ありふれた魔術師が世界最強になるのは間違っていない   作:ミーラー

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第一章
第1話 プロローグ


 

 

俺の名前は比企谷八幡。

ごくごく普通のボッチの高校生だ。

今は8月31日。

つまり夏休みの最終日である。

 

皆が最後の休みを「もう明日学校か〜」と満喫しているか、終わらない宿題に追われている頃。

 

現在、俺が何をしているのかというと……

 

「Fate/GrandOrder」略して「FGO」というゲームをしている。

 

俺は最近、ずっとこのゲームにのめり込んでいる。今は始めて5ヶ月くらいなのだが、まったく飽きる気がしない程だ。

 

「ンンンーガチで面白いなこのゲーム。まぁ周りの人誰もやってないんだけどね?」

 

正直、何でみんなやらないのだろうと何度疑問に思ったか分からない。

 

まぁそんな友達いなんいんだけどね?俺の友達は隣の家に住んでる、南雲ハジメってやつくらいだ。

 

南雲ハジメは、俺が総武高校から南陽高校に転校してきてから出来た友人だ。俺個人としては親友と思っている。

 

ハジメと知り合ったのは転校してきてすぐだった。俺がやっていたゲーム(FGOでは無い)がたまたまハジメのやっていたゲームと同じで、そこから話すようになったという、そんなありふれたものだ。

 

俺のハジメに対する第一印象は、不思議なやつ。

 

総武高校で酷い裏切りを受けた俺は、もう学校の人間を信用するつもりなど無かった。だが、南雲ハジメは違った。あいつは自分を隠さない。曲げない。行動は常に一貫している。

 

南雲ハジメの座右の銘は〝趣味の合間に人生〟

 

これを基準に行動している。

そういう周りの環境に影響されない所に惹かれたのかもしれない。

 

そして家が隣同士というのを知ってからは、趣味が会うのでよく遊ぶようになり、オススメのゲームや漫画を教え合ったりしていた。

 

そして話はFGOに戻ってくるのだが、俺が何度もやってみて欲しいと頼んでいるのだが、まったくやってくれない。まぁアイツも今別のゲームにハマっているようだが、それを差し置いても少しくらいやってみてくれもいいと思うんだよな〜

 

と言いつつ、推しについて語り尽くせる人が欲しいだけなんだけどね?でもやっぱり語りたいじゃん?自分の推し。

 

俺は自分のカルデアを見つめる。この5ヶ月間、かなりやり込んでいるので、これが俺のボッチの集大成と言っても過言では無い。

 

それより推しの話だったな?(誰も聞いてない)

まずはモルガンだ。このサーヴァントは俺の初めての星五サーヴァントだ。FGOを初めた時に丁度復刻されていたのだが、一目見た瞬間俺はガチャのボタンを押していた。そして当たったのである。それからはずっとこのサーヴァントを使っている。俺の推しだ。

 

ちなみに、俺は最近二部六章アヴァロン・ル・フェをクリアしたのだが、読んだ時は号泣したものだ。まだ読んでない人は是非読んでみて欲しい。

 

そして二人目はメリュジーヌだ。メリュジーヌも二部六章組の一人なのだが、あれはカッコかわいい。ちなみに、俺はまだ持っていない。復刻はよ…………

 

三人目は大奥で出たカーマだな。あのひねくれた感じとか可愛いよね?俺もよくひねくれてるって言われるしな。カーマに関しては福袋で出た。

 

あと俺、結構悪役系好きなんだよなぁ〜人類悪系とか……

 

悪役、人類悪と聞いて「ンンンソンンンンンン」とか言うやつを想像したそこのあなた!ヤツに関しては、拙僧はちょっと遠慮願いたい。強いし頼もしいんだけどね?

 

とまぁこのように、推しについて語り始めると無限ループになるほど、FGOには魅力的なキャラが多くて困るというのが現状でもある。おそらくプレイしている人は共感してくれると思う。

 

どこかに推しについて語り合える人は居ないのだろうか……

 

と、こうしてはいられない。今日は水着キャラのピックアップ最終日だ。今年はとんでもないガチャスケジュールで石がやばいのだが、俺のカルデアを成長させるためにも、新しい推しに出会うためにも、俺は引かなければならない。いくぞ!

 

こうして俺はガチャという沼にあっさりとハマっていくのだった。

 

 

 

 

 

 

結果

水着キャラ全てコンプリートしてしまった。

 

うん……俺の運凄いわ………

全部十連で来てくれた。

 

消費した石の数はわずか90個。

全国のFGOプレイヤーが聞いたら殺されそうな程の神引きである。

 

あまりの運の良さに、ちょっと恐怖を感じるが、身体は正直で、俺の口はユルユルになっている。

この高揚感を忘れぬうちに、寝ることにした。

 

俺も明日は学校だ。いつもなら永遠に今日が続けばいいのに〜…はぁ〜……とため息をついている頃だろう。

 

だが今の俺は、特に何とも思わない。

 

「ふっ、学校など恐るるに足らぬわ。今日はいい夢が見れそうだ。ふっふっふっ」

 

とちょっとカッコつけてみたが、我ながらキモイな。適度に心に傷を負ったところで、俺は布団の中に入り込んだ。

 

それにしても、俺の運って相当なもんだよなぁ〜。まさか水着キャラフルコンプとか。明日俺死ぬかもしれん。

 

などと心の中で思いながら、俺は眠りについた。

 

まさか、明日本当に異常事態に巻き込まれるなど、この時は思ってもいなかった。

 

 

 

 

翌朝

現在、マイエンジェルの小町と一緒に朝食を食べている。

 

「もぉ〜お兄ちゃん。今日からまた学校なんだから、シャキッとしてよね!」

 

「全国の学生は、ほとんどが皆こうなっていると思うぞ小町よ。はぁ〜」

 

やはり夏休み明けの学校は憂鬱だ。まぁ俺が憂鬱と思う理由は、それだけでは無いのだが。

はぁ〜昨日の高揚感を返して欲しい。今はとてつもない倦怠感に押しつぶされそうだ。

 

「でもお兄ちゃん昨日、学校など恐るるに足らぬわ!とか言ってなかった?」

 

なん…だと……

 

「珍しくごみいちゃんがなんかやる気に満ち溢れてたから、そっとしといたのに」

 

聞かれていたのか……

 

「ご馳走様。じゃあ小町先に行くから、鍵掛けといてね」

 

死にたい……

 

その後数分、放心状態が続いたが何とか我に返り、俺も家を後にした。

 

その後、隣に住んでいる南雲ハジメを迎えにいき、一緒に学校へ向かった。

 

「ハジメ、お前また徹夜したのか?」

 

「うん、いいアイデアが思いついたから、そのままやっちゃいたくて」

 

「あんまり無理するなよ、体壊すぞ」

 

「うん、気を付けるよ」

 

ハジメの父親はゲーム会社の社長、母親は漫画家なので、ハジメは両親の仕事の手伝いをしている。既に現場でも即戦力らしい、正直こいつが1番リア充してると思う。

 

それからも、たわいもない話を繰り返しながら、俺たちは学校へと向かった。

 

 

 

 

 

教室の扉を開けると、俺とハジメに一斉に視線が注がれた。そのほとんどが、侮蔑やら敵意やら嫉妬やらと、負の感情がほとんどだ。

 

まぁ中学の頃に比べれば、どうということはないが、面倒な事に変わりはない。さらに、そこに追い討ちするかのように来るのが……

 

「よぉ、キモオタ! また、徹夜でゲームか? どうせエロゲでもしてたんだろ?」

 

「うわっ、キモ~。エロゲで徹夜とかマジキモイじゃん~」

 

コイツらだ。最初に声を掛けてきた檜山大介を筆頭に、近くでバカ笑いをしているのが斎藤良樹、近藤礼一、中野信治の三人。

 

この四バカが毎日飽きもせず絡んでくる。まぁ

俺はついでという感じで、主にハジメに対する絡みがほとんどだ。

 

なぜハジメに対する風当たりが強いかというと

 

彼女が原因だ。

 

「南雲くん、比企谷くん、おはよう!」

 

「あ、ああ、おはよう白崎さん」

 

「おはようさん」

 

彼女の名前は白崎香織。学校の二大女神の一人で、学校中の生徒から人気がある。人気があるのは容姿だけでなく彼女の面倒見の良さからも来るのだろう。

 

てか、白崎がハジメに話し掛けてから殺気がやばいな。

 

ハジメ、強く生きてくれ。

 

「今日もギリギリだったね?二人とももっと早く来ようよ!」

 

「そ、そうだね……気を付けるよ」

 

「ハジメ次第だな〜」

 

まぁハジメが早く来ようとする事なんて、天地がひっくり返ってもありえないだろう。

必然、俺が早く来る事はない。ふっふっふっ

我ながら完璧な言い訳だ。

 

だが、俺がそう言った瞬間、白崎が更にハジメに絡み始めた。

ハジメがなんて事言うんだ〜

と、目で訴えてくるが、そこは俺のスルースキルで回避していく。

 

ハジメ、強く生きてくれ。

 

「比企谷くん、南雲くん、おはよう毎日大変ね」

 

「香織、また彼等の世話を焼いているのか?全く、本当に香織は優しいな」

 

「全くだぜ、そんなやる気のないヤツらにゃあ何を言っても無駄だと思うけどなぁ」

 

三人の中で唯一朝の挨拶をした女子生徒の名前は八重樫雫。白崎の親友の立ち位置で、先程の二大女神のもう一人だ。ちなみにみんなのオカンだ。絶対に口には出さないが。

 

次に、ちょっと痛い感じに声をかけたのが、天之河光輝。いかにも勇者っぽいキラキラネームなヤツは容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能の完璧超人だ。とは言っても、コイツは思い込みが激しく、自分が正しいと思い込んでいる節がある。正直関わりたくない……

 

最後に投げやり気味な言動の男子生徒は坂上龍太郎といい、天之河の親友だ。短く刈り上げた髪に鋭さと陽気さを合わせたような瞳、百九十センチメートルの身長に熊の如き大柄な体格、見た目に反さず細かいことは気にしない脳筋タイプである。こいつは見た目そのままだな。

 

「ああ、おはよう八重樫」

 

「おはよう、八重樫さん、天之河くん、坂上くん。はは、まぁ、自業自得とも言えるから仕方ないよ」

 

「それが分かっているなら直すべきじゃないか? いつまでも香織の優しさに甘えるのはどうかと思うよ。香織だって君に構ってばかりはいられないんだから」

 

「? 光輝くん、なに言ってるの? 私は、私が南雲くんと話したいから話してるだけだよ?」

 

白崎がそう言った瞬間、教室がとてつもない喧騒に包まれる。そしてハジメにかかる圧力が増した。

 

「え?……ああ、ホント、香織は優しいよな」

 

お分かり頂けただろうか?これが俺の学校生活の始まりだ。憂鬱になるのも頷けるだろう。はぁ〜FGOしたい………

 

 

 

 

~~~~~~~

 

 

 

 

「ん……」

 

「おっハジメ、起きたか?今ちょうど昼休憩に入ったところだ」

 

こいつ、一時間目からずっと寝てたんだが……

よくそんなに爆睡出来るな。

ハジメは十秒でチャージ出来るお昼を取り出し、

しっかり十秒で食べ終え、また机に突っ伏した。

おい、そんな事してたら白崎が……

 

「南雲くん。珍しいね、教室にいるの。お弁当? よかったら一緒にどうかな?」

 

ハジメがしまった。という顔をしているが、もう遅い。女神は既に降臨した。

 

「あ~、誘ってくれてありがとう、白崎さん。でも、もう食べ終わったから天之河君達と食べたらどうかな?」

 

そう言って、ミイラのように中身を吸い取られたお昼のパッケージをヒラヒラと見せる。だが、その程度で退く女神ではない。

 

「えっ! お昼それだけなの? ダメだよ、ちゃんと食べないと! 私のお弁当、分けてあげるね!」

 

ハジメのやつ、いつか絶対刺されるな……

刻一刻と増していく圧力に、ハジメが冷や汗を流していると救世主が現れた。天之河達だ。

 

「香織。こっちで一緒に食べよう。南雲はまだ寝足りないみたいだしさ。せっかくの香織の美味しい手料理を寝ぼけたまま食べるなんて俺が許さないよ?」

 

「え? なんで光輝くんの許しがいるの?」

 

素で聞き返す香織に思わず雫が「ブフッ」と吹き出した。俺は何とか吹き出すのを堪えたが、正直決壊寸前だ。というか、白崎の天然はとんでもないな……

 

 

俺達は思った。

 

(もういっそ、こいつら異世界召喚とかされないかな? どう見てもこの四人組、そういう何かに巻き込まれそうな雰囲気ありありだろうに・・・)

 

俺達は現実逃避のため異世界に電波を飛ばす。

そろそろ退散するかと、ハジメとアイコンタクトを取り、腰を上げた瞬間。

 

凍りついた。

 

光輝の足元に純白の魔法陣のようなものが現れた。それはだんだん光を増しながら大きくなり、教室全体まで広がった。

 

教室にいた愛子先生の「皆! 教室から出て!」と叫んだのと同時に魔法陣がカッと光った。

 

 




いかがだったでしょうか?
リアルでも最近二部六章をクリアしたのでその勢いで書いたものですが……
こんな感じで続きも書いていけたらなと思います。

それとヒロインについてなんですが、最初書き始めた時はバリバリモルガンを正妻においてやって行こうと書き進めていたんですが、やっぱりモルガン正妻ものありましたね……

という事で、正妻をどうするかかなり迷っているので、良ければ感想で教えて欲しいです。他にも登場させたいサーヴァントとかも書いて頂けたらと思っています。

正妻を誰にするか

  • モルガン
  • モルガン以外のサーヴァント
  • ありふれキャラ

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