ありふれた魔術師が世界最強になるのは間違っていない 作:ミーラー
今回のルーン魔術のお話は、作者の妄想部分が結構あると思います。
自分なりに結構調べたんですが、分からないこととか多くて困ってます。
違和感などあれば是非教えてください。
「……と、このようにルーン魔術というのは、呪文の詠唱ではなく”ルーン文字”を刻むことで魔術的神秘を発現させるものだ。ここまではよいな?」
「ああ、問題ない」
ヘラクレスとの戦いから二週間。俺達が奈落生活を始めて一ヶ月が経過した。
俺は今キャメロット城の一室、学校の教室のような部屋でスカサハからルーン魔術の授業を受けている。
もともとルーン魔術には興味があったし、特に原初のルーンは習得できればとてつもない力になるだろう。思い立ったが吉日ということで、スカサハに頼み込んだのがつい昨日のこと。
その結果は、拍子抜けするほどすんなりOKされた。
気になって理由を聞いたら、俺を独占すればモルガンが嫉妬するか試してみたかったかららしい。
それを聞いてなにしてんの?と思う気持ちと、またモルガンに振り回されるスカサハの光景が思い浮かび少しホッコリしてしまった。割と仲がいい二人である。
「ルーン魔術の中でも別格の魔術、オーディンがその命を捧げて編み上げた神代の魔術基盤。それが原初のルーンだ。今日の授業はオーディンが習得したこの原初のルーンについてだ」
さて、少し脱線してしまったが、初めてのスカサハの授業はこの通りめちゃくちゃ真面目でいい感じである。教えるのも上手い。
そして今日は原初のルーンを教えてくれるらしい。
───……うん、いきなり?
さっきも言った通り今回は初めての授業。つまり俺もルーンを習うのは初めてということで、ついさっきまで簡単な基礎を教えて貰っていたところだ。そんなルーン魔術ド素人な俺が習得できるものなのか……?
「なぁスカサハ」
「なんだ?」
「いきなり原初のルーンから始めるのか?最初はもっと簡単なやつから……とかじゃないのか?」
「貴様の言う簡単とは現代のルーン魔術のことか?それなら今のままでよい」
「そうなのか?」
「そもそも、私は現代のルーン魔術など習得しておらぬ」
「え?」
「簡単な話だ、私は原初のルーンを習得しておるのだぞ?現代の劣化したルーン魔術などわざわざ習得したりせぬ」
「……確かに」
言われてみればそうだ。FGOでも原初のルーンは万能すぎてやべぇってなったもんな……。
メインストーリーの二部二章ではシグルドやブリュンヒルデの砕けかけた霊核を繋ぎ留めたり、オルテナウスを修理したり、死のルーンを受けたホームズを癒しのルーンで回復させたり、ワルキューレの持つ神鉄の盾を複数同時召喚したり、空を飛べるようにしたりとやべぇことをポンポンやっている。
イベントでもメモリーチップみたいな複雑なやつを丸ごと複製したり、英霊の霊基をサンタや水着やらに変換したり、果てには原初のルーンで稼働する氷上クルーザーを生み出したり、漫画が描けるようになるルーンも出てきていた。ほんと何でもありだな……ドラ〇もんかよ。
「では早速授業を始めるとしよう。まず例として、オーディンが習得した十八のルーンについて見てもらう」
スカサハが杖を一振りすると、どこから出てきたのか一枚の紙が現れた。
==============================================================
オーディンが習得した十八のルーン
自分自身の命を一度捧げ、描かれる文字の形にこそ世界の深奥あり、と見出した。オーディンが見出した真実を導くカタチ
一、救いの呪法:戦いや悲しみ、悩みなどを取り除く助けとなる。
二、癒やしの呪法:医術を志す者に必要とされる。
三、敵への呪法:武器の刃をなまらせ、役に立たなくする。
四、解放の呪法:手足にされた戒めを、ほどいたり切ったりする。
五、矢止めの呪法:投げ槍などの飛び道具を、ひとにらみで落とす。
六、呪い返しの法:呪いによって受けた傷を、それ以上にして相手に返す。
七、鎮火の呪法:呪歌によって、火事の勢いを削ぐ。
八、なだめの呪法:親しい者同士に起こった憎しみの感情をなだめる。
九、航海の呪法:海が荒れている時、風や波を鎮める。
十、退魔の呪法:幽体離脱した魔女を、元の身体に戻れないようにする。
十一、盾の呪法:戦士に勇気を与え、無事戦場から連れ戻す(盾にかける)。
十二、死人の呪法:ルーンの力で死者を動かし、話ができるようにする。
十三、守りの呪法:水でその身体を清め、剣の刃が通らないようにする。
十四、知識の呪法:神々や妖精達に関するすべての情報。
十五、小人の呪法:神々には力、妖精には栄華、オーディンには知恵を授ける。
十六、情愛の呪法:女性の心をとらえ、恋をかなえる。
十七、貞節の呪法:女性の心変わりを抑え、自分の元に留まるようにする。
十八、最後の呪法:オーディンオリジナル
==============================================================
パッと見ただけでもその性能のヤバさが分かる。洗脳する気満々の十六と十七とか特にな……。
「おまえにはこの十八のルーン全てを修めてもらう。覚悟はよいな?」
「了解」
俺はそう言って座っていた椅子から立ち上がり、スカサハの近くに移動する。
「それで、まず何をすればいいんだ?」
「そうさな……まずはこれだ」
スカハサは手に氷の槍を生み出し、それを俺に押し付けてきた。
「これは?」
「うむ、まずそれで自らの身体を刺す」
「────……は?」
……え?今なんて言った?刺すとか物騒なこと聞こえた気が……いや、きっと今のは聞き間違いだ。そうさそうに決まっt「それで己の身体を刺すのだ」ないのかよ……。
「いや、は?マジで刺すのか!?これを?」
「私は至って本気じゃぞ?」
うん、本気かもしれないけど正気ではないね。だってこんなの刺し所が悪ければ普通に死ぬんだけど……。
「……刺せば原初のルーンが手に入るのか?」
「普通に刺すだけではダメだ」
いやダメなのかよ。
「じゃあどうしろと?」
「かつてオーディンは、己の命を捧げることで原初のルーンを習得することに成功した。具体的な方法は、自らの身体を槍で傷つけ、九夜九日の間逆さに吊り下がることで掴み取った」
「いやちょっと待て。その言い方だと今からそれを俺がやるみたいに聞こえるんだけど?」
「そういうことだ」
「いや死ぬわ!」
俺神じゃないし生身の人間なんだけど?そこのところ勘違いしてない?オーディンが命懸けで成し遂げたことを俺にもさせようとしてくるんだけどこの
「貴様、つい先程覚悟はよいと言っていたではないか」
「確かに覚悟はいいかと聞かれたが、死ぬなんて聞いてないぞ!」
「うむ、言ってなかったからな」
「いや言えよ!」
まったく、本当に大丈夫なのかこの女神……。基礎を教えてくれている時は分かりやすくてさすが女神とか思ってたんだが……。クー・フーリンも召喚しておくべきだったかもしれん。
「少し落ち着け。まだ重要な部分を話しておらぬ。それを聞いた上で答えを出せばよい」
いや今の時点でもう帰りたいんだけど……?死ぬリスクとか負えるわけないし。というか、まだ重要情報あるのかよ……。
「そもそも、原初のルーンを習得するためには”死”を避けることなど不可能だ。オーディンですらそれだけの代償が必要だったのだからな。ただの人間には過ぎた力ということを理解せよ」
はい、分かりました。なのでこんなことはさっさとやめてエミヤのご飯でも食べに行こう。うんそれがいい。きっとスカサハの好きなアイスとかも出してくれるはず……なんなら俺が注文しに行くから。
「だが、今はこの私がいるからな。原初のルーンを習得するには死ぬことが前提条件。というのを、生と死の狭間にずらすことくらいなら容易い」
─────………あれ今話が根底から覆るようなこと言わなかった?
「えっと、それってつまり?」
「お前は死なずに原初のルーンを習得できるということだ」
「……マジ?」
「マジじゃ」
スカサハはドヤ顔で胸を張る。
うん、ドヤ顔はいいんだけどその情報ここまで引き伸ばす必要あった?もっと早く言ってくれてもよかったと思うんだけど……。
「とはいえ、その生と死の狭間ってのも結構ヤバそうじゃないか……?」
「それなりの覚悟はしておいた方がよいだろうな」
俺は手に持っている氷の槍に目を落とす。
そしてなんとなく悟った。なぜ現代の魔術師が原初のルーンを習得できないのか。やはりそれは、この頭のおかしい修行方法にあるだろう。誰が好き好んで自分の身体を傷つけ、逆さ吊りになりたいと思うのか……。
「ちなみに聞くが、スカサハはどうやって習得したんだ?」
「私か?私は少し例外だ。北欧の女神という性質と、影の国の王であるスカサハの融合体じゃからな。生まれつき習得していた」
「……ずるくない?」
「私に言うでない。文句ならオーディンに言え」
「誰が言えるか……」
大神様に文句なんて言えるわけがない。FGOでは様々な神が敵として立ち塞がる中で、カルデア側の味方として協力してくれた重要人物だからな。
「それで?重要なことは説明し終えた……そろそろ貴様の答えを聞かせよ」
その問いに俺は少し考える。
スカサハの力によって死ぬことはないとはいえ、生と死の狭間、生き地獄を味わうことになる。それ相応の覚悟が必要だ。そして懸念点はやはり、
「……本当に死なないんだよな?」
これに尽きるだろう。この前提が崩れ去れば、俺は普通に死んでしまう。何がなんでも確認しておかなければならない。
「それに関しては安心してよい。貴様は私の弟子だ。何があっても死なせはせぬ。私を信じよ」
先程までの柔らかい雰囲気は鳴りを潜め、スカサハは真剣な表情で言う。その言葉には強い自信と決意が秘められているように感じた。
俺は深く、ゆっくりと深呼吸を行う。
そして頭の中で今までの情報を整理する。
今回は今までの状況とは異なり、敵を殺して喰らえば勝利というわけではない。俺がやらなければならないことは、とにかく耐え続けること。生と死の狭間でどれだけ意識を繋ぎとめられるかにかかっている。
そして何より大事なのは、俺がスカサハを信じることにある。今回の作戦、俺が生きるか死ぬかを決めるのはスカサハだ。
自分の命を他人に預ける。それはそう簡単にできることではない。オマケに俺とスカサハが過ごした時間は二週間程度で、お世辞にも長いとは言えない。それこそ、命を預けるなどできるわけがない。
それが普通。
そう、普通ならそうだ。
しかし、俺達の関係にその普通は当てはまらない。
俺は知っている。
スカサハがいざという時に頼りになる存在だということを。
無益な殺生を良しとしない性格だということを。
やはり心の優しい女神だということを。
この二週間を共に過ごして分かった。
もしこれで俺が死んだら、俺の目は腐った節穴ということになる。
……なんだそれ最悪すぎる。さすがにそうではないと信じたいところだ。
それに、内容を知らなかったとはいえ原初のルーンを教えて欲しいと頼んだのはこちらだ。これくらいのリスクはあって当然だろう。
俺はスカサハに視線を合わせる。
スカサハはとても真剣な表情で俺の答えを待っていた。
「覚悟は決まった」
俺は、目の前の女神を信じることに決めた。
作者「はぁ〜文才が欲しいなぁ……」
八幡「ん、作者は文才が欲しいのか?」
作者「ああ、めちゃくちゃ欲しい。何かいい方法とかないか?」
八幡「あるぞ」
作者「ホントか?」
八幡「ああ、これだ」
作者「……なにこれ?」
八幡「氷の槍だ」
作者「……」
八幡「俺と一緒に逆さ吊りにならないか?」
作者「……」
八幡「漫画家になれるルーンもあった。つまり、小説家にもなれるはずだ」
作者「行くか」