やはり俺がリリベルなのはまちがっている。   作:新太朗

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驚愕と失敗

たきな視点

 

私たちは海に落ちそうになった車から脱出した後、潰れたスーパーへと避難していた。先ほどまで居た場所は遮蔽物がなく、格好の的になってしまう。

しかしここも何時までも居られない。狙われない程度に顔を出して周りを見ていると武装した男たちがじわじわと距離を詰めてきていた。

ウォールナットさんがタブレットで何か操作していた。何をしているんだ?

 

『ここからならまだ包囲が完成していない。突破出来るはずだ』

 

「なら私が前を行くからウォールナットさんが続いて、たきなは後ろから荷物を持ってきて」

 

「分かりました」

 

ウォールナットさんは逃げ道を探していたのか。でもおかげで方針が決まった。今度こそは護衛対象を守りきってみせる。もう囮にはしない。

 

「おい!居たぞ!」

 

「撃て!」

 

「くっ!?」

 

武装した殺し屋に見つかってしまった。撃たれそうになる前にキャリーケースを盾にして床に寝て、やり過ごした。危なかった。

 

『ちょっと!荷物を盾にしないでくれ!大事なものが入っているんだ!』

 

「たきな!それ盾にしたらダメらしいよ!」

 

「無茶言わないでください!」

 

これを盾にしなかったら私が今頃、蜂の巣になっていましたよ。殺し屋の攻撃が止んだので反撃して、すぐに態勢を立て直して荷物を持ってウォールナットさんに合流した。もう建物内に入ってきているなんて、すぐにでも外に出ないと。

 

「たきな、ウォールナットさん。ついて来て」

 

『分かった』

 

「はい!」

 

千束の後を付いて行こうとした瞬間、ウォールナットさんの目の前の扉が開いて、殺し屋が銃を向けてきた。

 

「なっ!?」

 

銃を向けられたウォールナットさんは殺し屋に近づいて銃を避けた。普通は銃を向けられたら萎縮してしまうのに、どうしてあえて近づく事が出来るの?

そして銃を避けたらと思ったら殺し屋の腕を掴まえて、背負い投げで床に叩きつけた。

 

「……それだけ強ければ、護衛は必要ないのでは?」

 

『ゆ、指を怪我したら作業が出来ないだろ!?』

 

「そうですね……早く外に出ますよ……千束、前!」

 

千束がこちらに視線を向けている間に殺し屋が距離を詰めてきた。もう射程内だ、あれは避けられない。盾に出来るものない。

 

「え?嘘……」

 

千束に一発も弾丸が当たらなかった。最小限の動きで弾を避けている。どうなっているの!?私にも出来るだろうか?

千束は弾を避けて、非殺傷弾で次々と殺し屋を無力化していく。千束の戦闘を間近で見て、これは真似出来ないと思ってしまった。

これで殺し屋たちの数は減らせたから十分、脱出出来るはずだ。それだと言うのに線束は殺し屋の止血をしていた。

 

「千束!何をしているんですか!?」

 

「このままだと死んじゃうでしょ!」

 

「早く出ますよ!」

 

「先に行って、追いつくから」

 

どうして私たちを殺そうとした人たちを助けるのか、私には理解出来なかった。こうしている間にも包囲が狭まってくるのに。

外に通じる扉までやって来たが、千束がまだ来ていない。何をしているんですか!?するとウォールナットさんが扉を開けて、外に出てしまった!

 

『たきな!すぐにウォールナットさんを中に入れて!殺し屋が待ち構えている!』

 

「なっ!?」

 

インカムから千束の声が聞こえて、すぐに私はウォールナットさんに手を伸ばした。しかしその前に『パーン!』と乾いた音が響いた。

それはよく聞きなれた音だった。ウォールナットさんの胸が赤く染まり、広がっていった。続いて『パパパーン!』と連続して聞こえたと思ったらウォールナットさんの体が赤く染まっていた。

 

「ウォールナットさん!!」

 

「たきな!ちょっと待って!」

 

私がウォールナットさんに近づこうとしたら千束に止められた。私はまたしても護衛対象を守れなかった。外から小さいけど、殺し屋が喜んでいる声が聞こえてきた。

 

「店長。依頼失敗です……」

 

『すぐに緊急車両が到着する。死体を回収してすぐに撤収しなさい』

 

「分かりました……」

 

私と千束は赤く染まるウォールナットさんを眺めるしなかった。それから五分もしない内に救急車がやってきたので、二人で死体を車内に入れた。

 

「私の所為です……止められたのに」

 

「たきなの所為じゃないよ」

 

「でも!……私が目を離さなければ……」

 

「それを言ったら私もだよ」

 

どうして私は肝心な所で失敗するのだろうか。あの時、ウォールナットさんを止めれたはずだ。それだと言うのに。

 

『そろそろ頃合かな』

 

「え?」

 

「は?」

 

死んだはずのウォールナットさんの声が聞こえた気がした。そんなはずない、こんなにも出血しているのに生きているはずがない。

するとキャリーケースが開いて一人の女の子が出てきた。何がどうなっているのか、理解が追いつかなかった。

 

「ボクがウォールナットだ」

 

「じゃ、じゃあ!こっちのリスの着ぐるみは誰なんですか!?」

 

私の質問に答えるかのように着ぐるみの人が頭に手を掛けた。リスの顔を脱いでそこから現れた人に私と千束は唖然としてしまった。

 

「よお、依頼ご苦労さん」

 

出てきたのはリコリコの先輩である比企谷八幡さんだった。本当に何がどうなっている!?

 

 

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