やはり俺がリリベルなのはまちがっている。   作:新太朗

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対決と居場所

八幡視点

 

千束のライセンス更新が終われば帰れると思ったら、なんでか訓練場での対決になっていた。千束と井ノ上の正面には春川フキと乙女サクラが立っていた。

あの春川って子は数年前にアドバイスしたリコリスだった!下の名前は聞いた事がなかったから知らなかった。

それにしてもファーストになっていたのか。でもあの子が井ノ上の顔を殴ったのか。当時はそんな感じは見えなかったのに。

 

「久しぶりだな比企谷」

 

「どもっす楠木司令」

 

「千束の付き添いも大変だろ?リコリスで教官でもしないか?」

 

「またですか……」

 

春川にアドバイスした事で俺はこの司令に目を付けられた。どうも俺の観察眼がよほど気に入ったようで、本部に来た時に訓練教官にならないかと勧誘してくる。

 

「俺を動かしたいなら虎杖司令にでも言って下さい」

 

「あの男は融通が利かないからな」

 

「だったら諦めて下さい。俺も暇じゃないんで」

 

「千束の抹殺指令にどうしてそこまで拘る?」

 

周りにいるリコリスがザワつきだした。この司令はわざと周りに聞こえるように言っている節があるんだよな。

 

「俺に与えられた指令だからですよ。それ以外に理由なんてありませんよ」

 

「ならライセンスを強制的に没収する手段もあるが?」

 

「その時は俺が千束を殺しますよ?」

 

俺は楠木司令を真っ直ぐ見てそう答えた。周りのリコリスたちは臨戦態勢となった。今にも銃を抜きそうだな。

 

「出来るのか?」

 

「出来る出来ないじゃないんですよ。やるだけですよ」

 

そうだ。俺はただやるだけだ。銃を持ち、引き金を引くだけ。それだけ人の命はそれだけで終わってしまう。俺はその事をよく知っている。

おっと楠木司令と話していると千束が乙女サクラを撃破した。あとは春川だけだけど、千束と井ノ上を知っているので、中々仕留められないでいた。

 

「井ノ上は吹っ切れいてるな。あれもお前がしたのか?」

 

「俺はただ肩の力を抜けと言っただけですよ」

 

「お前が居れば、リコリスたちはもっと強くなると思うが?」

 

「そうですね。でもそれは俺のするべき事ではない」

 

千束と井ノ上が連携して春川を撃破した。二人はハイタッチで勝利を噛み締めていた。帰ったら二人の祝賀会でもしないとな。

恐らくだけど、井ノ上は本部には残らないだろう。あいつの居場所はもうリコリコにあると思っているだろう。

 

「それじゃ俺たちは帰りますね」

 

楠木司令は何か言いたげだったけど、言う前に訓練場を出た。早く千束たちと合流して帰ろう。

 

 

 

千束視点

 

「やったね!たきな!」

 

「はい」

 

私たちはハイタッチで勝利を噛み締めた。フキともう一人のリコリスは悔しそうにこちらを睨み付けてきた。勝利した私たちにそんな睨み付けても怖くないよ!

 

「千束。リコリコに帰りましょう」

 

「…………」

 

「どうしたました?」

 

「え、何でもないよ。よし、帰ろう!」

 

たきなは『リコリコに帰りましょう』と言った。それはリコリコが自分の居場所だと認めたという事だ。もう本部に拘りはなくなったんだね。

 

「帰ったら祝賀会でもしよ」

 

「祝賀会ですか?」

 

「うん!たきな、何が食べたい?」

 

「それでは比企谷さんの手料理で」

 

「…………うん。そうだね、それがいいね」

 

私は一瞬、たきなに対して怒りが出てきそうになった。たきな、誰であろうと八幡を私から奪う事は許さないよ?

 

「おい!」

 

「何?」

 

「殴っていかないのか?」

 

「もういいよ。任務の帰りでいいから店に寄りなよ。先生も喜ぶと思うよ」

 

フキはどこか不満顔だったけど、私はたきなの手を引いて訓練場から出た。今の千束さんは機嫌がいいから顔に一発殴るのはなしにしてあげるよ。

 

「は~ち~ま~ん~」

 

「うおっ!?おい、千束。いきなり抱きつくな」

 

「つ~か~れ~た~……おんぶ!」

 

「もうしているだろ……」

 

私は訓練場を出てすぐに八幡を発見して、背中から抱きついた。やっぱり八幡に抱きつくと落ち着く。心臓の音はちゃんと聞こえている。うん、生きている。

八幡は文句をいいながらも私の足に腕を回して落ちないように抱えてくれた。ホント、素直じゃないんだから。

 

「井ノ上もお疲れさん。帰ったら祝賀会でもするか」

 

「それ千束も言っていました」

 

「マジか……何が食べたい?」

 

「比企谷さんが作ったものなら何でも」

 

「何でもってのが一番面倒なんだけどな……」

 

私は八幡におんぶされながら二人の会話に耳を傾けた。たきなも八幡の事を好きになったらどうしよう?

私がいなくなった後、二人が付き合ったら?それを考えてしまった。思わず八幡の首に回した腕の力が強くなってしまった。

でも八幡は苦しいとも言わないで何も言わずに歩いていた。もしかしたら苦しくないのかもしれない。それとも私の気持ちが分かっているから何も言わずに受け入れているの?

 

「…………お前の我がままを優先してやるから安心しろ」

 

DA本部から出る時にそんな八幡の言葉が耳に入ってきた。私はそのままリコリコに帰るまで寝てしまった。本当に八幡は優し過ぎるんだよ。

お願いだから私を一人にしないで。

 

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