やはり俺がリリベルなのはまちがっている。   作:新太朗

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反省と手掛かり

たきな視点

 

私は武器取引の現場を偶然、写真に収めた人の家で一晩過ごした。安全と判断して翌日には喫茶リコリコに戻ってきていた。

戻ってすぐに千束に正座をさせられた。どうして正座させられているのか分からない。

 

「たきな。どうして私が怒っているのか、分かる?」

 

「いえ、まったく」

 

「昨日の依頼だよ!護衛対象を囮にするとかダメでしょ!」

 

「ですが、奴らは私がついていると手を出してきませんでした。それに護衛対象は無事ですよ」

 

「それは結果的にでしょ!リコリコの方針としては『命大事』だからね!」

 

千束の剣幕に思わず圧倒されてしまった。これがファーストリコリスの気迫なのだろうか?私ももっと上を目指さないと。

 

「千束。その辺にしておけ」

 

「八幡!たきなを甘やかさないで!甘やかしていいのは私だけなんだから!」

 

「お前はいいのかよ……井上、これ制服な」

 

私と千束の話に比企谷さんが割って入ってきた。そして私に制服を渡してきた。私の色は青色だった。千束が赤で比企谷さんは黒だった。

 

「本部に早く戻りたい気持ちは理解出来る。だからっと言って任務の本質を履き違えるのはどうかしていると思うぞ」

 

「任務の本質ですか?」

 

「ああ。結果的に依頼人は無事だったが、過程が問題だ。もし依頼人が頭を強く打ったり、銃で撃たれたら?」

 

「それは……」

 

「護衛任務は失敗だ。井上、お前は失敗した経験があるから分かるはずだ。今のお前が学ぶべきは結果ではなく過程だ」

 

「…………」

 

確かに比企谷さんの言う通りだ。私は早く本部に戻りたい一心で手柄を立てようとしていた。だから依頼人を囮にした。その方が早く手柄を立てられると考えたからだ。

 

「本部だってそんな無茶をする奴を呼び戻そうとは思わないだろう」

 

「はい……」

 

「今はゆっくり学べ。ここでの経験は絶対に役に立つはずだ。まずはモンブランでも食べて元気を出せ」

 

「はい!」

 

私は比企谷さんが出してきたモンブランを口に運んだ。昨日、食べたより美味しく感じた。どうやってこんなにも美味しいものを作れるのだろうか?

 

「八幡!私の分は!?」

 

「ちゃんとあるから」

 

「やったー!」

 

千束も私と同じようにモンブランを口に運んだ。幸せそうに顔を緩ませてモンブランを食べていた。モンブランが好きなんだろうか?

それから制服に着替えて私は喫茶リコリコでのホールスタッフの仕事に打ち込んだ。

 

「やあ、ミカ」

 

「「いらっしゃいませ!」」

 

私は千束に習い、元気よく挨拶をした。ここでしっかりと学ばないと!

 

 

 

 

 

八幡視点

 

喫茶リコリコが終わると俺は井ノ上を呼んだ。昨日の連中について少し調べた事を言うためだ。調べるのに苦労したぜ。

 

「昨日、連中が持っていた身分証から少し調べて分かった事がある」

 

「何ですか!?」

 

「落ち着け。連中は少し前まで海外でテロ活動していた連中だと分かった」

 

「そんな連中が日本に?」

 

「ああ。テロ活動している連中が日本に入れたのはハッカーが手引きしたんだろう」

 

まったく面倒な連中を日本に入れてくれたものだ。日本は法治国家なんだぞ?旧電波塔事件以来、大きな事件は起こっていないんだから大人しくしておけよ。

 

「それで日本国内にいる腕の立つハッカーを調べてみた」

 

「それで結果は?」

 

「有力候補は二人。ウォールナットとロボ太の二人だ。ウォールナットは連絡待ちでロボ太は連絡が付かなかった」

 

「どちらかがテロリストを……」

 

「ただ、ウォールナットは過去に何度か死んでいるんだ」

 

「死んでいるんですか?成りすましですか?」

 

「いや、本人だ」

 

ロボ太は最近の人間だと分かったが、ウォールナットは数十年前から活動しているからもし生きているなら60歳から70歳にもなる。

果たしてそんな高齢なハッカーがいるだろうか?連絡はしているので返事を待つしかない。

 

「そう言えば、例の武器取引の時に通信障害があったのは本当か?」

 

「はい。本部と連絡が付かなくなりました」

 

「なるほどな……」

 

DAの本部には高性能AIの『ラジアータ』が情報管理をしている。情報の隠蔽などもしている。それが通信障害を起こすだろうか?

少なくとも俺が本部にいた時は通信障害になった事はない。もしかしたら『ラジアータ』がハッカーに攻撃されたから通信障害が起こった可能性が高い。

 

「比企谷さんって凄いんですね」

 

「俺に調べられるのはここまで。これ以上は流石にDA本部にバレる」

 

「本部にバレずにここまで出来るんですね」

 

井ノ上の中での俺の評価が少し上がったようだ。さて、ウォールナットかロボ太のどちからが攻撃を仕掛けたのかもしれない。あるいはどっちもかもしれない。

そんな時に俺のスマホに一通のメールが来た。送り主はなんとウォールナットだ。

 

『大至急依頼がしたい。ボクの死を偽装してほしい』

 

これはまた面倒な依頼がやってきたものだ。俺は店長に相談して、ウォールナットの死を偽装する作戦を立てる事になった。

千束や井ノ上に一芝居を打ってもらうかな。千束にはあとで怒られそうな気がするけど。

 

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