ありふれた魔術師が世界最強になるのは間違っていない   作:ミーラー

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第19話 奈落攻略開始

 

 

 

俺達は、爪熊を殺してから少し休憩した後、下層に行くことが決まった。というのも、モルガンの探知で、この奈落には下層に繋がる階段はあるのだが、上層に繋がる階段は無いらしい。

 

モルガンの水鏡で地上に出てもいいのだが、俺達は魔物を喰えば強くなれる。強くなれる手っ取り早い方法があるのに、しない手は無いだろう。

 

それに次の階層からモルガンも一応参戦する事になっているので、そうそう負けることは無いだろう。とはいえ、ここは奈落。アクシデントは常に起こり得るものだ。油断は捨て去らなければならない。

 

俺達は下層に繋がる階段まで移動し、躊躇うことなく暗闇へと足を踏み入れた。

 

 

その階層はとにかく暗かった。

 

今までは緑光石が薄らと辺りを照らしてくれていたので、何とか周囲を視認出来ていたが、どうやらこの階層には緑光石が無いようだ。

 

「このままでは進めないので、明かりをつけましょうか」

 

そう言ったモルガンは、地面を杖でカンッと叩くと、周囲が視認出来るくらいの明るさになった。

 

モルガンの万能感が半端ないが、そんな事は分かりきっていたので、ありがとうと礼を言い、俺達はそのまま進んでいく。

 

すると通路の奥で何かがキラリと光った。俺達は警戒を最大限に引き上げた。

 

「今の光った場所に居ますね。戦闘準備に入るように」

 

「「了解」」

 

モルガンの指示に俺達は了承を示し、通路の奥を見つめる。モルガンが光の範囲を徐々に広くしていく。通路の奥が光に照らされ視認出来た時、そこには体長二メートル程の灰色のトカゲが壁に張り付いており、金色の瞳で俺達を睨んでいた。

 

その時、その金眼が一瞬光を帯びた。

 

次の瞬間、

 

「ッ!?」

 

俺達全員の身体の一部が、ビキビキと音を立てて石化を始める。俺達は一時岩陰に避難する。俺とハジメは舌打ちをしながら、神水を取り出し、一気に呷った。すると期待した通り石化は止まり、見る見ると石化部分を正常に戻していった。モルガンの場合、「なるほど、石化ですか」と言った瞬間、体内の魔力で強引に石化部分を剥がしていた。どうやら、モルガンレベルの魔力操作が出来れば、石化は自力で剥せるらしい。

 

モルガンの無事を確認した俺は、先程光った方向を見ると、トカゲの魔物(バジリスク)がノシノシとこちらに向かって歩いて来ているのを確認した。

俺はハジメから〝閃光手榴弾〟を貰い、バジリスクの目の前に転がした。

次の瞬間、カッ!と強烈な閃光が周囲を満たし、視界を光で塗りつぶす。

 

「クゥア!?」

 

おそらく今まで感じたことがないだろう光量に混乱するバジリスクの姿が闇の中に浮かび上がる。

 

ハジメはすかさず発砲した。絶大な威力を秘めた弾丸が、狙い違わずバジリスクの頭部に吸い込まれ頭蓋骨を粉砕し中身を蹂躙した。

俺達は周囲を警戒しつつ、バジリスクに近づきパパっと肉の剥ぎ取りを行い、その場を離脱した。

 

その後も俺達は探索を続けた。モルガンのおかげで次の階層への階段の位置は分かるので、そこに向かうついでに、新種の魔物や使えそうな鉱石をどんどん集めていく。

下層への階段にかなり近づいた所で、俺達は一度拠点を作って食事をする事にした。

適当な場所でハジメに錬成してもらい、すぐに六畳程の空間が作られた。

 

「さて、じゃあ、早速メシにしますか」

 

「おう」

 

ハジメが、錬成で作ったリュックから肉を取り出す。そして〝纏雷〟でこんがり焼き始めた。本日のメニューは、バジリスクの丸焼きと、羽を散弾銃のように飛ばしてくるフクロウの丸焼きと、六本足の猫の丸焼きである。調味料はない。

 

「「いただきます」」

 

むぐむぐと喰っていると次第に体に痛みが走り始めた。つまり、俺達の身体が強化されているということだ。

俺達は神水を飲みながら痛みを無視して喰い続ける。

 

「むぐ、ふぅー、ごちそうさま。さて、ステータスは……」

 

「ごちそうさま。こっちもステータスは……」

 

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南雲ハジメ 17歳 男 レベル:23

天職:錬成師

筋力:450

体力:550

耐性:350

敏捷:550

魔力:500

魔耐:500

技能:錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱物系探査][+鉱物分離][+鉱物融合]・魔力操作・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地]・風爪・夜目・気配感知・石化耐性・言語理解

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比企谷ハチマン 17歳 男 レベル:23

天職:魔術師、召喚士

筋力:650

体力:800

耐性:550

敏捷:650

魔力:1500

魔耐:850

技能:魔術[+火属性][+水属性]・召喚魔法・召喚陣作成・召喚詠唱補助・魔術礼装スキル作成・魔力操作[+部分強化][+効率上昇] [+魔力圧縮][+遠隔操作]・魔法回路・高速魔力回復・鑑定[+解析][+並列思考]・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地] ・風爪・夜目・気配感知・石化耐性・令呪・言語理解[+速読]

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予想通り大幅に上昇していた。技能欄も三つ増えたようだ。よくよく見ると、確かに先程より遥かに周りが見える。

どうやらこれが〝夜目〟の効果らしい。奈落の魔物にしてはショボイ気もするが、この階層においてはとんでもないアドバンテージだ。

後は、文字通りの技能だろう。惜しいのは、トカゲの固有能力が何故〝耐性〟であって〝石化〟じゃないのか、ということ。「石化の邪眼! とかカッコイイのに……」と、若干ガッカリする俺達だった。

 

その後ハジメは消耗品を補充するため錬成を始めた。主に銃弾の補充だ。

 

俺はハジメの消耗品の補充が完了するまで、モルガンと魔術訓練をするというのが、ここ最近のルーティーンだ。訓練の賜物か、最近はメキメキ実力が伸びている実感がある。

 

実際、俺の技能、魔術に派生技能として水属性が追加されている。ちなみに、俺の魔術属性は火、水、虚数の三つらしい。普通は一人一属性とかなので、この時点でかなり凄い事だ。

 

モルガンはだいたい、俺達が食事の時はこの奈落を自分の工房に作り替えている。そして、俺が食事を終えた後、次の探査に行くまでの短い時間を使って魔術を教えてくれている。

 

現在、いつもならモルガンに魔術を教わっているのだが、次の目標が目標だけに教わるというよりは一緒に研究している感じだ。

 

「めちゃくちゃ難しいな……何なんだこの属性」

 

「虚数という属性自体、イメージとして捉えにくいので仕方ないでしょう」

 

俺達は今、虚数魔術の研究をしている。とはいってもほとんどモルガンがやっていて、モルガンが確立した理論を俺が実際にいろいろ試しているだけだ。要はモルモットである。

 

いつものように解析でいいんじゃね?とか思ったのだが、よくよく考えてみれば一般的な虚数とは、【⠀imaginary number 】つまり想像上の数字のこと。

 

目に見えない想像上のものをどうやって解析するのだろうか……

 

という訳で、自力で習得しなければならないのだが、魔術世界においての虚数も、原理としては有り得るのだが、物質界、つまり現実に無いモノを指している。

 

一応モルガンに説明して貰う事で、何となく分かる感じだ。この魔術は、現実世界に無いぶん想像する人物の想像力に大きく関わってくる。俺もそれなりに想像力はある方だと思うのだが……

 

現実に無いものを理論として確立させるのはどれだけ凄い事なのだろうか、さっきからポンポン案を出している目の前の女性、モルガンの凄さを俺は改めて感じていた。

 

「さぁ我が夫。どんどんいきますよ」

 

「お、おう!」

 

俺を強くするためにここまでしてくれているんだ。俺もしっかり、それに応えないとな。

 

俺もしっかり頭を回し、モルガンの説明に聴き入るのだった。

 

そんなこんなで、ハジメの消耗品補充も終わり、今回の研究もあっという間に終了し、俺達はまた迷宮探索へと繰り出した。新しく、夜目と気配感知を手に入れたことでさらに探索がしやすくなったのを実感した。

 

そして下層に続く階段はすぐに見つかり、俺達はすぐに足を踏み入れた。

 

階段を降りてすぐ気になったのは足場の悪さだ。地面がどこもかしこもタールのように粘着く泥沼のような場所だった。

 

「何だここ…動きづらいな」

 

「とりあえず、空力で足場を作りながら行くかモルガンは……大丈夫だな……」

 

「ええ、心配無用です」

 

俺とハジメは空力を使用し、空中に足場を作りながら移動する。モルガンは飛んでいる……

そのまま周囲を解析しながら進んでいると、興味深い鉱石を発見した。

 

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フラム鉱石

艶のある黒い鉱石。熱を加えると融解しタール状になる。融解温度は摂氏50度ほどで、タール状のときに摂氏100度で発火する。その熱は摂氏3000度に達する。燃焼時間はタール量による。

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「……うそん」

 

「火気厳禁ということか……」

 

「どうやらここは我が夫にとっても、南雲ハジメにとっても鬼門のようですね」

 

さっきから俺達が踏んでいる地面のタールは全て、このフラム鉱石から生み出されたもの。

つまり、ここで火の魔術や纏雷を使った瞬間、辺り一面火の海になること間違いなしだろう。

 

「いいさ、どちらにしろやることは変わらない。殺して喰うだけだ」

 

(やはりハジメには鎖が必要だ。出来るか分からないが、あの計画を進めておく必要があるかもしれない)

 

そう思いながら俺も探索を開始する。

 

しばらく周囲を探索すると、解析眼に何かが引っかかった。どうやらタールの中に何かいるようだ。まぁ間違いなく魔物だろうが……

 

俺は警戒レベルを引き上げ、他にもいないか探す。だが、鑑定に引っかかったのはコイツだけのようだ。

 

さて、どう対処するか……俺の得意の火属性魔術は使えない…水属性魔術もこのタール全てを操れるほどの技術力はないし……虚数魔術は取得出来てない……他の技能は……

 

そこで俺は、ある技能に目をつけた。

 

対処法を思いついた俺は、空力と縮地を使い、一瞬で相手との距離を詰める。情報の発信源を頼りに、俺は手刀にした手を振り下ろした。

 

瞬間、俺の手に何かを切ったような感触が伝わる。水属性魔術でタールを退けると、そこには、上半身と下半身が真っ二つに分かれたサメ型の魔物の死体があった。

 

俺が使った技能は〝風爪〟あの爪熊が持っていた固有魔法だ。それを自分の手刀に纏わせる事で、凄まじい切れ味を生み出したのだ。

 

その後、ハジメも戦ったのだが、少し苦戦していた。どうやらこのサメ型の魔物は、気配感知に反応しなかったらしい。だが、ハジメも〝風爪〟を上手く使うことで切り抜けた。

 

「さて、気配を感じなかった理由、確かめさせてもらうぞ?」

 

 ハジメはそう言って舌舐りをした。

 

 その後、サメの肉を切り取り保管してから探索を続けた。正直言って、モルガンの独壇場でしかなく、下層への階段が見つかる頃には、サメの死体の山が出来上がった程だ。

 

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南雲ハジメ 17歳 男 レベル:24

天職:錬成師

筋力:450

体力:550

耐性:400

敏捷:550

魔力:500

魔耐:500

技能:錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱物系探査][+鉱物分離][+鉱物融合]・魔力操作・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地]・風爪・夜目・気配感知・気配遮断・石化耐性・言語理解

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比企谷ハチマン 17歳 男 レベル:24

天職:魔術師、召喚士

筋力:650

体力:800

耐性:600

敏捷:650

魔力:1500

魔耐:850

技能:魔術[+火属性][+水属性]・召喚魔法・召喚陣作成・召喚詠唱補助・魔術礼装スキル作成・魔力操作[+部分強化][+効率上昇] [+魔力圧縮][+遠隔操作]・魔法回路・高速魔力回復・鑑定[+解析][+並列思考]・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地] ・風爪・夜目・気配感知・気配遮断・石化耐性・令呪・言語理解[+速読]

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モルガンとの授業風景を書こうと思ったのですが……難しい…
もっと魔術について勉強しなければ…(´;ω;`)
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