八幡視点
目立つ。どうしてファーストの制服ってのは赤なんだ?目立ってしょうがない。俺は今、千葉のある高校の前である人物を待っていた。
先日、99号と再会して危機感を覚えた。あれはあまり長生きさせては駄目だ。DAよりも先に俺が彼女をやならけばならない。
そのためにも準備が必要だ。だが、俺一人では準備できない事もないけど、DAにバレる。そこで協力者を得るためにここに来た。
「あら?あなたから来るなんてね……」
「よお、82……雪ノ下」
「ええ、比企谷君」
俺が高校の前で待っていると目的の人物がやってきた。今は昼前なのでもう数時間掛かると思っていたんだが、予想より早く出て来てくれて助かった。
見慣れない制服の目の腐った男子が校門の前で待ち構えているのは通報されるんじゃないかと言うくらい怪しいからな。
「それで?どうしてここに?」
「ちょっと頼みがあって来たんだ。間が悪いなら日を改めるが?」
「大丈夫よ。テスト期間は今日で終わりだから」
「テスト?」
「ええ、そうよ。あたなはした事ないの?」
「ああ、ない」
DAでは一般常識程度の知識以外には殺しの知識しか教わらない。普通の学校のような事はない。なるほど、テスト期間だからこんなにも生徒が早く出てきていたのか。
「話なんだが、ファミレスでいいか?バイクをそこに置いているんだ」
「ええ、構わない。ならお昼、奢りなさい」
「それくらないら別にいいが」
「―――雪乃ちゃん!」
俺が82……じゃなくて雪ノ下と移動しようとすると一人の男子生徒が近づいてきた。雪ノ下を下の名前で呼んでいる所みるに親しい間柄なのか?
「……なにかしら?葉山君。それと名前で呼ばないでと言ったはずよ」
「あ、ああ。すまない……それでそっちの彼は誰なんだい?」
「それはあなたが知る必要はないわ」
「……気になってね」
雪ノ下の言葉の温度がさっきより下がった気がする。それにしてもこの金髪の男子生徒は何者なんだ?雪ノ下と親しいのか?
雪ノ下と葉山が睨み合いをしていると雪ノ下が俺の左腕に自分の腕を絡ませてきた。
「彼は私の彼氏よ」
「は?」
「え?」
「だからいい加減、私に構わないで。行くわよ」
「お、おい!」
俺はそのまま雪ノ下に引っ張れるように移動した。その際に葉山とか言う男子生徒は俺を親の仇みたいな視線をこっちに向けてきた。
あの手の視線は嫌いなんだよな。悪意をこちらに向けてこないでほしい。それにしても雪ノ下は何が目的で俺を彼氏と言ったんだ?
「それで、さっきのは何なんだ?」
「今日からあなたは私の偽装彼氏って事よ」
「偽装彼氏?」
俺と雪ノ下はファミレスに移動して、昼飯を食べていた。俺と雪ノ下は冷うどんを注文して食べた。食べ終わりそうになったので話を切り出した。
「さっきの男と関係があるんだろう?」
「ええ、そうよ。彼は私の養父の会社の顧問弁護士の息子なの」
「親しいのか?」
「まさか……彼は私を裏切ったのよ」
「裏切った?」
そこから雪ノ下は語りだした。自分がモテるとか、俺にとってどうでもいい話まで喋ってきた。その中でも組織を抜けてからの話をした、数年は海外で暮らしており、小学生を卒業する前に帰国して、雪ノ下家の養女になった。
組織の事もあって雪ノ下は人付き合いが苦手で、学校の休憩時間は読書をしていたけど、あの葉山って奴がよく遊びに誘ってきた。
しかしそれが問題だった。雪ノ下はその誘いを断り続けた。葉山は気にしていなかったが、周りの女子たちが気に食わなかったようで、陰湿ないじめを始めた。
「小学生の色恋沙汰って奴か……」
「ええ、そうよ。私はモテるから……私は最初、彼に期待していた。守ってくると」
でも葉山は雪ノ下を守らずに加害者側についた。それで雪ノ下は葉山を敵としてみるようになったそうだ。小学生ってのはドロドロしているだな。
いつか見た昼ドラよりドロドロしているな。小学校、行かなくて良かったとこの時思ってしまった。
「それで、あなたの頼みってのは何かしら」
「ああ……これだ」
「これは……」
俺は雪ノ下にメモの紙を渡した。データだと『ラジアータ』に見つかる可能性があるからだ。雪ノ下はメモを見て、深いため息を出した後、俺を見た。
「二つの内、一つはすぐに準備出来るわ」
「そうか。年内に用意出来るか?」
「ギリギリね。それでいいなら受けてもいいわ」
「ああ、それでいい」
これで準備は大丈夫だろう。あとはバレないように細心の注意が必要だな。それと雪ノ下に払う対価だな。
「俺はお前に何を払えばいい?二つ要求したから二つ対価を言ってくれ」
「そうね……なら葉山君が諦めるまで私の偽装彼氏になりなさい」
「まあ、それくらなら……」
「もう一つ移動しましょう」
「お、おう」
それから俺は雪ノ下と携帯ショップに連れられて、そこで連絡用のスマホを与えられた。今持っているのは支給品だからDAに履歴が残る。
だから渡されたが、雪ノ下の真の狙いは学生カップル割りをした者たち限定の特典である猫グッズだった。
俺との連絡手段の確保はついでか!?俺は雪ノ下を家に送り届けて、セーフハウスに戻った。