やはり俺がリリベルなのはまちがっている。   作:新太朗

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過去と手紙

過去???視点

 

私は世界に天才を送り出す機関、アラン機関のエージェントの一人だ。私は今、ある施設で驚きに言葉を失った。

10歳にも満たない子供が大人のライオンをナイフ一本で殺してみせたのだ。十人ほど居た子供は二人だけになってしまった。

特に88号は素晴らしい才能を持っている。彼は目がいいのだろう。ライオンから逃げ回る時に他の子供たちが食われているの観察してライオンの動きの癖を見つけて、的確に弱点を突いた。

 

「素晴らしい!!88号!君は天才だ!アラン機関は君を援助しよう!それにしても99号を守るように動いていたのが気になるな」

 

88号と似ている99号。兄妹かと思われるが、ここにいる子供たちは全員、孤児で兄妹はいなかったはずだ。99号は88号によく懐いているようだ。

 

これは使えるかもしれない。私は後日、88号と直接会った。彼の目はまるで全てを見透かしているような目をしていた。

 

「88号。君はどうやってあのライオンを殺したんだい?」

 

「見えるんです……」

 

「何が?」

 

「どうやったら殺せるか……」

 

「っ!?」

 

私は戦慄した。彼は産まれながらの殺し屋だった。この力をもっと伸ばさなくては!この才能を埋もれさせてはいけない!

私はフクロウのチャームを88号の首に掛けた。88号はチャームがなんのか分からないでいた。

 

「これはなんですか?」

 

「これは才能がある天才だけが持てるものだ」

 

「さいのう?てんさい?」

 

「そうだ。時が来れば、君にも分かるはずだ」

 

「そうですか……」

 

私は施設を離れて本格的に88号を支援するように指示した。すると彼はすぐに才能を開花させた。大人でも難関と思われる任務を次々とこなして行った。

報告を聞く度に私は笑みを浮かべていた。特に99号と一緒の任務だと88号はいつも以上の力を発揮する事が分かった。

 

「彼を完成させるには99号が鍵か……もう少し待った方がいいだろうね」

 

まだ88号は完成しない。99号を将来、殺した時に完成する。それまで長い目で見守らないと駄目だ。邪魔を徹底的に排除しなくてはならない。

だが、予想外の展開が起こった。施設がDAの連中に襲撃されて職員が殺されてしまった。不幸中の幸いと言うべきか、88号は任務で外に出ており、私は99号だけを逃がす事に成功した。

 

「これからどこにいくの?おにいちゃんは?」

 

「君は88号を完成させるために生きるんだ」

 

「おにいちゃんをかんせい?」

 

「さあ、行くよ」

 

私は99号の手を取ってDAの手が届かない場所に向かった。

 

 

 

 

 

現在八幡視点

 

俺の手には俺宛の手紙がある。今夜は千束がいないのでセーフハウスには俺一人だけだ。千束たちが関わった依頼人を拉致しようとした連中が俺宛の手紙を持っていたのかは謎だが、開けてみれば分かる事だろう。

 

『お兄ちゃんへ 近々会いに行きます。小町より』

 

手紙にはその一文だけが書かれていた。お兄ちゃん?小町?誰がお兄ちゃんで小町って誰!?たった短い文なのに謎が膨れたぞ!?

手紙には他に手がかりになりそうなものはなかった。だけど、お兄ちゃんなんてどこか懐かしい気持ちなった。

 

「まさかな……ありえんだろ」

 

いや、考える事は他にあるだろうが!俺はこいつを知っているし、相手も俺を知っているなら考えられる可能性は一つだけだ。

俺は物心ついた時から居た施設の生き残りだ。DAが全員、始末したはずだけど。そもそもあの施設がDAに襲撃されたのは他ならぬ俺がDAに施設の事を売ったからだ。

 

「店長は全員、始末したって言っていたしな……」

 

あの店長が俺に嘘を付くとは思えなかった。そもそも嘘を付く理由が見当たらない。ならDAが施設を襲撃した時に運よく逃げ出したやつがいたという事だ。

まったく面倒だな。組織の事を売った俺は裏切り者だ。そんな俺にこんな手紙を送るなんて、宣戦布告のつもりか?

 

「どこに仕舞ったかな……おっ、あった」

 

俺は部屋に隠してあった実弾を取り出した。リコリコに来てからは非殺傷弾しか使っていなかったからな。実弾使うと千束がうるさいんだよな。

それに昔を思い出す。俺がまだ88号だった時を。毎日が命懸けの日々だった。誰かを殺して、生き続ける日々に嫌気があった俺はDAに組織を売った。その事を後悔した事はないと言えば嘘になる。

 

「でもあれで良かったんだよ……」

 

もう殺さなくてよかった。もしあの生活を続けていたら俺は今以上に目が腐っていたかもしれない。ただ命令に忠実な殺人マシーンの誕生だ。

何も疑いもせず、何も疑問に思わず、何も感じないまま、生きていただろう。それを生きていると言えるだろうか?

だからあの組織は潰れて良かったんだよ。もしあの組織の残党が俺を始末するために来たなら今度こそは俺の手で潰さなくては。

 

「司令にバレたら俺が殺されるかもしれないな……」

 

命令違反もいい所だ。俺は実弾入りの拳銃を握り締めてベッドに入った。今夜はこうしていないと眠れない気がした。

そして俺は寝たが、昔の夢を見て翌日のリコリコでミズキさんに目がさらに腐った事を指摘されるのであった。

 

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