ありふれた魔術師が世界最強になるのは間違っていない 作:ミーラー
俺は心地良さを感じながら目を覚ました。
どうやら頭を撫でられているようだ。
「目が覚めましたか?我が夫」
目の前にはモルガンの顔があり、一生見ていられそうなほど美しい。それに後頭部には柔らかい感触がある。どうやら俺は膝枕されているらしい。
「……あぁ……すまん……膝枕してもらって。もう大丈夫だ」
俺はそう言って、まだ疲労から回復し切っていない身体をおこす。
「いいのですか?私はまだこのままでも構いませんよ」
なんだその魅力的すぎる提案は!
だが…モルガンにこんな体勢をさせ続ける訳にはいかんしなぁ〜
「じゃあもう少しだけいいか?」
「ええ、もちろんいいですよ」
結局、膝枕の誘惑には勝てなかった。これは不可抗力と言うやつだ。俺は黙って元の体勢に戻ろうとしたその時。
モルガンが後ろから抱きついてきた。
「モ、モルガンさん?」
「全く…無茶をしすぎです」
確かに…こっちに来てから無茶しっぱなしだったな……まぁ無茶しなきゃ生き残れない状況だったていうのもあるが……
「悪かった……心配かけて…」
「許しません…もう少しこのままでいるように」
「はい」
俺は返事することしか出来なかった。でも何でモルガンは俺が無茶ばっかしてることを知っているのだろうか?
「我が夫が眠っている間に、記憶の中を見させて頂きました。なので我が夫がどういう状況なのかも分かっています」
oh……どうやら俺の思考は全て筒抜けらしい。さすが神域の天才だ。まぁ別に困る事は……あると思うが、まぁ大丈夫だろう。
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「モルガンさん?いつまでこの体勢でいるつもりで?」
あれから十分はこの体勢なんだが……
十分も経てばだんだん冷静になってくるわけで…
この体勢は色々まずい気が……
「もう少しです」
モルガンの柔らかい肌の感触や、女性特有のほのかに甘い香りが漂ってくる。これはまずい...…
「照れているのですか?我が夫。可愛いですね」
「モルガンみたいな美人に抱き締められたのは初めてだからな」
「ふふっ愛している人にそう言われるのはこんなに嬉しいものなのですね」
なん……だと
「やっぱりモルガンって……」
「ええ、我が夫がFGOというゲームで召喚した私です。とはいえ、それを知ったのは我が夫の記憶を見てからですが」
モルガンが言うに、俺からしたらゲームの世界でも、モルガンからすれば現実の世界と認識していたらしい。
だが、ここに召喚され俺の記憶を見た事で、自分はゲームから生まれ、そして新たな現実として生まれ変わった事を理解したらしい。俺がモルガンに捧げた聖杯を使って受肉もしているようだ。
「そういえば…さっきも言ってたな?俺の記憶を見たって…それってどの辺を?」
俺が気になるのはそれだ。俺にもやはり、人に隠したい過去は存在する。それだけでなく、モルガンには絶対に知られたくない秘密もある。モルガンが見たのはいったいどの辺の記憶を……
「もちろん、我が夫の全ての記憶を見ました。我が夫が忘れそうになっている記憶の欠片、その一片たりとも見逃していません」
終わった…………………
「どうしたのです?我が夫。もしかして、私でそういう事をしていたことを知られて気に病んでいるのですか?」
「ぐはっ!?」
図星をつかれ、俺はのたうち回りたくなったが、俺の身体はモルガンにガッチリホールドされているので視線をずらしてモルガンを直視しないようにすることしか出来ない。
「ふふっ、気に病む必要はありませんよ、我が夫。先程も言いましたが、私は貴方を愛しています」
「!?そう…言って貰えるのは…凄く嬉しい。だけど…俺は」
俺はこれまで、こんなにもストレートに愛情を伝えられたのは初めてな気がする。いや、きっと初めてだろう。そして、これ程嬉しく感じた事もまた初めてだった。でも俺は……
「俺は…モルガンが好きなのか……まだ分からない」
モルガンの事は好ましく思ってるし、推しだし、初めて見た時も勝手に指が動いてガチャ回してたくらいだし、愛していると言われて嬉しく思ったのも事実だ。でも、今の俺がモルガンに持っている感情を言葉にするなら……
「ええ、知っています。言ったでしょう?我が夫の全てを見たと。その上で、我が夫に知っていて欲しいのです。私の気持ちを」
「そう…なのか?俺達は一応、まだ本当に出会って十数分しか経ってないんだけど…」
「我々の関係に時間など関係ありません。我が夫が私の過去を知り、どう思い、どう感じ、私自身をどのように思っているのか、私は全てを知りました。そして我が夫は既に、私の全てを知っているでしょう?」
俺はFGOのストーリーを読んで、モルガンの始まりから結末までの全てを見てきた。その上で彼女の手を取り、隣に立ちたいと思った。助けた者達に裏切られ続けても、愛した島の為に戦い抜いた女性。そうだ…この感情を言葉で表わすなら…俺はモルガンを尊敬しているのだろう。
「ああ、そうだな」
この気持ちが好きに変わるのか、それとも、もう好きなのか、それは分からない。でも、モルガンのことを好ましく思っているからこそ、尊敬しているからこそ、モルガンとの関係を曖昧にはしたくない。でも問題は、俺がモルガンの気持ちに気づくまでの間に………
「いつまででも待ちますよ。我が夫。私の気持ちは変わりませんから」
「モルガン……ありがとよ」
「とはいえ我が夫には、少々浮気癖があるようですね?」
「ちょっと待て…全く身に覚えがないんだが……そもそも、彼女が出来たこともないんだが?」
「言ったでしょう、我が夫の全てを見たと。その中に、私以外でもそういう事をしていたのを見ました」
「ぐはっ!?っていうか、それ言う必要あったか!?」
「当然です。誰が正妻なのか、しっかりと我が夫に刻まなければなりません。とはいえ、こんな所でするわけにもいきませんので、早くここを攻略して外に出ましょう」
「そうだな……」
俺はちょっと複雑な気持ちになりながら、そろそろハジメの所へ戻ろうと立ち上がろうとしたが、モルガンが止めた。
「ん?どうした?」
「我が夫。最後にもう一つだけ言い忘れたことがありました。」
モルガンは俺を優しく抱きしめながら言った。
「本当によく頑張りましたね」
モルガンは慈愛を含んだ目でそう言った。
「ッ!?」
俺はこの奈落ではとてつもなく弱かった。それでも頑張った。何とか生きようとした。辛かった。苦しかった。でも、俺は弱いままだった。
だからこそ、俺は強者になりたいと、勝ちたいと、強く思った。そのために俺は色々なものを捨てた。だが、俺はその事に後悔していない。
でも、心のどこかで今の自分を肯定して欲しかったんだろう。色々なものを捨て、変わっても、俺は俺なりに頑張ってるんだと。必死に生きて、強くなろうと努力してるんだって。
今の自分を肯定された。この一言に俺がどれだけ救われたか分からない。そして俺は改めて思った。
「我が夫は何のために力を求めるのですか?何のために勝利を望むのですか?」
「モルガンの隣に立ちたいから。モルガンが手を伸ばした時に、しかっりとその手を掴みたいから。モルガンを守りたいから。そして、大切なものを本物を失わないために」
「よろしい。明確な意思があるならばいいです。意思のない強大な力など、身を滅ぼすものでしかありません。さぁ我が夫。そろそろ行きましょうか」
モルガンはそう言うと、俺の手を取りながら立ち上がった。
「ああ」
モルガンの手の確かな温もりを感じ、俺は握る手をに力を込めた。絶対にこの手を離さないと思いを込めながら。
そうして俺達は、ハジメのもとに向かって歩くのだった。
モルガンこんな感じですかね。
まぁ引き続きこんな感じで書いてきます。
そろそろ次のヒロインについても考えていかないとですね…
また近いうちにアンケートします。