やはり俺がリリベルなのはまちがっている。   作:新太朗

24 / 31
忠告と警告

八幡視点

 

「はい。喫茶リコリコ」

 

『久しぶりだな比企谷』

 

「どうも虎杖司令」

 

今日も今日とて喫茶リコリコで働いていると一本の電話が鳴ったので、出てみるとそこから聞こえて声はDAのリリベルの司令である虎杖司令だった。

俺をリコリコに異動させて、千束を殺すように指令を与えた張本人だ。俺は内心、この司令の事を『ちょび髭男爵』と呼んでいる。

それにしても珍しい。この司令が電話をしてくるなんて。

 

「多忙を極めている虎杖司令がどんな用件ですか?」

 

『相変わらずの皮肉屋だな?まだ錦木千束は殺していないんだな?』

 

「俺に逃げたり裏切ったら殺せと言ったのはあなただったはずですか?」

 

『ふん……まあ、いい』

 

いいのかよ!?話を露骨に変えてきたな。それにしても本当にどんな用件だ?もしかして今更本部に戻ってこいとか言わないよな?

 

『先週からリコリスが襲撃さている』

 

「リコリスが?」

 

『単独任務の時に集団でリンチされている』

 

「それはまた……」

 

『そこにも二人いるだろ』

 

ええ、いますよ。生意気な問題児と可愛い後輩がね!井ノ上は本部での一件以来、俺に懐いてくれてよく言う事を聞いてくれる。

 

「珍しいですね。あなたが俺たちの心配をするなんて……」

 

『誰が心配するか。戦力低下を懸念しているだけだ』

 

「そうですか。用件は終わりですか?」

 

『比企谷。お前次第では本部に戻してもいいんだぞ?』

 

俺次第って、本部に戻す気かよ。絶対に嫌だ!誰が好き好んであんな場所に戻るかよ!お断りだよ!!

 

「まだ錦木千束を殺していないんで遠慮します」

 

『…………分かった。さっさと殺せ』

 

「当分はそのつもりはありませんので……では」

 

俺はそっと受話器を置いた。本当にあの司令の声は耳障りなんだよな。昔、施設にいた大人を思い出す。命を道具のように扱ってきた大人の声を。

 

「八幡。どうしたの?」

 

「いや、何でない。それよりお前のその格好は?」

 

「似合う?」

 

千束は黄色のポンチョを着ていた。何故、そんな格好をしているんだ?

 

「楠木さんがリコリスが襲撃されているって言っていたんだ。それでクルミが制服でリコリスを判別しているんじゃないかって」

 

「確かに今のネット社会じゃすぐに調べれば、どこの学校のものか分かるか」

 

ネット載っていない制服を着た者たちがリコリスという事だ。確かにこれ以上ない判別方法だな。千束は店長からのお遣いに出かけた。

届け先はすぐ側なので10分も掛からず戻ってくるだろう。

 

「大変だ!」

 

千束が出かけた後、クルミがタブレットを持って慌てていた。どうしたんだ?

 

 

 

 

真島視点

 

「おい!ロボ太!!」

 

「ひぃ!?」

 

俺はアジトのロボ太に与えた部屋の扉を蹴り破って入った。ロボ太の奴はこちらを見て、悲鳴を上げた。

 

「いつになったらリコリスどもの拠点は見つかるんだ?」

 

「も、もう少しだ!」

 

「二週間だ……」

 

「はい?」

 

「そう言って下っ端のリコリス共をやって、二週間は経つが?」

 

「DAのシステムを管理している『ラジアータ』は特殊なプロテクトがあって、普通の回線では介入すら出来ない」

 

だから俺がリコリス共を襲って端末を回収したのにまだロボ太はリコリス共の拠点を見つけられないでいた。それまで俺の部下たちが大勢、死んだ。なにより……。

 

「小町を見ろ!先週からずっとこうなんだぞ!?」

 

「お兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃん……」

 

兄に会えずに小町はずっと『お兄ちゃん』を連呼している。その上、こいつの兄自慢に5時間も付き合わされて耳がイカれそうだ!

 

「なあ、ロボ太。このままだとバランスが悪いとは思わないか?」

 

「だ、だからもう少し待てくれ!」

 

「いや、もう待てない。だからバランスを取るんだよ」

 

有能だからと雇ったのにまったく使えないじゃないか。早くしないと小町の兄自慢で俺の耳が可笑しくなる。その前にDA共を潰さないと!

 

「ねえ、ロボ太くん……」

 

「な、なんだ?」

 

「その被り物ってどんだけ頑丈なのかな?」

 

「ひぃ!?お、落ち着け!」

 

小町の奴も我慢の限界が近いな。俺も早くこの国の化けの皮を剥がしてやりたい気持ちを抑えるのに必死なんだよ。どうにかなってしまいそうだ。

 

「一週間だ」

 

「はい?」

 

「一週間で成果を出せ。出せないなら……分かるな?」

 

「あ、ああ。もちろんだ!この世界最強のハッカーに任せろ」

 

ロボ太は凄まじい速さでキーボードを叩き始めた。俺がソファーに座ると小町が俺の太ももに頭を預けてきた。

俺は小町の頭を優しく撫でた。少し前から小町は情緒不安定になるとこうして俺に頭を撫でるように要求してきた。

 

「お兄ちゃんに会いたい。お兄ちゃんに撫でて貰いたい。お兄ちゃんに褒めて欲しい。お兄ちゃん……殺されたい」

 

「まったく気持ち悪いガキだ……」

 

「お兄ちゃん……小町、頑張ったんだよ。たくさん覚えたんだよ。たくさん殺してきたんだよ」

 

「もう少しだ。我慢しろ……」

 

俺はその後も小町の頭を撫で続けた。俺と小町はそのまま寝落ちしてしまい、次の日を迎えた。そしてロボ太の奴が情報を持っていそうなリコリスを発見した。

今夜、小町たちと一緒にそいつを襲撃する。まったく待ち続けた甲斐があったものだ。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。