鈴の中学への入学も終わり、少し新しい生活にも慣れて来た頃。
「中学入学おめでとうございます。新生活はどうです?」
「はい、美術部に入りました」
今日はヤタガラスとの面談の日だ。既に悪魔事件のアフターケアから未来ある
「最初の頃は右も左もわからない新米悪魔召喚師でしたが、今は一人前のデビルサマナーですね。子どもの成長は早いですねぇ」
ヤタガラス側の担当者である宇色は遠くを見るような目で親戚のおじさんのようなことを言う。
「あはは、ありがとうございます」
「
「今日はこちらからも伝達することがありまして、鈴さんが巻きこまれた邪神召喚事件について進展がありました」
鈴と分かりにくいがおそらく破壊神も表情が引き締まる。去年の梅雨入り頃に鈴が邪神召喚の生贄としてさらわれた事件のことである。あの事件がきっかけとなって鈴と破壊神マグ=メヌエクとに縁が結ばれた。
そのため鈴にとっては恐ろしく忌まわしくも思い出深い出来事である。
「あの邪神召喚者兼誘拐犯の身元が判明しました。とある邪神崇拝の教団の元団員でした」
「それはどうしてわかったんですか?」
「お恥ずかしい話、捜査の結果ではなくその教団が自己申告してきたんです」
宇色の話によると、ある日その教団が元メンバーが召喚儀式の魔道具を盗んで姿を消したことを申告してきた。
しかもカバーストーリーの営利目的の誘拐事件が、実は悪魔召喚の生贄目的だったことを確信しているようであった。彼らは自分たちの潔白証明するため犯人と思しき元団員の把握している限りの情報と、教団の主要メンバーなどの基本的な情報、盗まれず残存していた召喚関係の魔道具を提出してきた。ここまで腹の内をさらけ出してくるとヤタガラスもそれ以上の追及ができなかった。
「誠実過ぎて逆に怪しさがあるな……」
「ええ、それもありますが気になることがありまして」
「何かあるんですか?」
「いえ、具体的な疑惑ではなくただの発言です。彼らが召喚の魔道具を提出したとき、結構な価値があるものも混じっていてわざわざ提出する義務もないのに惜しくないのか問いかけた者がいるんですよ」
「ふむ、それで?」
「彼らは『もう必要ないから』と言ったそうなんです」
「それは怪しいですね……」
「だから一応頭の片隅に入れて欲しくて伝えたんです」
「あい分かった。今の鈴なら我の常時顕現も可能だ……我があらゆる危機を粉砕してくれよう」
その後、デビルサマナーとしての収入や税金の話となり、金銭感覚がぶっ壊れたりうっかり脱税してしまわないようにとヤタガラス提携の税理士との面談が決まった。
****
ゴールデンウィーク、鈴と破壊神は
「この町も二度目だな……」
陀金秘密結社が町起こしとして行なっている宇宙開発の「宇宙開発プロジェクト ~星辰を揃えよう」に進展があり、そのお祝いだそうだ。ついに宇宙進出に成功したらしい。最もほぼ片道切符であり、乗組員の深きものはロケットの装甲を盾にして大気圏を突入し、太平洋に着水した。
「いい魚が取れそうな街であるな!歴史もあると聞くし、動画のネタに困らなそうだ」
「そうですね、ナプタさま。退屈しなさそうですね」
「あの、車を出してくれてありがとうございます」
「いえいえ、もともと宿も向こうが押さえていて、交通費も事後支給の予定だったんでしょう?お誘いいただいたので、これくらいはちょっとしたお返しです」
チャンネルの登録者を順調に伸ばす恐るべき邪神ナプタークがはしゃぎ、パトロンの
「楽しみっスねー!トランプ、UNO、麻雀、将棋、人生ゲーム、カタン、モノポリー、ドミニオン……といろいろ持ってきたっスよ」
「こういう牧歌的な邪教集団も新鮮ねー。ワタクシへの招待なんてたいていがおびき寄せて始末するためだったから。ま、分体だったんだけど」
そう言うのは登山の案内人兼荷物持ちのシェルパの如く大量に縦に積んだ荷物を背負う地方零細カオス団体豊穣の会会員
最近羊子はウーネラスからの戦力増強の課題の一環としてフィクションの電撃系の技の再現に片っ端から取り組んでいた。
ウーネラスも羊子のリフレッシュに良いと鈴の誘いを受けることを勧めた。
陀金秘密結社の招待には他の方もどうぞとあったため、彼女たちを誘うこととなった。両親も来る予定だったが、急な仕事が入ってしまったため同行者が増えたことに安心していた。娘が戦力的には自分たちをはるかに超えていることは分かっているが、保護者の代わりが滅多なことでは人前に出せない破壊神のみというのは不安だったのだ。
「鈴よ、宴とやらはいつだ?」
「時間は夜で、場所は陀金秘密結社さんの会館です。再誕者の人たちも来るそうなんで」
「じゃあ夜まであちこち回れるっスね!」
「まあまあ、落ち着いてください羊子さん。まずは泊まる
こうして夜まで邪神をうまく人目からは隠蔽しつつ観光や食べ歩きを楽しんだ。
夜、陀金秘密結社の会館にて。
「祝!『宇宙開発プロジェクト ~星辰を揃えよう』 第二宇宙速度突破祝賀会」のパーティー会場は非常ににぎわっている。普段は人前に出ない再誕者も参加しているので単純に数が多い。
宇宙に飛び立ち(放り出されたともいう)、大気圏突入を再誕者の肉体で耐えて太平洋を泳いで帰ってきたロケットの乗組員も出席しており、このパーティーの主役の1人として様々な者たちへ武勇伝を語っている。
「どうも皆様方。お越し頂きありがとうございます」
「確か……深木だったか?」
「おお!覚えていて下さったとは光栄ですな」
「こんばんは。今回はありがとうございます。深木さん」
内部に水が注がれた潜水服のようなものに身を包んだ人物がのしのしと一行に近づいてくる。彼の名は
「破壊神様は今のところはうちの結社の信仰対象になる気はないとおっしゃられていますが、先のことも見据えて末永く仲良くしていきたいと思っておりますからな」
「それより、皆様方のご衣裳、とても似合っていますな」
「そうですか?えへへ、ありがとうございます」
鈴たちは貸し出されたパーティードレスで着飾って出席している。邪神たちはウーネラスが即席で衣装を生成し、ウーネラスはパーティードレス、ナプタークはスーツ、マグ=メヌエクは和服だ。
深木の誉め言葉に邪神たちは誇らしげな顔になり、内亜は微笑みを返し、鈴と羊子は照れていた。特に鈴は嬉しそうだ。
「鈴センパイ嬉しそうっスね。あんまりこういう機会がなかったんスか?」
「はい。小学校の時、親戚の結婚式で着て以来です」
「じゃあ今日はセンパイの勇姿をいっぱい撮影しますよ!」
「頼むぞ羊子よ……」
その時、誰かが壇上に上がる。
「ん?あいつこの間入った新人だよな?」
「聞いてないな。サプライズか?」
「皆さん!お聞きください!我々の神が真のお姿で降臨なされました!」
そういうと祈りながら何やら詠唱を始める。
床に魔法陣が描かれ、まばゆい光とともに何かが現れる。
それは2m程もある大きな単眼と触手、皮翼を持った悪魔だった。
「ん?あの姿は……」
「あら、あれって……」
「力を取り戻した我の姿だ……」
正確には見た目が元の姿だが大きさはだいぶ小さい。本当の完全なる姿は6mを超える。
参加者たちは驚いてはいるが、冒涜的フォルムに対しては信教の関係で耐性があり忌避観がない。
それよりも発せられる神威とでもいうべきものに撃たれ、痺れているようにも見られる。
「やられた!」
深木が叫ぶ。
「おそらく破壊神様のことを知っていた別団体です。ニセモノを用意して内部から乗っ取りに来たのです……」
前回の依頼で破壊神と実際にあったのは全体からすると一部だ。会報誌で紹介などはしているが、結社内での破壊神の扱いはふわふわしたものとなっていた。
「落ち着いてください」
「だがホンモノはここにおるぞ?」
「そうだ!アナライズしてみたらどうっスか?」
そういわれて鈴がアナライズをする。
【破壊神 マグ=メヌエク Lv33】
「本物!?しかもレベルは向こうが上です」
「そうか、そういうことか……」
「どうしたの、マグちゃん?」
破壊神が飛び出し、壇上へ降り立つ。
「また出て来たぞ!大きさは違うけど似ているぞ!?」
「……」
大きい方の破壊神は黙って小さい方を見つめる。
「何のつもりだ……」
「これは私が真の神を……」
「貴様ではない」
破壊神を召喚した新人信徒の男が一歩前に出て説明をしようとするも、ぴしゃりと破壊神に否定される。
破壊神のまなざしは大きい方の破壊神の奥、何もないはずの空間を見ていた。
「やっぱりキミは気づくよね」
どこからともなく黄衣の塊のようなものが現れたかと思うと、少年の姿になる。新人信徒の男はもはや自分の出る幕はないと下がっていった。
「新しい邪神さまだ!」
「やあ信者諸君、僕は『運命』のミュスカー。ここにあらせられる『破滅』のマグ=メヌエクとかつて争い、負けて臣下になったものだ」
「貴様……なにを……」
「この小さい方もれっきとしたマグ=メヌエク。別の解釈が信仰を元に実体を持ったのさ」
「例えるならヤマタノオロチの頭上の雲と草を薙いで野火を逃れた話、どちらに注目するかで
「蘊蓄はそれまでだ……」
破壊神が敵意をたぎらせていると、大きい方が急に近づいてくる。とっさに細く絞った牽制用の破滅の眼光を放つも、胸に空いた黒い空間から除く目の一つが放った眼光で相殺される。
大きい方の破壊神は小さい方を持ち上げると参加者たちへと見せつけるように掲げ、己の肩に乗せる。
「我とこやつ、どちらも貴様らを導くために顕現した……」
「そう!君たちの悲願は達成されたんだ!すまないね、迎えに来るのが遅れて」
小さい方の破壊神は抵抗しようとするも、ミュスカーに小声「ここでやり合う気かい?」と言われ、不承不承ながらおとなしくしている。
「これからの行動で君たちの信仰は間違っていなかったと証明して見せよう、いまはとりあえずパーティーを楽しんで欲しい」
そうミュスカーが言うと会場が沸き、ミュスカーと大きい方は退場する。ちなみに肯定的な意見やリアクションの何割かはミュスカーが事前に信徒として入り込ませていたサクラだ。
さすがにそのまま鈴の元へ戻っても興奮冷めやらぬ参加者にもみくちゃにされそうなので、鈴にこっそりとCOMPへ送還してもらった。
パーティー終了後の深夜、飲酢枡町海岸にて。
「昔ワタクシも『コピーマグちゃん』っていうのを作ったわねぇ。主目的は影武者だったけど」
「ミュスカーめ……やはり来ておったか。あの茶番のせいで宴の食事を喰い損ねた……」
今一行がここにいるのはミュスカーからの呼び出しがあったからだ。ここまでの間にウーネラスから破壊神とミュスカーの因縁については説明してある。
「やあ、夜遅くに悪いね」
「さっきぶりだな、我が半身とその仲間たちよ……」
そう話していると、ミュスカーと大きい方の破壊神がやってくる。
「我が力を取り戻すのが遅いのは、貴様がマガツヒを横取りしていたからか?」
「ああ、その通りだ。君の活躍を広めたり、実験をして悪魔の一側面の抽出や幻想の皮を被せる方法を学んだんだ」
「すまなかった。だが彼は君で君は彼だ。これからは『マグ=メヌエク』の力を取り戻す大きな助けになるよ」
「共に我らの威光を知らしめ、
「ずいぶん神様然としているっスね」
「そうですね……」
「化身ではなく一側面ですか」
「ウゲェ~、なんだこの気味の悪いマグ=メヌエクは」
「これは
神さまっぽいことを言ってくる大きい方に、他のメンバーはこそこそと感想と言い合う。
「なんだこの粗悪な模造品は……」
破壊神はあくまで偽物であるとのスタンスを崩さない。
「いや、彼は間違いなくキミだ。今までにいなかったキミだ」
「どういうことだ……」
「キミは彼女との別れで深い悲しみを抱き、眠りについた。そして目覚めるとき夢分体としてこの宇宙に喚びだされた。でも、完全に心の傷が癒えたわけじゃないんだろう?」
「彼は守りたいキミ、大切なものを手放したくないキミさ。それに僕が広めた『憂いを破壊し人を導く破壊神』への信仰が合わさって生まれたものなんだ」
どこか自慢気に運命を調律する邪神は言う。思い当たる節があるのか破壊神は口を挟まない。
「大変だったよ。キミの活躍をこっそり撮影して布教したり、キミと似た邪神を召喚しようとしたニンゲンがいた教団を取り込んだり」
「ならば……真に我の一部だというのか……」
ようやく大きい方の破壊神のことを受け入れたのか小さい方が愕然とする。
「アナタもこの宇宙では新参者なのに、随分器用なことができるものねえ」
ウーネラスが訝しみながら口を挟む。
「ルイという男が協力してくれたんだ。なんでも観測の力に一杯食わされた経験から作った技術らしいね。『この宇宙はにっくきアイツ寄りで穏健かつ平和に安定してしまった。是非ともかき回して欲しい』ってね」
そこで一通りの経緯は説明し終えたと考え、ミュスカーは破壊神へと向き直る。
「例えばダーク属性の悪魔、過度な闘争心、無知蒙昧さ、この世にはなくなったほうが幸せになれるものがたくさんある」
「それらをキミの破滅の力で全て消し去るんだ」
「そんなことできるんですか?」
「今よりもっともっと力を付ければ可能さ。キミが協力してくれたら少しは早くなると思うよ、マグ=メヌエクのサマナー阿座斗鈴」
なかなか反応を返さない破壊神へとミュスカーが問う。
「僕と彼とキミとで一緒により良いものにしていかないか?それにキミも分かっているんだろう?この宇宙は元の宇宙と比べて火種が多いって。運命を観測できる僕ならわかるんだ、この宇宙に近い平行世界ではその火が点いていることもある」
「少し演出と誘導はしたけど、ニンゲンを保護する神としてのキミが存在するのは真実だ。それはキミが別れと悲しみを知ったからだ」
「……」
「上手くいけば元の宇宙にも影響を及ぼせるかもよ?」
しばしうつむいて考え込んでいた破壊神に、ナプタークの声が飛ぶ。
「おい己よ!旅行での質問の答えを聞かせてやろう!」
「あの小僧が亡くなって確かに悲しかった!しかし吾輩はアイツから受け継いだものがたくさんある!それがあるから吾輩は歩みを止めなかった!」
「いいのか?悲しみに囚われて己の権能でこの宇宙の理を変えても?」
「ナプターク……」
ダメ押しとばかりに内亜に背中を押された鈴が言う。
「私も、マグさんが私を通して別の誰かを見ているときがあったのは気づいてました」
「鈴……」
「それでも……あの時助けてくれたことは感謝してるんです!これからも2人でゆっくりと進んでいきたいんです……」
「……」
破壊神がミュスカーともう1柱の破壊神に向き直る。
「我は破壊神マグ=メヌエク。だが、それだけの存在にあらず」
「悲しみからくる上位者の保護は歪なものだ……覇を唱えてニンゲンの生き方や思想をどうこうする気はない……」
「そうか……キミはそういった選択をするのか……」
ミュスカーは悲しそうだが、すこし吹っ切れたような表情をしている。
「だが、このままでは引き下がれない。キミはここで彼に吸収されるか元の宇宙に送還されてもらう。ああ、阿座斗鈴のことは心配しなくていい。僕らの庇護下で守ると約束する」
「ふん、こちらもあやつを吸収するか消し飛ばせば次の機会はあるまい……」
ミュスカーが合図を出すと鈴の誘拐犯が所属していた邪神崇拝の教団員が出てくる。
「ラストバトルっぽくなってきたわね~。こっちはワタクシと羊子に任せてボスを頼むわ」
「鈴センパイ、任せたっス!というか、スポンサー様そんなことできたんスね……」
教団員の前に羊子が立ち、流石に力不足と見たのかウーネラスが分体生成を行い、数十体に増える。
「そちらの黄衣の方は私とナプタ様にお任せください」
「自分のことは自分でケジメを付けるかよい!あと己、戦えたのか……」
「ゲッ、またキミか……」
ミュスカーには内亜とナプタークが当たる。ミュスカーは己の権能を破られたことを思い出し、苦い顔をする。
大きい方の破壊神と対峙するのは鈴とマグ=メヌエクである。
「いいだろう……ならば我に力を示すがよい」
「行くぞ、鈴よ……」
「はい!マグさん!」
【破滅の眼光】
【破滅の眼光】
【召喚:龍王ヤトノカミ】
あいさつ代わりのお互いの権能がぶつかる。ほぼ相殺できたが向こうの方が出力が上のようで、こちらを余波が掠めていった。
「私が前に出ます!2人は回復・補助・狙撃をお願いします」
「了解」
「何!?分かった……」
普通に戦っては不利とみて何を考えたか、鈴が拳銃と爆発機構付きさすまた「討伐棒」をもって破壊神に躍りかかる。
「むう、やりにくいな……」
相手は権能を使うのはヤトノカミと破壊神だけで、鈴に対しては技とも呼べぬような触手の振り回しだけである。
例え小さい方を消し飛ばして送還することになろうとも、鈴は守り続けると宣言したためである。また鈴は破壊神の第一信徒であり、相手は破壊神の一部が力を付けて独立した存在のため大きい方の破壊神の第一信徒でもある。その結果、突撃してきた鈴に対して破壊神は権能と圧倒的な肉体性能をほとんど封じられることとなった。
「仕方ない、分の悪い賭けだが……」
鈴の特攻で一転して不利な立場に追い込まれ、このままでは破滅の眼光のラッキーヒットが立て続けに出ない限りは負けると考えた破壊神は策に打って出る。
【分体生成】
スイカ大の本体のみを残し、残りは十数体の分体へと変えてヤトノカミと破壊神へと送る。本体がひたすら防御に徹している間に破壊神を仕留める作戦だ。
が、破壊神が自分を傷つけるつもりがないが諦めているわけでもなく、窮状の打開に分体をよく使うことを知っていた鈴はこれを何となく読んでいた。
【メギドラ*1】
防御を固める本体を無視し、習得したが試し打ち以降一度も使っていない魔法を使用する。これは破壊神の加護というバカ高い下駄をはいていることによって鈴が習得したスキルである。使うと全魔力だけでは足らず体力も根こそぎ持っていくため、一応使いどころのあるメギドと比べて現状完全な産廃である。
鈴からの強力な範囲攻撃は想定していなかったため、破壊神の分体たちは散開する前に鈴の魔法を喰らい、大きな隙を晒す。
「お、お願いします……」
「感謝する、鈴……!」
「好機、大技」
【マハブフーラ】
【破滅の眼光】
分体たちをヤトノカミでダメージを与えつつ冷気と氷塊で固め、とどめの破壊神の権能が呑み込んでいく。
分体は本体ほど現界維持の粘り強さがないのか、消滅していった。
「もう打つ手がないな。降参だ……」
防御を固めているうちに鈴に見事に意表を突かれ、挽回しようとしたときには手遅れだった大きい方の破壊神が言う。分体を消滅させられたため背丈が小さい方と同じくらいになってしまった。
「ナプタさま、あれを」
「おお、やったな!」
「負けてしまったか……」
見るとミュスカVSナプターク&内亜は、ナプタークの狂乱の咆哮による運命観測妨害を利用して内亜が宇宙CQCを用いてインファイトを仕掛けており、ミュスカーは肉体が脆いこともあってボロボロだった。
「スポンサー様!もう決着ついてるっスよ!」
「あら、もう終わり?」
教団員VS羊子&ウーネラスは、分体で増えたウーネラスが自作魔道具の大盤振る舞いをし、楽しくなってしまってただの蹂躙と化していた。羊子が電撃攻撃で1人を気絶させる間に7人は倒していた。
「で、どうしましょうか?貴方の敗戦処理」
ウーネラスが実に楽しそうな様子でミュスカーに問いかける。
「はあ、分かってるよ。僕が取り込んだ邪教団はちゃんと後始末を付けるし、陀金秘密結社とも話をつけるさ」
「ならよろしい。でも面白かったわ、悪魔や
「貴様も趣味が悪いな……」
消耗の回復のため、ナプタークがタッパーに詰めていたパーティーの料理を失敬しながら破壊神が言う。
「おい、我の処遇はどうするつもりだ?」
負けた方の破壊神の別側面がいう。何故か勝った方の破壊神と一緒にタッパーの料理をつまんでいる。
「貴様は我と同一になる。元はと言えば貴様は我の一部だ」
「我は汝、汝は我ってやつね、これがニンゲンの暗黒面とかだともっと映えるんだけど……」
「じゃああとは頼むぞ……」
もともと分体を作ったり気軽に自爆をするような存在なためかあっさりと取りこまれる。
「後始末は彼がやってくれるみたいだし、もう帰りましょうか。夜更かしはお肌に悪いわよ」
「はーい」
一同は旅館の儀流満家へ帰っていく。
「鈴よ……」
「何でしょうマグさん?」
破壊神はぽつりぽつりと語りかける。
「我は昔、とある娘と暮らしていてな……」
「はい。私をそのこと重ねていたんですよね?」
「ああ。貴様にはたまに引き合いに出すだけで、あやつについて教えていなかったな……」
「はい」
「帰ったら聞いてほしい……あやつの好きなもの、好きなこと、出会いと別れについて……」
「はい。聞かせてください」
破壊神と少女は手を繋いで帰っていった。
【破壊神(守護神) マグ=メヌエク Lv33】
ステータスタイプ:万能型
防御相性:物理・破魔・呪殺無効
スキル:【破滅の眼光】 etc.
・破壊神の守護らねば……という気持ちとミュスカーの「僕の考えた理想の新たなマグ=メヌエク」が合わさった半公式の二次創作のようなもの
【智神 ミュスカー Lv28】
ステータスタイプ:魔・知型
スキル:【運命の調律】【マハガルダイン】 etc.
・変わった破壊神を見てそれに乗っかって理想の破壊神を創った
・強力な前衛がいたためボコボコにされ、戦闘において前以上にナプタークが苦手になった
【破壊神の第一使徒 阿座斗鈴 Lv23】
ステータスタイプ:技・運型
スキル:【ピンホールショット】【メギドラ】【破壊神の加護】 etc.
・いつの間にか化け物ルーキーになっていた
・流々と違い破壊神を基本肯定するので結果として破壊神の庇護欲を強めた
【破壊神 マグ=メヌエク Lv24】
ステータスタイプ:万能型
防御相性:物理・破魔・呪殺無効
スキル:【破滅の眼光】【破滅の炯眼】【破滅の瞑目】 etc.
・子離れに時間がかかった。元の宇宙の自分より紆余曲折あった