ありふれた魔術師が世界最強になるのは間違っていない 作:ミーラー
「モルガン」
「はい」
「すごいのが出来てしまったな」
「ええ、私も満足の出来です」
俺とモルガンは現在、目の前に建つ”キャメロット城”に視線を向けながら感想を言い合っている。そう、俺達はこの奈落の底に建ててしまったのだ。この最強の城を。
ん?奈落に建てるスペースなんてあったのかって?そりゃなかったさ。だからこの隠れ家をさらに横に広げて無理矢理スペースを作ったんだよ、モルガンが。
しかもこの城、モルガン曰くブリテンに作ったやつよりもデカく、頑丈にしたらしい。画像しか見てない俺にはあまり分からなかったけど…何でもモッフモフのアイツがまた出てきた時のためらしい。
さすがにこの世界でアレが出てくることは無いと思いたい。出てこないよね?絶対来んなよ!アレと現実世界で戦えとかクソゲーにもほどがあると思う。
ただ、ちょっとだけあのモフモフに飛び込んで見たいと思った同志いる?いたら集まって作戦会議をしよう。名付けて【モフモフ野郎ペット化作戦!】
はい、すみません。破綻しますね、はい。
ではなぜ、城を建てることになったのか説明しよう。
それは一週間ほど前に遡る。
俺とモルガンとバーヴァンシーの三人は、次に召喚するサーヴァントを決める会議を行っていた。モルガンの要望通りキャスタークラスから候補をいくつか挙げていき、最終的にはキャストリアとスカサハ=スカディに決定した。
キャストリアの名が挙がった時は、モルガンが反対すると思っていたのだがそんなことはなく、防御面の宝具が最強という理由で採用された。やはり人権村娘は強かったのだ。
スカサハ=スカディは原初のルーンの使い手ということで、まぁチートだよね?って感じで採用された。
そして今回の騒動の原因は、俺がスカサハ=スカディを呼ぶための触媒を”氷の城”にしようと言った時だった。”城”という部分に反応したモルガンが「私達の城を建てますよ」と言ってきたのだ。
そういうわけで、一週間かけて出来上がった城が今目の前にあるのだ。
うん、マジでデカいわこの城……。パッと見でも百メートルくらいの高さがありそうだ。外装も特徴的だが説明が難しい。詳しく知りたい人は、FGOのキャメロット物語という概念礼装を確認して欲しい。チョコだけど……。
「八幡、これからどうしますか?」
「ん?完成したし、中をちょっと見て回ろうと思ってたところだけど?」
「では、そうしましょうか。案内しますよ」
俺はモルガンについて行く形で城の中に入る。中に入って見えてくるのは大広間。その中央から前方と左右に広い廊下が伸びている。
「おぉ〜綺麗だな〜」
内装もダーク感満載だが落ち着いた感じに仕上げられている。装飾も最低限に抑えられていてまさにシンプル・イズ・ベストと言った感じだ。
「ここから右の廊下を進むと大浴場へ。左の廊下ならば食堂やキッチン。そして正面を進めば訓練場があります」
「なるほど」
「後で行ってみて下さい。次に二階へ行きましょう」
俺達は正面の廊下を通り、その先にある階段を登る。
「二階は基本的に空き部屋です。紹介するとすれば、工房と図書室があるくらいです」
「ほうほう、それにしても空き部屋多くない?これからサーヴァントを呼ぶにしても多すぎな気が……」
「何を言っているのです?いずれはもっと増えるのですから、今のうちから準備しておくべきでしょう。それに、我々の子供のことも考えねばなりません」
「まぁそれはそうだ…が?」
はいちょっと待とうか?今スゴいワードが飛び出した気がするんだけど?俺の気のせいかな?
「モルガン…今こどm「さぁ、次は三階へ行きますよ」おーい」
そうだ、俺としたことが忘れていたぜ。モルガンはバーサーカークラスだった……。
俺はため息をつきながらモルガンの後を追い、三階へ繋がる階段を登った。その先にはとんでもない大きさの扉があった。
「三階は玉座の間、そして妖精騎士達とハジメ達の部屋があります」
「ん?モルガンと俺の部屋は?パッと見た感じだと、部屋の数は余裕で余ってるけど……」
「こっちです」
そう言ったモルガンは玉座の間の扉を開ける。目の前にはFGOで見たことのある玉座が設置されていた。
モルガンは玉座に座ると、その隣を手でポンポンと叩く。俺はその指示に従いモルガンの隣に座る。
「これでいいのか?」
「ええ、それでは行きましょうか」
モルガンがそう言った瞬間、玉座の間の景色は消え、一瞬の浮遊感と共に別の景色に切り替わった。
最初に理解したのは俺とモルガンがベッドに座っていること。沈むような柔らかさを感じ、かなり質のいいものだと分かる。大きさもおそらくキングサイズ。
「転移したのか?」
「ええ、玉座と寝室の四階を繋いでみました」
寝室行くだけなのに玉座経由って……。まぁモルガンは玉座大好きだからな。仕方ない。
まわりを見た感じ、一階から三階までの作りよりも豪華さを感じる、はずなのになぜか寝落ちしそうなほど心地がいい。これが寝室の強さというわけか。
「どうです?私が腕によりをかけて作った寝室は?」
「すごくいいな」
俺もこんな部屋に一度は泊まってみたいものだ。
「何を言っているのです?ここは私達の寝室ですよ?」
「……え?」
……つまり?……俺達は?……ここで?……寝る?
「そうです。何ならバーヴァンシーも連れてきましょうか?」
モルガンが薄く笑ってそんな事を言ってくる。
──やはりモルガンがバーサーカーなのは間違っていない。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「では八幡、彼女達を召喚しに行きましょうか」
「行くか」
俺達はキャメロット城から封印部屋に移動する。
封印部屋の扉を開けると、そこには高さ三メートルほどの氷の城があった。ガチで城を作った場合、ここじゃ入らないため小さい城を作ったのだ。
召喚した後色々言われそうな気もするが……。あれだな…もしかしたら、女王様はみんな城が好きなのかもしれん。知らんけど。
そんな事を考えながら、俺は二つの召喚魔法陣を作成していく。氷の城を中心とした魔法陣と、触媒の用意されていない魔法陣だ。
「よし…」
俺は〝想像召喚〟で”選定の杖”を召喚し、触媒の用意されていない魔法陣の中心にぶっ刺した。これで準備完了だ。
「さて、やりますか」
俺は目を瞑り、魔法陣へと意識を集中させる。
「素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。降り立つ風には壁を。四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ。」
今回は初めての同時召喚。
「閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。
繰り返すつどに五度。ただ、満たされる刻を破却する────告げる」
魔力消費量は確かに倍になっている。だが、
「汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に」
魔物肉を喰らい、日々の鍛錬によって成長し続けた今の俺ならある程度は持ちこたえられる。
「聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ誓いを此処に」
まぁ、ある程度ってだけで〝高速魔力回復〟がないと召喚自体できないんだけど……。本当に有能な技能だ。
「我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者」
触媒もしっかりと準備したし、俺の魔力問題も特になし。後は彼女達の姿を思い浮かべるだけだ(並列思考)。
「汝三大の言霊を纏う七天、
抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ───!」
詠唱を言い終えると、モルガンとバーヴァンシーを召喚した時と同様に、とてつもない光量に目がやられそうになる。今度からサングラスつけて召喚するか……。
俺が目を瞑ってそんなことを考えている間に光は収まり、それぞれの召喚陣の中央に女性が佇んでいるのが見えた。
一人は綺麗で長い紫色の髪をストレートに下ろし、同じく紫色の露出の少ないドレスを身につけ、頭には光り輝くティアラが添えられている。
──彼女こそ北欧異聞帯の王であり、原初のルーンの使い手。
──”神々の麗しい花嫁”と呼ばれた北欧の女神。
「我が名はスカサハ=スカディ。なかなか面倒なことに巻き込まれているようだなマスター。貴様が私に仕えるというのなら、助けてやらんこともないぞ?」
突然ドヤ顔でそんな事を言ってくる女神様。
え?俺が仕えないと助けてくれないの?だったらなるしか──
「八幡は私の夫。故に、貴様の臣下になることはない。そこにある氷の城にでも篭っているがいい」
──ちょっとモルガンさん、あなた最近狂化が進みすぎじゃありませんかね?しかもこの氷の城って高さ三メートルしかないんですよ?
「なんだ貴様?この私に向かって無礼だぞ?」
「人の夫を妻の前で堂々と口説こうとは、貴様は礼儀すら知らんのか?」
バチバチ睨み合う二人。おかしい、何だか寒気が……。さっきまで普通だったのに。部屋の温度が一気に氷点下まで下がった気がする。
「……マスターが貴様の夫?」
「ああ、神々の花嫁という立場に胡座をかいた結果、婚期を逃した貴様とは違う」
「なっ!?」
挑発するように笑いながら、スカサハにとって最大の地雷を遠慮なく踏み潰していくモルガン。
「…い、いや!貴様のような冷えに冷えきった冷徹女よりも、絶対に私の方がこの人間の主に相応しい!私の方が愛らしく、肌のハリとか柔らかさとか絶対勝ってる!」
「いや、貴様よりも私の方がすごいぞ?肌の柔らかさもハリも、美しさもな。それに何より経験値が違う。貴様、求められることはあれど応じたことなどない生娘だろう?」
何か雪降ってきたんだけど?ここ封印部屋だよな?
「なっ!なな、ならば…き、貴様はあるとでも言うのか!」
「もちろんだ。我が夫は身も心も私の虜だ。そしてそれは私も同じ。貴様のような行き遅れでは経験できるはずもないだろうがな?」
モルガンさん、それもうジャブじゃなくてストレートだからね?
「…貴様には少し立場というものを分からせておいた方がいいようだな?」
「それはこちらのセリフだ」
睨み合いながらだんだんと距離を縮めていく二人。やめてぇっ!仲良くしてぇっ!冬の女神と冬の女王の喧嘩とかマジでシャレにならん被害出るから。雪もブリザードになってきてるし……。
「あ〜そういう感じですか……。なるほど、私はいないも同然の扱いと……。ふんだ、どうせ私は女神でも女王でもないただの村娘ですよーーだ」
モルガンとスカサハがお互いの美しさやら綺麗さやらを競い合いさらにヒートアップしそうな時、ブツブツと不貞腐れたような呟き声が聞こえた。
やべぇ、忘れてた。
そう。この声の主こそ、今回の召喚で呼んだ二人目のサーヴァントだ。
──選定の杖に選ばれし者であり、妖精國を救うためにアヴァロンから送られてきた”予言の子”
「ア、アルトリア…」
ぶすーと不満顔で頬を膨らませるアルトリア。可愛いなこの娘。見てるとホッコリする。なでなでしたい!
「ぶすー」
俺の反応にさらに不満そうな顔をするアルトリア。てか声で言っちゃってるよこの娘。
「あーなんか、スマン。忘れてた」
「そういうところだぞ比企谷ァ!」
「いやどういうところだよ…少し言い訳をさせて欲しい。さすがに召喚して即こんなことになるとか想像出来るか?」
「だったら一人ずつ呼べばよかったでしょー。そうすれば私は忘れられずにすんだんです」
はい、おっしゃる通りですね。誰だよ、同時召喚なんてやろうとしたやつ。
「まぁそれはともかく」
「私の話をそんなに簡単にそらさないで欲しいのですが」
アルトリアがまた頬を膨らませて拗ねているが、そんなことよりも大事な問題がある。このままでは、俺は普通に死んでしまうという事だ。
モルガンとスカサハを中心に、今度はハリケーンが発生している。
猛烈な勢いで広がりつつあるそれは雷雲を纏い、ブリザードも吸い込み封印部屋が揺れるほどだ。
驚いたことに、二人は殴り合っているわけではない。言葉のみの言い争いでハリケーンを発生させている。
もはや意味が分からん。
話の内容も胸の大きさやら形、お尻の美しさという感じになってきている。
これが女神と女王の会話と思うと悲しくなるが、さっさとやめさせなければどちらにしろ死ぬのは俺だ。
ここはアルトリアの対粛清防御を付与してもらい、直接殴り込みに行くしかない。
「アルトリア、忘れていたのは本当に悪かった。だが今は協力してくれ」
「…ん〜どうしよっかなー」
「生き残ったらチョコレートつくってや「それはいつかくる兆しの星、希望の地、楽園の跡、誰に呼ばれるまでもなく、貴方は星をかざすでしょう。運命は誰のために──
物分りのいい娘で助かる!
「愛してるぜアルトリア!」
対粛清防御が付与されたことを確認した俺は走り出し、ハリケーンの中に突っ込んでいく。
「……そういうところだぞぉ…比企谷ぁ…」
アルトリアの小さな呟きは俺には聞こえなかった。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「私の方が柔らく形もいい。つまり私の勝ちじゃ!」
「いや、私の方が大きく柔らかい。それに美しさも兼ね備えている。私の勝ちだな」
「貴様!聖杯で身体をいじっておるから負けじゃ!」
「知らん。私は我が夫の好む身体になったまで、それまで自分の身体に興味などなかったのでな」
「卑怯者め!」
「ふっ。その言葉が己の敗北を認めているようなものだぞ?」
「くっ…貴様の聖杯を一つよこせ!」
「いや、これは我が夫からの贈り物だ。指一本触れさせるものか」
女神と女王がすごい会話をしている……。
ハリケーンを抜けてきたら、モルガンとスカサハがお互いの大きな胸を押し付け合いながら言い争っていた。
いや、これどうやって止めるよ……。無理くね?とりあえず話しかけるしかないんだけど……。
「二人とも!その辺でもうやめてくれ!封印部屋が壊れるから!」
俺は暴走中の二人に聞こえるように大きな声を出す。
「む?」
「我が夫?」
二人は同時にこちらに振り向き、すぐにまた睨み合うと、
「マスターか、ちょうどよいところに来たな」
「ああ、それに関しては同意見だ」
二人はそう言うと俺との距離を一瞬で詰め、俺の腕をホールドする。
「ぐっ......!お、お前ら!?何して!」
そんなことをすれば、二人の胸の柔らかさがしっかりと伝わってくる。で、デカい……。
「マスター、私の方が貴様の主に相応しいだろう?」
「我が夫、もちろん私ですよね?」
「はぁ〜」
本当に勘弁してくれ………………。
リアルにモルガンとスカディが出会ったらどんな感じになるんですかね?
幕間きてくれないかなーって最近思ってます。
そしてやっぱりキャストリアは可愛い。