ありふれた魔術師が世界最強になるのは間違っていない   作:ミーラー

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第2話 異世界召喚

 

 

俺は両手で顔を庇い、目をギュッと閉じていた、ざわざわと騒ぐ無数の気配を感じてゆっくりと目を開いた。そして、周囲を呆然と見渡す。

 

まず目に飛び込んで来たのはちょーデカい壁画だ。縦横十メートルはあるんじゃないか?しかも男?女?中性的な顔立ちの人が立った絵だ。

 

それにしても、とんでもないデカさだなぁ〜うん、どうやって作ったんだろう。八幡気になるな〜

 

って!そんな事言ってる場合か!!

 

俺が今しないといけない事は、現状を把握する事だ。

 

で?これは一体どういう状況だ?

よくよく周囲を見てみると、どうやら自分達は巨大な広間にいるらしいということが分かった。

おそらくここは、教会とか大聖堂とかだろう。

マンガとかラノベとかでよく出てくる……

 

どうやら、その最奥にある台座のような場所の上にいるようだ。周囲より位置が高い。

 

周りにはクラスメイト達の姿がある。クラスメイトも困惑しながら周囲を見渡している。

 

え〜とつまり?今の現状を整理すると……

 

まずここは地球じゃなくて、おそらく教室にいた人全員がここにいて、周囲には特に何もなくて、俺達の周りを騎士みたいなヤツらが囲ってて、冷静そうなのがパッと見ハジメぐらいで、俺は小町としばらくあえそうに……ない?…………

 

は?

 

はぁぁあああああああああ!

おいふざけんな!!

 

それって俺と小町の最新のエピソードが

"朝食中、昨夜、兄の厨二ゼリフを妹が聞いてました。を暴露"

 

という事なんだが?

俺……終わったくね?

いや落ち着け…小町ならきっと分かってくれるはずだ。

 

と俺が百面相している内に、周りの騎士たちの中から、明らかに地位の高そうな70代くらいの老人が代表して話しかけてきた。

 

「ようこそ、トータスへ。勇者様、そしてご同胞の皆様。歓迎致しますぞ。私は、聖教教会にて教皇の地位に就いておりますイシュタル・ランゴバルドと申す者。以後、宜しくお願い致しますぞ」

 

そう言って、イシュタルと名乗った老人は、好爺

然とした微笑を見せた。

 

は?こいつ今イシュタルって言ったのか?

こいつが?ウソやん・・・・・・・・・

 

この世界でのイシュタルはどうやら美人ではなく

老人らしい・・・・・・

イシュタル推しの人がいたら絶対に暴走していただろうな・・・

 

とか思っていたら、いつの間にやら場所を移り、

今俺たちは、十メートル以上ありそうなテーブルが幾つも並んだ大広間に通されていた。

 

そして、全員が着席した所にタイミング良く、カートを押しながらメイドさん達が入ってきた。そう、生メイドである!エセメイドや外国にいるデップリしたおばさんメイドではない。正真正銘、男子の夢を具現化したような美女・美少女メイドである!

 

うん……しっかりとガン見した。まぁこれは仕方ないな……生理現象ってやつだ。と言いつつ、それと並行して、俺はメイド達を観察している。もしかすると、ハニートラップを仕掛けて来る可能性があるからな。

 

ほとんどの男子がメイドさん達を凝視している。

もっとも、それを見た女子達の視線は、氷河期もかくやという冷たさを宿している。

 

ん?おかしいな、急に寒気が…

白崎がこちらをニコニコしながら見ている。

こちらというか、主にハジメに向かってだが…

俺達は見なかったことにした。

 

「さて、あなた方においてはさぞ混乱していることでしょう。一から説明させて頂きますのでな、まずは私の話を最後までお聞き下され」

 

聞いた結果。

まぁなんと言うか……テンプレそのままだな。

 

要約するとこうだ。

まず、この世界はトータスと呼ばれている。そして、トータスには大きく分けて三つの種族がある。人間族、魔人族、亜人族である。

 

人間族は北一帯、魔人族は南一帯を支配しており、亜人族は東の巨大な樹海の中でひっそりと生きているらしい。

 

この内、人間族と魔人族が何百年も戦争を続けているらしい。

 

そして今、魔人族が魔物を使役出来るようになった事で、今まで数の力で対抗していた人間族のアドバンテージは無くなり、均衡が崩れ始めたらしい。そして人間族は滅亡の危機を迎えている。

 

つまりコイツらは、俺たち普通の高校生に、戦争させようって事だ。無理だろ……普通に考えて。

この中の誰一人として、戦争したいだなんて思ってる奴はいないだろ。無論俺もだ。俺たちを勝手に連れてきて、戦争してくれなんて……勝手な話だ。

 

「あなた方を召喚したのは〝エヒト様〟です。我々人間族が崇める守護神、聖教教会の唯一神にして、この世界を創られた至上の神。おそらく、エヒト様は悟られたのでしょう。このままでは人間族は滅ぶと。それを回避するためにあなた方を喚ばれた。あなた方の世界はこの世界より上位にあり、例外なく強力な力を持っています。召喚が実行される少し前に、エヒト様から神託があったのですよ。あなた方という〝救い〟を送ると。あなた方には是非その力を発揮し、〝エヒト様〟の御意志の下、魔人族を打倒し我ら人間族を救って頂きたい」

 

イシュタルはどこか恍惚とした表情を浮かべている。超キモいんですけど?やめてくれ!お前のせいで俺のイシュタル像が崩れそうなんだよ!

 

「ふざけないでください!結局、この子達に戦争させようってことでしょ!そんなの許しません!ええ、先生は絶対に許しませんよ!私達を早く返してください!きっと、ご家族も心配しているはずです!あなた達のしていることはただの誘拐ですよ!」

 

ぷりぷりと怒る愛子先生。流石は愛ちゃん先生。

威厳は皆無だが、今の混乱状態中ではとてもいい

癒しだ。

 

「お気持ちはお察しします。しかし……あなた方の帰還は現状では不可能です」

 

場に静寂が満ちる。やはり帰る方法はないか。

こういうのもテンプレだからな。

 

「ふ、不可能って……ど、どういうことですか!?喚べたのなら返せるでしょう!?」

愛子先生が叫ぶ。

 

「先ほど言ったように、あなた方を召喚したのはエヒト様です。我々人間に異世界に干渉するような魔法は使えませんのでな、あなた方が帰還できるかどうかもエヒト様の御意思次第ということですな」

 

「そ、そんな……」

 

愛子先生が脱力したようにストンと椅子に腰を落とす。周りの生徒達も口々に騒ぎ始めた。

 

「うそだろ? 帰れないってなんだよ!」

 

「いやよ! なんでもいいから帰してよ!」

 

「戦争なんて冗談じゃねぇ! ふざけんなよ!」

 

「なんで、なんで、なんで……」

 

パニックになる生徒達。まぁこうなるわな。

俺も平気ではない。それに、イシュタルがかなり怪しい、さっきから天之河の方へ多く視線が向けられている。あれは……観察してるのか?

 

まぁ、今は大人しくしておいた方がいいだろう。

変に目立って、イシュタルに目をつけられる方が不味い。俺は静観する事にした。ハジメもどうやら、俺と同じ考えらしい。

 

「皆、ここでイシュタルさんに文句を言っても意味がない。彼にだってどうしようもないんだ。

……俺は、俺は戦おうと思う。この世界の人達が滅亡の危機にあるのは事実なんだ。それを知って、放っておくなんて俺にはできない。それに、人間を救うために召喚されたのなら、救済さえ終われば帰してくれるかもしれない。・・・イシュタルさん? どうですか?」

 

「そうですな。エヒト様も救世主の願いを無下にはしますまい」

 

「俺達には大きな力があるんですよね? ここに来てから妙に力が漲っている感じがします」

 

「ええ、そうです。ざっと、この世界の者と比べると数倍から数十倍の力を持っていると考えていいでしょうな」

 

「うん、なら大丈夫。俺は戦う。人々を救い、皆が家に帰れるように。俺が世界も皆も救ってみせる!!」

 

何を言ってるんだコイツは?戦争をするという事がどういう事か分かっているんだろうか?

 

とは言っても…正直打つ手がないのも事実……

さっきイシュタルは俺たちのことを勇者様、そしてご同胞の皆様と言った。

 

つまり俺たちの立場はそこそこ高いはずだ。その立場を自ら壊しに行くのは悪手だ。それならこの立場を存分に使った方がいい。

 

「へっ、お前ならそう言うと思ったぜ。お前一人じゃ心配だからな。……俺もやるぜ?」

 

「龍太郎…」

 

「今のところ、それしかないわよね。……気に食わないけど……私もやるわ」

 

「雫…」

 

「え、えっと、雫ちゃんがやるなら私も頑張るよ!」

 

「香織…」

 

いつものメンバーが光輝に賛同する。後は当然の流れというようにクラスメイト達が賛同していく。愛子先生はオロオロと「ダメですよ~」と涙目で訴えているが光輝の作った流れの前では無力だった。

 

結局、全員で戦争に参加することになった。

 

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