出した黒刀を盾になのんとか防いだものの、力負けしてしまい、後方へと吹き飛ばされ──

 

 

 

ドガンッ──────ッ。と、音を立て民家の壁を破り、室内へと突っ込んだ。

 

 

 

 その衝撃で埃が舞い、辺りの視界が遮られる。

 

 

 

(ウグッ…ァ…動作が…見えなかった)

 

 

 

 【感知】が無ければ首が飛んでた…。そう考え、タクトは顔を青ざめると、再び剣を構えた。

 

 

 

(LV.3の動きじゃない…あれは──)

 

 

 

 

 そう思考する間を与えずシオンは、室内へと乗り込んだ。

 

 

 

 

(──後ろッ!!)

 

 

 

「ぁぅ"あ…」

 

 

 

 背後から聞こえる声、それと同時にタクトは背後から迫り来る気配を感じ、振り向き様に蹴りを放つ。

 

 

 

 

「なっ…!?」

 

 

 

 

 しかし、その蹴りは空を切り、タクトの右足が壁へと激突した。

 

 

 

 

(居ない、いや避けられた!?)

 

 

 

 

 「っぶぐ……!!」

 

 

 

(蹴り……!?)

 

 

 

 

 タクトは混乱し腹部に強烈な衝撃を受け肺の中の空気が一気に吹き出した。

 

 

 

 

「うぐぁぁぁッッ──!!」

 

 

 

 

 今度は吹き飛ばされまいと瞬時にシオンの足を掴み……。

 

 

 

 

(千鳥流しッ!!(痺れろ!!)

 

 

 

 

 次の瞬間、タクトの腹部からシオンの脚へと流れるような電撃が走り、シオンが動きを止める。

 

 

 

 

──筈だった。

 

 

 

 

(頼むッ!!これで終わっ───)

 

 

 

 

 そう思ったタクトだったが、次の瞬間には地面に叩きつけられていた。衝撃に一瞬頭が真っ白になった。

 

 

 

 

 どうしてだ、何で、何が起きた。俺はシオンの脚を掴んでいたはずだ、なのにどうしてッ!!。

 

 

 

 

「ごほッ……ぐっぅ……がはっ!」

 

 

 

 

 苦しみの中で、酸素を渇望し、息を荒げる。

 

 

 

 

(絶対に離してない、離しちゃいけないのにッ!!)

 

 

 

 

 霞む視界の中、何とかして起き上がろうと、腕を動かした時。

 

 

 

 

ゴロズ

(は?──────ぁ)

 

 

 その短い言葉と共に放たれた強烈な蹴りを顔面で受け止めてしまい、思考は止められ再び地面へと叩きつけられた。

 

 

 

「うぐぁっ……!!」

 

 

 

(ぐ……ッ、こいつッ……)

 

 

 

 必死に立ち上がろうと地面を押すが、どうにも身体が動かない。自分の身体とは別のもののように感じ、地面からの脱却ができない。

 

 

 

(立て……ッ!動け……ッ!!)

 

 

 

 と、腕と足に力を込めてみるが、どんなに頑張っても身体が従わない。

 

 

 

(クソッ…この感覚、魔力が尽きたのかッ)

 

 

 

 

 何か、何かないのか。シオンを止める方法は、抗う為の術は。タクトは地面に倒れ込み、必死に考え続け。一つの結論を導き出した。

 

 

 

「呪印……状態1ッ!!」

 

 

 

 タクトの全身を黒い紋様が蝕み、力を与えると共に、その体を起き上がらせ───。

 

 

 

 

(ぶっ潰すッ!!)

 

 

 

 雷を纏い身に纏い黒刀を片手に地を蹴った。

 

 

 

 

 その瞬間、タクトの体は驚異的な速さでシオンに近づき、黒刀を振り下ろす。

 

 

 

 

 その一刀は驚異的な速さと力強さを持ってシオンに迫り、黒刀が空気を裂き、鮮血を奪おうとする。しかし、シオンは瞬時に反応し、白銀の剣を構えて防御に移った。

 

 

 

 

「なめんじゃねぇぞッ!」

 

 

 

 

───千鳥流しッ!!

 

 

 

 

 次の瞬間、タクトの体を纏う、雷と黒刀が共鳴すると共に、周囲に凄まじい電撃が流れ……。

 

 

 

キィィ──────ンッ!

 

 

 耳を劈く、金属音が鳴り響いた……。そしてタクトは、その光景を見た時、目を疑った。

 

 

 

 

(は?……なんでッ、ふざけんじゃねぇッ!!)

 

 

 

 

 シオンは動きを止める事なく白銀の剣を一閃、黒刀を容易く弾いたのだ。しかも今回は片手で……だ。

 

 

 

(そんな、ありえねぇッ、千鳥流し(俺の全力)だぞッ!?)

 

 

 

 

 その衝撃から思考は乱れに乱れて、正常の判断を下すことができなくなっていた。

 

 

 

 

 だからだろう、この時タクトは気づくことはなかった。シオンの剣を握る右腕が唯一傷を負っていた事を。

 

 

 

 

「く、クソがぁ!!」

 

 

 

 

 思考停止に陥ったタクトが選んだ行動、それは……

 

 

 

 

(千鳥ッ!!)

 

 

 

 

 剣技でも技術でもない。力と速さによるゴリ押し、ステータスに任せた正面突破。

 

 

 

 

「うおぉぉ"ぉ"ッ!!」

 

 

 

 だがその剣は、シオンを捉えることはない。

 

 

 

 

ズパンッ……

 

 

 

 

 何かが弾けるような音と共にタクトは民家の外へと吹き飛ばされた。

 

 

 

 

「ごはッ!?」

 

 

 

 

 血を吐き、地に伏す、その身体からはドクドクと血が流れ、その体は修復が間に合っておらず、既に満身創痍であった。

 

 

 

 

「く……そ…」

 

 

 

(…なんだよ……あれ、シオンにも迫った瞬間──)

 

 

 

 

──()()()()()()

 

 

 

 

「もう…無理だ…」

 

 

 

(……何もできなかった、何もさせてもらえなかった……ッ)

 

 

 

 

 でも、もう、いいだろ? 俺にしては頑張った方じゃないか?……だから……ッ。

 

 

 

(……また見殺しにするのか?何もせず、救えない。もう、嫌だなぁ……)

 

 

 

 

 シオンとまた冒険したい……、お前とまた馬鹿騒ぎしたい。………ははっ、俺はこんな状況でなにを…,

 

 

 

 

(俺は……俺はもう何もできない)

 

 

 

 

 そんな時だった───。

 

 

 

 

(あ……)

 

 

 

 シオンとタクト、2人の視線が交わったのは。

 

 

 

 

 その目は虚ろで何も捉えてないように見えた。その目はもう何も映していないのではないか、そう思うほど。しかし、そんな虚ろな目で、タクトは見つめられて──。

 

 

 

 

「ははッ……()()()()()()()()()()、似合わないなぁ……」

 

 

 

 

 タクトは乾いた笑い声を上げ、呟いた。

 

 

 

 すると、タクトの頰から涙が一滴こぼれ落ちた。それを皮切りに次から次へと、ボロボロと止めどなく溢れ出す涙が止まらない、

 

 

 

 拭っても、拭っても。涙は留まることをしらなかった──。そしてシオンが白銀の剣を構えると同時にタクトは、そっと目を閉じる。

 

 

 

 

(俺はここでシオンに殺される。なら後のことなんてどうでもいいじゃないか……、そうだろシオン)

 

 

 

 

 なら賭けにでよう、生き残れたら儲け物だ。正真正銘これが最後の抵抗だ…。

 

 

 

 

 

 タクトはその目開き……笑った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────ガキィィィィイイン───!

 

 

 

 

 

 

 辺りに金属のぶつかり合う甲高い音が鳴り響いた。

 

 

 

 

 2人の戦いを見ていた者達は、その光景を前に言葉を失う、いや声すら出すことができずにいる。しかし、その中でも1人だけ。

 

 

 

 

その光景をただ見つめ、呟く者がいた。

 

 

 

「…タクト君」

 

 

 その者は、2人の戦いを見ながら呟く その者の目は、悲しみを孕んだ瞳、しかし、その中には確かに強い想いが込められていた。

 

 

 

 

 

 

 

 ────── キイィィィィンッッ!!

 

 

 

 

(ッ─────!!)

 

 

 

 

 白銀と黒刀がぶつかり合い激しい衝撃音が響き渡る、タクトはその衝撃に耐えきれず、後方に吹き飛んだ。

 

 

 

 

 その勢いのままタクトは受け身も取れず地面へと転がる、が、即座に体を捻り着地と同時に剣撃を放った。

 

 

 

 

(ッ─────!!)

 

 

 

 だがそれよりも速く白銀の斬撃がタクトの胴体を捉える。()()()()が盾となり胴体の切断を免れたタクトは壁を突き破る勢いで後方へと弾かれた。

 

 

 

(あ……かはッ────!)

 

 

 

 一閃、たった1発食らっただけとは思えない程のダメージ、内臓をいくつか持っていかれる感覚。

 

 

 

「ぐっ……がぁぁッッ!!」

 

 

 

 しかし、タクトは止まらない……、否、止まれなかった。限界を超えた痛みに苦しみ、血反吐を吐きつつ立ち上がるタクトの眼には、覚悟が見てとれた。

 

 

 

 

()()()()()()()()()()……でも…後戻りできないッ!!)

 

 

 

 追撃を仕掛けようとシオンがタクトに向け、走り出す。

 

 

 

「ぁぅぁぁぁッッ!!」

 

 

 

(俺はもう逃げないッ!!ここでお前に勝つッッッ!!)

 

 

 

 

 タクトもまた黒刀を強く握りしめ走り出した。

 

 

 

 互いの距離は一瞬で詰まる、シオンの白銀とタクト、黒の軌跡が再びぶつかり合った。

 

 

 

 

 その衝撃に耐え切れず2人は後方へと押し飛ばされる。

 

 

 

「ぁぅぁ…?」

 

 

 

 この瞬間、シオンにも隙が生まれた、それを逃すわけにはいかないと。タクトはすぐに"尻尾"を地面に突き差し踏み止まると、シオンに向かって跳んだ。

 

 

 

 

(ここだっッ─────)

 

 

 

 

 必死に体を動かし黒刀を突き出す。それはもはや防御を捨てた、最後の一突き。

 

 

 

 

 タクトの全身全霊、魔力を、精神を、想いを込めた必殺。それは見事に、いや、奇跡的に。黒刀がシオンの腹部へと迫って───。

 

 

 

 

(ッ──なッッ!)

 

 

 

 

 ()()()()()()()()()()()

 

 

 

 そしてタクトの腹部にはシオンの剣が深々と突き刺さっていた。

 

 

 

 

(あぁ……そういうことか…)

 

 

 

 

 その光景を見ていた全員が息を飲む……。そんな中1人の少女が叫んだ。

 

 

 

 その声で、タクトは自分が敗北したのだと自覚し、笑った

 

 

 

「は、はッ……、シオン、やっぱお前つ……ええなッ」

 

 

 あぁ、全身の力が抜けていく……状態2の反動か───。

 

 

 

 出し切った。やれる事は全部やった…。後悔も未練もある。なのにどうしてか不思議と気分はいい。でも……あぁ…本当に───

 

 

 

 

──悔しいなぁ。

 

 

 

 

 

 薄れゆく視界の中、タクトの目に映ったのは、涙を流して必死に何かを伝えようと叫ぶ少女の姿で。タクトはそんな光景を見ながら、心の中で呟いた 。

 

 

 

(ぁ…また泣かせちまったな……。ごめんなさいアーディさん…)

 

 

 

 

───貴方の泣き顔は……。

 

 

 

「《もう見たくないんだよ》」

 

 

 

 

 意識を失う間際、無意識に発していたその声にタクトは安堵し静かに目を閉じた。

 

 

 






タクト君がタフすぎた理由は近いうち解説が入ると思います。

2人を串刺しにした冒険者は数話前に登場済み…。

次話、少し遅れるかもです。
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