寝て起きたら暗黒期!?ベルくんに会うまで死にたくねー!   作:お米大好き

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久しぶりの投稿です。行きたい展開までの道のりが思いつかない…。

誤字報告ありがとうございます!。


第十話、仕込みと取引

 

 

 

 紅く燃える空、立ちこめる煙と血の匂い、悲鳴、怒声、泣き声───あらゆるものが2人の周囲に混在しており、地獄と形容するに相応しいだろう。その中2人の少年は相対している。

 

 

 

 紅く染まった剣を握る少年は頬を濡らしその瞳を虚に染める。そんな少年が握る剣先には、己の血でその身を染め、それでも立ち続け笑う男がいた──。

 

 

 

「ぁぅぁ……」

 

 

 

「……ごめんな」

 

 

 

 タクトのその一言を聞き、少年の頰を再び一粒雫が流れる。その一雫は、血塗られた地面へと流れ、小さな波紋を作り出した。

 

 

「ぁ…………ぁあ……ゴロ──」

 

 

 

「…衝撃(インパクト)

 

 

 

 少年が口を開いた途端、タクトはその少年の腹に掌底を叩き込み、そのまま遥か後方へと吹き飛ばした。

 

 

 

「ぅ───」

 

 

 

 少年の体が吹き飛ぶと共に辺りには衝撃が広がり、砂塵を舞い上げる。そんな中1人の青年もまたその光景を見て、静かに呟く。

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()……もはやそういう類の呪いだな」

 

 

 

 少年の呪われた運命に同情するように悲しげに微笑する青年。

 

 

「シオン…。()()()()()()()()()()()()()()()……」

 

 

 懺悔のようにも聞こえるその言葉は誰の耳に届くことなく、闇夜へ静かに消えた。

 

 

 

 

 

 

 

▼▲▼▲▼▲▼▲▼

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「タクト君」

 

 

 

 タクトの名を呼ぶ、その声は、とても悲しく響き……そして、とても強い意志と想いが感じられる。

 

 

 

 

「私にできる事はある……?」

 

 

 

 普段の彼女からは考えられぬ、弱々しい声音だった。その声に答えるようにタクトは口を開いた

 

 

 

 

「……アーディ」

 

 

 

 

「なぁに……ッ!」

 

 

 

 タクトは震える手で少女の手を握る、すると、アーディは涙を流した。その涙はとても温かく心地良いい。しかしそんな感覚に浸っている時間はない

 

 

 

 

「大丈夫…まだ死にはしないさ…」

 

 

 

 タクトは震える声でそう呟くと少女から手を離した。

 

 

 

「アリーゼ達は皆無事だ…今頃アストレア様を見つけて合流してる筈だ」

 

 

 タクトはそう答える一歩、アーディへと近づいた。少女は慌ててその身を案じて声をかける

 

 

「タクト君…駄目……動いたら傷が」

 

 

 

「アーディ……君の姉さんも無事だ……」

 

 

 しかし、その言葉にアーディの声は聞こえなくなった。いや、聞こえてはいるがタクトは無視をしてアーディに向かって語りかける。

 

 

「これから冒険者にとっての最悪が起きる、犠牲者数え切れないほどが出るだろう……」

 

 

 その言葉に少女は息を飲み静かにタクトを見つめた。

 

 

 

「でも君と君の大切な姉だけは俺が守る、約束する…」

 

 

 

 タクトは優しく微笑むと少女の体を引き寄せそっと抱きしめた。

 

 

「タクト……君?」

 

 

 少女は、そんな抱擁に驚き、頰を赤く染めた。しかしタクトは少女を離そうとせず強く強く抱きしめて、その温もりを感じ、言葉を綴る。

 

 

 

「この抗争が終わったら…あの日の答えを出させる……必ず」

 

 

 

『急がなくてもいいよ……タクトくんの中で整理ができたら答えを聞かせて?…』

 

 

 アーディの中であの日の言葉が反響する。それは少女の頰を再び濡らした、その涙はとても温かく心地よい。この絶望的な状況下において少女は確かに、幸せを感じ、そして願った。この愛しい人の温もりと共に生きたいと…。

 

 

 

「タクト君……ッ、私……」

 

 

 

 少女はタクトを抱きしめる力を少し強めた。

 

 

「アーディ、俺の最後の我儘を聞いて欲しい」

 

 

 

 タクトのその言葉に少女は静かに、ゆっくりと頷いた。そんな少女を見つめ彼は優しく微笑み、そして告げた。

 

 

───死んでくれ、と。

 

 

 

 

 

 

 

▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼

 

 

 

 

「ん……」

 

 

 瞼を開くと最初に見えたのは見慣れた天井だった、そして少し視線を動かすと……。

 

 

目が覚めてようね、タクト」

 

 

 

「…アリーゼ?」 

 

 

 

「気分はどう?」

 

 

 

 

 気分は…最悪だ。はっきりと覚えている、俺はシオンとの死闘に破れ……あれ、どうして俺は…。

 

 

 

(生きてる……ッ)

 

 

 

 あの戦いを生還した。その事実にタクトは心底安心した。しかしそれと同時に激しい憎悪と苛立ちが込み上げ、強く噛み締めた唇から流れた血はシーツに滴り、紅く滲み広がる。

 

 

 

 そんなタクトをアリーゼは静かに見つめていた。

 

 

(タクト……)

 

 

「気分は最悪だって面ですねぇ、小僧」

 

 

 

 そんな時、アリーゼの隣から別の人物の声がタクトの耳に届いた。

 

 

 

 

「よぉ、起きるのを待ってたぜ?タクト」 

 

 

「輝夜さんにライラ……?」

 

 

 

 アリーゼ達と同じく、タクトが寝ていたベッドの近くに立つ輝夜、そしてその隣に佇むようにライラが立っていた。

 

 

 

 タクトが半身をベッドから起こし、改めて自分の置かれた状況を思い出そうとした矢先。

 

 

 

(あたし))達はお前に聞かねぇとならねぇ……いや、聞き出さなきゃいけなくなったことがある」

 

 

 そんなライラの声音には強い意志が込められており、その言葉と共にアリーゼ達も真剣な面持ちでタクトを見つめる。

 

 

 

「単刀直入に聞くぜ?お前、どこまで知ってんだ?全部話せ」

 

 

 

 その鋭い眼差しからは逃れることなど不可能だ。そう思わせるには、十分な迫力がその瞳には宿っていた。

 

 

「話せって…何を──」

 

 

「惚けんじゃねぇッ!!お前、最初からこの抗争を知ってたんだろ!!」

 

 

 

「ぁ、ぇ?」

 

 

 

「アリーゼとアストレア様からお前の過去の話は聞いてるッ……お前は最初からこうなる事も知ってたんだろ!!」

 

 

 

 その言葉にタクトは驚愕に目を見開く。

 

 

「ち、違……くわない、けど、俺は…」

 

 

 

 

「小僧、私達はお前が闇派閥側だと考えて聞いているのではない……何故私たちに何一つ相談もせずに全て1人でやろうとしたのかと聞いている……」

 

 

 

(相談……?)

 

 

 

 タクトは何も言えなかった。

 

 

 

「お前は……私達を信用していなかったのか?」

 

 

 

「……ッ!違ッ───」

 

 

 

「何も違わねぇだろうがァッ!!!」

 

 

 

 ライラの怒声が室内に響いた。

 

 

 それは俺が今まで聞いた事がないほど、とても辛辣な声音だった。しかしそんな声音とは打って変わりライラの表情は、とても悲しげだ。

 

 

 

 

(どうして……)

 

 

 

 違う、と言いたいのに。でも言葉が出ない…。何も考えられない、考えたくないと心が訴えかけ、ライラから逃げるように目を逸らしてしまった。しかし逸らした先にあったアリーゼ達の表情もまた悲しげで、はなく。どこか呆れた様子でもあり、そして……。

 

 

「んん!……ライラ?そろそろいいんじゃない?」

 

 

 

 ライラの怒声で萎縮してしまったタクトを助ける、そんな意図を含んだ声音だった。

 

 

 

 その呼びかけを聞き、ライラは深い溜息を吐いてから口を開いた。

 

 

 

「はぁ、……まあ、結構満足したぜ、どうだった?私の演技力

 

 

 

 ライラはニヤリと笑って見せる。

 

 

 

 

 その言葉にアリーゼは苦笑いを浮かべて答えた、そしてタクトはというと……

 

 

 

「演技………?」

 

 

 

まだ、状況が理解できておらず。呆然と呟いたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲

 

 

 

 

 

 

 

『アストレア様からユウギ・タクトの過去を、アリーゼからは中層で俺が死んだ事を聞け。大抗争を出来るだけ犠牲者を出さずに終わらせたいのなら余計な事はせず俺が起きた時に『何故話さなかった』、『信用していなかったのか?』こんな感じで攻め立てろ、そうすると思考を放棄して最後には冷静になる』

 

 

 

 

「……流石未来の俺…ってところなのか……?」

 

 

 

 

 ライラに渡された一通の手紙。そこには、そう綴られていたが、正直まだあまり実感がないというのが現状だ。

 

 

「タクト、お前は今の現状をどこまで知ってる」

 

 

 

 ライラは鋭い視線を向けてそう尋ねる。その眼は、まるで嘘でも言おうものなら殴ると言わんばかりの迫力だった。

 

 

 

「正直言って何も。工場で行動してたのは俺じゃないし……教会でシオンに…負けた所くらいまでかな、その後は気を失ってたみたいでそこから先は何も……」

 

 

 

 タクトは素直にそう答えた。しかし、そんな答えにもライラの表情は変わらない。

 

 

 

「そうか、じゃあ、簡潔に状況を説明するぜ?」

 

 

 

 ライラはそう切り出すと淡々と話し出した。 

 

 

 

 抗争が起きてまだ一日しか経っていない事。十を超える神々が闇派閥の手により送還され、ステータス失った冒険者が何人も犠牲になった事。そしてかつての最強派閥、ゼウスとヘラの眷属が闇派閥についた事が判明した事。

 

 

 

 

「……そうか」

 

 

 大体は原作通り、とタクトは内心頷いた。しかしまだ疑問は残る。

 

 

 

(あの時教会に落ちてきた業火…それにシオンに掛けられた呪詛?、どちらも原作にはなかった…書かれてないだけで設定ら存在したって、可能性もあるけど──)

 

 

 

 そんな思考をライラの声が遮る。

 

 

猛者(おうじゃ)はザルドに、重傑(エルガルム)九魔姫(ナイン・ヘル)がアルフィアにやられた」

 

 

 

 その言葉は、タクトにとって予想できた事だからかあまり驚きは感じない、薄々気づいていた事だったから動じなかった。

 

 

 

(流石はザルド…片腕に負傷を負っても問題なしか…)

 

 

 

 その事実をタクトが再認識していると、ライラは続けて口を開いた。

 

 

 

黒妖の魔剣(ダインスレイヴ)白妖の魔杖(ヒルドスレイヴ)がディース姉妹に敗れ、アパテー・ファミリアの精霊兵とやらに炎金の四戦士(ブリンガル)が負けた」

 

 

「……は?」

 

 

 

 予想だにせぬその報告に思わず間抜けな声が溢れる。原作と違う流れ、その事にタクトは驚きを隠せず目を白黒させた。そんな様子をライラは見逃さず言葉を繋げる。

 

 

「最後に……、こりゃアタシ達の問題だが、リオンの奴が家出した。まぁアイツの実力的には問題ねぇとは思うが、状況が状況だ、心配ではあるな……」

 

 

 

 

(リューさんが家で…?。って事はッ)

 

 

 

「アーディさんは!?アーディさんはどうしたんだ!?」

 

 

 

 あの戦いでは彼女は生きていた筈だ。なら既にリューさんと会っていてもおかしくない筈なのに、しかし今の話を聞く限りリューさんがアーディさんと合流している可能性は低い。

 

 

 なら彼女は今何処にいる。生きているのか、死んで…いや……。

 

 

 

「……アーディは死んだ」

 

 

(アーディさんが死んだ?、ありえない…そうならない為に俺はアイツと協力を──)

 

 

 

──シオンに殺されたのか?あの状況ならあり得る話だ。いや、そうとしか考えられない……ッ。俺が負けたから…?。

 

 

 

「俺の──」

 

 

『俺のせいだ』、そう口にしようとしたタクトの言葉は輝夜の声によって掻き消された。

 

 

「男のくせにウジウジと…面倒だ。ライラ、このバカにさっさと渡してやれ」

 

 

 ライラは、輝夜のそんな言葉に溜息を吐き出して、それから手紙をもう一枚差し出した。

 

 

「…これは?」

 

 

「もう1人のお前からの手紙だよ……ったく」

 

 

 ライラは面倒臭そうな表情でもう一枚をひらひらさせながら言った。その言葉の意味が、まだいまいち理解できずタクトは手紙を受け取るとすぐに読み進め始めたのだった 。

 

 

『簡潔に言う。アーディは死んだ、と言うことにしている。この事実をしるのは俺とお前だけだ、他の連中には決して口外はするな。彼女の死はファミリア、主にリュー・リオンの成長に必要だ』

 

 

(リューさんの成長?)

 

 

『イレギュラーを減らす為にはある程度原作の流れは守る必要がある。俺が完全に起きるまで2日ほど掛かる、その間にやるべき事を記しておくからその通りに動け』

 

 

(なるほど、だから共通文字(コイネー)じゃなくて日本語で書かれてんのか…なら俺は…ん?)

 

 

『追記、この手紙はお前が取り乱してホームを出ようとするか、1人になろうとすれば渡す様に伝えてある。…いい加減成長しろ』

 

 

 手紙を読み終えるタクトの手の中で、それはぐしゃりと音をたてて握り潰された。

 

 

 

(……ここまで行動を読まれてると少しムカつくな……)

 

 

 

「で?なんて書いてんだ?」

 

 

 

 なんと答えるべきか?と悩んだ末にタクトが出した答えは『字が読めません』苦し紛れにそう答える事だ。そんなタクトの回答に対しライラは鼻を鳴らすだけで深く追求する事はない。

 

 

 

そして……

 

 

 

「じゃあアタシ達はもう行くぜぇ?そろそろ他の連中も目が覚めてる頃だ、アタシ達だけでやる事がたくさんある、アリーゼ達も心配だしな」

 

 

 それだけ言い残してライラは踵を返した。

 

 

 

「あぁ、そうだ。お前の処遇については今決めらんなかったが……ま、その内な、じゃあ、精々アタシ達に面倒ごとを残さないようにしろよ?」

 

 

 

 ライラはタクトの背中を力強く叩きそれだけ言い残すと颯爽と部屋から出て行ってしまった。後に残されたのはタクトと何か言いたげな表情のアリーゼと輝夜。

 

 

 

「えっと……」

 

 

 アリーゼと目が合い、何を言えば良いのかも分からずに口籠る、そんなタクトにアリーゼは言った。

 

 

 

「タクト、私はね貴方が何を隠していても受け入れるつもりよ……?だって大切な仲間なんですもの」

 

 

 

 『限界が来たら私達を頼りなさい』、そう言い残し、アリーゼもまた部屋を出てた。最後に、「待ってるから!」そう残して。

 

 

 

そして、

 

 

 

「上手くやれ、これ以上厄介ごとを増やしてくれるな……」

 

 

 

 そう言い残して去って行った輝夜の背をタクト は見えなくなるまでただ眺めていた。部屋に残され1人で思考を巡らせる。その結果が…。

 

 

 

 

 

 

 

 

『…頼ろう』

 

 

 

それが彼の出した答えだった。

 

 

 

 

 

 

 

▲▼▲▼▲▼▲▼▲

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 会議というものは往々にして長くなってしまうものだ。それは会議に参加する者達がそれぞれ持つ意見がぶつかり合ったりする為、どうしても白熱してしまうからである。だがもし、その会議の参加者同士の仲が悪かったのならばどうだろう?。答えは。

 

 

 

 

「空気がすっごく重たいわ!!私耐えられない!」

 

 

 

 

 

「…団長様には少し空気を読んでほしいもんですねぇ」

 

 

 

 

「輝夜だってそう思うでしょ!?」

 

 

 

 

 アリーゼの嘆きを輝夜が一笑に付しながら受け流す。そんなやり取りに一部の者達もまた苦笑いを浮かべながらまた違う話題へと移り変わる。それは良いことだ、そうタクトは考えるも内心は……。

 

 

 

 

(はぁ、やっぱり帰りたい)

 

 

 

 ロキファミリアのホームに集められた二つのファミリアの代表達。

 

 

 

 フレイヤファミリアからは、猛者(オッタル)白妖の魔杖(ヘディン)そして黒妖の魔剣(ヘグニ)が。

 

 

 

 アストレアファミリアからは、アリーゼに輝夜、そしてタクトが参加していた

 

 

 

 勿論ロキファミリアからも、勇者(フィン)九魔姫(リヴァリア)そして重傑(ガレス)が参加していた。

 

 

 会議が始まって約30分、未だに話は始まっていない。いや、それどころか30分前はもう解散しても良いんじゃないか?と思うほどに険悪な雰囲気が漂っていた。

 

 

 

「私達に時間を無駄にする余裕なんてないんだしささっーと話しを進めていきましょう?」

 

 

 

 アリーゼが場の雰囲気を和らげる為に明るい声で言う。そんなアリーゼの言葉に最初に答えたのはフィンだった。

 

 

 

「……そうだね、そろそろ本題にはいるべきだ」

 

 

 

 お互い言いたい事はあるだろうけど今はファミリア間の争いは一旦置いておくべきだろう、と。そう続けた。そしめ最初に口を開いたのは…アリーゼだ。

 

 

 

「フフッン!聞いて驚け!見て笑え!アストレアファミリア期待の新人、兼問題児!ユウギ・タクトとは彼のことぉ〜」

 

 

 

「……なに言ってんの」

 

 

 

 やめろぉ、こっちを見るんじゃない!特にフレイヤファミリア一同、聞いて呆れて、見てイラつかないで……真面目に怖い!。会議に俺も連れてってくれとは頼んだけど、紹介しろとは言ってない!、せめてもう少しマシな方法があっただろうが!。

 

 

 

 そんな思いも虚しく、場の空気を壊す為のアリーゼの行動により場の温度は下がり、 その元凶となった俺に全員の視線が突き刺さってるよ…。

 

 

 

「あ……どうも、えっと…はい」

 

 

 

 ……ダメだ、何を言ったら良いのかわからん、それに凄く胃の中が気持ち悪い。アリーゼが隣で凄いニヤついてる……正直もう帰りたいけど、これからやらなくちゃいけない事を考えるとそんな事言ってらんねえよなぁ……。頑張ろう…。

 

 

 

「んんっ、ふぅ……。これから問題を起こし続ける可能性があるユウギ・タクトです。…もしかすれば尻拭いをさせてしまう事があると思いますので先に言わせて頂きます、頑張ってください…」

 

 

 

((((何様だコイツ……)))

 

 

 

 って思ってんだろうなぁ、アリーゼに関してはニヤついた表情のまま固まってるし…。でも仕方ない、これから先、"未来の俺"が何をやらかすかわからないんだもん。そもそもアイツが用意したやる事リストが──。

 

 

 

バチッ

 

 

「うぉっ──」

 

 

 

  突如としてタクトに迫った一筋の雷光、その光は彼の()()()()()()()、そのまま壁にぶつかり霧散した。

 

 

 

「…俺修理代払いませんからね?」

 

 

 

 そして雷光が走った方向へ視線を向ければそこには1人のエルフ、ヘディンが雷の余韻を纏う杖を手に立っていた。

 

 

 

「貴様……」

 

 

 

 怒りに満ちた瞳がタクトを捉え、ヘディンの杖からバチッと音を鳴らす、そんな様子を見てアリーゼ達が仲裁に入ろうと立ち上がるも、アリーゼが動く前にタクトがそれを止めた。

 

 

 

「…駆け出しの雑魚風情が舐めた口を、なんて考えてそうですけど、昨日の戦闘ではこの中で2、3番目くらいの功労者ですよ?」

 

 

 

 事実だ。結果はどうであれ、ザルドとの戦闘で負傷を負わせ、死ぬはずだった避難者を半分救った、闇派閥だって原作と比べれば一夜で結構な数を減らしてる、まぁ、誰にも伝えてないから知る由もないけど。

 

 

 

「ほう…」

 

 

 

 『ならば聞かせてもらおうか』なんて言いたげだが……今じゃない、まだ──

 

 

 

「──少しいいかい?」

 

 

 

(来た…?)

 

 

  俺とヘディンさんの間に割って入るようにフィンさんが口を開いた。その口調はとても穏やかだ……だが、そんな口調とは裏腹にフィンさんの目は決して笑ってはいない。

 

 

 

「君の発言から察するに、ガネーシャファミリアからの報告にあった、殺帝(アラクニア)を挑発していた奇人とは君と考えてもいいかな?」

 

 

 

 ……殺帝?、ああそうか。してたね挑発、未来の俺が…。

 

 

 

「どうでしょう?別人じゃないですか?」

 

 

 

「すまないが状況が状況だ、時間も限られる、得られる情報は得ておきたい」

 

 

 

 隠すんじゃねぇよさっさと話せオラァ!、って所だろうか……そんな副音声が聞こえてきますよ、フィンさん。まぁ、当然か。俺が逆の立場だったらキレる自信がある。どうしたものか、このまま時間を浪費し続けても何も進展しないしなぁ……多少リスクがあれど、ここは一つ。

 

 

 

(賭けに出てみるしかないかぁ、失敗したら責任取れよ未来の俺、…()()()()1()

 

 

 空気が変わった、長く冒険を続けてきた彼等だからこそ、その変化に即座に気付く。

 

 

 

「「「「「────」」」」」

 

 

 

 そんな彼等の様子を、ただ黙って見ているアリーゼや輝夜は内心冷や汗を掻く思いで見ていた。タクトの身勝手を止めないのは彼がアストレアを通し正式に許可を出されていたからだ、だから2人が止める事は決してない、少なくとも今は。

 

 

 

(小僧の奴気でも狂ったかッ!?この場にこの状況で──)

 

 

 

「……それは僕達に対する挑発と捉えてもいいのかな?」

 

 

 

 しかし、そんな2人と対照的なのはフィンである。彼のその態度はまるでこの事態を歓迎するかのようだ。いや、それは間違いではない……が、正解でもない、ただ単純に彼は知りたかっただけだ、ユウギ・タクトの事を。

 

 

 

「まさか」

 

 

 

 "俺なんか"が貴方達に勝てるわけないじゃないですか?、なんて言葉を飲み込みタクトはその視線をフィン、ガレス、リヴァリアへと移した。

 

 

「緊張感を演出しようかと思いまして」

 

 

「面白いね、君が何を考えてそんな真似をしたのか、教えて貰えるだろうか。

……僕は君に興味が出てきたよ」

 

 

 そんなフィンの言葉はタクトにとって舌戦開始の合図である。

 

 

 

「そうですか?ならフィンさん、嘘発見器(ロキ様)呼んでください、それから話し合いではなく取引をしましょう」

 

 

 

『ロキ・ファミリアにとってとても良い条件のね』

 

 

 

 

 なんて言葉を付け足したタクトに向けられる視線が更に鋭くなったが、それに動じる事はできない タクトにとってこれは賭けなのだ。

 

 

 

 

そして彼はその賭けに──。

 

 

 

 





次回の冒頭で解説、説明?が入ります。主にすり抜けとやる事リスト?。

物語の着地点は考えてます、目指せ完結。
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